公認内部監査人(CIA)とは?試験難易度や資格取得のメリット
公認内部監査人(CIA)とは?試験難易度や資格取得のメリット
近年、内部監査の重要性が改めて認識されていくに伴い、公認内部監査人(CIA)の需要も高まっています。
一部の企業では、公認内部監査人(CIA)によって内部監査が行われていることを有価証券報告書で開示し、内部監査の正当性をアピールしています。
この記事では、公認内部監査人がどのような資格なのかご紹介するとともに、試験概要や難易度、取得のメリットなどを取り上げていきます。
企業内公認会計士・税理士の方にとっては特に魅力的な資格なので、今後の参考にしてみてください。
公認内部監査人(CIA)とは
グローバル化に伴い、企業経営を取り巻く環境が変化を繰り返す今日、内部監査はより重要なものとなり、その監査を行う監査人には確かな能力が要求されるようになりました。
公認内部監査人(CIA)とは、「Certified Internal Auditor」の略で、内部監査を行う監査人の能力を証明です。
1974年にアメリカで誕生以来、世界の約190カ国において、18の言語で認定試験が行われています。
1999年から日本語での試験が実施開始されており、それまで17人しかいなかった資格取得者の数は2021年に約10,600人まで増加しています。
公認内部監査人は資格を取得するだけでなく、その資格を維持するために知識や技能を最新のものにアップデートしなければならず、継続的専門能力開発制度と呼ばれるスキルアップ制度が設けられています。
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公認内部監査人の重要性
公認内部監査人は、取締役や従業員が不正を行っていないか、コンプライアンスを順守しながら業務にあたっているかをチェックする内部監査を行います。
従来、日本では内部監査を担うのは経営者または経営者にごく近い人物である場合が多く、経営者の裁量と独立したものではなかったため、その透明性が確保しづらい状況にありました。
その結果、不正会計が相次いで発覚したのをきっかけに、内部統制が声高に求められたため、コンプライアンスが重視されるようになりました。
また、不正・不祥事を未然に防ぐだけでなく、企業の成長や目標達成のために、企業活動を評価・助言するコンサルタントとしての役割も注目されています。
こういった時代のニーズから、内部監査の重要性が認知され、公認内部監査人の需要が高まっているのです。
内部監査とは
公認内部監査人が行う内部監査は、下記の手順で実施されます。
1.監査計画:調査日程、監査対象部門・内容を決める
2.予備調査:監査に必要な情報を収集する
3.本調査:監査要点資料のチェック項目に沿って調査する
4.結果・報告書作成:調査内容をもとに報告書を作成する
5.監査報告:経営者と監査対象部署の責任者に報告する
6.改善案の提案:改善状況を確認し、業務指導を行う
内部監査では、会計報告に不正や誤りがないか、企業経営や業務実行が合理的で適切に行われているか等を、予め決められたチェック項目に沿って調査します。
公認内部監査人の試験概要
試験内容
公認内部監査人の試験は内部監査の基礎、内部監査の実務、内部監査に関連する知識の3つのパートで構成されています。
それぞれのパートには250点が割り当てられており、得た点数を750ポイント換算し、600ポイント以上で合格となります。
一度ですべてのパートを受験する必要はなく、各パートずつでも受験可能で、パート合格の有効期間は最初の受験登録から4年以内となっています。
受験資格
<教育要件>
受験するには4年生大学を卒業していることが必要です。
この教育要件を満たしていない場合は、短大・高専卒で5年以上の内部監査実務経験、または7年以上の内部監査実務経験などの要件を満たす必要があります。
<推薦>
公認内部監査人は高い倫理観と専門職への適格性が必要なため、第三者からの推薦が必要となります。
推薦人は親族以外とし、内部監査人協会の「倫理綱要」を元に、「公認内部監査人という資格に求められる人物像として適格な人物である」と推薦される必要があります。
試験以外の資格認定要件
公認内部監査人の資格取得には、下記の業務における実務経験が必要です。
・内部監査
・品質のアシュアランス
・リスクマネジメント
・その他の監査または評価実務
・コンプライアンス
・外部監査
・インターナルコントロール
合格率・難易度・学習時間
各パートの合格率は35~40%ほどと高めですが、公認内部監査人の合格率は非公開となっています。
内容が専門的であるにも関わらず合格率が高めな理由として、公認会計士や税理士などもともと専門知識を持った人たちが受験している点が挙げられます。
また、各パートの受験回数制限は8回となり、制限を超えると合格実績が取り消しとなります。
学習時間の目安は平均300~500時間といわれています。
実務経験も必要なため、働きながら学習を続ける必要がありますが、半年~1年ほどで合格レベルに到達できるでしょう。
公認内部監査人の資格を取得するメリット
内部監査知識を含めた幅広いビジネス知識が身につく
内部監査では、企業組織のあらゆる部門の業務を把握する必要があります。
さらに、経営者目線の視点に立った全般の健全性や施策内容が有効かどうか判断する知識も重要です。
そのため、公認内部監査人の資格を取得するとことで、内部監査業務だけでなくビジネス全般の幅広い知識が身につけることができます。
転職でアピールできる
公認内部監査人は内部監査に関わる資格の中で、唯一の国際資格であり、約190カ国で有効です。
そのため、海外や外資系企業での転職でも役に立つでしょう。平均年収は500~1,000万円と言われています。
主な就職先は、グローバル企業の内部監査部門やコンサルティング会社、会計事務所などが多く、経験や知識が求められる職種であるため、50~60代の求人募集も見受けられます。
ただし、内部監査部門を抱えている企業自体の数が少ないため、全体の求人数は少ない傾向にあります。
そのため、公認内部監査人の資格を活かした転職には、内部監査人の求人に強い転職エージェントを利用することがおすすめです。
資格取得してキャリアアップに役立てよう
内部監査を担う人材としてキャリアアップを図るために公認内部監査人を取得しておけば、よりキャリアの選択肢が広がります。
特に企業内公認会計士・税理士の方であれば、公認内部監査人資格取得を優遇条件としている外資系企業や大手企業に転職するなど、キャリアアップのビジョンがより鮮明になるでしょう。
また、国際資格であるという点も、公認内部監査人の魅力です。
グローバル化がより進展するとともに、世界基準の資格である公認内部監査人の取得者は、より高い評価を得られるようになると考えられます。
資格取得の難易度もさほど高くないので、この機会に取得を検討してみてはいかがでしょうか。
資格取得者が実際にどのようなキャリアを重ねているのか知りたい場合には、転職エージェントに質問してみるのがおすすめです。
外部からでは見えづらいので、多数の事例を見てきている転職エージェントに頼ることで精度の高い情報が得られるようになるためです。
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この記事を監修した人
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
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