IPO・内部統制実務士とは?難易度とキャリアについて
「IPO・内部統制実務士」という資格をご存じでしょうか?
企業は不祥事や社員のミスにより、社会的な信用を落としてしまうリスクを常に抱えています。
社会的な信用を失うと企業活動や株価に悪影響が出るため、そのような事態は極力未然に防がなければなりません。
IPO・内部統制実務士は、そのための仕組みづくりにおいて大きな役割を果たします。
今回は、このIPO・内部統制実務士とは、どのような資格なのか、資格取得の難易度、資格を取るとどんなキャリアを積めるのか、について詳しく解説しましょう。
IPO・内部統制実務士とは?
公益社団法人全日本能率連盟の「マネジメント関係資格認証審査会」の認証に基づくIPO・内部統制実務士は、株式上場(IPO)に関わる業務ができる人材、及び法令に則って企業内の不祥事等に対処する「内部統制」を行える人材の育成を目的とする資格です。
IPO・内部統制実務士は標準資格で、この資格を取得したのち、「上級IPO実務士」や「上級内部統制実務士」などの上級資格に挑戦できます。
今後上場予定のある企業で実際にIPO業務を担当する人、あるいは各企業の法務部門、会計部門に勤務する人が、自らの専門知識と能力を証明するために取得する資格です。
IPO・内部統制実務士の2019年度の試験概要について
2019年度のIPO・内部統制実務士資格試験は、現状では上期8月と下期2月の年2回実施されています。
平成31年2月末の時点でこれまでの受験者の総数は730名で、有資格者の累計総数は490人を突破しました。
受験希望者は、全日本能率連盟が実施する「IPO・内部統制実務士資格者養成講座(例年、3~5日の日程で実施)」を受講できるので、確実に合格したい方は事前に参加して勉強しておくことをお勧めします。
なお、受験資格は原則として満25歳以上の人(財務会計の基礎知識を持っている人)で、試験で問われる専門分野は「上場支援及び内部統制構築業務」、「モニタリング」、「リスク評価」、「内部監査」、「コンプライアンス業務」等です。
受験費用は1万1,000円ですが、受験前に開催される養成講座に参加する場合は、「資格者養成講座」(計12時間)だと4万円、「試験対策講座」(計3時間)だと1万6,000円、「通信教育。DVD講座」(標準学習期間は3カ月)だと3万円の費用がかかります。
資格を取得した後も、最新の知識を更新すること、実務家・有資格者同士の交流を深めることを目的に、「資格更新講座・講習会」を年に3回開催されています。
それら講座の参加費には9,000円、有資格者を対象とする各種研修会に参加すると1回5,000円必要です。
IPO・内部統制実務士の難易度・合格率は?
試験範囲は多岐にわたりますが、公式テキストである教材と事前の資格養成講座の内容を理解しておけば十分に合格できる難易度です。
学習時間としては、講座の合計時間が12~25時間なので、独力で勉強する場合も最低限そのくらいの学習が求められます。
試験当日はテキストの持ち込みは禁止です。
問題形式はIPOと内部統制の2つの分野から出題されます。
現状ではIPOの問題は選択式問題と資本政策に関する記述式問題、内部統制は記述式問題が中心です。
内部統制の問題として必ず出題されるリスクコントロールマトリックス(RCM)関係の問題は、必ず記述式となっています。
全体としてみると、約3分の2が選択式問題、約3分の1が記述式問題です。
IPO・内部統制実務士資格試験の合格率は7~8割。
そもそも約7割程度の正解想定をして問題が作成されているので、試験自体はそれほど難しくないと言えます。
IPO・内部統制実務士が活かせるキャリア
資格試験の難易度がそれほど高くありませんが、資格取得に向けた勉強を通じて、IPOの概論やコンプライアンス経営、内部監査人の役割と業務、上場準備の方法、資本政策、内部統制報告制度など、学べる内容は多岐にわたります。
さらに、引き続き上級IPO実務士、上級内部統制実務士などの上級資格を取得することで、より専門的な能力を証明できるようにもなるでしょう。
企業における内部統制システムの構築と運用、及び評価を行う専門職を目指す人、「上場準備責任者」など上場に関するスペシャリストを目指す人は、ぜひ取得しておきたい資格です。
まとめ
IPO・内部統制実務士は、企業の内部統制や株式上場の業務に携わっている人を対象とする資格であり、将来的にこの分野を専門職務と考えている人は、早い段階で取得しておくことが望ましいと言えます。
資格取得後はより上位の資格取得も視野に入れて、さらに勉強を進めていくことが望ましいです。
IPO・内部統制実務士は合格率も高く、公式テキストと事前の講座受講を通して勉強しておけば問題なく合格できます。
資格を取得後、資格更新の講習会に参加することで人的交流、情報の収集等を行えるのも魅力です。
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