税理士がSPC専門の会計事務所に転職するためには

更新日:2020/04/30
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税理士がSPC専門の会計事務所に転職するためには

管理部門・士業の転職

近ごろでは、SPC(Special Purpose Company)と呼ばれる企業形態が注目を集めており、SPCに関する税務を専門にする会計事務所も徐々に増えています。この記事では、SPC専門の会計事務所に税理士が勤務する方法や待遇面などについてご紹介します。

SPCの概要

SPCは、「特別目的会社」や「特定目的会社」と呼ばれており、資産の流動化を最大の目的として存在する企業です。たとえば、不動産など大型・高額の資産を有価証券に変えて、市場から小口の投資を集める「不動産証券化」を実施する目的でSPCが活用されます。

これによって、ごく一部の富裕層だけでなく、多くの人々が有望な不動産投資に参加できるようになり、不動産市場が活性化していくものと期待されます。

また、M&AなどでもSPCが活用されることがあります。

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SPC専門の会計事務所に転職する方法とは

SPCは、資産の流動化には大きな役割を果たす事業体ですが、一方で、仕組みが複雑であり、その導入には高い専門知識が必要となります。信託銀行やサービサー(債権回収会社)との連携も必要ですし、そのしくみの複雑さに伴い、税制や会計もまた複雑になるのです。

よって、SPCに関わる不動産投資関連企業や金融機関にとっては、一般の会計事務所で税務を任せるのは不安があります。そこで、SPC専門の会計事務所が強く求められているのです。

SPC専門事務所に所属する税理士は、クライアントからの専門性の高い質問などに対し、的確に応えなければなりません。さらには、SPCの収益性がより高まるよう、節税対策や組織変更などのコンサルティングを行えるだけの実力も求められます。少なくとも税制についてはクライアントを上回るレベルの正確な知識を持っていなければ、頼りにされないでしょう。

つまり、SPC専門の会計事務所に税理士が転職しようとするならば、こうしたSPCに特有の税制や会計のしくみを事前に知っておかなければなりません。実践的な細かい知識は勤務後に身につきますので、SPCに関する全体の構造を俯瞰できるような基礎知識を頭に入れておきましょう。

もちろん、不動産投資事業の企業、あるいはSPCそのものでの勤務経験があれば大変有利ですが、そのような勤務経験のある税理士は人数が限られていますので、SPC業務について未経験の税理士も、SPC専門の会計事務所へ転職できるチャンスは十分にあります。

そのために、最先端の投資案件のひとつであるSPCの仕組みに強い関心や情熱を持つことや、「他の税理士とは違うキャリアを歩みたい」という強い思いを持って転職活動に臨む必要があるでしょう。

SPC業務の知識レベルを問う資格試験や免許などが用意されているわけではありませんので、専門書を読み込むなどの独学で十分です。

SPC専門の会計事務所では、採用面接の前後で、SPCに関する基礎知識を問うペーパーテストが課されることがあります。
このテストに及第点を採れるよう、特に、法人税の減免などのSPCに関する特殊な税制への理解を深めておく必要があります(SPC租税特別措置法など)し、金融商品取引法や資産流動化法など、SPCに関わる基本的な法体系も身につけておきましょう。

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SPC専門の会計事務所での待遇面

SPC専門の会計事務所に勤務する税理士は、他の一般的な会計事務所よりも、好待遇になる傾向があります。大手金融機関や不動産開発会社など、資本力の大きな企業がクライアントになることが多いことから、コンサルティングフィーなども高額をチャージでき、会計事務所にも資力に余裕がある場合が多いからです。

また、SPCに関する制度に精通する税理士は、まだ稀少であることから、高額の給与を保証してでも迎え入れたいという会計事務所側の狙いもあります。

よって、現在の待遇面で不満がある税理士は、SPC専門会計事務所への転職を検討するのもいいでしょう。

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SPC関連業務で求められるスキル

SPC関連業務で求められるスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。前述のとおり、まずSPCに関連する法令のしっかりとした理解は欠かすことができません。SPC関連業務は、会計制度や税制が一般の会社とくらべて込み入ったものとなるためです。理解する必要がある法令は、資産流動化法や租税特別措置法、金融商品取引法などとなります。

また、法令の理解にとどまらず、SPC関連業務の実際の取組みを学んでおく必要もあるでしょう。SPCの事例をひもとき、SPC関連業務がどのような流れで行われるのかを把握しておくことが重要です。

SPC関連業務では、外資系の金融機関やファンドなどとやり取りする機会も多くなります。ビジネス英語を駆使できる能力は必要だと考えておくのがよいでしょう。また、多くの関係者と交渉しながらSPC事業体を立ち上げていくことになるために、最適な体制を立案できる企画力や交渉の際のコミュニケーション能力なども求められることになるでしょう。

SPCの会計事務所には、不動産投資を専門としているところも多くあります。そのような事務所に転職しようと思う際には、不動産取引や業界についての基礎知識を学んでおくと有利になるでしょう。

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今後SPC専門の会計事務所はどうなる!?

SPCの税務や会計は特殊ですし、その一方で、仕訳が一般の事業会社よりも単純であることが多いので、それに慣れてしまうと、その後に一般的な会計事務所に転職して戻るキャリアを描くことが難しくなり、SPCの世界でしか生きられなくなると心配する声もあります。

しかし、日本経済を大きく動かすような事業体と関わることができ、海外に設立されるSPCの案件にも関わる場合があります。
一般的な企業からの需要を、供給が大きく上回り、飽和しつつあるともいわれる税理士業界において、SPC税務はまだ普及の途上です。よって、SPC税務を専門に行う会計事務所の将来性は大きいものといえます。

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まとめ

SPC専門の会計事務所に転職するには、税理士としての基礎スキルだけでなく、SPCに関する基礎知識も身につける必要があります。優秀な弁護士や司法書士と連携する機会が増えていくので、他分野の知識も深まるでしょう。そのため、かえって経済活動に対する視野が広がり、税理士としてスケールの大きな仕事に関われるメリットは、SPC会計事務所に勤務するにあたっての、かけがえのない魅力といえます。

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