資格試験と実務を両立させたい会計事務所・税務スタッフのキャリアパス

会計事務所業界は、税理士試験の合格状況と、税務会計の実務経験の両方のバランスが大変重要視される業界です。資格だけ揃っていても実務経験が薄い方は評価されない場合がありますし、その逆も然りです。要は、両方のバランスが重要ということになりますので、資格試験と実務を両立させたいというのは、しごく当然な流れかと思います。MS－Japanでは今まで、30年以上に渡り、会計事務所業界で働いている多くの方々から相談を受けて参りました。ここでは寄せられる相談件数が多いカテゴリーの一つである、「資格試験と実務を両立させたい」というご要望について言及していきます。

■大手系税理士法人は残業が多い傾向にある

Big4税理士法人や大手税理士法人～中堅税理士法人に入る為には、そもそもある程度の税理士試験科目合格数が必要です。そして、業務レベルは高く、社会的にも責任の重い企業の対応をしていること等から、総じて残業時間は多めの環境です。その為、せっかく名門税理士法人に入ることが出来たものの、どうしても残りの1～2科目に合格出来ないという理由から、勉強に専念したい、大学院に通いたいといった理由から退職してしまう人もいらっしゃいます。もし、大手系税理士法人にて働く場合は、残りの税理士試験に合格出来るイメージをある程度、具体的に持った状態で入所しないと、後々、後悔することになる場合もありますので、勉強との両立という側面からは注意が必要かも知れません。

■中規模会計事務所～個人会計事務所は残業が少な目である場合もある

残業時間という側面から見ていくと、環境的に落ち着いている傾向が強いのは、20名程度の中規模会計事務所から数名程度の個人会計事務所と言えるかも知れません。この層の会計事務所は、そこまで積極的な業務拡大をしていない場合も多く、良い意味で仕事量もマンパワーも現状維持をしていきたいという考えを持っている場合があり、繁忙期を除くと、それほど残業がないという事務所を探せる場合があります。残業時間がそもそも少ない環境であれば、会計事務所での実務経験を積みながら、税理士試験の勉強を継続することが出来ますので、どちらかというと勉強に比重を置きたい方には、最もお勧めの選択と言えるかも知れません。

■切磋琢磨する勉強仲間がいる事務所も良い

残業時間が多い、少ないという観点から述べて参りましたが、残業時間が少ない職場環境なのに、どうしても税理士試験に合格出来ないという方も少なくありません。なぜ、そのような状況に陥ってしまっているのかというと、働いている会計事務所の中で、「自分しか税理士試験の受験勉強をしていない」というケースが非常に多くあることが分かってきました。周囲の皆は、とっくの昔に税理士試験に合格することを諦めている、といったような場合、どれだけ高い意識を持っている方でも、足を引っ張られて士気が下がってしまう傾向にあるようです。一方で、自分と同様に税理士試験勉強を継続しているスタッフが複数名いる事務所は、試験合格率も高いようです。分からない部分を教え合ったり、試験合格のテクニック等を勉強仲間で共有することが出来たりする為です。

■資格取得をバックアップしてくれる事務所が良い

残業時間、勉強仲間といった観点で述べて参りましたが、そういったことを総合的にまとめると、所属する会計事務所が資格取得をバックアップしてくれる事務所か否かという点が、仕事と勉強の両立をしていく上で、最も重要と言えるかも知れません。日々、業務が忙しいことは実務能力を高めていく上ではむしろ必要な要素の一つと言えます。ですので、恒常的に残業がないということは、必ずしも良いとは言えないのかも知れません。仮に、繁忙期はとても忙しい事務所だったとしても、税理士試験が近づいてきた時には、試験勉強に時間を割くことを容認してくれる事務所であれば、非常にメリハリを感じることが出来ると思います。そういった環境が実現出来る要因には、所長先生が試験勉強を応援していることや、職員に試験受験者のサポートを厭わない性質の方が多く集まっていること等があげられます。そのような、事務所全体で税理士試験受験者を応援する風土が出来上がっている事務所からは、多くの合格者が輩出される傾向が強く、またその噂でポテンシャルの高い人材が集まり易いという好循環を実現させている場合が多いようです。

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