2024年01月24日

公認会計士とUSCPAの違いは?難易度や年収などを徹底比較!

管理部門・士業の転職

近年人気が高まってきている米国公認会計士、通称USCPA。なんとなく知ってはいるものの、公認会計士とは具体的にどのような違いがあるのかを実は知らない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

公認会計士の資格を取りたいけど、公認会計士とUSCPAのどちらがキャリア形成上有利に働くか、どちらの方が難しいのか、将来役に立つのはどちらかなど、公認会計士とUSCPAを徹底的に比較してみましょう。

USCPA(米国公認会計士)とは

USCPAとは、「U. S. Certified Public Accountant」の略で、日本語では「米国公認会計士」と訳されます。米国の資格ですが、日本でも受験することができます。
試験科目は、必須科目3科目+選択科目1科目の計4科目です。

必須科目(CORE) 3科目

FAR(Financial Accounting and Reporting)財務会計

企業会計の問題が8割、政府会計と非営利組織会計の問題が2割出題されます。仕訳などの基礎的な知識を問われる科目であり、全科目の基礎となります。

AUD(Auditing and Attestation)監査及び証明業務

監査や証明、レビュー業務などの問題が8割、職業倫理の問題が2割出題されます。計算問題は少なく、抽象的な問題が多い傾向にあるため、FARで基礎を固めて、財務諸表をしっかりと理解することが重要です。

REG(Taxation and Regulation)税法及び商法

連邦税法の問題が7割、ビジネス法と職業倫理が3割出題されます。米国連邦税法の理解が必須となるため、連邦税法に馴染みのない方であれば、暗記に労力を割く必要があります。

選択科目(Disciplines) 1科目

下記の3科目から1科目を選択します。

BAR(Business Analysis and Reporting)ビジネス分析及び報告

会計・ファイナンスを中心とした科目で、「財務諸表・財務情報を分析する力」、「営利企業に適用される会計と報告要件」、「州政府・地方公共団体に適用される財務会計と報告要件」といった知識が問われます。

ISC(Information Systems and Controls)情報システム及び統制

監査を中心とした、複雑なITの論点が多く問われる科目であり、「処理の完全性、可用性、セキュリティ、機密保持、プライバシーを含む情報システム」や「データの収集・保存・使用などのデータ管理」などの知識が問われます。

TCP(Tax Compliance and Planning)税法遵守及び税務計画

米国の個人税・法人税の複雑な論点を扱う科目で、「非日常的で複雑な取引に重点を置いた、個人・法人向けの米国連邦税のコンプライアンス」、「個人・法人向けの米国連邦税の計画」、「個人の財務計画」などの知識が問われます。

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USCPA(米国公認会計士)の試験詳細・難易度は高い?公認会計士との比較

公認会計士とUSCPAでは試験の難易度は違うのか、解説していきます。

公認会計士

公認会計士・監査会によると、令和4年の公認会計士試験の合格率は9.60%。国内最難関として名高い司法試験に次ぐ、超難関の試験と言えます。
公認会計士試験は、短答式と論文式に分かれており、それぞれ短答式試験は4科目、論文式試験は6科目あります。難易度が高いことに加え、受験科目も多いため、合格のためには学習量が必要と言われています。
もちろん人にもよりますが、合格までの勉強時間は3,000時間以上かかるとも言われており、1・2年で受かるケースばかりではありません。

また、公認会計士試験は社会人になって働きながら合格に至ることが容易ではありません。学生時代から予備校に通って勉強したり、社会人になってから目指す場合は、一回退職して勉強に励む方もいます。
これから公認会計士試験受験を検討している場合は、万遍なく学ぶための勉強計画を練って、合格までのビジョンを描きましょう。

公認会計士に登録するためには、3年以上の実務経験(試験合格の前後は問わず)を経たうえで、修了考査に合格する必要がございます。
合格後も公認会計士を名乗れるまでには時間を要しますので、今後の自身の理想の働き方を踏まえて、キャリアを考えていきましょう。

USCPA(米国公認会計士)

続いてUSCPAについてです。AICPA(米国公認会計士協会)によると、USCPAの2022年合格率は50%弱。(第3クウォーターまで。各セクションの単純平均であり、最終合格率とは異なります。)
日本の試験内容とは異なり、広く浅く知識を問う内容となっているようです。もちろん言葉の壁という問題もありますが、合格率だけを見ると日本の公認会計士よりも若干取得しやすそうな点がUSCPAの人気を高めている要因の一つとも言えるでしょう。

また、USCPAの場合、1科目ずつの受験も可能であり、科目合格には18か月の有効期限があります。つまり、一番最初に合格した科目の有効期限が残っているうちに残る3科目に合格することで、USCPA試験合格となるということです。
尚、18か月というのは2023年までの試験制度上の期限であり、2024年1月からUSCPA試験制度の変更に伴い、有効期限が延長されます。ニューヨーク、グアム、アラスカ州では30か月、ワシントン州では36か月の有効期限に延長が発表されています。
具体的な有効期限の期間や適用開始時期については各州によって対応が異なるため、ご自身が受験する州の試験概要をしっかりとチェックし、それぞれに合わせた学習プランを計画する必要があります。

結論、合格率や勉強量という観点でも、公認会計士の方がUSCPA(米国公認会計士)よりも、難易度が高いと言えます。

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公認会計士とUSCPA(米国公認会計士)の違い

まず2つの決定的な違いは、「日本で公認会計士として働けるか、働けないか」です。
公認会計士はご存知の通り日本の国家資格です。「公認会計士」として監査や会計業務にあたったり、自分で会計事務所を開業したりすることが可能です。

一方USCPAは、「米国公認会計士」として、取得したライセンスの州、もしくはMRA(国際相互承認協定)参加国で会計業務にあたることが可能です。
日本の公認会計士の試験では受験要件に制限を設けていませんが、USCPAの場合、米国の多くの州で「大学の学士号取得、また会計科目やビジネス科目などの単位を取得している者」に制限されています。

※USCPAの場合でも、国内において監査(補助)業務に従事することは可能ですが、採用枠数的にも少なく、また、監査調書にサインができないなど、制限が設けられます。

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公認会計士とUSCPA (米国公認会計士)メリットとデメリット

公認会計士を取得するメリットとデメリット

まず公認会計士の資格を取得するメリットしては、

①公認会計士だけが従事できる独占業務があること。
②資格試験の学習を通して幅広い知識を身に付けることができること。
③税理士登録もできること。
④監査法人の就職試験に合格しやすいこと。

一方、デメリットとしては、以下が考えられます。

①公認会計士試験が難関で、合格まで数年かかる場合もあること。
②公認会計士試験の合格には長時間の学習が必要で、学習と仕事との両立が困難であること。
③試験内容が金融庁の意向によって左右されること。
④弁護士など他の最難関試験よりも社会的認知度が低いこと。

USCPA(米国公認会計士)を取得するメリットとデメリット

次に、USCPAを取得するメリットとしては、

①公認会計士試験よりも取得が容易であること。
②税理士のような科目合格制度があるので、仕事をしながらでも取得を目指せること。
③資格試験の学習を通して英語力を向上できること。
④財務会計や管理会計、監査、税務などに関する基礎知識を一通り身に付けることができること。

一方、デメリットは以下の通りです。

①公認会計士のような独占業務が無いこと。
②資格試験の学習を通して、公認会計士ほど深い知識は身に付かないこと。
③日本の公認会計士に比べると知識が劣るとの認識が強く、資格を持っていても高く評価されない場合があること。
④受験代が高額であること。
⑤社会的な認知度が低いこと。

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公認会計士とUSCPA それぞれの活躍先

公認会計士とUSCPAで、共通の活躍先もありますが、それぞれどのような活躍先があるか具体的にみていきましょう。

公認会計士の就職・転職先

・監査法人
・税理士法人/会計事務所
・FAS系コンサルティングファーム
・会計系コンサルティングファーム
・中小~中堅監査法人
・IPO準備中ベンチャー企業のCFO、管理部長、監査役
・事業会社の経理・財務職、内部監査、経営企画 など

USCPAの就職・転職先

・監査法人内でパートナー目指す
・外資系企業の経理職
・コンサルティングファーム など

監査法人内でパートナーを目指す場合、実務面で実績を残すことは必須条件であるため、USCPA資格を取得し、転職を検討されている方は、早めにご転職活動を開始されることをおすすめいたします。

中小監査法人の場合は、国際系業務の取り扱いが少ない傾向にあるため、強みを最大限に活かすためには、準大手以上の監査法人を目指した方が良いでしょう。

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公認会計士とUSCPA(米国公認会計士) それぞれのキャリア

公認会計士がUSCPAよりも抜きんでている点で、長期勤務による「キャリアアップ」が挙げられます。
もちろん外資系企業などでも同じくキャリアアップは期待できますが、財務・会計のエキスパートとして長期勤務することでスキルアップが望め、所得もそれに準じてアップしていきます。

一方USCPAは海外勤務が挙げられるでしょう。ライセンス取得の州、もしくはMRA 参加国で「USCPA」として働くことが可能です。
しかしここには一つ問題点があります。海外のどんな企業でも働けるかというとそうでもなく、日系企業、もしくは日本の企業と取引のある企業での勤務が多い傾向にあります。
日本の影が全くない企業で日本人がUSCPAとして働くことは、国語の授業を日本語が母国語でない外人に教えてもらっているのと同じようなものだからです。
約41万人も存在すると言われるUSCPAの中、海外で日本人がUSCPAとして働くには「日本語にも精通している」という付加価値が必要になってきます。

USCPA有資格者である利点を挙げるならば、「IFRSに精通している」ということです。
日本国内でも以前(国際財務報告基準)より検討会議が繰り返し行われていますが、米国はすでにコンバージェンスが進みUSCPAの試験内にIFRSに関する出題が認められます。
世界的にIFRSのアドプションもしくはフルコンバージェンスが進む中、日本国内においてIFRSに対応できる人材は非常に頼もしいものと言えるでしょう。

いずれにせよ、公認会計士、USCPA共にライセンス取得後も常に国内の動向、世界情勢などアンテナを張り、勉強し続けることがキャリアアップの必要条件であることは間違いないでしょう。

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公認会計士とUSCPA(米国公認会計士)の年収比較

公認会計士とUSCPA(米国公認会計士)の年収比較

公認会計士

公認会計士のキャリアの選択肢として挙げられる監査法人とコンサル会社、事業会社について、それぞれ平均年収を紹介します。

大手監査法人の場合、スタッフ年収600万円前後、シニアスタッフ年収800万円前後、マネージャー年収1,000万円以上、シニアマネージャー年収1,200万円以上、パートナー年収1,500万円以上が目安です。
中堅クラスの監査法人の場合、スタッフ年収450~650万円、シニアスタッフ年収600~850万円、マネージャー年収1,000万円程度、パートナー年収1,500万円以上が年収目安です。

次に公認会計士がコンサル会社で活躍する場合、平均的には年収700~1,000万円程度が目安です。企業規模によっては年収1000~1500万円以上を獲得できているケースもあります。

最後に、公認会計士が事業会社で活躍する場合、経理・財務部門や経営企画室に配属になるケースが多いでしょう。
事業会社の年収は、企業ごとに大きく異なります。
役職がない場合は年収500万円台からスタートするポジションもあり、監査法人より下がるケースも多いです。
しかしながら、事業会社で役職を得た場合やベンチャー企業のCFOなど、事業会社でも年収1,000万円以上、もしくはSOなどによってはそれ以上のキャピタルゲインを得ることにつながるケースはありますので、年収水準を落としたくないという場合は、エージェントを活用して、高年収を紹介してもらいましょう。

【参考URL】
公認会計士の平均年収とは?年収3000万越えも!?年収データで疑問解決!

USCPA

USCPAのキャリアの選択肢として挙げられる、監査法人・外資系企業・コンサルティング会社・一般事業会社について、それぞれ平均年収を紹介します。

まず、大手監査法人の場合の役職ごとの年収目安は、スタッフ500~650万円、シニアスタッフ700~850万円、マネージャー900~1,100万円、シニアマネージャー1,200万円程度、パートナー1,500万円~、が年収目安です。
中堅クラスの監査法人の場合、スタッフ400~500万円、シニアスタッフ500~650万円、マネージャー800~1,000万円、パートナー1,300万円~、が年収目安でしょう。

次に外資系企業の場合、USCPAは経理部に配属され、初任給の目安は400万円程度です。マネージャークラスに昇進できれば年収1,000万円以上を得られるケースもあるでしょう。

コンサルティング会社におけるUSCPA取得者の平均年収は、500~800万円が見込まれます。こちらも公認会計士同様企業規模によっては年収800万円以上を獲得できているケースもあります。

最後に一般事業会社ですが、外資系企業同様経理部に配属されることになるでしょう。
しかし、一般事業会社では、USCPAの資格取得が年収アップに必ずしも結びつかないことが多く、資格手当がつく程度となるのが一般的でしょう。

※上記は残業代込みの年収を想定して記載しています。

【参考URL】
USCPA(米国公認会計士)の年収は?なぜUSCPAは評価されるのか

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公認会計士とUSCPA(米国公認会計士)のキャリアを考える際はエージェントを活用しましょう!

公認会計士もUSCPAも、資格を活かしてキャリア形成していくには、業界特化型のエージェントの活用がおすすめです。
MS-Japanでは、公認会計士をはじめとする士業分野や、USCPAの転職支援実績も多数あります。
ネットに出回っていない有益な情報や当社にしかない求人の紹介などができますので、まずはキャリアに関する情報収集をしたいという方も是非ご相談ください。

<参考>
公認会計士合格率(平成29 年公認会計士試験(論文式試験)の合格点及び合格率等について/公認会計士・監査審査会 2017年)
USCPA合格率(Uniform CPA Examination Passing Rates/AICPA 2017年)
AICPA意識調査(「米国公認会計士資格」についての意識調査を実施/AICPA 2013年)
国内企業数(総務省/事業所・企業統計調査 2006年)
GDP(GDP統計/内閣府 2017年)
平均所得(職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額/厚生労働省 2017年)
外資系企業所得(ITスキル標準に沿ったIT人材の給与構造に関する調査研究/株式会社富士総合研究所 平成16年)
USCPA登録者数(Ready for next 2016 Financials/AICPA)

この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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