公認会計士試験に合格!その後のキャリアパスは?
公認会計士は、難関国家資格の一つであることから、資格取得までの勉強時間が長くなってしまう傾向にあります。
合格までの勉強時間は2,500~3,500時間とも言われており、学生時代から勉強を始める方や大学卒業後に就職せずに専門学校や独学で勉強を続けて、試験に挑戦する方が大半です。
そのため、試験合格後のキャリアを明確に描けず、漠然と監査法人で働き始めてしまう方もいます。
この記事では、公認会計士試験に合格後にどのようなキャリアパスがあるのかについて、基本的を抑えつつ解説します。
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会計実務は未経験でも転職できる?
一般的に就職・転職において年齢は少なからず影響する傾向があります。
そのため、公認会計士試験に挑戦する方の中には、試験合格後に実務経験はもとより社会人経験が無いことに不安を抱く方もいます。
ただ、公認会計士になる多くの方が、大学卒業後に就職せずに専門学校や独学で試験を優先して、試験合格を目指すことから、公認会計士試験合格者についてはある程度、年齢に関して寛容にみられるケースがあります。
監査法人で働く
公認会計士試験合格者を最も積極的に受け入れているのが、上場企業を中心に監査を行う主体となる監査法人です。
また、公認会計士試験合格者の多くが最初の職場に選ぶのも監査法人です。
これは正式に公認会計士の資格を得るために必要な実務経験が積めること、実務補習や修了考査を受ける時間を作りやすいことが背景にあります。
そのような事情から公認会計士試験に合格した場合、その後公認会計士として働くためには、一般的に監査法人で働くことを第一に検討することになります。
監査法人側でもそういった事情は心得ているので、基本的には公認会計士試験合格さえしていれば、門前払いということはないはずです。
監査業務は厳格化が進んでいることから、その分だけ作業量も増えており、求人増の一因となっています。
非監査業務であるコンサルティング・アドバイザリー業務などは、実務経験を評価されて採用に至ることもありますから、別の業界で同職種での勤務経験がある場合は有利に働くでしょう。
公認会計士試験の受験者数も減少傾向にあり、監査法人で働く人のキャリアも以前よりも幅広いため、年齢だけで格差が生じるケースは少ないものと考えられます。
監査法人で働き続ける人と転職する人
大手監査法人を選んで働けば、年収面では申し分ない環境で働けるでしょう。
準大手ならびに中堅監査法人で働く場合であっても、将来のキャリア構築という観点から考えれば、決して悪い条件ではありません。
しかし、会計業界は繁忙期と閑散期の差が大きい業界の一つであり、時には深夜残業・休日出勤も想定しなければならない労働環境で働くケースがあります。
若いうちは良いですが、年齢や体力的に働き方を見直したいという方や、ライフイベントを期に仕事に対する価値観が変わる方もいます。
公認会計士試験合格者の多くが、まずは監査法人に就職するところまでしかキャリアをイメージできていないため、中には転職のタイミングを逃してしまいやむを得ず監査法人で働き続けたり、不利な条件での転職活動を余儀なくされていたりするケースもあります。
早い段階で監査法人で働き続ける選択肢と転職する選択肢を検討し、自分の理想のキャリアを作っていく準備が必要です。
情報収集は幅広く
上述の通り、監査法人で働く同僚の多くは、社会人経験が無く、公認会計士試験合格後は一斉に監査法人に就職しているケースが多いです。
また、監査法人内で昇進・昇格して活躍している管理職の先輩社員も、監査法人以外で働いたことが無い方が多い傾向があります。
そのため、監査法人の良さを知るには、先輩や同僚の話しは非常に参考になる一方で、その他の選択肢については自分で情報収集をする必要があります。
そこで役立つのが転職エージェントです。特に公認会計士のキャリアに詳しい専門特化型の転職エージェントは、監査法人からの転職にとどまらず、その先のキャリアパスについても助言をしてくれるはずです。
参考に実際に発生している求人を見せてもらうことで、具体的なイメージもできるのでぜひ活用してみましょう。
ただ、意図しないタイミングで転職を進めてくる採用企業側に傾倒した転職エージェントがいることには注意をしましょう。
焦って誤った選択をしないためにも、切羽詰まってから相談するのではなく、早めにキャリアに関する相談を始めるのが肝要です。
今すぐに転職しなくても面談を受けてくれる転職エージェントの利用をお勧めします。
監査法人以外の選択肢はあるのか?
公認会計士の資格を取得するためには、公認会計士試験の合格に加えて業務補助等の実務経験を3年以上積まなければなりません。
上述の通り最も効率よくその経験を積めるのは、監査法人ですが、会計事務所や上場企業でもその経験を積むことができます。
特に会計事務所は監査法人に次ぐ第二の選択肢と言えます。
また、会計事務所であれば、監査法人では経験を積みづらい会計実務の支援や税務申告に関連する業務を経験できるため、その後のキャリアに広がりを持たせることができます。
但し、全ての会計事務所が、公認会計士の資格取得を満たす実務経験を積めるわけではありません。
監査法人と会計事務所について、しっかりと比較をしつつ、どのような会計事務所であれば必要な経験が積めるのかを確認しておきましょう。
監査法人を選んだ場合
公認会計士登録に必要な実務経験「業務補助」とは、公認会計士やまたは監査法人において、監査証明業務を補助することが該当します。
よって、監査法人で3年以上働けば、基本的には登録に必要な実務経験を積むことができます。
また、3年間の実務補習に関する待遇も充実しており、監査法人で働く場合、実務補修所に通う時間を職場側で確保してくれますし、入所料や補習料も監査法人側が負担してくれます。
修了考査前に1ヶ月間の休みをくれるなど、人材育成の観点からは非常に恵まれています。
そのため、まずはとにかく公認会計士の資格を取得することを優先するのであれば、監査法人を選んだ方がメリットは大きいと言えます。
ただし、税務・会計にタッチする機会は少ないので、スキルを広げる機会は限られてきます。
監査主体でキャリアを構築する場合を除いては、公認会計士登録後の転職を想定しておく必要があるでしょう。
会計事務所を選んだ場合
会計事務所で働きながら公認会計士登録を目指す場合、所属している事務所の規模ではなく、資本金5億円以上のクライアントの業務を行っているかどうかが、実務経験を積む上でのポイントです。
具体的に従事すべき実務の内容としては、監査業務のほか、原価計算など財務分析に関する業務などが該当します。
監査業務の未経験者が、会計事務所を最初の就職先として選ぶ際の注意点としては、会計事務所で税務や単純な経理業務・記帳業務に携わったとしても、実務従事にカウントされない点です。
また、監査法人のように、実務補修所に関する厚遇も期待できないケースが多いでしょう。
会計士として、将来的に自分がどのような働き方をしたいのか、具体的にイメージできていないなら、まずは監査法人を目指した方が良いかもしれません。
逆に、会計事務所での勤務経験があるなど、独立も含め将来の展望を具体的に描いているなら、会計事務所を選んだ方が差別化をはかれるでしょう。
公認会計士は差別化が大事!差がつく経験・スキルを紹介
多くの公認会計士が、ファーストキャリアで監査法人を経験することから、公認会計士同士でのキャリアに差が無いケースが見受けられます。
そのため、同じ公認会計士の中でも頭一つ抜け出すためには、プラスαの経験が重要です。
ここでは、プラスになる経験・スキルの一例をご紹介しておきます。
語学力(英語力)
公認会計士の知識や監査法人の経験は、上場企業で評価されやすい傾向があります。
また上場企業の中でも、専門家を積極的に採用するのは、比較的規模が大きく国際展開をしている企業が多い傾向があります。
そのため、海外連結業務や英文会計といった業務にポテンシャルがあることを示すために、英語力を身に着けておくことはキャリアアップへ繋がる第一歩となります。
ファイナンス
M&Aや資金調達の支援を証券会社やファンドなど投資銀行で経験することは、会計専門職の公認会計士の資格・知識と非常に親和性が高いです。
また将来的にCFOなど事業会社の経営幹部を目指す場合、正しく会計処理が行えることに加えて、いかにして事業拡大を図る資金を得るのかが重要になります。
専門分野のスキル
中小企業診断士として経営診断を行った経験がある場合、監査だけでなくコンサルティングの観点からも、貢献できる人材として評価される可能性があります。
M&Aに関するコンサルティングなど、財務面以外での相談にも対応できると、経験できる業務の幅も広がります。
また、監査法人によっては、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)会社をグループ内に持っているところもあります。アドバイザリーの分野で働く上では、不動産鑑定士などの資格を持っていると、就転職では大きな強みとなります。
クライアントとのやり取りで役立つ資格
外資系企業・海外展開を行っている日系企業などのクライアントとは、日本国内の会計ルールを知っているだけでは、円滑に実務を進められない可能性があります。
USCPA(米国公認会計士)やBATIC(国際会計検定)などを取得しておくと、公認会計士としてのキャリア構築に役立つだけでなく、将来のクライアント確保にもつながります。
労務経験
事業会社等で、経理や労務に携わった経験がある人材は、監査や税務を進める上で補完的な役割を担うことができます。
社労士の資格を取得していると、より有利に就転職を進められるでしょう。
未経験歓迎!会計士の求人例
MS-Japanでは、バックオフィス部門・士業の求人を多数取り扱っております。
以下、未経験者歓迎の公認会計士求人につき、一部をご紹介します。
FAS系コンサルティングファーム 経営コンサルタント(事業再生、M&A等)
年収500万円 ~ 1,200万円
<業務内容>
・事業再生支援
・M&A支援
・事業承継
・事業・財務戦略策定
・経営・構造改革
東証プライム 建築・不動産業界 経理担当
400万円 ~ 630万円
<業務内容>
・月次および四半期決算業務、連結決算業務
・税務申告書の作成(対応可能な方)
・開示資料作成
・予算管理
・指定経理業務の精査・指導
東証プライム 金融業界 経営コンサルタント
年収500万円 ~ 1,000万円
<業務内容>
▼コンサルティング業務
・経営者報酬、ガバナンス等に関わるコンサルティング
・人事・組織に関する相談など
▼リサーチ・R&D業務
・コーポレート・ガバナンス、ヒューマンリソースに係るリサーチ業務・R&D業務
▼経営企画
・M&Aを含め当部署の経営企画
まとめ
難関資格である公認会計士は、資格取得まで時間がかかるため、どのような経緯があって監査法人に勤めるかは人それぞれです。
よって、公認会計士資格を取得してから、監査法人等に転職する場合、有資格者の採用に関して年齢が大きな格差を生むことはないものと考えてよいでしょう。
また、これまでの実務経験や取得した資格によって、監査業務だけでなく非監査業務にも活躍の場を広げられる可能性があります。
社会人経験・専門分野があることは、監査法人で働く上ではアドバンテージになるでしょう。
ただし、激務の職場は少なくありませんし、監査以外に幅広い業務を体験したいのであれば、会計事務所で働いた方がよいケースも考えられます。
働き方の面でミスマッチが生まれると、せっかく就職先が決まったのに、体調を崩して退職してしまうリスクもあります。
自分に合った職場を探すには、求人情報・企業の内情に精通している転職エージェントを活用するのが近道です。
転職エージェントのキャリアアドバイザーを介して、どのような社風なのか・必要とされる人材像はどのようなものなのかなど、懸念事項をあらかじめ確認した上で転職の戦略を練ることができます。
MS-Japanは、長年のノウハウと信頼を武器に、公認会計士の転職をサポートいたします。
資格取得後、心細い思いをしながら転職活動を行っている方は、お気軽にご相談ください。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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