2024年05月10日

事業承継コンサルティングとは?転職に有利になる資格や年収について解説

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事業承継は、会社や事業を次世代に引き継ぎ、存続させていく上で重要なプロセスです。
しかし、人や資産を動かす複雑な業務が必要となるため、専門家によるサポートが求められます。
その役割を担うのが「事業承継コンサルティング」という分野です。

この記事では、事業承継コンサルティングの具体的な業務や転職に有利な資格、年収相場などをクローズアップします。

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事業承継とは?

そもそも「事業承継」とは、経営者が自身の会社や事業を後継者に引き継ぐことです。
単に経営者の交代だけを意味するのでなく、人・有形資産・無形資産の3つの要素が引き継ぎの対象となります
後継者となる人に経営権が引き継がれます。有形資産は自社株や土地、建物、資金などが含まれ、無形資産は経営理念や企業価値、技術、ノウハウ、人脈などが該当します。

事業承継のスタイルは、親族内承継、社内承継、第三者承継の3つに分類されます。

親族内承継:経営者の子孫や親族による承継
※これまで日本の一般的な方法でしたが、少子化や後継者の意欲低下などの要因から減少傾向
社内承継:社内の役員や従業員など、内部からの後継者を見出す方法
第三者承継:外部の人材が経営を引き継ぐことを意味し、M&Aによる会社売却が主流

経営者の高齢化や後継者不足といった社会的・経済的な背景から、事業承継の重要性はますます高まっています
特に事業主の高齢化が顕著な中小企業では、適切な後継者を見つけることが近年の重要課題です。
事業の存続・発展のためにも、経営権や有形・無形資産をしっかりと引き継ぐプロセスが求められます。

その過程で重要な役割を果たすのが、「事業承継コンサルティング」という業務です。
事業承継の専門家が、経営者と後継者に対して適切な手続きやアドバイスを提供し、事業の安定的な継続を支援します。

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事業承継コンサルティングの業務内容

事業承継コンサルティングで行う業務は多岐にわたり、コンサルティングサービスを運営する事業者の特性によっても異なります。
ここでは、主な業務内容として次の4つを取り上げます。

  • ・事業承継の計画
  • ・資産承継対策の提案
  • ・M&Aでの承継支援
  • ・補助金の紹介と申請サポート

それぞれについて具体的に見ていきましょう。

事業承継の計画

事業承継を成功させるためには、長期的な視野に立った計画策定が不可欠です。
まず、検討課題として、親族内承継・社内承継・第三者承継のいずれかを決定する必要があります。後継者の選定と育成、自社株や事業用資産の承継方法を具体化することも課題の一環です。
さらに、事業承継後の経営戦略や組織のあり方についても方向性を決めていきます。
計画の策定にあたっては、事業承継コンサルティングの知識と経験を活かし、クライアントに適した実効性に着眼点を置きます

資産承継対策の提案

後継者選びだけでなく、自社株や土地、建物などの資産の引き継ぎに関しても提案を行います。特に、自社株の承継では贈与税や相続税の問題が発生するため、納税資金の確保が課題です。
税務の知識に精通した事業承継コンサルタントであれば、税金負担を最小限に抑える提案ができます。

一方、承継後の経営基盤を安定させるためには、株式を後継者に集中させることが重要ポイントです。
その際、法律に詳しい事業承継コンサルタントに相談することで、株式分散のリスクに対応した提案に期待できます。

M&Aでの承継支援

後継者不在の中小企業が増加する昨今、M&Aを活用した事業承継が注目されています。
しかし、M&Aによる承継は複雑で難易度が高い業務です。事業承継コンサルティングのノウハウと強いネットワークを持つコンサルティングファーム(コンサルタント)であれば、承継先のマッチングやデューデリジェンスの手続きなど、M&A全般の実務面を通じて円滑な事業承継を支援できるでしょう。

補助金の紹介と申請サポート

事業承継に取り組む企業に向けて、国が実施するさまざまな支援策があります。
補助金や税制などの支援策を活用することで事業承継にかかるコスト面の負担が軽減できます
事業承継コンサルティングの業務には、補助金や税制の紹介から、申請の準備・手続きのサポートまで含まれるのです。

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事業承継コンサルティングの転職に有利な資格

事業承継コンサルティングの転職に有利な資格専門的な知識と能力が求められる事業承継コンサルティングの分野では、民間の資格が役立ちます。
続いて、事業承継コンサルティングへの転職で有利となる資格をご紹介します。

事業承継士

事業承継士は、一般社団法人事業承継協会が認定する民間資格です。
事業承継に関する包括的な知識を持ち、相続計画や企業再編などあらゆる側面に対応できる能力を証明します
法務、財務、税務にかかわる複雑な課題に対しても、弁護士や税理士と連携しながら解決策を導き出すことが強みです。
事業承継をトータルにコーディネートするスキルが身につく資格と言えます。

事業承継プランナー

事業承継プランナーも、一般社団法人事業承継協会が認定する資格です。
有資格者は、事業承継の課題に直面する経営者の最初の相談窓口(ファーストコンタクター)として機能します。
経営者の悩みに寄り添い、丁寧なヒアリングを通じて必要な専門家につなぎ、解決を支援する役割を担います。
事業承継支援の初期対応が不足している中、経営者が安心して相談できる機会を提供する存在です。

事業承継アドバイザー

一般社団法人金融検定協会による認定資格です。
中小企業における事業承継の基礎知識から、自社株承継や事業承継M&Aについての専門知識まで幅広く問われます。
金融と投資の観点から事業承継を支援し、資金調達や資産の管理方法に関する助言も提供できる資格です。
有資格者は銀行員など金融機関で働く人が多く、事業承継アドバイザーであることが中小企業経営者の相談役としての信頼度を高めます。

事業承継・M&Aエキスパート

事業承継・M&Aエキスパートは、日本M&Aセンターと金融財政事情研究会が共同運営しています。
事業承継におけるM&Aに特化した実務家として、後継者不足の問題に対処するための解決策を導くことができる資格です。
企業価値の評価やデューデリジェンス、交渉、契約の締結など、M&A全般にわたる知識・スキルが問われます。事業承継とM&Aに関する基礎的な試験に合格すると、M&Aシニアエキスパートへのステップアップを目指せるでしょう。

相続手続カウンセラー

相続手続カウンセラーは、一般社団法人相続手続カウンセラー協会が認定する資格です。
相続に関する手続きやトラブル対応など、相続開始後の実務に特化したプロセスが問われます相続問題は感情的な問題を伴うケースが多いため、相続手続カウンセラーが相続人同士の間に入り、円滑な相続をサポートします。
事業の相続や資産の移転に関する相談など、事業承継を検討する際には、相続手続カウンセラーのアドバイスが役立つでしょう。

ここでご紹介した資格を持つことで、事業承継に関する幅広いニーズに対応できるため、転職活動において有力なアピール要素になるでしょう。

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事業承継コンサルティング担当者の年収相場

事業承継コンサルティング担当者の年収相場は、業界や組織の性質によって大きく異なります
以下に、会計事務所・税理士法人、コンサルティングファームを代表例として、それぞれの年収相場を見てみましょう。

会計事務所・税理士法人

会計事務所と税理士法人では、事業承継コンサルティングの専門知識や経験を持つ専門家が重要な役割を果たします。
業務内容や事業所の規模によって変動しますが、目安としては600万円~800万円程度が想定されます。
大手法人や専門特化した部門をもっているような会計事務所・税理士法人では、より高い年収が見込めるでしょう。
事業承継業務のほかにも会計や税務の専門知識を求められるため、それらのスキルと経験に応じた年収も考えられます。

コンサルティングファーム

コンサルティングを専門とする組織は、比較的高い年収が期待できます。
事業承継コンサルティングは、他のコンサルティングサービスと同様に高度な専門知識とスキルが求められます。
また、事業承継は、戦略立案やM&Aなど幅広い業務に携わるため、給与に反映されやすくなる傾向です。
目安としては700万〜800万円程度が相場ですが、有名ファームやトップクラスの専門家なら年収1000万円を超えることも珍しくありません
ボーナスやインセンティブ制度が充実しているファームも多く、その場合の総年収はさらに高くなるでしょう。

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まとめ

事業承継コンサルティングの業務範囲は幅広く、円滑に進めるための計画策定から資産の承継対策、M&Aのサポート、補助金の活用までさまざまです。
これらを実行するための専門知識やスキルは、資格を持つことでより強固なものとなり、転職でも有利に働くでしょう。
事業承継コンサルタントの年収相場は、勤務する組織やポジションによって異なりますが、スキルと経験を活かして高年収を目指すことも可能です。

経営者の課題を解決に導き、企業の存続と発展に貢献する仕事は、非常に社会貢献性も高く価値あるものです。
是非前向きに検討されてみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

濵田 翔平

大学卒業後、大手信用金庫に入庫。個人・法人営業及びビジネスマッチング等に従事。
MS-Japanに入社後は、横浜支社の立ち上げに加え、経理・人事・法務・経営企画・公認会計士・税理士等、幅広い職種のマッチングに従事。
2021年より東京本社へ異動後は、公認会計士・税理士・弁護士・社労士等の士業を専門とするJ事業部の管理職を務める傍らプレイヤーとしても従事。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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