2024年04月22日

税理士に英語力は必要?英語ができるとキャリアアップ・年収アップにつながるのか

管理部門・士業の転職

税理士といえば、お金や税金の計算、数字の調整や管理が得意な専門家であり、その点が顧問先に重宝されてきました。 しかし、近頃ではBig4や大手グローバルファーム以外の中小税理士事務所でも税理士に英語力を求める声があがってきております。実際に税理士が英語力を身につけると、働き場の選択肢も広がるといわれますが、どのような背景があるのでしょう。

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なぜ税理士のキャリアアップにも英語が必要なのか

納税の義務が憲法で定められている日本では、個人も法人も、納税と無縁ではいられませんので、税理士に対する世間からの需要や期待はとても大きいものがあります。

税理士の業務は、納税に関する申請代行や、その前提としての記帳代行や出納管理・決算業務、そして税務(節税含む)に関するコンサルティングなどが主流です。しかし、そうした税理士の独占業務はすでにコモディティ化しており、それだけは価値を見出されにくくなっています。地方都市であればまだ一般的な税理士も頼りにされるでしょうが、税理士が集中している首都圏や大阪、名古屋周辺では、独占業務を正確にこなすだけの税理士では、他事務所との差別化ができないため、新規クライアントの獲得が難しく、事務所の経営も厳しくなりやすいでしょう。

一方で、需要に対して供給が決定的に足りないとされるのが、国際税務のスキルが高い税理士です。国境を越えて海外案件に積極的に関われたり、実際に海外拠点に赴任したりできる税理士が不足しているという実態があるためです。

需要に対して供給が不足しているからこそ、英語のできる税理士に対しては好待遇で迎え入れられることが多いのです

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税理士が英語力を活かせる環境

税理士法人・会計事務所において、税理士が英語力を活かせるフィールドは2つに大別できます。1つ目はBig4をはじめとする大手ファーム、2つ目は中小・中堅ファームです。

それぞれの環境や概要について詳しく説明します。

大手ファーム

「Big4」と呼ばれる税理士法人を中心とした大手では、国際税務に関する業務が多岐にわたって存在します。そのため、英語が得意な税理士はその能力を活かせる場面も多いでしょう。

世界的に展開する会計事務所のBig4として、PwC・デロイト・KPMG・EY(順不同)があり、Big4の税務関連ファームとして、以下があります。

  • ●PwC税理士法人
  • ●デロイト トーマツ税理士法人
  • ●KPMG税理士法人
  • ●EY税理士法人

Big4を中心とする大手の税理士法人の関連企業には、世界展開するグローバル企業や外資系中小企業なども多く含まれています。各企業とコミュニケーションを取る際や資料の読解などの際には英語が用いられることも少なくありません。円滑に業務を遂行するためには、英会話能力や英文読解力などが必要不可欠でしょう。

例えば、関連する外国企業が日本への進出を検討している場合には、日本国内の税制の仕組みや具体的な税額などを英語で説明することになります。

また、海外企業との関係はないものの、日本の大企業をクライアントにもつ大手ファームに務める税理士や、国内大手企業の経理部などに勤務している組織内税理士は国際税務に携わる機会が多いため、英語力があれば活躍できるチャンスは多々あります。たとえばクライアントもしくは勤務先の企業がグローバル進出する場合には、日本語が通じない拠点に赴任することもあるでしょう。たとえ国内で仕事をする場合でも、IFRS(国際財務報告基準)が導入されていれば、最新情勢を収集する場面などで英語力が求められるのです。

中小・中堅ファーム

中小・中堅規模のファームでも、外資系企業をクライアントにもっている場合は英語力を活かせる場面が多くあります。具体的には、外資系企業の日本法人(または日本に駐在している社員)を対象に次の2つのサービスを中心に提供することになるでしょう。

1つ目が「アウトソーシングサービス」です。日本支社や支店に、管理部門が置かれていない場合、日々の記帳、月次・年次決算、給与計算、社会保険手続き、銀行口座管理などを代行します。

2つ目が「レポーティング業務」です。日本支社や支店において、どのような業績が上げられたのかを、本国に対して報告します。そのために月次決算の内容などを本国の言語に翻訳したり、現地の会計基準に修正したりした資料を作成します。場合によっては、テレビ電話などを使用して、本国の上席とミーティングを行うこともあるでしょう。

また、外資系企業のクライアントから日本法人における納税処理や決算対応を任されることもあります。その際、本社(本国)の経営者に対して税務コンサルティングを英語でこなせるだけの会話力があれば、十分に活躍できます。加えてタックスヘイブン税制(租税回避)などに関する知識や事務処理技能を身につけていれば、外資系企業の本国経営者からも頼りにされることでしょう。

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大手ファームの業務内容

Big4などの大手ファームに務める税理士は、国際税務、移転価格コンサルティング業務、国際資産税業務などの際に、専門用語を交えながら英語でコミュニケーションを取る必要があります。

国際税務

企業が国際的な取引を行う場合、そこで発生した利益は日本で課税されるのか、それとも取引相手の国の税制度に従って徴収されるのかというのは非常に大きな問題です。 税率が高い国の税制度の下で課税されてしまった場合や、双方の国から二重課税されてしまった場合は、せっかく国際取引で利益を上げても税引後の利益が小さくなります。 企業としては、そのような事態は極力避けたいところでしょう。そこで、国際取引における税務を担当し、企業の利益を守る「国際税務」という仕事が必要になります。国際税務を担当するには、海外の税制度に関する知識と高い英語力が要求されます。

移転価格コンサルティング

移転価格とは、多国籍企業における同一グループ企業間(親会社と子会社あるいは子会社同士)で行った国際取引の価格のことです。

たとえば、A国にある子会社が30万円で製造した製品をB国の子会社に輸出し、その製品をB国の子会社が国内において50万円で販売しているケースを考えてみます。 このとき、移転価格を40万円にすると、A国とB国の子会社が得る課税対象となる利益はそれぞれ10万円です。

ところが移転価格を45万円にすると、課税対象となる利益はA国の子会社が15万円、B国の子会社が5万円となり、B国の子会社の利益の方が少なくなります。 企業がこのような形で移転価格に偏りをもたせるのは、B国の方が利益に対する税率が高い場合です。税率の低いA国で多くの利益を上げるように価格調整すれば、グループ全体で負担する納税額が低くなります。

当然、こうした移転価格の設定をB国の税務当局は見逃しません。多国籍企業が税金逃れのために不当に移転価格を設定したとみなし、別途課税を行います。そうなるとグループ企業全体でみた場合、A国からもB国からも高額課税されることになるのです。

移転価格コンサルティングは、このような課税リスクを避けるため、適正な移転価格はいくらなのかについて経営トップ層に助言します。このとき税理士は、各国の製造部門や販売部門の担当者と会ってヒアリングを行う必要があるため、英語力が不可欠なのです。

国際資産税業務

国際資産税業務とは、資産運用がグローバル化する中、海外の資産を運用する際に発生する税務のことです。海外に不動産や口座を持っている場合、税負担が発生します。その際、海外の税制事情に精通した税理士が、どのくらいの税額を納める必要があるのかにいて計算しなければなりません。 税理士には日本以外の国の税制度に対する高度な知識をもつと同時に、高い英語スキルが求められます

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中小・中堅ファームの業務内容

中小・中堅ファームの業務内容外資系企業のクライアントをもつ中小・中堅ファームでは、英語力のある税理士が以下のような業務を行います。

会計帳簿

記帳代行業務や月次決算書の作成、本社へのレポーティングなどを行います。会計帳簿と合わせて、四半期もしくは半期ごとに中間決算書ならびに年次決算書の作成および報告を担当することもあります。

税務顧問

法人税、住民税、事業税、消費税、償却資産税などの各種申告をはじめとして、税に関する総合的なコンサルティングを行います。場合によっては、外国人駐在員の所得税申告書の作成などにも対応します。

決済申告

税に関する法律には各国で違いがあります。 減価償却の期間の違いはその一例でしょう。本国での会計基準を踏まえながら、日本の税法にも適した決済申告書を作成します。また、決済に係る株主総会の開催や議事録作成などにおいても、調整を行います。

給与計算

従業員の月次の給与計算および年末調整などを担当します。本国からの出向者については、税金のほか、国外払い給与、確定申告など複雑な処理にも対応する必要があります。クライアントの要望によっては、各従業員への給与明細書の発送や銀行口座への振込手続、社会保険・労務保険に関する諸手続きなどを行うこともあるでしょう。

支払い代行

対応に時間の取られる毎月の給与振込や経費の支払い、振込証明書の作成などを代行します。クライアントの手間を減らし、本業に集中してもらえます。

上記の業務以外にも、外資系企業が日本に進出する際には広く法人設立のサポート業務を行うケースも多々あります。

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英語ができる税理士は年収が高い!

英語のスキルが高い税理士は、そうでない税理士と比べても年収は上がりやすい傾向があります。英語能力だけでなく、他国の税制について直接法律の条文を読み取って理解したり、日本の税制を外国人経営者に対して説明したりする力を身につけておくとより重宝されます。

一般的な税理士であれば、日本の税制についてわざわざ税法の条文を紐解いて調べる機会は少ないかもしれません。しかし、海外の経営者に税制を説明するときには具体的な法律の条文まで紹介を求められることがあります

もっとも、税理士が英語能力を求められるとしても、その水準はさまざまです。英語で書かれた領収書の費目さえ読み取れれば十分な場合もあれば、高度な経済用語も含む高い英会話能力が必要となる場合もあります。

いずれにせよ、英語ができる税理士は日本において貴重な存在であり、年収は上がりやすい傾向にあります。派遣など非常勤の税理士であっても、手厚い待遇で迎え入れられるほどです。

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まとめ

「税理士に英語力は不要」と考えている方も多いかもしれませんが、キャリアアップを目指す上で英語力は非常に重要なスキルです。とくに大手ファームに在籍あるいは転職を目指している方、外資系企業のクライアントをもつ会計事務所にお勤めの方は、活躍のチャンスを広げるために必須といってもよいかもしれません。

また、英語の勉強を通して海外の税制度などに詳しくなれれば、税理士としてのスキルアップも狙えます

転職を含めたキャリアアップのためにも、ぜひ英語力を身につけましょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

篠原 義樹

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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