2023年08月30日

社会人が働きながら公認会計士試験は無謀?社会人受験のメリットやコツをご紹介

管理部門・士業の転職

社会に出て事務や営業などを経験してから、公認会計士などの資格を活かす専門職に興味をもつようになる方も少なくありません。

この記事では、社会人として働きながら公認会計士を目指す方法を徹底解説します。

会計士試験の難易度は?

公認会計士になることは、弁護士になることと同じくらい難しいといわれています。
しかも合格に必要な勉強時間が多いことでも知られており、働きながら合格するのはかなり困難です。

では具体的にはどの程度の難易度なのか、三つの視点から考察してみましょう。

公認会計士試験の難易度

公認会計士試験は以下のように、大きく二つに分けられています。

・短答式試験(財務会計論、管理会計論、監査論、企業法) :合計500点
・論文式試験(会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目):合計700点

試験内容は短答式試験のほうが難易度は高いといわれ、さらに税理士試験のような科目合格制度がありません。
1回の試験で4科目すべてに合格できない場合、次回の試験でも4科目すべてを受けなおす必要があるのです。

一方の論文式試験では、科目別合格が認められています。試験回数は短答式試験が年2回で、論文式試験は年1回です。
そして難易度の基準になる合格率は、2022年度が7.7%ですから、いかに狭き門なのかがわかるでしょう。

試験合格に必要な勉強時間

公認会計士試験は学習範囲が非常に広く、専門性が非常に高く、試験問題数が非常に多いという、超難関試験の要素をすべて兼ね備えています。しかも科目数が多いため、同時に複数の科目を深く掘り下げて勉強する必要があるのです。

合格に必要な勉強時間は4,000時間以上といわれ、一般的には2年間程度のスケジュールを立てて合格を目指します。
この点では十分な勉強時間が作れる学生に有利で、働きながらの合格はかなり不利だといえるでしょう。

社会人が独学で合格は可能か?独学の注意点

公認会計士試験の難易度から考えると、社会人が働きながら独学で合格することはかなり難しいといえます。
合格までのノウハウをもった予備校などで、学習計画に沿って準備を進めたほうが、より効率的に学習ができる可能性があります。

しかし仕事の都合などから、どうしても独学しか選択肢がない場合は、ある程度の長期戦になることを覚悟し、実践的な学習計画を立ててそれに沿って勉強することが大切です。

公認会計士試験は、難関大学の受験と似ている部分があります。
まずゴールまでの大まかなスケジュールを立て、それを月間スケジュールや週間スケジュールにまで細分化します。
さらに必要な学習内容をリストアップして、いつまでに何をどこまで仕上げるのか明確にします。

また効率的な学習のためには、頻出範囲を中心に優先順位を決めることも重要です。
大学受験と同様に過去問を活用して、出題傾向を把握してから勉強を進めれば、さらに効率化できるかもしれません。


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働きながら公認会計士試験に合格できるのか?

2022年度の公認会計士試験合格者を職業別に分類すると、合格者の構成比は以下のようになります。

学生 58.2%
無職 18.6%
専修学校・各種学校受講生 7.9%
会社員 6.5%
会計事務所員 4.9%
その他社会人 1.8%
その他 2.0%

「会社員」と「会計事務所員」、さらに「その他社会人」を合計すると13.2%になりますが、「無職」や「専修学校・各種学校受講生」の中にも、アルバイトなどの経験者が含まれている可能性があります。

合格者を年齢別で見てみると、25歳未満の割合が65.2%に対して、25歳以上の割合は34.8%です。
こうした数字から推測すれば、実際にはおよそ20~30%の受験者が、働きながら公認会計士試験に合格したと考えられるでしょう。

中にはキャリアチェンジの一環として公認会計士試験に挑戦し、合格後に現場で活躍している人もいます。
社会人となってからあらためて公認会計士を目指すのは、もちろん簡単なことではありません。
しかし、事実としてキャリアアップをする手段としては、非常に有効だと言えるでしょう。

働きながら公認会計士の資格取得を目指すコツ

現在の仕事を続けながら資格取得を目指す方もいることでしょう。
そこで、働きながら合格を目指すための五つのポイントをご紹介します。

①公認会計士試験のカリキュラム、試験内容、出題傾向をしっかり理解する

仕事と同じく、目標達成の道のりをしっかりと理解してから着手しましょう。
公認会計士試験は出題範囲が広く、難易度も高い試験です。
試験自体も短答式と論文式に分かれており、短答式試験は素点で総点数の70%(500点満点中350点)を基準に、論文式は偏差値方式で算出され、52.0%の得点比率(偏差値52)を基準として、その年ごとに合格基準が定められるなど複雑です。事前の情報収集や分析が重要になります。

②効率を重視して方針を決める

前項で集めた情報と自分の現状をふまえて、無理や無駄のない学習方法を考えましょう。
スタート(現状)からゴール(合格)までに、いつ、何を、どのように進めるかを具体的にイメージしておきましょう。

③何よりもまず継続すること

働きながら公認会計士試験に挑戦するうえで最も重要なのが、継続することです。
正社員でも、非正規雇用でも働いていれば忙しかったり、疲れてしまったり、計画どおりに勉強を進められないことがあって当然です。そんなときでも継続することを最優先に考えましょう。

④暗記ではなく、理解することを重視する

試験勉強というと丸暗記をする方もいらっしゃいますが、公認会計士試験では論文式試験もあり、応用を利かせる力が求められます。理解することを重視して勉強しましょう。

⑤試験時期から逆算して対策する

限られた時間の中での試験対策で、試験直前で重要になるのが“選択と集中”です。
すべての出題範囲を網羅できなかったからといって合格できないとは限りません。
出題傾向などを参考に、残された時間でベストを尽くせるよう、場合によっては取捨選択が必要です。


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働きながら取得するメリット

公認会計士を目指す際、働きながら勉強し、取得することの最大のメリットは、一定の収入を確保できるという点です。
勉強時間を確保するために残業時間などを極力減らす必要もあるので、勉強をしない場合に比べると収入は下がることも考えられます。

しかし、正社員として働きながらであれば、もし途中で受験を諦めるような事態になっても、あらためて就職活動などをする必要がありません。
公認会計士試験は難関です。合格できなかった場合のことを想定しておくことは、合理的な判断ともいえます。

また、公認会計士試験の勉強には費用が必要です。専門学校に通った場合、授業料として数十万円かかります。
もし退職して勉強に集中する場合、収入のあてが無くなるため、事前に相応の貯金が必要です。
働きながら取得を目指せば収入源は確保できるので、試験に向けての貯金を蓄えることなく勉強を開始できます。

さらに、社会人として経験を積んでおくことが、公認会計士試験合格後に役立つことも多いです。
たとえば、銀行に勤務し、そこで企業の経営状況に関わる経験を積めていれば、公認会計士として就職先を探す場合に活かせる場合があります。
あるいは企業の経理部門での勤務経験があれば、公認会計士として顧客である企業側と話をする際、相手がどのようなことを考えているのか推測しやすくなるでしょう。


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監査トレーニーとして働くという選択も!

監査トレーニーとして 働くという選択も!

働きながら公認会計士を目指す皆さんのために、監査トレーニーという制度を設けている監査法人があります。どのような制度なのか、ここで概要を紹介しましょう。

監査トレーニーとは?

監査トレーニーは大手を中心に、一部の監査法人が採用している制度です。
この制度では実際に監査法人に入社して、公認会計士の指導を受けながらその補助員として働きます。
実務経験を積みながら会計の知識を得ることができ、収入面での不安もなく試験勉強が進められるという画期的な制度で、現在徐々に求人数も増えています。

監査トレーニーになるには?

監査の補助業務とはいえ、監査トレーニーになるには、入社の条件を満たさなければなりません。
公認会計士を目指すことは大前提であり、「短答式試験合格者」や「USCPA科目合格者」を条件にしている求人もあります。
ほかに実務経験を条件にしている求人もあるため、自分に合った職場を探すためには、転職エージェントなどを活用するとよいでしょう。

監査トレーニーのメリット・デメリット

何よりも、仕事そのものが試験勉強になるという点が、監査トレーニーとして働く最大のメリットです。
それに加えて自分で勉強もできるので、丸ごと1日が試験勉強になるのです。
しかも収入の心配をする必要もなく、監査法人によっては予備校の学費を補助してくれるケースもあります。
公認会計士試験に合格してから、あらためて就職先を探す必要がないことも、大きなメリットでしょう。
ただし監査トレーニーは競争率が高く、採用に至るまでが難しいという点はデメリットといえるかもしれません。

監査トレーニーの年収

正社員として監査トレーニーになった場合、年収の目安は300~350万円程度といわれています。
そこに各種の補助がプラスされる場合もあります。
ただし監査法人により条件が異なるため、求人情報で詳細を確認するとよいでしょう。


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何歳までに合格する必要がある?

社会人を経験してから公認会計士を目指す場合、学生と比べてスタートが遅れます。つまり年齢が問題になるのです。
なるべく若い年齢で公認会計士試験に合格したいところですが、年齢に上限はあるのでしょうか。

公認会計士試験合格者の平均年齢

2022年度の公認会計士試験合格者の平均年齢は24.4歳です。
年齢別で最も合格者が多かったのは20歳以上25歳未満で、全体の63.8%を占めています。
さらに全合格者の88.3%が30歳未満であることを考えると、それ以上の年齢で合格することが非常に難しいことがわかります。

大手監査法人に入るには何歳までに合格すべきか

試験合格後の就職に関しても、年齢が若いほうが有利です。
ただし社会人としての職歴と、前職での経験なども考慮されるため、何歳までが就職の条件になるのかは一概に決められません。
あくまでも目安ですが、大手監査法人の場合、職歴がない場合は30歳まで、職歴がある場合でも40歳までには試験に合格する必要があるでしょう。

大手監査法人以外の場合

大手監査法人以外では、中小監査法人や公認会計士事務所、または一般企業などが就職先の候補になりますが、年齢については求人条件によりかなりの幅があります。
世間の相場では、希望の職場に就職できるのは40歳程度までです。
しかし公認会計士は専門職であるため、人材が不足している職場なら、40歳を超えても就職するチャンスはあるといえるでしょう。


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公認会計士とシナジーが期待できる職種

社会人経験者は、ほかの職種での経験を公認会計士の仕事に活かせる可能性があります。
その反対に、公認会計士のキャリアをほかの職種で活用できる場合もあります。

ここでは公認会計士とのシナジー効果が期待できる職種を五つ紹介します。

経理

経理は公認会計士と最も親和性が高い職種の一つです。そのため監査法人から転職して、一般企業の経理部門で活躍する人も数多くいます。
公認会計士は会計のスペシャリストとして扱われるため、企業規模を問わずに求人が多く、就職してからもほかの業務より重要なポジションを任される可能性があります。

内部監査

公認会計士がクライアント企業の財務状況などを調査するのが、いわゆる外部監査ですが、それに対して企業内の担当者が調査を行うことを内部監査といいます。
現在大企業では内部監査の設置が義務づけられ、それ以外の企業でも経営透明化の一環として内部監査が強化されています。
財務や会計の専門家である公認会計士にとって、内部監査もシナジー効果の高い職種です。

経営企画

企業の経営戦略を財務面から支えることは、公認会計士にとって大きなキャリアアップのチャンスです。
経営企画のポジションでは、企業の予算やM&Aの準備など、経営上重要な業務を担当できる可能性があります。
ただし経営に直結する業務なので、会計よりも財務に関するスキルや知識があったほうが有利かもしれません。

ベンチャーCFO(候補)

ベンチャー企業の魅力は、短期間で重要なポストに就けるチャンスがあることです。
公認会計士の場合は、CFO(最高財務責任者)を目指せる可能性があります。
経営に直接参加できるだけでなく、経営が軌道に乗れば高額な報酬を得ることもできます。
また財務や会計以外にも、経営全般におよぶキャリアを積めるため、転職にも有利になるでしょう。

戦略コンサル

クライアント企業の経営層に対して、事業計画や新規事業の立案などを提案し、さらに経営相談まで担当するのが戦略コンサルという仕事です。
コンサルティングの一種ですが、業務内容は会計だけに限らず、幅広い知識と戦略的な判断が求められます。
かなりの激務といわれているため、転職するならなるべく若いうちに検討すべきでしょう。


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まとめ

毎年の合格率を見ても、公認会計士試験の合格者は全体の10%程度であり、超難関国立大学合格と同レベルの狭き門です。
しかも社会人として働きながら合格を目指すことは、さらに難易度が高くなると言わざるを得ません。

しかし、この記事で紹介したように、監査トレーニーとして仕事と勉強を両立させるという選択肢もあります。
監査トレーニーを検討する場合は、勉強に支障をきたさないように、転職エージェントなどを利用して、求人先の情報を精査することをおすすめします。

それ以外の仕事に就きながら合格を目指す場合は、とにかく計画的に勉強を進めることが大切です。
合格までのスケジュールを管理しながら、仕事でペースを崩さないようにして、合格というゴールを目指してください。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

篠原 義樹

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。

会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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