「成果主義」

第1回2004/10/07

「成果主義」


「成果主義」

日本の高度成長を支えてきたのは、勤続年数や年齢による評価、
すなわち年功序列主義でした。
その後、潜在能力や顕在化能力を評価する能力主義、
実績を評価する実績主義などを経て1990年代に入り、不況が深刻になり始めると、
好景気であったアメリカの会社で採用されている人事管理システムの「成果主義」が、
日本の会社でも進んだ人事管理システムとして導入され始めました。
現在はほとんどの企業が何らかの成果主義を導入していますが、
約80%近くの企業において、成果主義に何らかの問題があるとの調査結果も出ており、
富士通の人事制度を題材とした本、
『内側から見た富士通(成果主義の崩壊)』も話題となっています。
今回は、その成果主義に関するポイントを整理してみました。

1.「成果主義」の定義

成果主義とは、業務遂行の「過程」と「結果」に基づき評価を行うという考え方で、
企業の人事考課(評価)上では、
個人の業務の成果(過程と結果)を昇給や昇進の基準とするものです。
従来、日本において主流であった職能主義は、
一定の職務を遂行できる能力を基準として人事考課を行うという点で、
成果主義とは大きな違いがあります。

2.成果主義のメリット

社員1人ひとりの目標やミッションに対する成果を、
公平且つ正当に評価し、その評価を報酬に反映し、結果として、
社員のやる気やモチベーションを高めることにつながることがまず第1のメリットです。
また、個人の能力は最大限に発揮されることで、
企業の総合力を最大限に高めることにつながります。


第2には、優秀な人材の確保につながります。
従来の勤続年数や年齢にとらわれず、
その人材の実力に応じた待遇やポジションを提供できるため、
外部から実力のある中途採用が可能となります。
また新卒採用に関しても、やる気のある学生には、
応募や入社への積極的な動機付けとなります。


第3には、目標管理制度や目標ツール等により、
その期間での評価がフィードバックされるため、
評価ポイントや次回への課題等が明確になり、
社員個々のレベルアップにつながります。


また第4として、
学歴や勤続年数と実績・成果との間のミスマッチによるコスト高解消にもつながります。

3. 成果主義の注意点

メリットがある一方で、成果主義に対して、
以下のような問題が発生するケースも少なからず存在しています。
例として
・目先の成果にのみ関心と努力が集中する
・成果を数値化し易い部門と、そうでない部門の間での不公平感
・社員の意識が個人主義的に偏り社内の雰囲気が悪化する
などが挙げられます。

4.これからの成果主義

成果主義を人事考課に取り入れ、問題が発生している企業では、
多くの場合、賃金面のみが成果主義であり、マネジメント側は旧態依然としているようです。
社員に成果を求めるだけではなく、
「どのようにしたら、成果を実現できるか」を、社員の自主性を尊重しながらも、
的確に指導・支援していくマネジメントが求められます。
「何をもって成果とするか」という評価基準についても、
前項で挙げたような問題を発生させないように考える必要があります。
具体的には、長期的な効果をもたらす業務や、
間接業務についてもきちんと評価できる基準を定めることなどが挙げられます。
また、バラツキのある評価や、
曖昧な評価が行われないためにも、評価者側の教育も非常に大切なことです。


正しい運用を行うことではじめて、制度の良さが組織の中で活かすことができます。

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