3分でわかる最新人事コラム

第111回2016/07/19

「元気な50代」

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今、企業のシニア活用に注目が集まっています。
日本の平均寿命は、1950年当時までは未だ60歳に達していませんでしたが、現在の平均寿命は84歳と大幅に延びています。
そのこともあり、50代労働者は、60歳の定年を一つのゴールと定めて働いてきた人が多かったかと思います。
しかし、現代の50代労働者は体力・気力ともに充実している人たちが多くの割合を占め、60歳をゴールと定めず、それ以降も世のため人のために働き続けたいと考える人が増えています。
また、企業側においても、60歳の定年を65歳まで引き延ばす会社が増え始め、65歳以降も雇用を継続する会社も増加傾向にあります。
今回のコラムでは、50代シニア層に焦点をあて、企業の採用メリットや傾向などをご紹介します。

深刻化する国内労働市場の人手不足

現在の転職市場では、非常に多くの求人が存在します。そのため求人企業にとって採用難易度は高まっており、従来のやり方だけでは人材を採用できない(人材がいない)市場観となっております。その理由としましては、以下のとおりです。

若手の労働人口が減っていく
現在、日本では世界でも類を見ない超高齢化社会が到来しています。現在の総人口のうち、65歳以上の高齢者が占める割合は25%で、4人に1人が高齢者となっています。2030年には3人に1人の割合となり、2050年には2人に1人が高齢者となるといわれています。高齢者に対しての若者の比率はますます低下していくことは避けて通れない道となっているのです。この数字からもわかるように、50代以上のシニア層を活用し、会社を支えることが必要不可欠な時代へと突入しています。

「絶対に転職したい」より、「いいところがあれば転職したい」人が増えている
転職市場における求人件数は、引き続き増加傾向にあります。管理部門特化型の当社においても、例外なく求人件数は増加しています。当社では、企業から求人のご依頼を頂く際に募集背景をお聞きしていますが、「一人あたりの業務量が増えすぎている」「仕事が受け身になりがちで、攻めの姿勢で仕事ができていない」「管理職者が現場業務を兼務している」など、多くの企業が「増員」を理由に求人件数が増加している傾向にあります。
一方、厚生労働省が発表する有効求職者数(転職希望者数)は減少の一途をたどっており、転職への渇望感は若手を中心に弱まっている傾向があります。現職に大きな不満はなく、仕事のやりがいや報酬、時間面(ワークライフ)といった条件が今より良いところがあれば転職したいといった感覚の求職者が増えつつあるのです。また、離職してからの転職希望者は以前よりもかなり減っており、当社にご登録いただく方については現職中の方が大半を占めています。更に、優秀な求職者に内定が集中しており、そういった背景から採用で苦戦している会社がかなり増えてきているのが現状です。

50代採用のメリット

前述の現状を踏まえて、シニア層を活用することのメリットについて、実際の転職事例も含めてご紹介致します。

50代は即戦力+マネジメントに期待できる
ここ最近の求人トレンドは「即戦力」です。ポジションとしてはリーダー~マネージャークラス、次世代の部長候補の求人が増えています。求められる人物像としては、リーダーシップに加え、実務もこなせ、マネジメントも出来るプレイングマネージャータイプが多い傾向にあります。何故そういったクラスの募集が増えているのか、その背景を紐解くと、「次世代の管理職が社内で育っていない」、「優秀な人材が辞めてしまっている」、「2000年前後の新卒氷河期で採用を絞っていたため」、などが考えられます。設立間もない成長企業の場合、育てる時間がそもそもないので、外から採用するしかないといった会社もあります。少人数でぎりぎりの状態で仕事をまわしている会社が多く、次世代の管理職・幹部候補を育てる余裕がないことも考えられます。
上記のような課題を解決できる人材として、昨今50代世代への注目が集まり始めています。シニア層は、管理職経験を積んだ方が多いためマネジメントの実績もありますし、経験の豊富さという点からも即効性をもって企業問題を解決できるのではないかと期待されております。

雇用条件に寛容
当社の50代の登録者(求職者)データで見てみると、下記のような年収区分となります。
※当社にご登録を頂いている50代・約9500名からのデータとなります。
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上記データからも読み取れますが、現職給与に対し、希望給与は低めの水準で考えられていることが多い傾向があります。20代、30代などの若手層のうち、8~9割は現職給与以上を希望しており、40代は現状維持前後に拘る傾向にあるのですが、50代以降は各世代に比べて条件面においては寛容で、謙虚さがあります。条件交渉で難航することが少ない世代とも考えられます。

50代の採用成功事例

実際に当社経由で50代の方の採用に成功した事例をご紹介します。
当社に求人のご依頼を頂きましたA社ではIPOを目指しており、直前々期のフェーズで上場準備責任者を募集することとなりました。A社の社長は30代半ばと若く、社長の意向もあり、社長と同世代位の候補者を採用することを想定した求人のご依頼を頂きました。
しかしその年齢で上場準備責任者はなかなかおらず、当社よりご紹介した求職者は50代の経験豊富な候補者B氏でした。面接では、経験・人物ともに高いご評価をいただいたのですが、若手社員が多い組織に馴染むことができないのではないかという理由でお見送りになってしまいました。
しかしその後、なかなか該当候補者がA社にあがってこず、事業計画そのものが立ち行かない状態となってしまいました。そこでA社の社長が発想を転換し、年齢以外では実務経験・業界経験・マネジメント、お人柄ともに評価の高かった、B氏が復活選考することとなり、そのまま内定、入社となりました(B氏は快くA社のオファーをご受諾頂いています)。
若くて、経験が豊富で、人物も良くて、といった方はニーズが多いと思いますが、実際は上記で述べたとおりマーケットになかなか該当者がおらず、苦戦しているのが現状です。採用を成功させるために、社長、もしくは役員クラスが今回の事例のように新たな発想で採用計画を立てることができれば、世の中の成長企業が成長軌道に乗り始めるのかもしれません。

50代の採用実績がある企業の傾向

当社を通して転職が決定した50代転職者の傾向を見ていると、企業郡ではIoT、クラウド関連などのITベンチャー、エネルギー、人材派遣、介護・福祉、サービス業、外資、会計事務所・コンサルティング会社のバックオフィス、地方企業など、多岐にわたる業界、会社で転職が決定しています。そして、「設立間もない会社(今後の成長が期待できるがまだ予算がない会社)」「成長中企業(優秀であれば年齢を気にしない。フェアな環境)」「人手不足の会社(少数精鋭)」などを理由に年齢を気にしない会社が多く含まれることが考えられます。ここ最近は50代への期待・関心が徐々に高まりつつあり、専門性の高いハイクラスの求人が出始めておりますので、今後大手企業においても50代の採用が活性化してくる可能性は否めません。
ポジションで見ると、やはり管理職の決定が多い傾向があります。役員候補、部長、もしくはそれに近いポジションでの決定が多く、現場実務に加えて、管理職としてのマネジメント経験があったほうが評価されやすいことが考えられます。
また、50代の決定企業郡を見ていると、社長や役員クラスの決裁者がシニアクラスの採用に前向き、寛容である点も見逃せないポイントです。今後、会社トップの人たちの価値観が50代のシニアクラスに向き始めたら、シニアマーケットが活性化してくるかもしれません。

50代採用時のミスマッチを防ぐために

50代・求職者の退職理由を見てみると、これまでの経験を活かしたい、会社の業績不振など、各世代でよくある理由もありますが、社長との経営方針不一致、オーナーとの意見の相違、コンプライアンス意識(イリーガル)、役職定年など50代ならではの理由も多いです。特に経営層や社長との相性が大きなポイントになると考えられます。また、一社で長く在籍している人も多く、前職などのカラーに染まっている場合が多いので、カルチャーフィットについては特に求人側・求職者側の双方で面接・面談を通して相互理解を深めることでミスマッチを防げるのではないかと思います。

年齢に固執しない新しい価値観が時代を切り拓く

これまで転職市場では売り手市場(求職者側優位)といわれ、転職決定の多くは若手層(20代から30代)の場合が多く、年齢が高くなるほど転職が難しいといわれてきました。しかし、労働人口構成が変化し若手層が減っていく今日、雇用側も従来のやり方で若手層の確保をするだけのやり方では、求職者の母数が足りず、大半の会社が立ち行かなくなるのではと考えられます。もし即戦力性やマネジメント双方を求めたい経営課題を抱える会社の場合は、50代の活用はうってつけではないかと筆者は考えています。

筆者は現在、現場で人材紹介業に携わっていますが、50代以降の転職決定が今年に入ってから急激に増え始めていると実感しています。50代の求職者の方々と接していると、どの年代の人たちよりもバイタリティや人情味に溢れ、仕事経験も豊富で熱意をもって取り組んでおられる方が多いと実感しています。そういった実感を求人企業にお話すると興味を高く持ってもらえる会社が増え始めてきたと感じています(どの会社も採用に苦戦していることが伺えます)。
現在、60代以降も働きたいという人たちも増えてきており、50代においてはまさに現役バリバリの世代でもあります。そんな仕事意欲の高い50代の活躍が今後の日本を支えていく時代に突入しているのかもしれません。

(文/チーフリクルーティングアドバイザー 野崎信明)

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