3分でわかる最新人事コラム

第113回2016/11/21

「未婚率と働き方」

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日本の就業実態~男女雇用機会均等が進むにつれ未婚率が上昇~

昨今、「女性の社会進出」という言葉をよく耳にします。実際に、日本ではこの言葉が社会的なスローガンの一つとして使われているようにも感じます。
そして、時代の変化と共に、女性の社会進出から「女性の労働力活用」「女性管理職」という具合により、具体的な方法で企業の人事・採用方針に反映されるようになってきています。その結果として、平成27年度の女性の労働力人口は2,842万人に達しております。前年に比べて約18万人の増加結果となっており、労働人口全体が減少する中、女性労働者については過去約10年で92万人の増加となっております(『図1』参照)。

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上記結果は、日本社会全体における働き方への志向変化であり、男女共にキャリアの追及を認めた新しい価値観の台頭、就業実態の明らかな変容を意味しています。1985年に制定された「男女雇用機会均等法」はまさに今、実をなしてきているのかもしれません。
これは、日本という大きな組織の前進でもありますが、一方で前進する側面があれば、他面も必然的にかわってくるもので、その一つに「未婚率の上昇」という新たな側面変化がおきました(『図2』参照)。

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この結果をみて皆様はどのように感じますか?
戦後間もない頃は、「男性は外で働き、女性は家庭を守る」「20代のうちに結婚」という考え方が主流でしたが、時代の変化と共に、男女ともに考え方が変わってきている印象があります。
勢いよく右肩上がりとなっている未婚率ですが、この数値は高いのでしょうか。ここで一つ目線を海外へ向けて考えてみたいと思います。

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国際的にみると、日本の未婚率は他国とそれほど変わりないと言えるのではないでしょうか。例えば30~34歳の女性の未婚率を見ると、日本よりも低いのは韓国とカナダのみであり、他国の方が高い状況です。
一方で次の『図4 女性の年齢階級別労働力率』を見てみますと、比較的低い水準であることがわかります。日本は欧米と比べると、女性の社会進出という意味では、まだまだ意識が低いと言えるのかもしれません。
実際に、内閣府の発表では、OECD諸国中の女性の就業率比較では、日本は33か国中22位と先進国の中でも一つ後れを取っていることも実証されています。

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海外との比較からわかる今後の予測と日本の課題

ここまで、「キャリアの追及(労働に対する志向変化)が生む未婚率の上昇」を述べさせて頂きましたが、海外と比較してみますと、日本もこれからはよりキャリアを追求する女性が顕在化していくことが予測できるように感じております。
海外では、女性も男性同様に自身のキャリアを求めており、「結婚」という概念への拘りがあまり日本ほど強くない現状があります。例えば、フランス等の欧州では事実婚という婚姻状況も多くあり、これは戸籍上では未婚となりますが、形を追い求めずに、男女それぞれのワークライフの充実を大切にしているように感じます。また、社会全体としても、女性の労働力を男性と同様に求めていくことを推奨しております。
グローバル化がどんどん進む中、こうした国際思考の影響を少なからず日本も受けているのではないでしょうか。未婚率の上昇は、キャリアを求める女性の増加が少なからず影響しているという可能性からも、少しずつ海外の考え方に近づいていることを示唆している、と考えることもできます。

平成25年度の『厚生労働白書』に興味深い調査結果が出ております。結婚に対する考え方として「交際相手をもたない20代、30代男女が恋人をほしいと思わない理由」に、女性の回答で「仕事や勉強に力を入れたいため」という理由が上位に位置しています(『表5』参照)。この回答が全体の約36%を占めるということは、人生設計のうち求めるものの一つに結婚の枠だけではなく、「キャリア・スキルアップ」を求める女性が社会には潜在しているということを表しています。

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しかし、キャリア志向と同時に、「未婚者の生涯の結婚意思」についても注目すべき結果が出ております。「いつか結婚したい」という女性の回答が全体の約87.7%となっております(『図6』参照)。
つまりは、かつては、「女性は早く結婚、結婚したら寿退社」という時代もありましたが、現代女性は、上述したように決して結婚願望がないわけではなく、「結婚を含めた私生活と、自身のキャリアも同様に充実していきたい」ということでしょう。

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未婚率の上昇は、海外の女性のように人生に対する多様な考え方をもった女性が国内でも増えているということは疑う余地のないことです。
そのような視点で上記の結果を見て行くと、未婚率の変化は海外のようなポジティブな要因もあるのではないかと考えることができるかと思います。私は転職エージェントとして人材採用のご支援をさせて頂いておりますが、今でも採用者側から「女性を活用したいが、結婚してやめてしまう可能性があるから怖い」と言われることもあります。これまでは、その可能性は採用側としては一つのリスクとしてあったのかもしれませんが、その考えを改める必要があるかもしれません。上述したように、キャリアも同時に追い求めている女性は確実に増えてきており、かつ海外では既にそうした女性が社会で活躍しています。加速しているグローバル社会に後れをとらないためには、就業比率という点から我が国においても、意識の高い優秀な女性をもっと活用できるよう採用を積極的にかけていくことは、必須課題のように感じます。

まとめ

就業している女性、並びにキャリアと結婚の両方を実現していきたいと考える女性は増加傾向にあります。前章までに述べました内容はデータ上の話ではなく、キャリアを積み上げてきている女性、これから積み上げていきたい女性から日々、転職相談の際にお伺いしていることでもあります。私も一人の働く女性として、結婚したら仕事を辞めたいとは考えておらず、社会人として今後もキャリアを追求していきたいという思いは強いです。結婚しても仕事は続けていきたいですし、勤める会社がそのような女性を求めてくれると嬉しいです。
本コラムをお読み頂きました皆様の中に採用に関わる方がいらっしゃいましたら、女性活用に対する意識を今一度振り返っていただき、前向きなカタチでご検討いただきたいと考えます。
採用は短期的な人員充足だけの問題ではございません。世の中の労働人口の高齢化や少子化等と合わせて、女性活用という部分も企業としての成長に通じる部分となるのではないでしょうか?
日本国内には今、向上心を持った女性が多くいますので、本コラムが積極的な採用をご検討頂けるきっかけになれば幸いです。

(文/リクルーティングアドバイザー 川野紹子)


【参考】
・図1 厚生労働省:平成27年 働く女性の状況:第2節:図表1-2-1より
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/15b.pdf
・図2 総務省統計局「国勢調査報告」より
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/data/mikonritsu.html
・図3 国立社会保障・人口問題研究所:人口統計資料集:Ⅵ結婚・離婚・配偶関係別人口:図表6-25「主要国の性、年齢別未婚率及び有配偶率 最新年次(2016年版)」より
http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2016.asp?fname=T06-25.htm
・図4 内閣府:男女共同参画白書平成23年度版:第1部男女共同参画社会の形成の状況 :「第3章-第3図 女性の年齢階級別労働力率(国際比較)」より
http://www.gender.go.jp/whitepaper/h23/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-03-03.html
・図6 平成25年度厚生労働白書 P66,76参照
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/13/dl/1-02-2.pdf

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