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第17回2006/02/14
ここ数年、大手企業を中心に、賃金制度の根本的な見直しが実施されており「成果主義賃金制度」「業績連動型賃金制度」などが盛んに導入されてきています。 そしてこの波は、いよいよ中堅中小企業にも及んできました。従来の右肩上がりの年功給は企業にとって大きな負担となっており、賃金制度改革の必要性を強く感じている経営者も多いはずです。
人事考課は賃金制度と密接に関連しあっており、人事考課が公正に運営されていないと賃金制度、特に成果主義賃金は上手く機能しません。言い換えると成果主義賃金をスムーズに機能させるための前提でもあります。賞与や昇給の金額を決める際、各従業員への評価をするために必要であるのも人事考課で、人事制度の中でも重要な事項として注目されております。今回は、この【人事考課】について説明します。
1.人事考課とは
一般的に、「人事上の決定に必要な従業員に関する個人別情報を把握するために行う評定」であって、賃金、賞与、昇進・昇格・降格、能力開発、適正配置などの決定に重要な役割を果たしております。具体的には、従業員の日常の勤務や実績を通じて、その能力や仕事ぶりを評価する形で行われます。「能力考課」判断力、企画力、技術・知識など「成績考課」仕事の質・量、達成度など「情意考課」熱意、協調性などが評価要素となりますが、これらを点数化・総合化して労働者の優劣を評価・査定します。
2.人事考課の目的
人事考課は、会社の目的を実現するために役立つものでなければなりません。目的は、*業務の遂行度や態度、能力の診断を実施し、能力開発や人材育成に結びつけていく*仕事に必要な知識・技能・適正を適切に評価し、昇格・昇進・配置等を適正に行う*従業員の信頼を得るために、業績・努力度を評価し、昇給や賞与等を公正に決定する*社内(上司・部下)のコミュニケーションを密にし、現場の情報や意見を経営に活かす。
適切な人事考課を実施できれば、従業員個々の役割や目標・職場の問題点が明確になり、従業員そして会社の活性化に繋がっていくことになるわけです。また、従業員個々の能力を最大限に発揮させるためには、「従業員の特性に向いた仕事であること」、「モチベーションが上がる職場環境であること」、「努力次第で可能な範囲の目標が設定できること」が不可欠であり、これらを確実に実施するためには個々人の特質を正確に把握する必要があります。人事考課は、そのために行うものでもあります。
3.これからの人事考課
従来の人事考課の目的は、従業員の能力を正確に把握し賞与や昇進に差をつけること、人件費を適正に抑えることが中心でした。しかし、今後は人材育成・能力開発を重視し、「評価→育成、能力開発→処遇」という人事管理のフローを効果的に運営し、商品・サービスの品質向上、顧客満足度向上、結果として経営目標を実現するための手段となることが望まれます。考課方法については、人と人とを比較する相対評価ではなく、公開された考課基準を基とする"絶対評価"で行うべきです。基準を上回る優秀な項目と、基準に満たない改善すべき項目を本人にフィードバックすることが育成・能力開発の第一歩となるのです。
4.人事考課のねらい
企業の発展の大きな要因に従業員の活性化があげられます。社員一人一人の能力を最大限活用し存在感を高め、能力開発によりモチベーションを与え、納得性のある公正な評価により充実感・満足感を分かちあえる事が重要です。それらの基礎となるのが、公平な評価であり、評価者個人の価値観ではない一定のルールに則った人事考課です。人事考課が公平に行えれば、部下の能力把握が的確になり、活用や育成が効果的にできます。また公正な処遇により、やる気が高まり、納得性があるため相互信頼にも繋がります。
5.人事考課の導入
人事考課を公正に行うためには、「差別化し選別する(誰が良い・悪い)」ではなく、「この人材のどこが優れているか、どこが不十分なのかを把握し、差をなくして皆を伸ばそうという育成の気持ち」が大切です。そのために、(1.)基準を明確にする(2.)事実に基づく(3.)考課ルールを守ることが重要です。
<不信を招く人事考課>・好き嫌いや先入観、イメージなどで評価する・仕事以外のことまで評価の対象にする・部下同士を比較して優劣を決める・考課者の経験や価値観だけで評価する・評価基準を明確にせずに評価する・評価結果を極秘にする
<公正で納得性のある人事考課>・客観的基準を設けて公開する・事実に基づいて考課する・仕事上の行動のみを対象とする・考課結果は本人に明確にフィードバックする
このように、公平な人事考課を導入することにより、各従業員が自分の評価結果・処遇に納得することができます。評価結果をフィードバックすることにより、自分が会社に求められている事が分かり、個人目標が明確になります。「自分にはここが足りない。ここを伸ばせば評価が(例えば賞与などが)上がる」と全従業員の士気が高まり、自ずと業務に対する姿勢が変わってくるものです。
「企業は人なり」といわれるように、従業員のモチベーションは会社の業績にそのまま反映されるものです。また、現在の厳しい経済状況において、固定費の中心である人件費を適正な額にすることは、企業にとって重要な課題です。決められた人件費の財源を公平に分配し、右肩上がりの人件費にストップをかけることができる人事考課の導入が、損益改善の切り札となるのです。昨今、大手企業でも、全従業員に対して年功給を廃止し、成果主義を導入してきている会社が増えております。近い将来、日本企業においても成果主義が当たり前になり、そのバックボーンとなる人事考課の重要性が一層高まることが予想されます。各社の実情に応じた人事考課を検討してみてはいかがでしょうか。
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