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第98回2014/05/20
1990年代には多くの企業が「成果主義」を取り入れる、又は検討するという時代の流れがあり、当時、多くの企業は人材活用の最適化を目指して、人事制度再考や人事部のあり方そのものを検討する事となりました。そんな中、2000年頃から、経営陣の一員としての人事担当責任者=CHO/CHRO(ここでは最高人事責任者)の存在意義が着目されていましたが、ここ最近、改めて企業による最高人事責任者(CHO/CHRO)の潜在的ニーズを感じる依頼が増えてきています。今回は改めて、最高人事責任者とその役割について考えてみたいと思います。
最高人事責任者(CHO/CHRO)とはまず、最高人事責任者(CHO/CHRO)の定義とはなんでしょうか。CHO/CHROとは、Chief Human resource Officerの略称であり、基本的には「取締役会に入り、経営幹部職として人事機能を統括する存在」の意味として使われています。CHOという名称をつかわず、「取締役人事部長」という名称で活躍されている方も多くいらっしゃいます。ここでは上記のような役割を担う方々全般をCHO/CHROとして話を進めたいと思います。
人事部長との違い一般的に、人事部門のトップである人事部長と最高人事責任者(CHO/CHRO)の大きな違いのひとつは、経営陣として経営に参画する権限を持つか否かという点です。多くの人事部長は、人的資源開発、管理(アドミ業務)のエキスパート機能を中心にして企業価値の最大化に努める傾向が強く、人的資源を統括する立場から経営戦略の立案に積極的に関与することは少なかったといえるでしょう。しかしながら、経営の目的が、企業のビジョンや経営戦略の具現化であるとすれば、組織管理や評価、任用などの「人材戦略」や「人材マネジメント」は、経営ビジョンや戦略に基づいたものでなければならいと考えられます。そうした観点からみると、経営者は人材戦略家としての役割も担う必要があります。しかしながら、ある程度の規模の組織になると、企業トップポジションにいる経営者が、実際に人材戦略の指揮を執るというのは現実的ではありません。よって、経営の全体像を描く立場であるCEOの右腕的存在として、経営戦略の具現化のために必要とされる人材戦略・人材マネジメントを行っていける存在が必要となってきます。「経営トップの考える、ビジョンや戦略を、人物像に翻訳し、それを実行できる人材を獲得し、その人々に目標を与えてモチベーションを喚起する」という役割を最高人事責任者(CHO/CHRO)が担うのです。
最高人事責任者(CHO/CHRO)に求められている役割は「経営戦略の立案」だけではない これまでも、管理部門担当役員という役職が存在してきた企業は多くありますが、何故「人事専任」執行役員の存在意義が高まってきているのでしょうか? その疑問は、最高人事責任者(CHO/CHRO)に求められている役割が、「企業の経営戦略に焦点を当てて人材戦略を立て、実行すること」のみを求められている訳ではないからだと考えられます。
『MBAの人材戦略』の著者で、HR研究の第一人者であるデイヴィッド・ウィリックによると、これからの人事の役割として、下記の4つの項目が挙げられています。一、戦略パートナー二、管理(アドミ)のエキスパート三、従業員のチャンピオン四、変革のエージェントつまり、最高人事責任者(CHO/CHRO)に求められる役割は「一、戦略パートナー」だけではないのです。経営に基づいた人事戦略の実行以外に考えられる最高人事責任者(CHO/CHRO)の役割は他2点挙げる事ができます。 一つは「従業員により密着した人材マネジメントの必要性」、もう一つは「縁の下の力持ち的存在としての人事の必要性」です。
従業員により密着した人材マネジメントの必要性これまでの人事部のあり方としては、これらの2点が強くありました。1. 採用、配属、異動、評価・選抜、研修、給与計算、その他諸々の手続き等、管理者としての専門家的役割2. 従業員の代表者として、従業員の声に耳を傾け、従業員満足度を高める役割
上記については、これからも同様に必要であることには変わりありません。いくら経営戦略を人材戦略に落とし込んでも、これらが軽んじてしまっては人材マネジメントの完成形は見込めないからです。 つまり、「従業員に密着した人材マネジメント」も欠かせない人事機能の一つであることから、最高人事責任者(CHO/CHRO)は、経営戦略の専門家というだけではなく、人事部門のスペシャリストでもあることが求められるのです。
縁の下の力持ち的存在としての人事部門の必要性人事の機能は、事業遂行のための経営者と現場の翻訳者であり、促進剤です。縁の下の力持ち的役割を担う部門の統括者としては、リーダーシップを発揮するにしても推進役ではなくて、促進役としてリーダーシップを発揮する必要性もあるため(もちろん推進役の場合も多くありますが)、人事専任としての執行役員の存在意義があると言われています。つまり、「管理(アドミ)のエキスパート」「従業員のチャンピオン」の役割にとどまることなく、「四、変革のエージェント」の役割を最高人事責任者(CHO/CHRO)は担っているのです。
存在価値の高い人事責任者になるにはまず、最高人事責任者(CHO/CHRO)に必要とされる素養としては、以下の3つがあると言われています。一、 経営に対する理解二、 人的資源に対する本質的な理解三、 経営と人的資源の統合とバランス
従来、人事部門が培ってきた人的資源開発、管理(アドミ)のエキスパート機能に加え、人的資源を統括する立場から経営戦略の立案に積極的に関与する姿勢が必要です。
まとめこれからの人事責任者に求められるものとしては、経営戦略に基づいた人材戦略を立案・実行していく事である一方、これまで、日系企業内で醸成されてきた従業員サポートであったり、縁の下の力持ち的存在としての人事部存在意義は、これからもなくならないでしょう。CHOという役職を設置して、人事戦略の抜本的改革を行う必要を感じていない企業においても、これまで築き上げてきた体制に、経営的視点をより入れ込んでいくというエッセンスを加えていく事で、経営にとって最適な人材マネジメントに近づいていく道があるのではないでしょうか。皆さんの会社の人事部はどのような体制で運営されていますか?今一度、人事部の体制について確認してみてはいかがでしょうか。
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