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第58回2009/11/09
はじめに2008年のリーマンショック以降、日本経済も大きな変化の時代に突入しました。金融機関が今までにない程の貸し渋りを行っており、まさに「生き残る経営」を意識・実行していく必要を感じるこの頃です。このような状況の中、今年の6月に雇用調整助成金制度の見直しがなされました。これは政府の経済危機対策の中から打ち出された、中小企業の経営を支援する制度の一つです。その中には、企業を運営する上での条件さえ満たせば、従業員の人件費を一部国が負担してくれるものも多く、助成金制度を上手く利用しこの経済危機を乗り切っている企業も少なくないようです。今回はこの経済状況だからこそ、知っておくべき制度の一つでもある「助成金制度」について解説をしたいと思います。
助成金制度とはそもそも助成金制度とはどのような制度なのでしょうか。噛み砕いて表現すれば、「中小企業に手厚い」 「雇用・人件費に関する」 「国からの援助金」 の制度であると言えます。しかも、助成金制度で支給された資金は、一切の返済の必要がない資金です。加えて、健全な経営をしている全ての企業が一定の要件を満たしていれば受給できる資金ですので、経営者にとって非常に魅力的な制度だと言えるのではないでしょうか。
前提として、助成金制度は日本経済を支える「中小企業の成長と発展を応援する制度」です。その財源は、実は企業が国に納めている税金から支給されているものですので、「活用しないと損をしている」とも言えます。まさに助成金制度こそ、経営者をはじめ企業運営に携わる多くの皆様に認知して頂きたい制度なのです。では、実際にどのような助成金制度があるのでしょうか。具体的にその内容を見ていきましょう。
助成金の分野助成金の分野は大きく2つに分けることが出来ます。ひとつは雇用関係の助成金、もうひとつは研究開発型の助成金です。
1、 雇用関係の助成金・関連省庁:厚生労働省が中心・助成金の数:20~40種類・助成金の対象:新規雇用や定年延長など・公募時期:随時・受給額:1~500万円・受給時期:申請認定後・受給可能性:ほぼ受給できる
雇用に関する助成金は、雇用保険に加入していれば受給対象になります。なぜならば、雇用に関する助成金は毎月支払っている雇用保険が財源だからです。では、雇用に関する助成金はどのように活用されているのでしょうか。実際に活用された例を見てみましょう。
■新店舗の人件費を一部助成してもらえた大型ショッピングモールに新店舗(飲食店)を出すことになったA社。新店舗でも調理師の資格を持つ人材を雇用する必要があり、人員の採用計画を定めて所轄の都道府県知事に計画書の提出・申請をし、同時に所轄の都道府県雇用・能力開発機構にて計画を認定してもらった。その後、公共職業安定所を通して調理師の資格を持つ人材を料理長として雇用したところ、雇用・能力開発機構に助成金の支給申請をすれば140万円が支給されることを知った。A社は早速助成金の支給申請をし、予定通り140万円を得ることができた。その資金は新店舗の設備強化や広告費などへ有効に使った。※上記は中小企業基盤人材確保助成金の活用例です
他にも雇用に関する助成金の中には、会社設立後の約4ヶ月以内に人を雇う場合、雇用する前に適切な手順を踏めば、事業所内平均賃金の4分の1が最大6ヶ月支給される制度や、その他にも、1級建築士や税理士、社会保険労務士など高度な知識・スキルを有する人材を雇用する場合(現場の管理者として雇用する場合に限定)、平均賃金額の3分の1が最大1年間支給される制度などがあります。
その他にも、不景気などで業績が悪化し雇用調整を行わなくてはならない場合、休業等(休業及び教育訓練)又は出向を行った事業主に対して、休業手当、賃金等の一部が助成される制度などもあり、積極的に制度を活用する企業も増えてきています。
2、研究開発型の助成金・関連省庁:経済産業省や外郭団体(他の省庁の助成金もあり)・助成金の数:3,000種類以上・助成金の対象:研究開発・公募時期:年1・2回がほとんど・受給額:500~5,000万円が中心(1億円を超える助成金もある)・受給時期:研究開発実施後・受給可能性:10~20件に1件の割合で受給できる
研究開発型の助成金は、経済産業省主導のもと、新しい技術・製品・サービスの研究開発費を一部補助する制度です。ただし、この分野の助成金を受給するには、申請期限内に複雑な必要書類を整え、10~20倍にも及ぶ倍率の中から受給対象として選ばれる必要があり、決して簡単に申請が認められるわけではありません。
助成金活用の方法上述のように、助成金は中小企業の成長・発展を支援するために支給される補助金です。正しく活用すれば、固定費の中でも割合が大きい「人件費」や「研究開発費」を、一部ですが削減することが可能です。また、助成金が受給出来れば、資金面でも余裕が出来、本来投資すべき対象に資金を回すことが出来るので、設備投資や広告宣伝費、管理体制の強化など「会社の未来に向け取り組むべきこと」に専念できるメリットが十分あります。
一方、助成金制度を活用する際に注意すべき点もあります。助成金制度はその時々の経済状況によって、柔軟に姿・形を変えて行きます。中には期限付きで運用される制度や、急に対象企業が制限される事もあるのです。つまり、全ての助成金の内容を「常に把握し続ける」ことが非常に困難なのです。また、実際に助成金制度に申請をする際、複雑な書類への記入と各種提出書類を揃えることで、多くの時間や労力を費やしてしまうことも珍しくありません。時間をかけて調べた助成金制度が、経済状況の変化によって内容自体が見直されてしまうこともあるかも知れません。いくら中小企業に対して有利な制度であっても、的確なタイミングに申請をしなければ意味がなくなってしまうのです。
上記のような状況を避けるためにも、身近に最新の情報を持っている機関や専門家と接点を持つことをお勧めします。例えば、顧問の税理士や社会保険労務士事務所、場合によってはベンチャーキャピタルなどの機関に相談できる体制を作っておくのも良いでしょう。また、雇用に関する助成金に関しては、人材紹介会社や人材派遣会社など、日々雇用に関する専門業務を行っている機関に相談しても良いかも知れません。実際に手続きまで行ってくれる訳ではありませんが、助成金の活用を検討される際には心強いサポートとなってくれることでしょう。
まとめ繰り返しになりますが、助成金制度を活用するためには、一定基準以上の健全な経営体制を維持していることが大前提です。申請をする為の要件を確認した際に、自社内の不備に気付くこともあるかも知れません。いずれにしても、助成金を活用するという行為は結果としても会社の質を高めることに繋がるのです。今回は助成金制度の一部を掻い摘んでご紹介をさせて頂きましたが、実は助成金制度には雇用に関する助成金制度だけでも約40種類があり、研究開発に関する助成金も含めると膨大な数になります。その中にはあなたの会社でも申請できる制度があるはずです。是非、この機会に活用できる助成金はないか、いま一度真剣に考えてみては如何でしょうか。
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