2023年06月01日

予備試験の合格率と難易度。合格者は司法試験の合格率が高い

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予備試験の合格率と難易度。合格者は司法試験の合格率が高い

「法曹」と総称される裁判官・検察官・弁護士になるための第一関門が司法試験です。
司法試験の受験資格を取得するには2つのルートがあります。1つ目は法科大学院を修了すること、2つ目が「予備試験」に合格することです。

法科大学院に入学する場合は、原則的に大学を卒業している(または卒業見込みである)必要がありますが、予備試験の場合は何の資格も必要ありません。つまり大学生でも社会人でも予備試験を受験でき、合格すればそのまま司法試験を受験できます。
そのため近年、法曹界を目指す学生や社会人の間で予備試験に挑戦する人が増えているといわれます。
では予備試験の合格率はどの程度なのでしょうか。また合格すれば具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

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1.予備試験の合格率は約3.6%

予備試験とは「司法試験予備試験」の通称です。旧司法試験の廃止に伴い、2011年から実施されています。「法科大学院修了者と同等の学力を有するか否かを判定し、もって司法試験受験資格を付与するために行う国家試験」とされています。

直近の予備試験(2022年)の受験者は13,004名で合格者は472名。すなわち予備試験は合格率3.6%という超難関国家試験です。その代わり同年の予備試験合格者の司法試験合格率は97.5%と極めて高いのが、予備試験の特徴といえます。


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2.2022年予備試験の結果

予備試験の受験者数は制度が開始された2011年の6,477名から、10年後の2021年には12,383人と、倍近く増加しており、直近2022年には、前述通り受験者数は13,004名で合格者は472名、合格率は約3.6%でした。

法務省の資料から、内訳を職種別にみると、大学生受験者4,244名の内合格者ː196名、法科大学院生受験者ː1,246名の内合格者ː124名、法科大学院生・大学生以外(無職を含む社会人)の受験者ː10,009名の内合格者ː144名となっています。

これらを比率でみると、受験者数は、学生よりも社会人が多いですが、一方、合格者数は、学生の方が高い結果となりました。
傾向的には、社会人の合格率は全体合格率の2.0%より低いものの、学生より社会人の方が積極的に受験している事実が認められます。


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3.大学別の合格者数

法務省の資料から大学別にみると、2022年予備試験の合格率トップ10は次の通りです。

順位 大学名 合格者数 受験者数
1位 東京大学 77名 807名
2位 早稲田大学 31名 784名
3位 京都大学 24名 386名
4位 中央大学 22名 985名
5位 慶応義塾大学 21名 820名
6位 一橋大学 17名 196名
7位 大阪大学 10名 289名
8位 神戸大学 8名 137名
9位 北海道大学 8名 130名
10位 東北大学 6名 131名

この結果をみると、やはり「法学部が強い」といわれる大学の多くが上位を占めているようです。


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4.大学院別の合格者数

司法試験受験を目指す人にとって、予備試験ルートと共に無視できない選択肢が法科大学院ルート。そこで気になるのが「どの法科大学院に進学すれば司法試験に合格する確率が高いのか」でしょう。その目安になるのが大学院別の合格率ランキングといえます。 法務省の「令和4年司法試験法科大学院別等合格者数等」を、みると、そのトップ10は次の通りです。

順位 法科大学院名 合格率 合格者数 受験者数
1位 京都大学法科大学院 23.0% 23名 100名
2位 東京大学法科大学院 16.7% 21名 126名
3位 一橋大学法科大学院 56.3% 18名 67名
4位 慶応大学法科大学院 10.8% 12名 111名
5位 早稲田大学法科大学院 8.1% 10名 123名
6位 神戸大学法科大学院 15.4% 5名 39名
7位 北海道大学法科大学院 18.5% 5名 272名
8位 大阪大学法科大学院 8.1% 5名 62名
9位 中央大学法科大学院 7.8% 5名 64名
10位 同支社大学法科大学院 11.5% 3名 26名


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5.予備試験に合格するメリット

5.予備試験に合格するメリット

法務省の「司法試験受験状況(予備試験合格者)」によると、2019年司法試験合格者のうち、予備試験合格者の合格率は81.8%で、同年の法科大学院合格率ランキング1位の62.7%を19.1ポイントも上回る実績でした。なお、この合格者(司法試験合格者中の予備試験合格者315名)の中には法科大学院修了者と同大学院生140名が含まれています。

この調査結果をみると、法科大学院に進学する傍らで、別途予備試験ルートを辿る方が司法試験合格の確率が高いことが分かります。これが予備試験に合格する第一のメリットといえるでしょう。

その理由として次の2点が挙げられます。

高難度

2022年予備試験の合格率3.6%は、同年の司法試験合格率45.5%と比べてもかなりの高難度。合格を手に入れるには、現役法曹並みの高度な法律知識と法解釈力が求められます。したがって、予備試験合格段階で司法試験合格に必要な能力が身に付いていると考えられます。

試験制度の類似性

予備試験と司法試験の出題科目はほぼ共通、予備試験は短答・論文・口述式の3段階で司法試験は短答・論文式の2段階と試験形式が類似しているなど、予備試験と司法試験の試験制度は類似性が極めて高いです。したがって、予備試験合格者は司法試験合格の実践的予行演習をすでに済ませていると考えられるのです。

この他、予備試験ルートの場合は、

時間的・経済的負担が少ない

法科大学院の修業年限は大学法学部卒業生対象の「既修者コース」が2年、法学部以外の学部卒業生対象の「未修コース」が3年と、司法試験受験までにそれ相応の期間を要します。また、法科大学院の中で司法試験合格率トップである、京都大学法科大学院の場合、2018年度の入学金は28万2000円、授業料は年間80万4000円など100万円超の学費がかかります。私学の場合は尚更高額でしょう。しかし予備試験ルートの場合はこうした時間的・経済的負担を免れられることができます。

就職や転職に有利

法科大学院修了生が就職活動を開始できるのは司法試験の受験後。対して予備試験合格の大学生は司法試験受験前年の11月から就職活動を開始できるので、前者より内定確率が高いのです。

また予備試験合格者は、司法試験合格前(司法試験は5年間に5回まで受験可能)でも法律事務所や企業法務を重視する企業からは「企業法務能力が高い」とみられているので、転職活動が有利になります。

6.まとめ

2019年司法試験合格者中の予備試験合格者315名の中には20―24歳が155名、大学生と法科大学院生が合わせて189名いるなど、大学・法科大学院在学中に予備試験に合格し、法科大学院修了者より一足早く司法試験を受験して合格する人が少なくありません。

これをみると超難関国家試験といわれる予備試験は、単なる勉強量の多寡が合格の成否を左右するのではなく、ポイントを押さえた効率的な勉強が重要であることが窺えます。 したがって、予備試験受験を目指す社会人の場合も、自分の生活の中で効率的にかつ集中的に受験勉強ができる時間を作る工夫をすれば、予備試験合格と「法曹界へ転職」の可能性は高まるでしょう。

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【参考URL】
令和元年司法試験予備試験受験状況(大学別・全体)/法務省

予備試験合格者・司法試験合格者(予備試験合格資格に基づく)に関する職種別人員数の推移/法務省

令和元年司法試験の結果について/法務省

予備試験合格者の就職活動/LEGAL NET

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