2023年06月01日

後を絶たない業務上横領罪...... 中小企業で深刻化?

管理部門・士業の転職

巧みになる横領、企業法務の面からも対策が必要に?

社員の不正行為が近年目立つ。とりわけ横領・着服は減る気配がまったくない。一般社員のみならず役員でさえ会社の経費を流用する時代。役職の有無に関係なく不正行為への対策が企業法務の面から急務になっている。

業務上横領の認知件数はここ数年、1,000件前後(年間)で推移している。ただ、検挙した後、公判請求される事案は700件ほどにとどまる。

財産犯の中でも告訴が必要とされる業務上横領は企業が世間体を気にして表沙汰にするケースは少ないとされる。

また、不起訴処分とされるのは、起訴と不起訴を合わせた数の半数程度であることから業務上横領罪で責任を問われることは決して多くないといえる。

横領の手口は、経費の着服や架空請求などのオーソドックスなものから、会社の備品、販促用金券の換金にも広がっており、巧妙化する実態が浮かび上がる。

大手ビール会社の社員が販促目的のギフトカードを金券ショップで換金し、約1億3,000万円もの利益をむさぼっていた横領事件があった。
この事件にみられるような億単位の巨額横領は決して珍しくはない。

業務上横領罪、実刑か不起訴処分の二者択一?

業務上横領罪は刑法253条により10年以下の懲役が科せられる。罰金刑がないため執行猶予が付かなければ即、刑務所へ収監されることになる。

被害総額100万円以上であれば初犯であっても実刑になる可能性が高いという。起訴され裁判となれば被告人は刑務所行きを覚悟しなければならないようだ。

ただ、会社側と示談が成立すれば状況は一変する。業務上横領というのは被害金額にもよるが、横領した社員、被害にあった会社側も公にしたくない力学が働く。ある意味、利害が一致するともいえる。

会社が被害届さえ出さなければ事件に発展する可能性は低い。示談書の作成、損害の弁済で事件化は避けられる。

さらに逮捕されてしまっても会社との和解が成立すれば不起訴処分となることも十分あり得る。横領は被害者、加害者の示談によって結末がまるっきり異なる。

少額なら弁済して示談できるが、まとまった額となると返済不能になり、起訴されることになりかねない。

被害が拡大する前に横領を発見できればいいが、経理担当、法務部門が手薄な中小企業では実態把握が極めて難しいとされる。

示談が成立しても解雇は避けられない!

大企業でも横領は起きているが、中小企業ではもっと深刻のようだ。

横領の動機としては借金の穴埋め、遊興費の捻出という私利私欲が多い。社員が横領すると示談成立にかかわらず懲戒処分により解雇されるケースがほとんどだ。

横領には常習性があり少額であっても持続的に不正行為が続けば巨額になることがよくある。出来心でしてしまった行為が取り返しのつかないことになる。

警察は横領事件の立件に及び腰だという。詳細な証拠がないと動きにくいとされる。
また、小規模な企業では横領金額しだいでは倒産することも考えられ、現実にそのような事例もある。

企業は横領されにくい仕組みを整える必要があるし、告訴されれば実刑の可能性が高くなることを、役員を含め全社員に対して啓蒙していくことが重要だ。

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