2023年04月01日

司法試験浪人に未来はあるのか?

管理部門・士業の転職

人生の全てをかけて司法試験合格に力を注ぐ「司法試験浪人」は、時々ニュースになることがあります。
司法試験浪人が問題となった背景として、浪人生活の果てに正常な社会生活を営めなくなってしまったことが挙げられます。
あまりに難易度の高い試験に臨むことから、勉強に費やす時間も長くなり、その間まったく社会生活をしない状況が生まれたことが主な原因として考えられます。
しかし、決意した以上は必ず合格しようと努力を重ね、数回の浪人で見事結果を出している受験者も少なくありません。
この記事では、司法試験浪人に未来はあるのかどうか、普段の生活や試験結果の数字などから紐解いていきます。

司法試験浪人の生活

司法試験に不合格となり、大学ならびに法科大学院卒業後に再度試験を受けるため浪人する場合、基本的には「試験のための生活」を送るケースがほとんどです。
過去に司法試験浪人を経験した人のスケジュールを調査したところ、概ね以下のような例が確認できました。

○午前5時30分
起床。

○午前6時
司法試験予備校の早朝の答案練習会に参加するため、家を出る。
駅前で朝食をとり、食事中はウォークマンで録音した講義を聞く。
予備校にいく途中、徒歩の間も講義テープを聴き、電車に乗っている間は定義集を読み込む。

○午前7時
早朝の答案練習会に参加する。

○午前9時
大学の法職研究室に通い、友人と一緒に勉強する。

○午前11時30分
学食等で昼食をとる。
昼食は、研究室の友人と一緒にとり、勉強方法の仕方について意見交換する。

○午後1時
研究室に戻り、引き続き勉強する。

○午後4時
気分転換のためプールへ。道中ではウォークマンで講義を聴く。

○午後6時
夕食を食べてから研究室に戻り、その後は勉強。

○午後9時
勉強を終えてから、帰宅するため電車に乗る。
乗っている間、定義集・ブロックカードなどをチェックする。

○午後10時30分
自宅に戻った後で雑用をすませ、声を出して本を読み、苦手意識の高い科目の勉強を行う。

○午前0時
就寝。

なお、上記の例は1年を勉強に費やせるお金がある人の場合に限られ、多くの場合は仕事をしながら勉強時間を確保して、司法試験に臨みます。
そのため、合格に向けた勉強は非常に困難を極め、2~3年を目途にあきらめるケースがほとんどです。

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司法試験の受験者の受験回数

司法試験には、受験回数が設けられています。
前段階として受験する「司法予備試験」には回数の制限はありませんが、法科大学院を修了した人・司法予備試験に合格した人は、5年で5回までという制限の中で試験を受けなければなりません。
また、5回不合格になった場合は、再度法科大学院を修了するか、司法予備試験に合格する必要があります。
この制度は、合格を目指して受験を毎年続ける司法試験浪人の将来を案じての措置で、不合格者が早い段階で別の道に進めるよう促す意味合いがあります。
また、2006年に回数制が導入された際は3回までが上限とされていましたが、試験対策に時間をかける「受け控え」も目立つようになり、2015年度から制限が緩和されて現在の形になりました。
見方を変えれば、仮に1回落ちたとしても、あと4回チャンスがあると考えることもできるでしょう。
しかし、このような考え方には、ある「落とし穴」があるのです。

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受験回数と合格率は反比例する

平成30年度の司法試験では、法務省から採点結果が公表されています。
その中には「司法試験受験回数」という項目があり、平成30年度の司法試験において「何回目で司法試験に合格したか」が統計としてまとめられており、その中である傾向が見られました。

司法試験受験回数 平成30年度の合格者内訳 平成29年度の合格者内訳
1回目 862人 870人
2回目 269人 292人
3回目 187人 180人
4回目 134人 140人
5回目 73人 61人

司法試験に合格した総人数のうち、1回目の受験で合格した人が圧倒的多数であり、その後回数を重ねるうちに合格者は減少していくことが分かります。
つまり、受験回数と合格率は反比例の関係にあり、合格しようと思ったら初回で合格を勝ち取った方が有利だと言えます。

このような結果が出る理由は諸説ありますが、多くの場合「油断」が原因だと考えられます。
仮に、合格点まで1点単位での不合格だったとしたら、落ちたとしても自分に実力はあるものと自信がつくはずです。
これが良い方向に働き、苦手分野の勉強に注力するような流れになれば、次回の受験で合格できる確率は高くなるでしょう。
しかし、人間は往々にして楽をする傾向にあるのか、実力を過信した結果勉強を怠け、かえって合格から遠ざかってしまうケースが多いようです。
合格に至った受験回数は、法律事務所の採用時に考慮されることもありますから、回数の少ない方が有利になります。

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浪人からの就職もできる!

司法試験は難関試験のため、一生を賭ける覚悟で臨んだとしても、合格に至らないことは珍しくありません。
ここで重要なのは、できる限り早い段階で失敗を割り切り、社会に貢献する道を探ることです。
司法試験合格後に目指す職業は、裁判官・検察官・弁護士が代表的ですが、法律知識を必要とする場面は、もっと幅が広いです。
少なくとも「司法試験に挑戦できるだけの知識」を備えている人材として、企業等に評価される可能性は十分あります。
司法試験合格を断念した人が、その後企業法務として採用された例はよく見られ、その多くがエージェントサービスなどを介してマッチングを実現しています。

3回目の受験を控える中、親の入院によって就職を余儀なくされたケース。
2回までと制限を決めて、やり切った気持ちとともに心機一転メーカーの法務に就職したケース。
あらかじめ不合格になった場合を想定し、上場企業にアプローチをかけていたケース。
この他にも、様々な事情で司法試験を断念した人の方が、日本では圧倒的多数です。
高難度の試験に挑戦した経緯を評価してくれる会社も多くあります。
司法試験は、合格することだけが価値につながるわけではなく、その試験に挑戦すること自体がアドバンテージとなります。
浪人からの就職も不可能ではないので、選択肢を幅広く持つことが大切です。

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