予備試験とは?試験概要や科目、日程など



弁護士になるには司法試験の合格が必要ですが、その司法試験を受験するには、次のいずれかの受験資格が必要です。
1つは法科大学院を修了する方法、もう1つは予備試験に合格する方法です。
この記事では、後者の「予備試験」について取り上げ、試験概要や試験科目などをわかりやすくご紹介します。
予備試験とは
予備試験は、法曹人口の増加を目的とした司法制度改革の一環として、2010年に開始された試験です。
従来、司法試験の受験資格は法科大学院修了者のみでしたが、法科大学院には多大な時間と費用がかかるため、経済的な理由で進学が難しいケースも多く、法曹人口の減少が危ぶまれていました。
そこで、法科大学院を経ずとも、同等の実力を持つ者に司法試験の受験資格を与えるために設けられたのが予備試験です。
また、予備試験には受験資格の制限がなく、誰でも挑戦することができるため、時間的・経済的な制約を乗り越えたい多くの受験生にとって、魅力的な選択肢と言えます。
予備試験と司法試験の違い
予備試験と司法試験は、どちらも法曹資格を目指すために重要な試験ですが、そもそも試験の目的に明確な違いがあります。
予備試験の目的は、司法試験を受験するための資格を得ることであり、司法試験の目的は、合格者に法曹資格を与えることです。
司法試験には5年間に5回という受験回数制限がありますが、予備試験には制限が設けられていないため、時間をかけてじっくりと準備することが可能です。
また、試験のスケジュールも異なります。
司法試験では、短答式試験・論文式試験を4日間の連続した日程で行われるため、高い集中力が求められます。
予備試験は、短答式試験が7月、論文式試験が9月、口述式試験が1月と、試験が分散して実施されます。
さらに、試験問題の量と内容にも違いがあります。司法試験の短答式試験は76問程度ですが、予備試験は40問程度です。
また、論文式試験の問題文の長さも、司法試験ではA4用紙10ページを超えることもありますが、予備試験は1~2ページ程度が一般的です。
このように、受験回数の制限や試験スケジュール、試験内容などを見ても、司法試験は予備試験よりも精神的・体力的な負担が大きいと言えるでしょう。
両試験の違いを理解することは、それぞれの試験に向けて適切な準備を進めるための重要なポイントになります。
予備試験の概要・科目・配点
予備試験は、短答式試験と論文式試験、口述試験という3つの段階に分かれます。
それぞれの試験は、法律知識の基本から応用、さらに実務における適用能力を評価するものであり、合格するためには幅広い分野での深い理解が必要です。
ここで、各試験の形式や配点、試験時間について見ていきましょう。
短答式試験
短答式試験 | |
---|---|
受験資格 | 特になし |
実施時期 | 7月中旬 |
試験日数 | 1日 |
合格発表 | 8月頃 |
科目 |
■法律基本科目 憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法 ■一般教養科目 人文科学・社会科学・自然科学・英語 |
出題形式 | ・マークシート方式 ・法律基本科目:各科目10~15題程度 ・一般教養科目:40問程度の出題から20問を選択して回答 |
試験時間 | ・憲法、行政法:1時間 ・民法、商法、民事訴訟法:1時間30分 ・刑法、刑事訴訟法:1時間 ・一般教養科目:1時間30分 |
配点 | ・法律基本科目:各30点 ・一般教養科目:60点 |
論文式試験
論文式試験 | |
---|---|
受験資格 | 当該年度の短答式試験合格者 |
実施時期 | 9月上旬 |
試験日数 | 2日間 |
合格発表 | 12月下旬 |
科目 |
■法律基本科目 憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法、刑事訴訟法 ■法律実務基礎科目 民事訴訟実務・刑事訴訟実務及び法曹倫理 ■選択科目 倒産法・租税法・経済法・知的財産法・労働法・環境法・国際公法・国際私法 ※1科目選択 |
出題形式 | 各科目1題程度 |
試験時間 | ・憲法、行政法:2時間30分 ・民法、商法、民事訴訟法:3時間30分 ・刑法、刑事訴訟法:2時間30分 ・法律実務基礎科目:3時間 ・選択科目:1時間10分 |
配点 | 各科目50点(総合500点満点) |
口述式試験
口述式試験 | |
---|---|
受験資格 | 当該年度の論文式試験合格者 |
実施時期 | 1月下旬 |
試験日数 | 2日間 |
合格発表 | 2月上旬 |
科目 |
■法律実務基礎科目 民事・刑事 |
出題形式 | 事案を与えられ、それに基づく口頭試問 |
配点 | 60点が基準点とされ、57点から63点の間で採点 |
予備試験の合格率
過去5年間の予備試験合格率は以下の通りです。
出願者数 | 受験者数 | 最終 合格者数 |
最終 合格率 |
|
---|---|---|---|---|
令和 元年度 |
14,494人 | 11,780人 | 476人 | 4.0% |
令和 2年度 |
15,318人 | 10,608人 | 442人 | 4.2% |
令和 3年度 |
14,317人 | 11,717人 | 467人 | 4.0% |
令和 4年度 |
16,145人 | 13,004人 | 472人 | 3.6% |
令和 5年度 |
16,704人 | 13,372人 | 479人 | 3.6% |
【令和7年度】予備試験の日程
令和7年度の司法試験予備試験の実施日程をご紹介します。
短答式試験
試験日:2025年7月20日(日)
合格発表:2025年8月7日(木)
論文式試験
試験日:2025年9月6日(土)・9月7日(日)
合格発表:2025年12月18日(木)
口述試験
試験日:2026年1月24日(土)・1月25日(日)
最終合格発表:2025年2月5日(木)
参考:司法試験委員会│令和7年司法試験予備試験の実施日程等について
まとめ
予備試験と司法試験は、いずれも法曹資格を目指すために重要な試験です。予備試験は、費用・時間ともに大きな負担のかかる法科大学院を経ることなく、司法試験の受験資格を獲得できる貴重なルートだと言えるでしょう。
司法試験と異なり、受験資格や受験回数制限が設けられていない予備試験は、誰でも何度でも受験することが可能です。
しかし、やみくもに何度も受験することが合格につながるわけではありません。綿密な準備と計画的な学習を実践して、合格を目指しましょう。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。
会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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