ベンチャー企業の経理はどんな仕事?魅力や向いている人、転職成功の秘訣など

経理として働く場合、環境変化や挑戦を求めて、ベンチャー企業で働いてみたいと一度は考えたことがあるかもしれません。
しかし、「ベンチャー企業でやっていけるか不安」「ベンチャー企業に就職するリスクがありそう」などの理由で、なかなか転職活動に踏み切れないことも多いでしょう。
実際のところ、ベンチャー企業の経理はほかの規模・ステージの企業と比較して、働き方や責任範囲、キャリアプランが異なります。
この記事では、ベンチャー企業の働き方や業務内容、ベンチャー企業に向いている人、転職活動のポイントなどを幅広く紹介しています。
ベンチャー企業への転職を検討している経理の方は、ぜひ参考にしてください。
ベンチャー企業の経理求人例
ここでは、弊社MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」で取り扱うベンチャー企業の経理求人例をご紹介します。
経理責任者【フィットネス領域でのIPO準備企業|今期20期目/売上67億円達成】
仕事内容 |
・決算業務(月次/四半期/年次) ・開示業務 ・監査法人対応 ・IPO準備及び審査対応 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・開示業務のご経験 ・年次決算のご経験 ・監査法人対応のご経験 ・マネジメントのご経験 <歓迎> ・上場会社の開示業務のご経験 |
想定年収 |
700万円 ~ 1,200万円 |
経理※IPO準備/フィンテックベンチャー/フレックス有・リモートワーク可
仕事内容 |
・経理業務全般 ・決算業務※月次/四半期/年次 ・既存の経理業務の改善、経理プロセスの整備 ・監査法人対応補助 ・税務申告対応 |
必要な経験・能力 |
・事業会社における経理経験 ・日商簿記2級 ・業務システム、ExcelやGoogleスプレッドシートの活用経験 |
想定年収 |
600万円 ~ 800万円 |
経理リーダークラス/決算経験者募集/リモート有/医療機器ベンチャー
仕事内容 |
・月次・年次決算作業及びとりまとめ(スタッフ教育含む) ・監査対応 ・開示書類作成 ・IPO準備に向けた各種対応 |
必要な経験・能力 |
<必須> ・事業会社における経理経験(目安:月次決算・年次決算補助など) <歓迎> ・決算対応 ・開示資料作成経験 ・上場企業・スタートアップ企業又は製造業での監査対応経験 ・会計、税務における各種資格 |
想定年収 |
600万円 ~ 700万円 |
ベンチャー企業の経理はどんな仕事?
ベンチャー企業であっても、「過去のお金の流れ」を整理するという経理の一般的な業務がメインになることに変わりはありません。
具体的には、入出金の情報を整理する「管理業務」や、会計ソフトによる仕訳を行う「財務会計業務」、税金に関する対応を行う「税務会計業務」などが挙げられます。
ただし、新たなビジネスに挑戦する意識の強いベンチャー企業では、どうしても経理などの管理部門の整備が遅れがちな側面があることは否めません。
その結果、経理の業務範囲が広がり、人事や総務、財務、法務など、一般的な経理部門では取り扱わない業務を担当することもあります。
また、経営陣との距離が近いため、経営戦略やマーケティング、企画関連の業務に携われるチャンスもあるでしょう。
そのため、将来的に管理職や経営幹部、独立などを目指す方にとっては、貴重な経験ができるポジションです。
さらに、ベンチャー企業の多くは業務フローや教育体制が確立されておらず、積極的に仕事を取りに行ったり、わからないことは自分で調べたりする姿勢が強く求められるという特徴があります。
能動的に仕事に携われる人ほど活躍しやすい点も、ベンチャー企業の特徴といえるでしょう。
ベンチャー企業の経理として働く魅力
業務内容が多岐にわたり、能動的な動きが求められるベンチャー企業の経理ですが、働く上での魅力は多いです。
まず、なんといっても働く上での裁量が大きい点はやりがいを感じられます。
自分の意見や新しいアイデア、提案などが採用されやすいため、「自分が会社をつくっていく感覚」があります。
また、経理以外の業務を経験できる場合、独自性をもった経理に成長できるという点も魅力的です。
監査法人、証券会社、その他専門家と連携しながら仕事をする機会に恵まれれば、自身のキャリアにとっても貴重な経験となるでしょう。
また、創業初期のメンバーであれば管理職や経営幹部のポジションを狙いやすいため、「働く上で役職を重視している」という方も、ベンチャー企業がおすすめです。
一口にベンチャー企業といっても、上場前、スタートアップなどのステージによって、求められる役割ややりがい、魅力が異なる部分もあります。
以下に、ステージごとの魅力を詳しく説明します。
上場前のベンチャー企業
上場前の企業には、勢いや熱意などが感じられる独特の雰囲気があります。
「ビジネスの幅がどんどん広がっていく」という楽しみや、「決算ごとに売上が上がっていく」高揚感を得られるのは、上場前のベンチャー企業で働く上での大きな魅力です。
一方で上場前は、社内の体制が確立しきっていない時期でもあります。
組織構築や規則制定など、0から1を創造する業務も経験できるため、刺激的ともいえます。
また実際に上場すれば、経理の業務量も業務範囲も増えていきます。
ベンチャー企業と大企業の両方で通用する経理に成長できる環境がある点も、見逃せません。
スタートアップのベンチャー企業
スタートアップのベンチャー企業は、まだスモールビジネスの段階のため、挑戦や失敗を繰り返すことが当然の環境です。
業務の量も質もスピードも求められる厳しい環境ではありますが、多くの成功と失敗を経験でき、自分の中にさまざまなノウハウが貯まりやすいでしょう。
一気に企業が成長した場合は、ほかのステージの企業では味わえないような大きな充足感を得られます。
また、仮に解散することになったとしても、会社の設立から倒産までの一連の流れにおける経理の業務を経験できたことは大きな財産となります。
スタートアップのベンチャー企業では、一人ひとりの業務責任が大きい傾向があります。当事者意識で物事を考える習慣が付いたり、ビジネス的な思考ができるようになったりと、視野の広い経理になれるでしょう。
上場前より経営者に近い思考や視点が身に付くのが、スタートアップベンチャー企業で経理として働く魅力です。

キャリアアドバイザー森澤 初美
ベンチャー企業の経理はやりがいや成長機会などの魅力がある一方で、いくつか注意すべき点もあります。
たとえば、業務範囲の広さや体制の未整備さは大きな特徴です。
管理部門の人員が少ないため、経理だけでなく、総務や人事、法務などを兼任するケースや、「1人経理」であるケースも多く、想定よりも負担が大きく感じられることもあるでしょう。
また、組織の変化が速いため、「昨日まで通用していたやり方が今日には変わっている」といった環境にストレスを感じる方もいます。
しかし、こうした環境はご自身の特性によっては成長の機会にもなるでしょう。自分がベンチャー企業に合っているか不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。
ベンチャー企業の経理に向いている人
以下のような人は、ベンチャー企業の経理に向いているといえるでしょう。
・変化を楽しめる人
・向上心がある人
・主体的に仕事を進めたい人
環境が常に変わっていくことを「安定しない」と考えるか、「刺激的」と考えるかは個人の思考の傾向や価値観であり、どちらが良い・悪いということではありません。
ただし、ベンチャー企業では後者の考え方のほうが働きやすいのも事実です。
以下に、ベンチャー企業の経理に向いている人の特徴をそれぞれ詳しく説明します。
変化を楽しめる人
ベンチャー企業は事業内容や売上、人員、組織体系など、あらゆることが目まぐるしく変化します。
極端な例を挙げれば、朝に決まった方針がその日の夕方には改定されるということもあるでしょう。
また、どうしても人の入れ替わりも頻繁に起こるため、人間関係も常に変化します。
「決まったルーチンで仕事がしたい」「同じメンバーで仕事をする方がストレスが少ない」という人は、ベンチャー企業では働きにくさを感じる可能性が高いでしょう。
一方、こうした変化に対してモチベーションや感情を左右されない方や、日々変わっていく環境の中にいるのが楽しいと感じられる方はベンチャー企業に向いているといえます。
向上心がある人
仕事におけるモチベーションが「成長したい」「高い給与をもらいたい」「出世したい」という人は、ベンチャー企業に向いています。
ベンチャー企業は環境が安定しない側面はありますが、それはさまざまな経験が積め、自分が成長できるチャンスが多いということでもあります。
ほかの企業ではできない経験ができたり、経験年数や年齢に関係なく大きなプロジェクトに参画ができたりと、成長には申し分ない環境です。
また、活躍や企業の成長スピード次第で、短期間での収入アップや、管理職への登用なども期待できます。
責任範囲や業務量などは増えますが、それが苦にならない向上心をもっている人は、ベンチャー企業をおすすめします。
経理という職種に関していえば、ポジションや収入における向上に加えて「より広い金融の知識を身に付けたい」「経営的な視点から意見できる経理になりたい」というような、専門家としての向上心をもっている人が向いています。
主体的に仕事を進めたい人
また、ベンチャー企業の多くは業務フローや職種ごとの業務内容など、仕事に関する規則が確立されておらず、自分の仕事は自分で決める必要があります。
当然、機械的にこなせるルーチンワークもほとんどありません。
「どうしたら効率的に仕事ができるのか工夫したい」「指示されるよりも、自分で考えて仕事がしたい」「ルーチンワークが続くと飽きてしまい、モチベーションが下がってしまう」という人はベンチャー企業が向いています。
ただし、ここで注意したいのが「主体的に仕事を進める」の判断基準が利己的ではいけないということです。
「この仕事の方が楽しい」「この仕事はやりたくない」などの基準で業務を選んでしまうと、周囲からの賛同は得られません。
「会社のため何をすべきか」の視点で仕事を考えられる人が活躍できます。

キャリアアドバイザー森澤 初美
反対に、「決まったマニュアルに従って業務をこなしたい」「安定した体制で働きたい」という志向の方には、ややストレスを感じやすい環境かもしれません。
仕組みが整っていないからこそ、自分から動き、改善していく姿勢が求められます。
また、日々の業務や人の入れ替わりが激しいこともあるため、「変化が苦手」「同じ業務をじっくりやりたい」という方は、大手企業など別のフェーズの職場の方がマッチする可能性があるでしょう。
MS Agentでは、企業の成長段階や組織風土まで細かく把握した上で求人をご紹介していますので、ご自身に合ったベンチャー企業を見つけることも可能です。まずは気軽にご相談ください。
ベンチャー企業における経理の需要
制度制定や守りの業務などの対応が遅れがちなベンチャー企業ですが、経理の需要がないのかといえば、決してそういうわけではありません。むしろ需要は高いといえます。
成長段階であるベンチャー企業は、資金の投資配分などにシビアであり、財務面の管理や正しい財政状況の把握などが重要であるためです。
また、資金調達においても正確な財政情報の提出が求められるため、経理が担う役割は大きいといえます。
一方で、人材を育てるリソースが少ないうえに人件費が限られているため、採用基準はそれなりに高く設定しているベンチャー企業が多いのも事実です。
実務経験や実績、資格など何かしら企業に即戦力だと思ってもらえる強みがなければ、転職活動がうまくいかない可能性もあります。
ベンチャー企業の経理に転職するには
ベンチャー企業の経理に転職するためのポイントは以下の3つです。
・企業の情報を細かく確認する
・チャレンジ精神をアピールする
・業務経験は明確にする
各ポイントを解説します。
企業の情報を細かく確認する
ベンチャー企業は各社で経営状況、フェーズ、カルチャー、経理に求める役割などが大きく異なります。
これらを正確に理解しないまま入社すると、ミスマッチが起こる可能性が高くなります。
たとえば、「ベンチャー企業だから自由な働き方ができると思っていたが、リモートワークは不可だった」「上場前から上場後の経理業務に携わりたかったが、スタートアップ期でIPOの本気度もさほど高くない」などの齟齬が挙げられます。
こうした情報の多くは、求人票やホームページなどで調べればわかります。
企業が求めている人材であることをアピールするためにも、入社後のミスマッチを防ぐためにも、事前の情報収集は徹底的に行いましょう。
チャレンジ精神をアピールする
ベンチャー企業ごとにフェーズや経理に求めるスキルなどは異なりますが、チャレンジ精神のある人を求めているという点は共通しています。
ベンチャー企業の特性上、経営状況や業務内容、規則などが短期間で変化します。
また、現状維持ではなく、事業成長を目指しているということもあり、多少リスクがあってもチャレンジングな決断をすることが多いです。
ベンチャー企業への転職を考えている人は自身のチャレンジ精神をしっかりとアピールしましょう。
これまでの実務の中で挑戦したことなどを、エピソードを交えて紹介できれば効果的です。
チャレンジ精神が認められれば、未経験からでも採用にいたる可能性もあります。
業務経験は明確にする
これはベンチャー企業に限った話ではなく、転職活動全般において重要なことですが、自分の業務経験を明確にすることは非常に重要です。
企業は求職者が「どんな経歴やスキルをもっていて、自社にどんな利益をもたらしてくれるのか」について、採用活動を通じて見極めなければなりません。
とくに即戦力を求めるベンチャー企業は見る目がシビアであり、少しでも疑問点があれば採用を見送ることも珍しくありません。
「入社後に、この人は活躍してくれそうだな」という印象をもたせるためにも、これまでの業務経験や実績を明確に伝えましょう。
なお、経理としては未経験の場合でも、これまでの業務経験はしっかりと伝えることが重要です。
その中で企業が適性を見出してくれれば、採用にいたるケースがあるからです。

キャリアアドバイザー森澤 初美
求人票だけでは分からない「実際の雰囲気」や「経理ポジションの立ち位置」「経営陣の人柄」などを把握するには、内部事情に詳しいエージェントを活用するのが有効です。
MS Agentでは、企業ごとの文化・働き方・経理組織の課題まで詳細に把握しており、求人票に書かれていないリアルな情報をお伝えできます。
選考前に不安を解消し、入社後のギャップを減らしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
ベンチャー企業の経理に転職するなら、MS Agentがおすすめ
これまで紹介してきたように、ベンチャー企業は各社によって経営状況や文化、業務内容などが異なり、活躍しやすい人材の特徴も千差万別です。
そのため、自分で転職活動を進めると、なかなか内定をもらえなかったり、内定が出てもミスマッチが起こったりする可能性があります。
転職活動の失敗を避けるためには、転職エージェントを活用することをおすすめします。
転職エージェントは多くの求人を取り扱っているだけでなく、適性の見極めや転職活動のサポートなども得意としているため、転職活動が成功しやすいです。
管理部門に特化した転職エージェントである「MS Agent」は、経理の転職市場についても豊富な知識と経験を有しています。
ベンチャー企業の経理への転職を成功させ、理想のキャリアを実現するために、ぜひ「MS Agent」をご利用ください。
まとめ
ベンチャー企業の経理は経理業務だけでなく、財務や人事、総務、経営サポート、マーケティングなど、幅広い業務に携わる可能性があります。
そのため、「変化を楽しめる人」や「向上心のある人」「主体的に仕事が進められる人」はベンチャー企業に向いています。
ベンチャー企業の経理の需要は高い一方、即戦力を求めている傾向があります。
転職活動ではこれまでの業務経験をしっかりとアピールする必要があるでしょう。
もし未経験からベンチャー企業の経理の転職を目指す場合は、チャレンジ精神を訴求しましょう。
ベンチャー企業の経理の転職は、自分一人で進めてもなかなかうまくいかないことが多いです。
転職エージェントを活用することで、転職活動の成功確率が高まります。まずは相談してみましょう。
- #ベンチャー企業
- #経理
- #ベンチャー企業の経理


この記事を監修したキャリアアドバイザー

カナダ州立大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。求人企業側の営業職を経験した後、2014年にキャリアアドバイザーへ異動。
2016年からは横浜支社にて神奈川県内の士業、管理部門全職種を担当し、現在は関東全域の士業、管理部門全職種を担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 外資・グローバル企業 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
あなたへのおすすめ求人
同じカテゴリの最新記事

会計事務所に就職・転職するには?事務所選びや年収アップのポイントなど

公認内部監査人(CIA)とは?試験難易度や資格取得のメリット

会計事務所転職の失敗事例と対策。後悔しない転職をしよう!

税理士補助とは? 仕事内容や年収、求人情報、志望動機のポイントも解説

会計事務所が求める人材を事務所規模ごとに解説

令和7年度弁理士試験|最新合格率や試験日程合格後の流れを解説!

管理部門の転職はなぜ難しい?成功のカギと未経験からの突破法を徹底解説

【Big4コンサルへの転職】各社の特徴やキャリアパス、求人例など

経営企画の仕事内容は? 事業企画との違いや求められるスキル、キャリアなど
サイトメニュー

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。
新着記事
求人を職種から探す
求人を地域から探す
セミナー・個別相談会

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。