USCPAの転職先は?会計事務所や監査法人でスキルが活かせる!
USCPAとは、米国の公認会計士の資格であり、会計・監査・税務・コンサルティングなどさまざまな分野で役立つとして注目されています。USCPA取得を目指している、又は取得済みで転職を検討している人も多いのではないでしょうか。
本記事では、USCPAの転職先一覧を解説しつつ、転職活動の注意点や成功事例を紹介します。「転職先の候補が多くて絞れない」といった悩みを抱えている方は、ぜひ今回の内容を参考にしてください。
USCPAの転職先一覧
まずはUSCPAの主要な転職先を一覧形式でご紹介いたします。
監査法人
監査法人は、企業の財務諸表の信頼性を確認するための会計監査を行う専門の組織です。アドバイザリーサービスを提供する部門も持っており、企業の経営課題の解決や業績向上のためのコンサルティング業務を行います。
監査
会計監査とは、企業の財務諸表や会計帳簿が、会計原則や法令に基づいて適切に作成・記録されているかを第三者の視点から検証することです。会計監査は、「USCPAのキャリアの土台」と言われています。どのキャリアを歩んだとしても、会計監査の経験が何かしらの形で関わってくるためです。
たとえば監査の過程で企業の財務諸表を詳細に分析するため、財務分析のスキルが高まります。財務分析のスキルは、監査の後に違う職種に転職する場合でも大いに役に立ちます。企業の経理や経営企画部門でも当然求められるスキルであり、FAS等のアドバイザリーファームに転職した際にも大いに役に立ちます。
USCPAの資格保有者は、国際的な会計基準や米国の会計基準に精通しており、US-GAAPやIFRS適用会社での監査が期待されます。USCPAを持っており、ファーストキャリアを探している方は、まず候補に入れておきたい転職先・就職先です。
※USCPAは日本の国家資格ではないため、監査にかかわる際は日本の公認会計士とチームを組み、監査補助者の立場で監査を行うことになりますが、実務レベルとしては十分な経験を積むことが可能です。
アドバイザリー
冒頭でも示したように、アドバイザリーは、監査法人で「コンサルティング」に関するサービスを提供する部門です。監査・コンサルティングを同一クライアントに対して同時に実施できないため、組織として分けられているのが一般的とされています。
具体的には、IFRSやUSGAAPといった国際会計基準の導入・コンバージョン支援や、SOX法・JSOX法等にかかわる内部統制支援、近年ではDX支援(デジタル化支援)といった案件も多いです。「コンサルティングに特化したい」「特定のサービスラインに従事したい」と考えている場合は、アドバイザリーを選ぶのもよいでしょう。
会計事務所
会計事務所(税理士法人)は、企業や個人に対して会計・税務・経営に関するサービスを提供する組織です。主な業務としては、財務諸表の作成支援や税務申告、税務相談、経営コンサルティングなどがあります。
会計事務所と税理士法人の違いは、法人化されているかどうかで、基本的に大きな違いはありません。ただしグローバルに活動している組織は、規模が大きくなりやすいため、転職市場に出回っている求人は税理士法人のものが多いようです。
キャリア初期は、先輩税理士や会計士の下で基本的な業務を学びながら、実務経験を積んでいくのが一般的です。数年の経験を積むと、プロジェクトのリーダーやマネージャーとして、クライアントとの直接のコミュニケーションや業務の進行管理などの責任をもつようになります。
ただし、会計事務所(税理士法人)は、文字通り税理士の主戦場となっており、USCPAの資格保有者が活躍するのは比較的難しいと言えます。
USCPAが活躍するケースとしては、Big4などの外資系企業や日系のグローバル企業をクライアントにしている大手税理士法人で、移転価格税制などの高度かつ、語学力を求められる業務に従事する場合などが挙げられます。
事業会社
事業会社は、大きく分けて「経理部門」「経営企画部門」「内部監査部門」の3つの選択肢があります。それぞれの概要・キャリアパスを解説します。
経理
経理部門は、企業の財務諸表の作成、日常の帳簿記帳、資金管理、予算策定など、会計・財務に関する業務を中心に担当します。USCPAが事業会社に転職する際、基本的にはこのポジションであり、転職先としてもおすすめです。
USCPAは米国の会計基準や国際的な会計基準に精通しているため、国際的な取引をもつ企業の経理部門での業務に関わる可能性があります。たとえばFP&A(海外親会社への決算報告)、海外子会社事業部、M&Aプロジェクトなどです。
経営企画
経営企画部門は、企業の経営戦略の策定や事業計画の立案、M&Aの検討など経営全体を見渡す戦略的な業務を担当します。会計との関連性が薄れてしまうため、USCPAの知識・スキルをフルに活用できる分野ではありませんが、選択肢としては悪くありません。
USCPAの持つ会計や財務の深い知識は、事業計画の策定や業績分析、財務モデリングなどの業務に活かされます。M&Aの際のデューデリジェンスや財務評価にも、その専門性が求められるでしょう。
内部監査
内部監査部門は、企業の業務プロセスや内部統制の適切性、リスク管理の状況を評価・監査し、経営層に報告・提案する業務を担当します。
USCPAの専門性を発揮しやすい分野です。とくに、米国企業や米国市場に上場している企業の内部統制に関する規制(SOX法)に対する理解が深いため、そのような企業の内部監査部門での業務に強みをもちます。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームは、企業や組織に対して、経営戦略などさまざまな分野でのアドバイス・ソリューションを提供する組織です。コンサルティングファームに転職する場合、分野としては「FAS」「経営コンサルティング」が候補になってきます。
FAS
FASは、ファイナンシャル・アドバイザリー・サービスの略で、企業の財務に関連するアドバイザリーサービスを提供しています。M&Aアドバイザリー、財務再構築、評価・価格設定、財務リスク管理などが主要な業務です。
近年、公認会計士の転職先として人気が高まっており、USCPAの資格保有者を採用するケースも出てきています。海外の監査法人へ転職する道もあるなど、「キャリアを広げる」といった観点でもおすすめの転職先です。
経営コンサルティング
経営コンサルティングは、企業の経営戦略や業務プロセスなど、経営全体に関する課題解決や業績向上をサポートする部門です。もっと簡単に言えば、「アドバイスを通して売上を向上させる」のが目的となります。
「経営」の色が濃いため、USCPAの資格取得で得た知識をフルで発揮するのは難しいでしょう。クライアントの影響を受けやすく、労働時間も長めですが、その分高収入を実現できる可能性があります。USCPA以外の関連資格を持っているなど、経営に関する素養や経験に自信がある場合は、転職先としておすすめです。
金融機関
金融機関は、クロスボーダーM&Aや海外関連事業など、USCPAで磨いた知識・スキルを活かせる業務がいくつかあります。主要な金融機関としては、商業銀行や投資銀行、証券会社、資産運用会社などです。
USCPAの転職先で、昨今大きな注目を浴びているのは投資銀行です。外資系の投資銀行は転職難易度が非常に高く、激務ではありますがその分高収入を期待できます。ただし、外資系は国内企業との文化の違いが顕著なので、適性を見極めるのが重要です。
USCPAを活かした転職活動の注意点
英語力・会計知識・ビジネスセンスの根拠としてアピールする
まず、USCPAを英語力・会計知識・ビジネスセンスの根拠としてアピールすることが重要です。会計業界未経験者であっても、経験者であっても、転職先ではUSCPA保持者に対して以下の3要素を重視するものと考えておきましょう。
・英語力
・会計力
・ビジネスセンス
英語力に関しては、たとえばTOEICのスコアや英検の有無だけでなく、現職や以前の職場で英語を使って仕事をする職場で働いていたかどうかもポイントになります。
監査の求人に応募した場合は、監査に対応できる会計能力があるかどうか、職務経歴書を確認して質問されることも想定しておきましょう。
アドバイザリーとして採用されたいなら、これまでの実務経験で培った専門性をアピールすることが大切です。
必ずしも3要素のバランスが整っている必要はなく、応募先のニーズに叶う能力があると判断されれば問題ないので、転職エージェントなど第三者の意見も取り入れながら対策しましょう。
USCPAだけに頼らない
経験者・未経験者問わず、USCPAだけに頼らない姿勢も重要です。日本におけるUSCPAの資格は、税理士・公認会計士資格と違って、人生を大きく変えるスタートラインではなくステップアップの意味合いが強いものです。
実務経験にプラスされた、いわば「付加価値」的なニュアンスが強い資格であることから、USCPAだけ取得していれば採用に至るわけではありません。
書類選考や面接では、普段の実務への取り組み方や実績も合わせて評価されるため、資格を取得しているだけではアピールポイントとして弱くなってしまいます。自分の得意分野や専門性を確立していることが、転職の可能性を高める上で重要になるでしょう。
資格を取得していること自体は歓迎されるポイントであり、それがマイナスに働くことはないでしょう。しかし、自分から「USCPAを取得しています!」と強くアピールするスタンスは、応募先に好印象を与えることはありません。
採用担当者・面接官は、資格の取得難易度ではなく、自社で何らかの成果を出してもらえるか・活躍できる人材かどうかを判断したいと考えています。よって、資格については自分から触れず、自分が現職以前で貢献してきたことをアピールしましょう。
もちろん、面接官に資格取得について質問された場合は、回答して構いません。聞かれたことに対して、謙虚さをもって回答しましょう。
USCPAを活かした転職成功事例
弊社MS-Japanは、USCPAなどの士業と管理部部門に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。ここでは、「MS Agent」を利用して転職したUSCPA資格保持者の事例をご紹介します。
USCPA資格を活かし、会計職としてキャリアを築くために大手監査法人に転職へ!
20代後半男性
総合コンサルティング会社
システム統合担当
年収600円
Big4監査法人
監査・アドバイザリー
/ポジション
年収450万円
こちらの会員様は、学生の頃から「経営やIT、人事などの総合的なコンサルティングに携わりたい」というお気持ちがあり、現職のコンサルティング会社へ入社されました。
金融業界をメインに、会計系システムの保守・運用や、基幹システムの統合プロジェクト等を経験されています。
その後、米国基準の会計業務支援プロジェクトを担当し、会計システムの改善提案だけでなく、一部日次経理業務や開示資料作成補助などにも従事されています。
資格は日商簿記2級に加えて、USCPAの全科目に合格。
会計システムのプロジェクトに携わった後、会計職を究めたいと奮起、見事USCPAを取得されました。
今後は会計職としてキャリアを築いていきたいという気持ちが強まり、この度の転職を決意されました。
子育てが落ち着いたため、Big4での業務経験を活かしてキャリア構築へ
40代後半女性
会計事務所
パート勤務
年収200円
会計事務所
会計税務スタッフ
年収400万円
こちらの会員様は、USCPA有資格者で、Big4にて監査経験をお持ちです。
お子様がいらっしゃいますが、直近1月に取得したTOEICスコアは、830点というハイスコアを記録しています。
アメリカの大学を卒業後、ホテルで接客業をお勤めの後にUSCPAを取得され、監査法人へご転職されています。
監査経験は7年で、最終職位はシニアスタッフ、主査・インチャージ経験もございます。
お一人目のお子様をご出産される際にご病気を発症し、就業継続が困難となりご退職されています。 ※(現在は完治)
その後9年間は育児に専念され、体調が回復してからは、パートとして現職の会計事務所でキャリアを再スタート。
現在は、年商数千万〜3億円規模の10件の法人、5件の個人案件を担当されています。
税務申告書作成や月次の巡回監査、給与社保の対応、自計化の支援、システム導入支援、開業支援など幅広い実務経験をお持ちです。
お子様が小学校に進学されたことを契機に、正社員としてキャリアの幅を広げたいとの思いから転職を決意し、MS Agentにご相談を頂きました。転職活動の結果、会計事務所に内定し、会計税務スタッフとして入社の運びとなりました。
USCPAの求人例
弊社でお取り扱いしているUSCPAが対象の求人から2つ参考求人をご紹介いたします。
IPO準備中/エネルギー分野に風穴を開ける新進気鋭ベンチャー/経理マネージャー募集
仕事内容 |
監査対応、開示書類作成、月次・年次決算とりまとめ、連結決算(&子会社管理)など ※入社後、その方の適性・志向に合わせて相談 |
必要な経験・能力 |
<必須要件> ・事業会社向け監査対応経験(監査法人側、事業会社側のいずれか) ・公認会計士(会計士補含む)又はUSCPA資格 ※USCPAのみの場合、事業会社又は監査法人での実務経験必須(年数不問)。 <歓迎要件> ・スタートアップ企業又は製造業での監査対応経験 ・連結決算等の経理実務経験 ・ビジネス英語 |
想定年収 |
800万円 ~ 1200万円 |
大手監査法人出身者多数、少数精鋭のコンサルティングファーム
仕事内容 |
M&Aアドバイザリー全般、株式価値算定業務、IPO支援業務、グローバル業務、経営企画部⽀援、CFO代⾏など |
必要な経験・能力 |
<下記いずれかに当てはまる方> ・会計事務所や監査法人での実務経験者 ・事業会社の経理や経営企画経験者 ・公認会計士、税理士、USCPAなどの資格をお持ちの方 ・公認会計士受験経験者や短答式合格者 ・コンサルティング会社経験者 ・営業出身者 |
想定年収 |
500万円 ~ 1200万円 |
USCPAの求人情報を確認したい方はコチラ
USCPAの求人情報
監査法人・コンサルティングファームから上場企業、グローバル企業まで、USCPA資格が活かせる求人を幅広く取り揃えております。
サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。
まとめ
USCPAの資格は、監査法人や会計事務所などで評価される資格の一つです。
アメリカで会計職に従事することを想定した資格ではありますが、国際相互承認協定が結ばれている国では、USCPAの資格を活かすことができます。
ただし、USCPAの全科目に合格しているだけで、応募先が必要な能力を満たしていると判断するわけではありません。
これまでの実務経験がマッチするかどうか、職場の激務に耐えられるタフネスを備えているかどうかなど、面接では総合的な観点から評価されることでしょう。
採用を勝ち取るためには、資格だけを武器にするのではなく、応募先のニーズをつかんだ上で能力をアピールしましょう。
また、新しい職場で目指すキャリアを構築する点においては、自分が転職先に求めることと、転職先が提供できる環境のマッチングを意識することが大切です。
なお、国際会計事務所で働くことを想定されている方は、以下の記事もお読みください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。
会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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