知的財産管理技能士は就職・転職に役立つ?その後のキャリアは?
知的財産管理技能士を取得した、あるいは取得しようか迷っている、という人も多いのではないでしょうか?
知的財産管理技能士の資格は、特に知的財産に関わる部門へ就職・転職する際に役立ちます。
ここでは、知的財産管理技能士とはどのようなものなのか、また取得するメリットや評価を見ていきましょう。
知的財産管理技能士とは?弁理士との違いは?
知的財産管理技能士とは、知的財産を管理する技能の習得レベルを測定・評価するための国家資格です。
検定試験は、厚生労働省が所管する職業能力開発促進法にもとづいて実施されています。
知的財産とは、著作物や商標、意匠、発明など、人間が生み出したアイデアやブランドなどを指しています。
それぞれ、著作権や商標権、意匠権、特許権などの権利として、法的な保護の対象となっています。
企業にとって知的財産の権利は、重要な経営資源の1つです。逆に、他者の権利を侵害した場合には、訴訟対応に迫られ、損害賠償請求を受けるなどの可能性がでてきます。
産地偽装や違法ダウンロード等の知的財産に関する事件は頻発しており、これらは「知的財産」の知識が不十分なために起こっています。
「知的財産立国」として、日本政府は知的財産を重視する国家戦略を2002年に採用しました。
2008年より、知的財産管理技能検定が実施され、多くの企業が推奨し、昇格要件や人事考課の要件とするようになっていることから、受検者は増加の一途をたどっています。
2023年3月の第44回検定までの時点で、延べ受検申請者数は455,108人、技能士数は127,334人となっています。
知的財産管理技能検定は1級~3級まであり、学科試験と実技試験どちらも合格する必要があります。なお、1級は「特許専門業務」「コンテンツ専門業務」「ブランド専門業務」に分かれています。
直近実施された第40~44回試験での合格率の平均は以下です。
・1級学科:6.46%
・1級実技:70.08%
・2級学科:48.46%
・2級実技:39.63%
・3級学科:68.15%
・3級実技:70.37%
※1級試験に関しては「特許専門業務」「コンテンツ専門業務」「ブランド専門業務」すべての平均を算出しています。
知的財産管理についての国家資格として、知的財産管理技能士のほかに弁理士があります。
弁理士は、特許や実用新案、意匠、商標などの出願手続きを独占業務として付与されています。
それに対して知的財産管理技能士は、独占業務は付与されていません。あくまでも、知的財産管理に関する一定の能力を証明するものとなります。
弁理士は、特許事務所など企業の外部で能力を提供する専門職業人として基本的に位置づけられます。それに対して知的財産管理技能士は、企業の内部で能力を発揮する人として位置づけられています。
弁理士 | 知的財産管理技能士 | |
目的 | 独占資格の付与 | 能力の証明 |
合格後の職業 | 特許事務所の所長等 | 企業・団体の職員等 |
認定主体 | 国 | 国 |
業務独占 | 有 | 無 |
名称独占 | 有 | 有 |
企業・団体との関係 | 外部 | 内部 |
(参照:知的財産教育協会「知的財産管理技能検定とは」)
知的財産管理技能士を取得するメリット 就職に有利な職場は?
知的財産管理技能士を取得するメリットは、就職・転職に役立つことがあげられます。
多くの企業が、知的財産管理技能検定を社員に対して推奨し、また昇格要件・人事考課の要件としています。
このことは、企業がそれだけ知的財産の管理業務を重要視しているからだといえます。
知的財産管理技能士を取得することにより、企業で、技術やブランド、デザイン、コンテンツなどの管理を行う仕事や特許戦略を立案する業務ができる可能性が高まります。
知的財産管理技能士を取得していると就職・転職に有利になる職場は、具体的には以下のようなものとなるでしょう。
・コンテンツの制作部門
出版社やレコード会社、映画の制作会社などには、著作権を管理する部門があります。
また、アパレルメーカーやデザイン会社などでは、自社の意匠権を守りながら、企業ブランドの確立とビジネスの拡大を目指します。
知的財産管理技能士の資格を取得していれば、それらの会社へ就職、転職するために有利になるでしょう。
・企業の法務部門
企業の法務部門は、特許の調査や出願書類の作成、特許庁や特許事務所との対応など、特許に関する業務を行います。
知的財産の管理に関する知識は欠かせない部署だといえます。
・特許事務所
特許事務所でも、知的財産管理技能士は戦力となりえるでしょう。
また、知的財産管理技能士の取得は、弁理士資格の取得への足がかりとすることもできます。
知的財産管理技能士を取得したらどう評価されるのか?
知的財産管理技能士を取得すると、どう評価されるのでしょうか?級別に、評価の内容を見てみましょう。
・知的財産管理技能士 1級
知的財産管理技能士1級は、特許専門業務、コンテンツ専門業務、およびブランド専門業務の3つに分かれています。
1級の取得者は、それぞれの業務において「専門的な能力がある」と評価され、深い専門的知識をもち、業務上の課題の発見と解決を主導できる技能がある、いわゆる「知的財産分野のプロ」と認められることとなります。
・知的財産管理技能士 2級
知的財産管理技能士2級は、知的財産の分野について「基本的な管理能力がある」と評価されることとなります。
取得することにより、知的財産部門の管理職レベルが、最低限押さえておきたい知識が身に付けられるといわれています。
・知的財産管理技能士 3級
知的財産管理技能士3級は、知的財産分野について「初歩的な管理能力がある」と評価されることになります。
取得することにより、ビジネスパーソンの常識として学んでおきたい知識が身に付けられるといわれます。
知的財産管理技能士は就職や転職に有利!
知的財産管理技能士を取得すれば、就職や転職に役立つこととなります。
特に、企業の知財部門などへの就職・転職を希望する人にとっては、知的財産管理技能士は取得がおすすめの資格だといえるでしょう。
2級や3級は合格率も比較的高いので、ぜひ取得して、就職・転職を有利に進めていきましょう。
<参考>
・知的財産教育協会『知的財産管理技能検定とは?』
・知的財産教育協会『実施データ』
・知的財産教育協会『知的財産管理技能検定とは』
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