知的財産担当者が押さえておくべき資格一覧
今回のリーガルトピックでは、知的財産関連資格のうち代表的な資格の内容とその難易度をご紹介させていただきたいと思います。
「知的財産関連の仕事をしたいと考えているが、どんな資格を取ればいいか分からない」
「キャリアアップにあたって、どの資格がアピールポイントになるのか分からない」
このような疑問をお持ちの方は多数いらっしゃいます。今回のコラムを参考にぜひ気になった資格を取得し、今後のキャリア形成に役立てていただければ幸いです。
知的財産関連資格1:弁理士
特許権、実用新案権、意匠権、商標権、これら4つの権利を総称して産業財産権と言い、弁理士法で規定されたこの産業財産権等に関する業務を行うために、法律と専門知識に精通した国家資格が弁理士の資格です。知的財産関連の資格としては最高峰の資格であり、合格率は4~7%、合格するには3~4年程度の期間がかかります。
独学での合格は困難であるため、合格者のほとんどが資格予備校を利用しています。
知的財産関連資格2:知的財産管理技能士
知的財産管理技能士は、企業・団体等における発明、実用新案、意匠、商標、営業秘密、著作物等の知的財産の創造、管理、保護または活用を適切に行うことを目的とした資格で、
知的財産管理技能検定試験は、企業・団体(学校・官公庁等)における知的財産(発明、ブランド(商標)、著作権等)の創造・保護(権利化)・活用に関する知識及び実務的な能力に関する国家試験です。
試験は1級~3級それぞれについて学科試験と実技試験が実施され、学科試験および実技試験の両方を合格すると「技能士」と称することができます。最近では、本資格(特に2級以上)の有無を採用にあたっての歓迎条件にする企業も増えており、今後も評価が高まっていくことが見込まれる資格です。
年によってばらつきはありますが、1級の合格率は10%弱とかなり低く、合格に必要な期間も2~3年はかかります。2級の合格率は50%前後で、半年から1年前後の学習期間が必要とされます。3級の合格率は70%前後、学習に要する期間は数か月から半年前後です。
知的財産関連資格3:ビジネス著作権検定
著作権に関する知識や、それに関連する知識の基礎的な理解と具体的な裁判例やビジネス実務における慣例を基準とする事例判断での応用力をレベル別に測定する検定試験です。上級試験と初級試験があります。著作権に特化した資格としては、日本初の試験であり、著作物を扱う企業、たとえば出版社やメーカー等で評価される資格です。
上級試験の合格率は50%前後、初級試験の合格率は60%前後であり、初級試験では20時間前後、上級試験でも50時間前後の学習時間が確保できれば合格が目指せる内容となっています。
知的財産関連資格4:知的財産翻訳検定
知的財産翻訳の中心である特許明細書などの知的財産に関する翻訳能力を客観的に測るための検定試験です。日本企業が海外に特許出願を行う際に必ず必要になる特許明細書の翻訳には、通常の技術翻訳力に加えて、特許特有のものの考え方や国際的に確立されている種々の専門知識が求められます。優秀な特許翻訳者は慢性的に不足しているため、本資格保持者に対するニーズは高いと言えます。
試験結果は級毎の合否判定ではなく、1級 / 2級 / 3級 / 級外の判定となります。認定を率で表すと、1級合格率10%前後、2級合格率40%前後、3級合格率60%前後となります。各級取得の前提条件として、TOEICスコア700点が必要であり、かつその上でさらに知的財産に関する専門的知識を習得する必要があるため、特に1級に合格するためには数年単位の学習が必要になるでしょう。
知的財産関連資格5:AIPE認定知的財産アナリスト
知的財産アナリストとは、企業経営・ファイナンス・知的財産に関する専門知識を有し、国内外の他社・自社の各種知的財産関連情報の収集・分析・評価・加工、知的財産あるいは企業の価値評価等を通じて、企業の戦略的経営に資する情報を提供できる特殊スキルを持つ職種のことをいいます。
経営活動と知的財産活動を結びつけ、有機的に機能させることが出来るようにする人材として、今後注目されていくことが予想される資格です。
知的財産アナリストになるには、知的財産アナリスト認定講座を受講する必要があります。ただし、複数領域の高度かつ広域の知見を必要とするため、受講対象者は、基礎となりうる専門性を既に保有する所定の国家資格者(知的財産管理技能士・弁理士・弁護士・公認会計士等、一部に公的資格を含む)に限定されます。また、AIPE認定資格を取得するためには知的財産アナリスト認定講座で行われる認定試験に合格する必要があります。
知的財産関連資格の難易度
知的財産関連資格の難易度を図解しますと、下記のように整理できます。
資格取得の際の参考としていただければ幸いです。
※資格の難易度に関しましては、合格率、合格までに必要とされる期間、合格に必要とされる知識量の多さ等の観点から、総合的に判断させていただいております。
※知的財産アナリストに関しては、弁理士資格保持者や、知的財産管理技能検定合格者その他の専門家が、より専門性を高めるために取得する資格という側面があるため、難易度の評価が困難であったため、表には記載しておりません。
今回のリーガルトピックスでは、知的財産関連資格のうち代表的なものを取り上げさせていただきました。資格の取得は、あくまでキャリアアップの一手段に過ぎませんが、すでに知財業務に携わっている方にとっては、自身の業務を見直し今後のキャリア形成の武器として、また知財業務に携わっていない方にとっては、知財業界への道を切り開くための武器として活用できるものです。ぜひ資格を活かして自身の道を切り開いてください。
(文/キャリアアドバイザー 山崎雅彦)
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