ビジネス実務法務検定難易度は高い?合格率や資格の活かし方などについて解説
ビジネス実務法務検定試験とは、その名の通り、ビジネスの場で使える法律に関する検定です。
2級の合格率は2022年度で51.6%となっています。
ビジネスの場で法律知識が必要になるのは、法務だけとは限りません。取引先との契約やコンプライアンス、労働基準法に応じた雇用契約等、法務以外の職種でも正しい法律知識をもっておくことは、決して無駄なことではありません。
今回は、ビジネス実務法務検定3級・2級・1級それぞれの合格率や難易度、試験概要などをまとめました。
今後のキャリアを考える参考にしていただければ幸いです。
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ビジネス実務法務検定試験3級・2級の合格者数・合格率
2022年度の試験結果
級 | 受験者数(人) | 実受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率 | |
---|---|---|---|---|---|
第51回 | 2級 | 5,040 | 4,249 | 2,246 | 52.9% |
3級 | 7,370 | 6,261 | 5,427 | 86.7% | |
第52回 | 2級 | 6,392 | 5,549 | 2,807 | 50.6% |
3級 | 7,955 | 7,307 | 5,866 | 80.3% | |
合計 | 2級 | 11,432 | 9,798 | 5,053 | 51.6% |
3級 | 15,325 | 13,568 | 11,293 | 83.2% |
2級3級ともに合格率が高かった昨年度と比較すると合格率は下がっていますが、2022年度の合格率は比較的高い水準となりました。
ビジネス実務法務検定試験3級・2級・1級の勉強時間目安と難易度
勉強時間目安 | 勉強期間 (1日1~2時間ほど勉強した場合) |
難易度が近い資格 | |
---|---|---|---|
3級 | 40時間前後 | 1~2カ月程度 | 普通自動車免許、英検3級など |
2級 | 60時間前後 | 2カ月程度 | 簿記3級、FP3級など |
1級 | 80時間前後 | 2~3カ月程度 | 社会保険労務士、行政書士など |
ビジネス実務法務検定試験の難易度は、級によって異なりますが、一般的なビジネスパーソンが働きながら取得できるレベルの試験です。
ただし、2級・1級の難易度は高く、1級は社会保険労務士などとも近いレベルになるようです。
そのため、学習時間をしっかりとって対策をする必要があります。
3級
ビジネス実務法務検定3級に合格するために必要な勉強時間は、40時間前後が目安とされています。
資格の中では比較的取り組みやすい部類には入りますが、それでも1カ月程度の勉強期間が必要になるでしょう。
3級では「ビジネス実務法務の法体系」や「企業取引の法務」「債権の管理と回収」など、さまざまな分野から出題されます。
難易度はそれほど高くありませんが、比較的暗記の要素が強いため、暗記が苦手な人にとっては合格までに時間がかかるでしょう。
2級
ビジネス実務法務検定2級に合格するために必要な勉強時間は、60時間前後が目安とされています。
1日1時間勉強すると仮定した場合、2カ月程度での合格が目安です。
会社員であれば、勉強できない日も多いかと思われますので、4カ月程度を見ておくとよいでしょう。
2級では、3級で固めた基礎をもとに、知識のインプット・アウトプットを行っていきます。
暗記の要素が強かった3級と比べて、論理的思考力がより求められるようになるため、理論を丁寧に理解するための時間が必要です。
1級
ビジネス実務法務検定1級に合格するために必要な勉強時間は、80時間以上が目安とされています。
これは早い人の場合であり、100時間や200時間を要することも珍しくありません。
2級に比べて難易度が跳ね上がるため、半年から1年程度の勉強期間を想定しておくとよいでしょう。
なぜ1級で勉強時間が急激に増えるかというと、3級・2級は択一式であるのに対し、1級は論述式です。
身に着けた知識を自身で言語化するスキルが必要なため、暗記一本で乗り越えてきた人にとっては、かなりの時間を要するでしょう。
簿記試験との合格率比較
ビジネス実務法務検定 | 日商簿記 | |
---|---|---|
3級 | 70~80%前後 | 40~50%前後 |
2級 | 30~40%前後 | 10~20%前後 |
1級 | 10%前後 | 10%前後 |
日商簿記試験とビジネス実務法務検定試験の合格率を比較すると、ビジネス実務法務検定の受験者数は簿記受験者の10分の1程度ですが、3級・2級の合格率に関しては、簿記の合格率よりかなり高い状況です。
ビジネス実務法務検定の勉強方法
2級・3級に関しては、独学でも十分合格できる難易度です。
まずは勉強を始める前に、学習スケジュールを立てましょう。
試験日や必要な勉強時間から逆算して、1日のノルマもしくは1週間のノルマを設定するのが基本です。
最初のインプットには、テキストを使います。
基本的には、東京商工会議所が作成しているテキストでよいでしょう。
網羅的に学習するというよりも、民法と商法(会社法)を重点的に勉強するイメージで進めていきます。
ある程度インプットが済んだら、後はとにかく過去問(過去問題集)を解きます。
実際の問題に触れることで、「全体的にどのような流れで出題が進んでいくのか」「どのような出題傾向があるのか」などが分かってきます。
「勉強する時間がない」「モチベーションの維持が難しい」などの問題がある場合は、通信講座も検討してみましょう。費用はかかりますが、その分効率的なインプットが可能です。
ビジネス実務法務検定試験の合格基準や受験概要
3級・2級の合格基準は70%以上
受験料(税込み) | 制限時間 | 合格基準 | 合格者の称号 | |
---|---|---|---|---|
3級(IBT方式) | 5,500円 | 90分 | 100点満点中、70点以上 | ビジネス法務 リーダー® |
3級(CBT方式) | 5,500円 +2,200円 |
90分 | 100点満点中、70点以上 | ビジネス法務 リーダー® |
2級(IBT方式) | 7,700円 | 90分 | 100点満点中、70点以上 | ビジネス法務 エキスパート® |
2級(CBT方式) | 7,700円 +2,200円 |
90分 | 100点満点中、70点以上 | ビジネス法務 エキスパート® |
1級(CBT方式) | 9,900円 +2,200円 |
共通問題:90分 | 200満点中、各問題ごとに得点が50%以上、 かつ合計点が140点以上 |
ビジネス法務 エグゼクティブ® |
選択問題:90分 |
問題の出題形式は、3級・2級は多肢選択式、1級は論述式の試験となります。
3級および2級については、受験資格の制限は特にありませんので、3級を飛ばしていきなり2級から受験する方や、3級と2級を併願して受験する方もいるようです。
ただし、1級に関しては2級の合格者のみ受験が可能となっています。
また、試験方式として「IBT方式」と「CBT方式」があります。
IBT方式は、ご自宅など好きな場所でご自身のパソコンを使用して受験します。テストセンターへ移動する手間を省けますが、ご自身で受験環境を整える必要があります。
一方CBT方式は、各地にあるテストセンターへ行き受験します。安定した環境ですが、利用料として別途2,200円を支払う必要があるためご注意ください。
なお、3級・2級はどちらの方式で受験するかを選べますが、1級はCBT方式のみとなります。
2023年度ビジネス実務法務検定試験のスケジュール
第53回
【2・3級】
申込期間
2023年5月19日(金) 10:00~2023年5月30日(火)
試験期間
2023年6月23日(金)~2023年7月10日(月)
第54回
【2・3級】
申込期間
2023年9月22日(金)~ 2023年10月3日(火)
試験期間
2023年10月27日(金)~ 2023年11月13日(月)
【1級】
申込期間
2023年11月7日(火)~ 2023年11月14日(火)
試験日
2023年12月10日(日)
ビジネス実務法務検定は同時受験可能?
ビジネス実務法務検定は、同時受験可能で2級・3級を併願して受験できます。(1級は2級合格者のみ受験可能)
特に2級と3級は、同時に受験した方が知識を習得できると言われています。
3級はインプットによる暗記問題が多く、2級はアウトプットによる演習問題が多く出題されます。
2級と3級の勉強を同時に行うことで、相乗効果が期待できるでしょう。
ビジネス実務法務検定の取得メリット
普段の業務に役立つ
ビジネス実務法務検定は、民法や商法、会社法などを中心に法律の基礎知識が問われます。
法務部ではもちろん、それ以外の部署においても、取得しておくことによって役立つ場面は多くあるでしょう。
特に昨今では、コンプライアンスが重視される風潮になっており、一人の従業員が「炎上」の火種になってしまうことも少なくありません。
ビジネスシーンでリスクに敏感になれれば、より健全な業務遂行につながるでしょう。
就職や転職に役立つ
ビジネス実務法務検定は、企業のニーズに応じて設立された試験であり、「法律に関する基礎知識をもっている」ことの証明となります。
応募書類に記載できるため、就職活動を有利に進められる可能性があるでしょう。
もちろん、ビジネス実務法務検定をもっているからといって、簡単に採用試験をパスできるわけではありません。
ただし、推奨資格として定めている企業も多く、少なからず選考においてプラスになる点は間違いないでしょう。
その他の法律関連資格の基礎知識が養われる
ビジネス実務法務検定2級を取得した後は、1級を受験してより専門性を深めるという選択肢もありますが、他の資格にチャレンジしても良いでしょう。
民法や商法、会社法に関する基礎知識は、他の法律系資格を取得する際にも大きく役立ちます。
たとえば、ビジネスコンプライアンス検定や知的財産管理技能検定などといった資格や、法律系の国家試験である司法書士や行政書士に挑戦する選択肢もあります。
難関資格といわれる司法書士の主要5科目は、「民法」「民事訴訟法」「不動産登記法」「商法(会社法)」「商業登記法」です。
まったく知識のない状態から司法書士の勉強を始めるのと、ビジネス実務法務検定を経由して始めるのとでは、まったくハードルが異なるでしょう。
転職で有利になるのは何級?
転職活動でビジネス実務法務検定をアピールしようと思った場合、2級以上を取得していると評価に結びつくことが多いようです。
ただし、一般企業の法務部へ転職する場合、中途採用では知識だけでなく、実務経験を求められることが多いのが現状です。
そのため、ビジネス実務法務検定の資格をもっているだけでは転職を成功させるのは難しく、実務経験にプラスして、ビジネス実務法務検定の資格をもっていることをアピールするのがよいでしょう。
ビジネス実務法務検定は応募書類にはどう記載する?
ビジネス実務法務検定に合格した後は、転職などの応募書類の所有資格に記載できます。
記載にはいくつかポイントがあるため、あらかじめ押さえておくとよいでしょう。
資格名称や取得年月日を正確に記載する
資格を記載する際は、必ず正式名称を記入するようにしましょう。ビジネス実務法務検定は、「ビジ法」と呼ばれることが多いですが、これは俗称です。
担当者が資格を判別できないだけでなく、「資格の正式名称すら書けない」として、低く評価されることもあります。
取得年月日は、ビジネス実務法務検定の合格書などに記載されているので、正確に記載しましょう。
具体例としては、以下のような書き方ができれば問題ありません。
令和◯年◯月◯日 ビジネス実務法務検定◯級 合格
実務経験を絡めて説明する
転職で最も重要視されるのが「実務経験」です。
取得した資格を最大限に活かすためには、実務経験に絡めて説明しましょう。
具体的には、「資格で得た知識を使ってどのような業務を行ったか」を記載します。
たとえば「ビジネス実務法務検定で得た知識を活用して、コンプライアンスやリスク管理を担当してきた」「知的財産の管理に携わった」「特許に関する業務に携わった」などの経験を記載しましょう。
もちろん法務部以外の一般事務などの場合も資格をアピールできます。
たとえば「ビジネス実務法務検定で得た知識を参考にして、契約書の作成や契約の締結に携わってきた」といった書き方をすると良いでしょう。
まとめ
この記事では、ビジネス実務法務検定の難易度について解説しました。
3級・2級の合格率は働きながら取得できるレベルですが、1級はかなり難易度が高いようです。
また、合格後は転職時の応募書類に正式名称・取得年月日を正しく記載しましょう。
ビジネス実務法務検定は活かし方次第で、様々な職種でアピールポイントとなります。
キャリアに悩んだら、弊社MS-Japanにぜひご相談ください。
<参照>
・東京商工会議所 ビジネス実務法務検定
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、新卒でMS-Japanへ入社。企業側を支援するリクルーティングアドバイザーとして約6年間IPO準備企業~大手企業まで計1000社以上をご支援。
女性リクルーティングアドバイザーとして最年少ユニットリーダーを経験の後、2019年には【転職する際相談したいRAランキング】で全社2位獲得。
現在は法科大学院修了生~法務経験者、管理職経験者、弁護士の方までリーガル領域を中心に幅広く担当しております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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