2024年03月08日

FASに転職して後悔しないために!デメリットや転職の注意点を解説!

管理部門・士業の転職

年齢ではなく自分の努力・実績を評価して欲しいと考えている人にとって、FASは魅力的な職場の一つに数えられます。財務に関するアドバイザリー業務など、専門性が高い業務に従事するFASは、会計・監査・財務等の経験者にとって魅力的な転職先の一つです。
その一方で、「FASに転職したことを“後悔している”」という声も少なからずあるようです。そのため、FASに転職する際は、自分に合った職場かどうか慎重に検討する必要があります。

この記事では、主にFASへの転職を検討している会計職向けに、FASに転職する際の注意点について解説します。

そもそもFASとは?

FASとは、M&Aや財務業務に特化したコンサルティングファームのことを指します。

FASの業務内容として、代表的なものは「M&A」「事業・企業再生」「フォレンジック」の3つがあります。
次の章でそれぞれの業務について詳しく解説します。

FASの業務内容

M&A

FASがM&A業務の専門職だと勘違いするクライアントもいるほど、M&A業務はFASにとって重要なものです。M&A業務の流れは、次のような流れで進んでいきます。

1.財務DD
2.バリュエーション
3.PMI
4.PPA・減損テスト

以下、上記4業務の内容を紐解いていきましょう。

1.財務DD

財務DD(デューデリジェンス)とは、買収対象企業の財務上の価値があるのかを知るための調査を行うことです。他には労務DDや法務DDなどもあります。
主に「リスクの洗い出し」に用いられ、自社で行うケースもありますが、リスクヘッジのために別の専門のコンサル会社等に委託するケースもあります。

DDは監査と比較して短期間で実施し、分析・質問を中心とした業務になります。
監査法人での監査経験が活かせる業務であることから、監査法人から転職してきた人の多くは、最初に財務DDを任されることが多いようです。

2.バリュエーション

バリュエーションとは、日本語に訳すと「企業価値判断」となり、買収対象企業の買収価値(株価)を算定する業務です。
監査業務の実務経験のほか、担当者の“数字の強さ”が問われる業務であり、経験者は投資銀行への転職可能性も高いとする意見もあります。

企業の買い手は、「算定した価格>購入価格】の状況になった場合に、買収を決定する傾向にあります。逆に売り手側がバリュエーションを行い、より魅力的な買い手を探すケースも見られます。

3.PMI

PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)とは、一言でまとめると「M&A後の統合」に関連する業務です。
M&Aは買収して終わりという単純な話ではないので、経営戦略・ブランド・システム等の統合につき、買収後も2社の間で調整が引き続き必要になります。

監査法人で会計士として勤務していた人であれば、実務経験を考慮して、会計制度や内部統制の統合を担当する可能性があります。
求められるスキルがジャンルにより異なるため、PMIの実務未経験者が担当するのは、ややハードルが高めとされます。

4.PPA・減損テスト

PPA(パーチェス・プライス・アロケーション」は、買収時における取得原価の配分に関する手続きのことです。
M&A時はバランスシートに計上されている資産・負債を引き継ぐ形になりますが、無形資産も引き継がれるため、その無形資産をPPAによって識別します。

次に減損テストですが、こちらは「のれん」の減損兆候から測定までをテストするものです。会計基準によってアプローチが異なるなど、高度な専門性や判断が必要になる業務です。

フォレンジック

フォレンジックは、不正調査にあたる業務で、会計不正のほかサイバー攻撃・製品データ偽装といった分野の調査も含まれます
会計監査よりも厳しい調査内容となり、関係者への聞き取り・メールチェックなど、企業の深部まで入り込んだ調査を実施します。

事業・企業再生

事業・企業再生業務は、企業の業績や財務状態を健全化するサービスで、売上増を目指すというよりも「資金繰り・利益構造」を改善する目的で行われます。
サポート内容は、例えばウルトラC的な提案による問題解決を目指すのではなく、事業計画書を作成して金融機関に提案後、追加融資を受けるようなイメージになります。


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FASへ転職した人が後悔すること・デメリット

資格者として魅力的な業務が多いFASですが、実際に転職すると諸々の理由から後悔する人も少なくありません。
以下、FASへ転職した人が後悔する理由をもとに、FASのデメリットについて解説します。

残業が増えることもある

FASは総じて複数のプロジェクトが重なるケースも多く、プロジェクト進捗次第では残業時間が多くなる場合もあります。現職で残業時間を敬遠して転職を検討している人は、FASとマッチしない可能性が高いでしょう。

希望の案件・業務ができない

FASへの転職を目指す人の中には、希望する業務内容が固まっている人も少なくありません。しかし、転職先の社内状況に因っては希望業務に携われない可能性もあるでしょう。
特に、実務経験があるのにそれを活かせない仕事を任された場合、将来のキャリアプランに支障が出る可能性もあります。そのため、入社前に社内の情報を把握し、希望する業務に従事できるか判断することが重要です。

業務に偏りがある

FASは専門分野を究める働き方に適しています。例えば、入社以来財務DDだけをずっと続けるケースも珍しくなく、この業務の偏りが将来的にデメリットになることもあります。
将来的に他企業や投資銀行等に転職したいと思っている場合には、DD以外にもバリュエーションやPMIなどの経験も必要ですが、専門分野以外の経験を積むことができないケースも有るようです。

クロスボーダー案件ができない

一概には言えないものの、BIG4やグローバルファーム以外でのFASの場合、日系企業の国内案件が多く、クロスボーダー案件を経験しにくい傾向が見られます。
英語の使用機会を増やしたい、グローバルに活躍したいと考えている人は、クロスボーダー案件を安定的に取り扱っているファームへの転職の必要があります。

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FASへの転職はメリットも多い!

FASに転職して後悔した人もいれば、「道が大きく開けた」と感じる人もいます。
FASへの転職で以下のようなメリットを享受できるでしょう。

専門性が高められる

FASは特定の業務に精通しやすい職場環境のため、一つの業務を専門的に担当してキャリアを積みたい人に適しています。これまで監査を中心に担当してきた人も、FASで新たな業務に従事することで、別の道が開ける可能性があるでしょう。

新しい業務が多く刺激的

会計職として働く中で、雑務に従事することが多かった人は、FASに転職することで新たなジャンルの業務に携われるチャンスが増えます。人によっては、日々新しい発見・成長があるほど刺激的な環境のため、現職でマンネリを感じている人にはおすすめの職場環境です。

クライアントに貢献している実感が持てる

FASで働くモチベーションの一つに、クライアントに貢献している実感があげられます。自分がクライアントから頼られる立場であることから、やりがいを感じる人も多くいらっしゃいます。

年収が高い

年齢ではなく自分の努力・実績を評価して欲しいと考えている人にとって、FASは魅力的な職場の一つに数えられます。
入社時のベースとなる年収は600~800万円がボリュームゾーンですが、昇給率が高いFASに転職した場合、早期に年収1,000万円超えを果たせる可能性もあります。即戦力性のあるキャリアを有する方であれば入社時に1,000万円オーバーの提示されることもあるでしょう。


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FASの次のキャリアは?

FASの次のキャリアは?

FASに転職すると、その後はどのようなキャリアが開けるのでしょうか。
以下、具体的なキャリアの選択肢について解説します。

コンサルティングファーム

クライアントの課題を解決するというミッションを抱える点において、コンサルティングファームはFASと類似する職場です。FASで専門分野を究めることで、スペシャリストとして評価された結果、年収アップにつながるケースも見受けられます。

事業会社(経営企画、M&A等)

FAS経験者が事業会社に転職すると、企業の「中の人(=当事者)」としてビジネスを把握できるため、新しい体験・やりがいを得やすいでしょう。
ワークライフバランスの観点からも魅力的であることから、FASで勤務する中で体力の限界を感じてきた人は、転職先の候補の一つとして検討したいところです。

ベンチャー・スタートアップ

常に優秀な人材を求めているベンチャー・スタートアップ企業は、FAS経験者や若手会計士をCFOに据える想定で採用することがあります。
未経験の業務に体当たりしなければならないケースも多いため、場合によってはFAS以上の激務になることも予想されますが、その分だけ得るものも多く、経営に幅広く関与する貴重な体験ができるでしょう。

ファンド

一口にファンドといっても様々な種類がありますが、FASと親和性が高いのはPEファンドです。財務会計・M&Aに精通した人材は活躍が期待されるでしょう。
PEファンドの目的は、投資して企業価値を高めた後で資金回収することであり、そのプロセスで様々なスキルを得られるはずです。

投資銀行

投資銀行への転職難易度は非常に高い傾向にありますが、FASで専門性を高めることで、転職のチャンスが巡ってくる可能性は十分あります。
クライアントの質もFAS時代とは変わり、クライアントに対して直接資金調達のサポートに携われる点も魅力です。

同業他社のFAS

FASでの実務経験を糧に、同業他社のFASを狙うのも、キャリア構築の観点からは魅力的です。転職先でそれぞれ特徴や任される仕事も異なるため、自分の目的に合わせて複数のFASを経験しておくのもよいでしょう。


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FASに転職する際に注意すること

FASへの転職で後悔しないためには、どのような点に気を付けるべきなのでしょうか。
以下、FASに転職する際の注意点を解説します。

仕事内容をしっかり確認する

FASを目指す際は、入社後に担当する仕事内容をしっかり確認しておきましょう。
場合によっては、監査から離れたかったのに結局監査の仕事をしているケースもあります。面接では具体的な仕事内容を丁寧に確認することが大切です。

転職エージェントで情報を収集する

転職活動では、自力で求人票を探して応募するよりも、転職エージェントに登録して最近の実情を把握した方が安心です。
転職サイトや企業の公式サイトに掲載されている求人票の情報は、情報の鮮度や正確さが怪しいケースも少なくありません。FASに特化した転職エージェントでは、FASの最新転職市場と募集企業側の内情を把握しているため、情報収集手段として利用しても良いでしょう。

明確なキャリア目標を決める

FASへの転職も含め、転職を成功させるためには、明確なキャリア目標を決めておく必要があります。例えば、投資銀行へのステップとしてFASを想定しているなら、FASで経験したいプロジェクトから逆算して職場を選ぶことが大切です。

まとめ

FASで経験する業務は、総じて専門性に富んでおり、特にM&Aに関しては財務DDだけを担当するような場合もあります。
プロジェクトが増えると残業時間も長くなる傾向にあり、自分がやってみたい仕事を任されない可能性もありますが、一方で年収・やりがいの観点からは魅力的な職場の一つです。

FAS経験後に検討できる転職先も豊富であり、経験やスキルによっては投資銀行など難易度の高い転職先も選択肢に入るでしょう。求人を探す際は、公開されている求人票を鵜呑みにせず、事前に転職エージェントで情報収集することをおすすめします。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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