特許翻訳者になるには!?求められる能力や年収について
特許翻訳者という職業をご存知でしょうか。
特許権や意匠権、商標権、実用新案権など知的財産権に関わる明細書や契約書を翻訳する際は、語学力に加えて専門的な知識が求められます。特許翻訳者はその両方の能力を備え、特許に関わる独特の言語表現を的確に翻訳できる専門家です。
今回は特許翻訳者になるためにはどうすればいいのか?特許翻訳者のキャリアについて解説します。
特許翻訳者とは
特許明細書や優先権証明書、ライセンス契約書などの特許文献では、特殊な専門用語、技術用語が使われています。
そのような文書を外国語から日本語あるいは日本語から外国語に翻訳するには、高度な語学力はもちろん、専門家と同レベルの技術に対する知識、理解力が欠かせません。
さらに特許文献の翻訳には、日本だけでなく他国の特許法にも精通していることが求められるため、法律家としての一面を持つことも要求されます。
これら高度な要求水準を満たすだけの「語学力」、「特定分野の専門知識」、「法務知識」を備え、各種特許関連の文献を翻訳するのが「特許翻訳者」です。
職業としての翻訳には「出版翻訳者」や「映像翻訳」など複数のタイプがありますが、特許翻訳は特に高度な知識・能力を要求されるといえるでしょう。
特許翻訳者になるには
特許翻訳者は資格がなければ活動できない、という職ではありません。
働き方としては、企業や翻訳事務所で翻訳者として勤務する、あるいは個人で翻訳家として活動して企業から翻訳の仕事を受注するといった活動がメインです。
特許翻訳者として活動するためには、企業・事業所に所属して活動するのならば入社試験、個人として活動するのならば企業が実施しているトライアル試験に合格する必要があります。
特許翻訳者として採用されるには、先に述べたような知識と能力が不可欠です。
語学力としては、最低でも「英検一級とTOEICが900点~満点の両方を満たしていること」が望ましいでしょう。
また、特定非営利法人の日本知的財産翻訳協会が主催している「知的財産翻訳検定試験」は、特許翻訳者の能力を測定するための資格として位置づけられています。
全部で1~3級に区分され、3級は記述+選択式問題、2級は記述式問題、1級では「知財法務実務」、「電気・電子工学」、「機械工学」、「科学」、「バイオテクノロジー」のいずれかを選択する記述式の問題です。
Eメールで受験できる検定試験なので、全国どこにいても受験できます。
試験は4月頃行われる春季試験と10月頃行われる秋季試験とがあり、現在試験対象となっている言語は英語(春季に和文英訳試験、秋季に英文和訳試験)、中国語(秋季に中文和訳試験)、ドイツ語(秋季に独文和訳試験)です。
しかしこうした資格はあくまで目安で、やはり翻訳者としての実力を蓄積し、示さなければ入社試験やトライアルに合格するのは難しいでしょう。
自分が得意とする専門・技術分野における専門知識や法務知識の最新情報を常に収集し続け、実際の特許明細書等を使って特許翻訳の練習をするなど、日頃から自分のスキルを磨く意識を持つことが大切です。
特許翻訳者の年収
特許翻訳者の年収は、企業・事務所に勤務している場合と個人で活動している場合とで大きく異なります。
企業・事務所の場合、新人として勤務するのであれば、各人の技量や経験によっても変わりますが、20代だと初年度は400万円前後が一般的です。
経験を積んでいく中でキャリアアップを図り、大きな仕事を任されるようになると、就労後数年で400~600万円前後となります。
一方、個人・フリーランスで特許翻訳者として働く場合、年収は本人の経験、実力、作業量によって大きく変わりますが、仕事を多く受注する翻訳者であれば年収1,000万円を超えることも珍しくありません。
ただこの点は本人の家庭環境なども影響するため、専業主婦で扶養から外れないように翻訳作業をしている人もいるので、一概にはいえない部分もあります。
特許翻訳者に向いている人
英語や中国語など自分の得意とする言語があること、さらにこれまでに職務経験等で得た専門的な知識や技術を豊富に持っていることが特許翻訳者には求められます。
ただ、技術や法令、特許に関する情報は日々変化するので、もし気になったことがあればすぐにネットや専門書で調べるなど、情報のアンテナを日頃から伸ばしている人が向いているといえるでしょう。
また、一日中翻訳作業を行うことになるので、長時間机に向かって作業できる人であることが大前提です。
しかも言語を扱う仕事であるため、「言葉とずっと向き合うことが苦にならない」という性格の持ち主である必要があります。
さらに普段からちょっとした言葉の表現の違いが気になるなど、書かれている文章の単語や文の内容に敏感であることも特許翻訳者には必要です。
まとめ
最近では特許翻訳の分野でAI(人工知能)を活用したパソコン翻訳ソフトの導入が進められています。
現状ではAIだけにすべてを任せることはできませんが、作るべき翻訳文書の7~8割ほどをAIに翻訳させて、残りの2~3割を翻訳家が調整するのです。
有能な翻訳者ほど、AIを活用しながら効率的に翻訳業務をこなしています。
今後、どの程度まで特許翻訳がAIなどに取って代わられるのかは不明ですが、当面は人の手による特許翻訳が必要な状況は続くでしょう。
求められる能力は高いですが、一定の語学力を持ち、自分が得意とする専門・技術分野を持っているのであれば、特許翻訳を目指すのも1つの方法です。
<参考>
・日本知的財産翻訳協会『知的財産翻訳検定』
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