【社労士の将来性】AI時代を生き抜く社労士に需要はあるのか?
「社労士の将来性はどうなの?」「AIに代替されてしまう?」と心配している方もいることでしょう。社会保険といった基本的な申請業務については、AIの台頭により今後減っていくと予想されます。
一方で、新型コロナによる雇用調整助成金など複雑な助成金の申請などといった新たな問題への対応といった部分では、社労士のニーズは高まっています。この記事では、AI時代における、社労士の将来性について解説します。
社労士の独占業務
最初に、社労士の独占業務を見てみましょう。
社労士の業務は「社会保険労務士法 第2条の1号~3号」までで定められているため、「1号業務」「2号業務」および「3号業務」と呼ばれています。
1号業務・2号業務は社労士の独占業務となりますが、3号業務は独占業務ではありません。
1号業務(独占業務)
社労士の1号業務は、労働保険および社会保険についての申請書などを作成し、提出して手続きをすることです。 また、行政機関の調査や処分があった場合には代理人となり主張や陳述を行うこと、あるいは紛争があった場合に当事者の代理をすることも社労士の1号業務です。
2号業務(独占業務)
2号業務は、労働社会保険諸法例に基づく帳簿書類を作成することです。 あてはまる帳簿書類には、労働者名簿、賃金台帳、出勤簿および就業規則が含まれます。 労働者名簿、賃金台帳、出勤簿は、従業員を雇用する場合には必ず作成しなければなりません。 就業規則は、10人以上の従業員を使用する場合に作成の義務があります。
3号業務(非独占業務)
3号業務は、労務管理等の労働に関すること、あるいは社会保険に関することについて相談に応じたり指導したりすることです。 いわば「労務管理についてのコンサルティング」となりますが、このコンサルティングは社労士の独占業務ではありません。
人事労務管理の仕事は減っている?
社労士の業務のうち、1号業務と2号業務の日常的なルーティンワークは、今後減っていくことが予想されます。 なぜならば、AIを活用した人事労務管理ソフトが広がりを見せる中、政府も電子申請を推し進めているからです。
これまで、労働保険や社会保険の申請には大きな手間がかかっていました。 従業員の一人ひとりに記入用の用紙を配り、住所や氏名、生年月日、基礎年金番号などを記入してもらった上で回収し、内容をExcelなどに入力。 申請書をプリントアウトして役所まで持っていかなくてはなりません。 この作業を「間違いを犯さずに処理する」ことが、これまでは社労士の大きな仕事となっていました。
ところが、AIを利用した人事労務管理ソフトの拡充と電子申請の推進で、労働・社会保険の申請にかかる手間は大幅に削減されつつあります。 従業員についての情報は、ソフトの入力画面から従業員自身が入力します。 用紙の配布や回収の手間はかかりません。 帳簿書類も、人事労務管理ソフトが自動的に作成します。
申請も、人事労務管理ソフトから電子申請が直接できます。 これまでは、電子申請の窓口である「e-Gov」は使い勝手が悪いものでした。 ところが、人事労務管理ソフトとの連携ができるようになり、労働・社会保険についての知識がない企業内の従業員でも、電子申請を問題なく行えるようになっています。
人事労務管理ソフトの導入は、社労士の主な顧客である中小企業で急速に進んでいます。 社労士の1号業務・2号業務の日常的な部分については、社労士の仕事は今後減っていくことが予想されます。
ニーズ高まる!社労士コンサルティング
上のように、社労士の1号業務・2号業務の日常的な部分については減っていくことが予想される一方、社労士のニーズが高まっている側面もあります。 それは、助成金の申請などに関するコンサルティング業務です。
雇用保険料を財源とし、厚生労働省が事業者に提供する助成金は数多くあります。 最近注目された例として、コロナウイルス感染症により休業した事業者に対して支払われる「雇用調整助成金」があげられます。
雇用調整助成金は、従業員に支払う休業手当の一部を助成するものです。 ところが「申請方法が複雑で難しい」として、申請をためらう事業者が多いともいわれています。 そのほかにも、テレワークを導入した企業に対して助成金が支払われる「テレワーク助成金」などもあります。
厚生労働省が提供する助成金を代理申請することは、社労士の独占業務となっています。 したがって、厚生労働省がどのような助成金を設けているかについての情報を事業者に提供し、その申請を代行する社労士のニーズは一躍高まっている現状があるのです。
社労士の仕事はAIに代わるのか?
労働・社会保険の申請に関する日常的なルーティンワークは、今後AIにより置き換えられていくといえるでしょう。 しかし、前述した通り助成金などについての社労士のコンサルティングはニーズが高まってもいます。
また、働き方改革に伴う法改正では、時間外労働の上限規制や、大企業における同一労働同一賃金がすでに導入されました。 このような法改正に伴い、社内のルールを大きく見直し、細部までを就業規則に落とし込んでいく必要性も高まっています。
新たに発生した問題に対して対処していくことは、AIは不得手です。 今後は、発生した労務上の問題についてていねいに相談に乗り、解決策を提示していく「コンサルができる社労士」が求められることになるでしょう。
まとめ
社労士の日常的な業務は、今後AIに置き換えられていくと予想されます。 その一方で、社労士のコンサルティング業務についてのニーズは高まっている現状もあります。AIは得意とすることもあれば不得意とすることもあります。ただ申請業務をこなすだけではなく、問題解決力の有無が、社労士として生き残っていく上での生命線となるでしょう。
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