Big4コンサルティングとは?各社の特徴や業務内容について徹底解説!



「Big4コンサル」と聞くと、華々しい企業で活躍するコンサルティングのプロを思い浮かべる方も多いでしょう。
しかし、具体的なキャリアパスや転職の難易度について詳しく知る人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、Big4コンサルを目指す方に向けて、その特徴や役職、年収、メリット・デメリットを整理し、他のコンサルファームとの違いも解説します。
Big4コンサルとは?
Big4コンサルティングファームとは
Big4コンサルとは、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、PwCコンサルティング合同会社、KPMGコンサルティング株式会社、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社の4つのコンサルティングファームを指します。
これらは、世界4大監査法人(Big4)として知られるデロイト、PwC、KPMG、EYのグループに属しており、コンサルティング業界でも「Big4コンサル」と呼ばれています。
各社はグローバルなネットワークと豊富なノウハウを活かし、企業の経営方針策定や課題解決の支援を行っています。
Big4コンサルの歴史
Big4の存在感が特に強まったのは、金融ビッグバンや規制緩和、ITの進展が進んだ1990年代です。
当時、多くの企業が戦略的な組織改革やグローバル展開を推進し、コンサルティングの需要が急増しました。
その流れの中で、Big4はグローバルなネットワークと専門知識を活かし、コンサルティング分野での地位を確立していきました。
しかし、2002年のエンロン事件を契機に、アメリカでは監査法人が同一クライアントに対してコンサルティング業務を提供することが法律で制限されました。
この規制は日本国内の各法人にも大きな影響を与え、Big4各社はコンサルティング部門の分社化や売却を余儀なくされ、一時的に業界からの撤退を強いられました。
その後、2000年代後半に入ると、Big4は戦略的に中小のコンサルティングファームを買収し、自社グループ内に再びコンサルティング部門を設立しました。
現在では、世界規模のネットワークと豊富な人材を強みに、多岐にわたるコンサルティングサービスを提供する存在として、再び大きな影響力を持つに至っています。
Big4コンサルを比較
以下に、Big4コンサルティングファームについて、各社の概要・特徴を紹介します。
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
1993年に、等松・トウシュロス コンサルティングの経営コンサルティング部門とIT部門が分離し、経営コンサルティング部門が独立して設立された会社です。
約3,600人の社員を抱え、幅広い業界と機能領域にわたるコンサルティングサービスを提供しています。
特徴は、クライアントの未来に貢献するための先進技術の活用と人材の育成に注力していることです。
クロスボーダー案件を強みとし、ビジネス戦略や経営改革、デジタルトランスフォーメーション(DX)などの分野も含めて、企業の成長と持続可能な競争力を支援しています。
会社名 | デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 |
設立年月 | 1993年4月 |
人員数 | 5,111名(2024年5月末) |
提供サービス | ・コンサルティング ・ストラテジー・アナリティクス・M&A ・カスタマー・マーケティング ・コアビジネス ・ヒューマンキャピタル ・エンタープライズテクノロジー・パフォーマンス |
PwCコンサルティング合同会社
PwCグループの一員として日本国内に約3,000人の社員を擁し、戦略立案、組織変革、業務効率化などの領域で幅広いサービスを展開しています。
特徴は、グローバルネットワークとの連携を活かし、国際的な視点と専門能力を総合的に提供できる点です。
信頼ある経営コンサルティングを理念に、法律と倫理を重視し、クライアントの価値創造を追求しています。
会社名 | PwCコンサルティング合同会社 |
設立年月 | 1983年1月 |
人員数 | 約5,130名(2024年6月末) |
提供サービス | ・ストラテジーコンサルティング ・エンタープライズトランスフォーメーションコンサルティング ・ビジネストランスフォーメーション コンサルティング ・テクノロジー&デジタル コンサルティング ・トラストコンサルティング ・Featured |
KPMGコンサルティング株式会社
約1,000人が在籍し、ビジネストランスフォーメーション(事業変革)、リスク&コンプライアンス、テクノロジーの3分野のサービスを強みとするコンサルプロフェッショナル集団です。
特徴は、クライアントの課題を深く理解し、柔軟で具体的なアプローチで解決策を提示する姿勢です。
KPMGのグローバルネットワークを背景に、世界中の最新情報やノウハウを活用して、独自のソリューションを提供しています。
会社名 | KPMGコンサルティング株式会社 |
設立年月 | 2014年7月 |
人員数 | 2,053名(2024年7月1日) |
提供サービス | ・ストラテジー&オペレーション ・フィナンシャルマネジメント ・組織・人材マネジメント ・テクノロジートランスフォーメーション ・リスク&コンプライアンス |
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
EYの日本法人として、グローバルネットワークと連携し、ビジネストランスフォーメーションやデジタルイノベーション、サステナビリティなど多岐にわたる領域でサービスを提供しています。
特徴は、EYグループの多角的な視点を活かし、ビジネスの複雑な課題に対して、総合的なアプローチで解決策を提供する点です。
世界中の専門家と連携して、最先端の技術や情報を取り入れたコンサルティングを展開しています。
会社名 | EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 |
設立年月 | 2020年10月 |
人員数 | 4,104名(2024年10月1日) |
提供サービス | ・セクター ・ストラテジー・アンド・トランスフォーメーション ・M&A ・テクノロジー ・ピープル ・リスク |
Big4系コンサルと他コンサルの違い
Big4系コンサルと他コンサルの違いは、以下の5点です。
- ・従業員規模
- ・プロジェクトの規模
- ・サービス範囲
- ・キャリアの選択肢
- ・ブランド力と認知度
一般的に、Big4系コンサルは「大規模・総合型」、他コンサルは「小規模・専門型」と理解すると分かりやすいでしょう。
以下、それぞれの違いを詳しく解説します。
従業員規模
Big4系コンサルは、グローバルに展開する大規模な組織であり、従業員数も桁違いに多いことが特徴です。
世界全体では数十万人規模の社員を抱え、日本国内でも数千人が所属しています。
従業員数が多い=多様な専門性やスキルを持つ人材が集まり、経営戦略、IT、財務アドバイザリーなど幅広い分野のプロジェクトを受注できるということを意味します。
一方、ブティック系ファームや専門特化型のコンサルは、小規模な組織が多く、従業員数は数百人規模が一般的です。
Big4系コンサルのように多様な経験を積むというより、1つの分野に特化して専門性を深める働き方が中心となります。
従業員規模の違いは、プロジェクトの種類やキャリアの選択肢にも影響を与えるため、自分に合う環境を見極めることが重要です。
プロジェクトの規模
Big4系コンサルは、グローバルなネットワークを活かし、大規模なプロジェクトをリードできます。
例えば、海外拠点の統合、国際税務戦略の策定、グローバルITシステムの導入など、スケールの大きな案件が多いのが特徴です。
また、国内外の大手企業や公共機関をクライアントとし、案件規模は数十億~数百億円規模に及ぶことも珍しくありません。
そのため、「社会に大きな影響を与える仕事がしたい」「スケールの大きなプロジェクトに関わりたい」といったモチベーションがある方には適した環境です。
一方、他のコンサル(特にブティック系ファーム)は、中小企業や特定業界向けのプロジェクトが中心です。
案件規模は比較的小さめですが、特定の課題に深く入り込むケースが多くなります。
例えば、人材戦略、業界特化型の市場調査、業務効率化など、特定分野に特化したコンサルティングを提供する傾向があります。
また、Big4系コンサルが比較的長期プロジェクトを手掛けるのに対し、ブティック系ファームは短期間で集中的に支援を行うことが多いのも特徴です。
サービス範囲
Big4系コンサルは、幅広い領域をカバーする「総合型コンサルティングファーム」です。
経営戦略の立案から実行支援まで、あらゆるフェーズのサポートが可能であり、以下のような分野を扱っています。
分野 | 概要 |
---|---|
戦略コンサルティング | 企業の成長戦略や新規事業の開発、M&A戦略など、経営陣の意思決定をサポート |
ITコンサルティング | ITシステムの刷新やAI・クラウド技術の導入、データ活用による業務改善など、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をサポート |
リスクマネジメント | 企業の内部統制やコンプライアンス、サイバーセキュリティの強化を目的としたサポート |
財務アドバイザリー | M&Aや企業再編の計画立案、企業価値評価、デューデリジェンスなど、財務関連のサポート |
一方で他コンサルは、前述のように、特定の領域に特化した「専門型コンサルティングファーム」であるのが一般的です。
特定の業界に特化した知識を活かして、業界固有の課題を解決します。
業界だけでなく、人事戦略やマーケティング戦略など、特定の業務領域に絞った支援をしているコンサルファームもあります。
幅広い経験を積みたいのであればBig4、特定の業界や分野に関心をもっており、専門性を極めたいのであれば他のコンサルファームが適しているでしょう。
Big4コンサルの主な業務内容
業務の概要
Big4コンサルの主な業務は、経営戦略の策定、業務プロセス改善、組織変革、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、幅広い分野にわたります。プロジェクトでは、クライアントのニーズを把握し、課題の分析やデータ収集を行った上で、最適な戦略や手法を策定し、実行支援まで行うのが特徴です。
また、成果の評価や継続的な改善を通じて、クライアントのビジネスパフォーマンス向上を支援します。
一般的にプロジェクトは、複数のフェーズに分かれ、コンサルタントがクライアントと密に連携しながら進めていきます。
具体的な業務例
経営戦略コンサルティング
企業のビジョンや目標設定、市場分析、競争戦略の策定などを行い、経営の方向性や成長戦略を支援します。
立案だけでなく「実行」の部分までコンサルタントが介入することも珍しくありません。
業績改善コンサルティング
経営課題や業績低下の原因を分析し、効率改善と収益最大化のための施策を提案・実行します。
業務プロセスの改善、財務管理の改革なども含まれます。
リスク管理コンサルティング
企業の直面するリスクや潜在的リスクを特定し、それらを予防するための対策に取り組みます。
財務リスクの評価、コンプライアンス対応、危機管理、セキュリティ対策などがその一環です。
ITコンサルティング
情報技術の活用による業務効率化や競争力強化を支援します。
システムの導入と改善、デジタル戦略、クラウドコンピューティングなどにかかわります。
人事・組織コンサルティング
企業が抱える組織・人事領域の課題を分析し、明らかにした上で、戦略的な提言や実行支援を通じて解決に導きます。
人事評価制度の設計・見直し、採用戦略、人材育成、組織の意識・風土改革、労務管理のアドバイスなどが主な業務です。
企業買収・合併(M&A)コンサルティング
企業のM&A戦略や目的に基づき、対象企業の評価、デューデリジェンス、統合計画の策定などを支援します。
プロセスが複雑なM&Aでは、専門性とノウハウを活かして経営陣にアドバイスを行い、利益の最大化につなげます。
Big4コンサルの役職と年収
Big4コンサルの役職と年収Big4コンサルでは、明確な階層構造があり、経験や実績に応じて昇進していきます。
また、役職が上がるにつれて、年収も大きく変動し、特に上位職になると業界トップクラスの報酬水準となるのが特徴です。
以下、各役職の仕事内容と年収の目安について詳しく解説します。
スタッフ(アナリスト/コンサルタント)
入社後の最初のポジションであり、プロジェクトチームの一員として業務をサポートします。
データ収集や分析、プレゼンテーション資料の作成など、幅広い業務を担当します。
スタッフの年収の目安は、500万円〜700万円です。
シニア(コンサルタント・シニアコンサルタント)
アナリスト/コンサルタントの経験を積んだ後の昇進ポジションであり、プロジェクトの進行管理やクライアントとの関係構築、戦略的な問題解決など、より高度な業務に従事します。
シニアコンサルタントの年収の目安は、700万円〜1000万円です。
マネジャー(マネジャー・シニアマネジャー)
プロジェクトの責任者であり、チームメンバーの指導と育成、クライアントとの関係管理、プロジェクトの計画立案などを行います。 組織内外でのコミュニケーション能力が求められます。
マネジャーの年収の目安は、1,200〜1,500万円です。
また、シニアマネジャーになると、年収1,800万円も視野に入ります。
ディレクター
プロジェクトの全体的な責任者であり、クライアントとの戦略的な関係を構築し、ビジネスの成長や新規プロジェクトの獲得に貢献します。
チームマネジメントや営業、ビジネス開発などのスキルが必要です。
ディレクターの年収の目安は、1,800万円程度になります。
パートナー
最高職位であるパートナーはファームを経営する立場です。
経営戦略の策定やビジネスの成長を促す役割を担い、戦略的な意志決定を行います。
各Big4ファームによって役職名やキャリアパスには若干の違いがありますが、基本的な役割やスキルの要件は同様です。
役職ごとに責任範囲やプロジェクトの規模が増え、より高度で戦略的な業務に取り組むことが期待されます。
パートナーの年収の目安は、2,000~数千万円以上です。
Big4コンサルで働くメリット・デメリット
Big4コンサルティングファームでのキャリアには、多くの魅力がある一方で、特有の課題も存在します。
ここでは、Big4で働くメリット・デメリットについて詳しく解説します。
メリット
給与が高い
Big4コンサルでは、新卒でも高い給与水準が設定されており、管理職に昇進すればさらに高い報酬を得ることができます。
これは、世界的に有名なブランド価値、大規模なクライアント案件、高度な専門知識・スキルへの評価が反映されたものです。
努力と成果が正当に評価される環境であるため、モチベーションを維持しやすい点も魅力です。
一般的な事業会社ではできそうにない経験が積める
コンサル業界の中でもBig4は、幅広い業界やクライアントの課題に取り組む機会が豊富です。
特に若手のうちから、戦略立案や組織改革といった高難度のプロジェクトに関与できる点が特徴です。
事業会社では経験しにくい領域にも関われるため、将来のキャリアにおいて貴重な資産となります。
転職で有利に働く
Big4コンサルでの経験は、将来の転職において有利に働きます。
コンサルティング業務を通じて培われる課題解決力、論理的思考力、プロジェクトマネジメント能力は、多くの企業で高く評価されます。
また、グローバルなネットワークや人脈も、転職時の強力なアセットとなるでしょう。
デメリット
労働時間が長い場合が多い
コンサル業界全体に言えることですが、プロジェクトの納期やクライアントの要望に応じて、長時間労働が発生することが一般的です。
突発的なトラブル対応や、週末・深夜の業務が必要になることも珍しくありません。
ワークライフバランスを重視する人にとっては、厳しい環境と感じることもあるでしょう。
専門性が身につきにくい
幅広い業界のプロジェクトに携われる一方で、特定の分野に特化したスキルや専門知識を深めにくいという側面もあります。
例えば、事業会社の財務、マーケティング、法務といった分野でスペシャリストを目指したい人にとっては、やや遠回りになる可能性があります。
転職時に年収が下がりやすい
Big4コンサルの高い給与に慣れてしまうと、転職先での年収が下がるケースが多い点には注意が必要です。
特に、コンサル業界以外に転職する場合、経験やスキルが過剰と判断され、オーバースペックと見なされることもあります。
そのため、次のキャリアパスを慎重に選ぶ必要があります。
まとめ
Big4コンサル各社は、それぞれの特徴や業務内容に違いがあるものの、共通して高い専門知識と経験を持つコンサルタントがクライアントの経営課題を解決することを目指している点が特徴です。
働く環境は多忙でプレッシャーが大きい一方、グローバルなプロジェクトへの参画や高水準の給与といった魅力もあります。
採用競争は激しく、選考プロセスも厳格ですが、入社後は多様な成長機会が得られ、優秀なメンバーと切磋琢磨しながらスキルを磨くことができる環境が整っています。
キャリアの成長ややりがいを重視する人にとって、Big4コンサルは魅力的な選択肢となるでしょう。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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