2024年01月24日

【経理がUSCPA(米国公認会計士)取得】メリットや平均年収など

管理部門・士業の転職

経理人材のキャリアアップにおいて、取得すると有利な資格は数多く存在しますが、近年特に注目されている資格の一つが「USCPA(米国公認会計士)」です。
USCPAの取得にあたっては、日本の国家資格である公認会計士資格の取得が必須というわけではなく、キャリアアップする際の選択肢の一つとして考える経理職の方が増えているのです

この記事では、経理職のキャリアアップとしてUSCPAを取得するメリットや、取得者の平均年収などについて解説します。

まずはUSCPAの求人をご確認したい方はこちら

USCPAの求人情報

USCPAの求人情報

監査法人・コンサルティングファームから上場企業、グローバル企業まで、USCPA資格が活かせる求人を幅広く取り揃えております。
サイト上で公開されている求人はごく一部です。そのほかの求人情報は会員登録することでご確認いただけます。

USCPA(米国公認会計士)とは

まずは、USCPAという資格がどのようなものなのか、概要をお伝えします。
アメリカだけでなく、世界中で認知されている有名な資格の一つであることから、会計分野でグローバルに活躍したい人向けの資格です。

USCPA(米国公認会計士)とは

USCPAとは、正式名称をU.S. Certified Public Accountantといい、アメリカの各州で認定している公認会計士資格のことです。
歴史がスタートしたのは1896年のこと、ニューヨーク州において公認会計士制度が創設されたタイミングで、最初の公認会計士試験は1917年に行われています。

基本的には、アメリカで活動するための資格となりますが、実は世界各国で通用する国際資格でもあります。
相互承認協定(MRA)を結んだ以下の国々では、USCPAを取得していれば、資格の再取得なく会計士として仕事ができます。

  • ・南アフリカ
  • ・オーストラリア
  • ・カナダ
  • ・アイルランド
  • ・メキシコ
  • ・スコットランド

ただし、日本で監査を行うためには、USCPAではなく日本の公認会計士試験に合格しなければなりません

受験資格

USCPAを受験するにあたっては、アメリカの各州が定めた受験資格・ライセンス取得要件を満たしていなければなりません。
受験資格自体は、モンタナ州など高卒でも可能な州があるものの、ライセンス取得要件については、4年制大学の学位や会計学科・ビジネス学科の単位取得などが求められます。

試験内容

USCPA試験は、必須科目3科目と選択科目3科目から1科目の合格が必要であり、計4科目に合格することでUSCPA試験合格となります

必須科目

科目名 出題内容(出題比率)
FAR(財務会計) 企業会計(80%)
政府会計と非営利組織会計(20%)
AUD(監査及び証明業務) 監査、証明、レビュー業務など(80%)
職業倫理(20%)
REG(税法及び商法) 連邦税法(70%)
ビジネス法と職業倫理(30%)

選択科目

科目名 出題内容(出題比率)
BAR(ビジネス分析及び報告) ビジネス分析(40~50%)
技術的な会計と報告(35~45%)
州および地方自治体(10~20%)
ISC(情報システム及び統制) 情報システム・データ管理(35~45%)
セキュリティ・機密保持・プライバシー(35~45%)
システム・組織管理(SOC)の留意点(15~25%)
TCP(税法遵守及び税務計画) 個人の税務コンプライアンスと計画、および個人の財務計画(30~40%)
法人の税務コンプライアンス(30~40%)
法人の税務計画(10~20%)
財産の取引(資産の処分)(10~20%)

いずれの科目も、試験時間は4時間となっており、すべての科目を同じタイミングで受験する必要はありません。受験の時期については、科目ごとに自由に選択できます。

試験問題はすべて英語で出題され、形式はCBT(Computer Based Testing)形式のため、テストセンターの中でコンピュータを使う試験となります。いずれも99点満点で、75点以上で合格となり、他の受験者の成績は関係ありません。

合格率

合格率だけに着目する限り、USCPAの合格率は、日本の公認会計士試験に比べて高めです。
2023年までの試験制度における全受験者における平均合格率は、科目ごとに以下の通りとなっています。

科目名 合格率
FAR(財務会計) 43.76%
BEC(ビジネス環境及び諸概念) 59.85%
AUD(監査及び証明業務) 47.90%
Regulation(諸法規) 59.85%

単純に数値だけを見ると、日本の公認会計士の合格率は10%前後ですから、USCPAは合格しやすい資格だと思うかもしれません。
しかし、USCPAには受験資格が設けられており、世界各国の高ポテンシャルな受験者が試験を受けています。

合格率が高いのも、そういった事情があってのことと推察されます。
受験資格が課せられていない日本の公認会計士試験は、極端な話「勉強していない人」でも受験できる試験のため、そもそも事情が違う点に注意しましょう。


まずは転職エージェントに無料相談する

経理担当者がUSCPAを取得するメリット

外資系企業などで勤務している経理職は、USCPAを取得することにより、経理部内・社内での評価が高まるものと予想されます。
以下、経理担当者がUSCPAを取得するメリットをご紹介します。

キャリアの幅が広がる

現在日系企業で勤務している人が、USCPAを取得することで、会計分野に加えて国際会計への対応力をアピールできます。
その結果、海外事業部への出向や、外資系企業で働く機会が得られる可能性が高まります。

大手監査法人やコンサルティングファームも、USCPA所有者を欲しがっています。
USCPAの取得によって、自分が能動的に働ける環境を選べるようになり、キャリアの幅も広がるでしょう。

公認会計士よりも取得しやすい

先ほど、USCPAは合格率こそ高いものの、決して簡単な試験ではないとお伝えしました。
しかし、会計分野のキャリアが十分ある人にとっては、日本の公認会計士試験に臨むよりもチャンスは多いでしょう。

CBT方式のUSCPAは、一問一答の形で答えを入力していくため、論述・記述問題はありません。
自分の言葉で答えを入力する必要がない分、解答入力の負担は少なくなりますから、その点においては日本の公認会計士試験よりも難易度は低めと言えるかもしれません。

英語と経理知識の証明となる

USCPAは、会計力と英語力の両方を求められる試験です。
しかし、会計分野の知識があれば、予備知識がない人に比べて、USCPAで登場する英単語の意味を推測しやすいはずです。

漠然と英語を勉強するわけではなく、目的意識も明確なので、勉強すること自体が会計力と英語力の強化につながります。
合格できた暁には、資格が英語と経理知識の証明となってくれるでしょう。


まずは転職エージェントに無料相談する

経理担当者がUSCPAを取得するデメリット

仕事の合間にUSCPA合格に向けて勉強すべきかどうかは、受験者のモチベーションや職場の理解によって判断が変わってきます。
以下、経理担当者がUSCPAを取得するデメリットについてお伝えします。

日系企業ではあまり認識されていない

USCPAは、世界各国で広く認識されている資格ですが、日系企業の反応は鈍い傾向にあります。
経営陣や部課長クラスが資格を正しく評価していない場合、せっかく資格を取得しても待遇に反映されない可能性があります。

勉強にコストがかかる

難関資格であるUSCPAは、合格までに1,500時間を要するとも言われており、決して片手間に取得できる資格ではありません。
休日はもちろんのこと、平日にもまとまった時間を確保する必要がありますから、取得にかかる時間コストは大きいでしょう。

予備校に通う場合、その費用も馬鹿にならず、受験を断念せざるを得ないケースも想定しておかなければなりません。
そこで独学を検討する人もいるかもしれませんが、海外の試験ということもあり、独学での合格は厳しいものと推察されます。

日本の公認会計士試験の受験を期待される

USCPA取得者は、事業会社だけでなく、監査法人・コンサルティングファームなどでも求められています。
そのため、USCPA取得後に監査法人等で働く場合、同僚・上司が日本の公認会計士試験に合格しているケースも珍しくありません。

もし、USCPA取得者が日本の公認会計士試験に合格していない場合、人によっては比較されて嫌な気分を味わったり、将来的に日本の公認会計士試験に合格することを期待されたりするかもしれません。
人は人・自分は自分と割り切れる人以外は、働きにくい環境での勤務を強いられるおそれがあります。


まずは転職エージェントに無料相談する

USCPAを活かして年収を上げる方法

USCPA取得者は、経理職以外に様々なキャリアプランを描けます。
海外事業を展開していない日系企業で働いている場合でも、USCPAを正当に評価してくれる企業に転職できれば、年収アップにつながります。

転職先として特におすすめなのは「監査法人」で、売り手市場が続いていることから、USCPA取得者は採用される可能性が高い傾向にあります。
また、監査法人に転職した場合、USCPA取得者は前職の年収が引き継がれることが多く、不利な立場になるリスクが少なくなります。

その他、USCPA取得者にとって魅力的なポイントとしては、年収アップのタイミングが事業会社に比べて早いことがあげられます。
事業会社で年収1,000万円に到達するためには、数十年の勤務によって部長クラスのポストを獲得しなければなりませんが、監査法人のマネージャークラスに到達する年数は、早い人で8~10年ほどです。

監査法人は、資格だけでなく相応の実力が求められる世界ではあるものの、転職先としては魅力が大きい職場と言えるでしょう。


まずは転職エージェントに無料相談する

【業界別】USCPA取得者の平均年収

【業界別】USCPA取得者の平均年収

幅広いフィールドで活躍できるUSCPA取得者は、職場の選び方で年収が変わってきます。
以下、USCPA取得者の平均年収をご紹介します。

監査法人での平均年収

監査法人における年収は、資格のほか法人の規模・業務経験などにも左右されます。
そのため、基本的には法人内の役職が年収を決めるものと考えてよいでしょう。

以下、Big4の一般的な平均年収と、中堅クラスの監査法人の平均年収について、役職別にまとめました。

役職 Big4の平均年収 中堅クラスの平均年収
スタッフ 500~650万円 400~550万円
シニアスタッフ 700~850万円 500~650万円
マネージャー 900~1,100万円 800~1,000万円
シニアマネージャー 1,200万円程度
パートナー 1,500万円~ 1,300万円

外資系企業での平均年収

外資系企業におけるUSCPAの配属先は、その多くが経理部門と予想されます。
転職者のキャリアにもよりますが、初任給は400万円程度からのスタートで、日系企業の初任給よりは高くなる傾向にあります。
競争は厳しいものの、マネージャークラスに昇進できれば、年収1,000万円の大台にも届くでしょう。

コンサルティング企業での平均年収

コンサルティング企業での業務は多忙を極めるため、想定される平均年収は500~800万円程度でしょう。
企業規模が大きく、USCPA取得者にふさわしい業務を任されれば、800万円以上の年収も期待できます。
ただし、USCPA以外の要素である学歴・職歴も年収に影響するため注意が必要です。

一般企業での平均年収

日系の一般企業でUSCPA取得者が勤務するフィールドは、多くの場合経理部門です。
外資系企業と似たような流れでキャリアがスタートするものの、資格手当がもらえる程度の収入アップにとどまることが多いため、年収アップを目指す転職には不向きです。


まずは転職エージェントに無料相談する

USCPA取得後の転職は転職エージェントを利用しよう

経理がUSCPA取得後に転職活動を始める場合、自力で職場を探すよりも、転職エージェントの利用がおすすめです。
士業に特化した転職エージェントを利用することで、効率的にUSCPAを活かしたキャリアアップの転職活動を進めることができます。

当社MS-Japanは、士業・管理部門に特化しており、以下のような会計関連の有資格者向けの求人も多数取り扱いがございます。

大手監査法人にて金融機関向け監査の募集です

  • <ポジション>

    金融機関向け会計監査業務要員

  • <雇用区分>

    正社員

  • <仕事内容>

    金融機関(銀行、証券会社、生損保、資産運用会社及びファンド等) の会計監査業務(金融商品取引法、会社法監査等に基づく監査業務)、及びその他周辺業務

  • <必要な経験・能力>

    【必須要件】
    ①もしくは②に該当する方
    ①日本の公認会計士(日本の公認会計士論文式試験合格者を含む)
    ②米国公認会計士資格(USCPA)の資格保持者であって、日商簿記2級以上の知識・経験のある方
    【以下のご経験・スキルがあれば尚可】
    ■監査法人、会計事務所等における監査実務経験
    ■上場企業等における経理実務経験
    ■語学力(ビジネスにおける英語の使用経験 等)

  • <勤務地>

    東京都

  • <想定年収>

    500万円 ~ 1500万円


SBIホールディングス株式会社/連結・管理会計/管理職/港区/金融総合グループ

  • <ポジション>

    経理(連結決算・管理会計) 管理職
    ※業界未経験で入社されている方多数/スキルアップを目指している方へ/フラットな組織

  • <雇用区分>

    正社員

  • <仕事内容>

    約200社近い連結対象子会社に関する国内外連結決算業務、各子会社管理に従事いただきます。
    【具体的には…】
    ・連結決算業務(国際会計基準:月次、四半期、年次)
    ・FP&A業務(プランニング、フォーキャスティング、予実分析)
    ・開示書類作成(有価証券報告書、決算短信)
    ・M&A推進支援(各種投融資案件におけるスキーム構築、会計インパクト試算)
    ・海外グループ会社の管理、サポート など

  • <必要な経験・能力>

    【必須】
    ※以下いずれかに該当する方
    ・事業会社(親会社側)での連結決算業務経験
    ・会計事務所やコンサルファームで連結決算にかかわる業務に従事した方
    ・会計士/税理士/USCPA/簿記1級のいずれかをお持ちの方
    【歓迎】
    ・英語力

  • <勤務地>

    東京都

  • <想定年収>

    600万円 ~ 950万円


国際色豊かな会計系コンサルティングファームにて海外拠点スタッフを募集します

  • <ポジション>

    【海外駐在】監査・アドバイザリー(アジア太平洋、ヨーロッパ、中東、北米、アフリカなど)

  • <雇用区分>

    正社員 非常勤

  • <仕事内容>

    監査、税務、会計などに関するクライアントのサポート、アドバイザリー業務等をお任せします。
    拠点によって業務内容が変わってまいりますので、詳細はご面接時に擦り合わせをさせて頂ければと思います。
    【具体的には】
    ・会計監査・税務に関するアウトソース、アドバイザリー業務
    ・その他、進出支援、内部統制、IFRS、フォレンジック、M&A、事業再生、清算などクライアント企業のライフサイクルに応じた各種アドバイザリー、コンサルティング
    ・顧客開拓のためのマーケティング/営業活動(必要に応じて他拠点と連携)

  • <必要な経験・能力>

    【必須条件】
    ・公認会計士(試験合格者も可)もしくは、USCPA有資格者、税理士資格保有者
    ・監査法人、税理士法人、コンサルティングファーム等での実務経験
    ・当該地域で問題無くコミュニケーションが図れるレベルの語学力

  • <勤務地>

    海外

  • <想定年収>

    520万円 ~ 1200万円

まとめ

経理職のキャリアアップとして、USCPA取得は魅力的な選択肢の一つです。
見事合格できれば、監査法人やコンサルティングファームなど、新しい環境で能力を発揮するチャンスが得られます。

しかし、資格取得だけで採用を勝ち取れるとは限りませんから、勉強と並行して経理・会計分野のキャリアを積むことが大切です。
USCPAについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

窪塚 勝則

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

あなたへのおすすめ求人

サイトメニュー

職種で求人を探す
資格で求人を探す
勤務地で求人を探す
資格の転職情報を調べる
転職セミナー・個別相談会
転職サービス紹介
転職ノウハウ
求人企業の皆様へ
MS-Japanについて

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する

関連おすすめ記事

新着記事

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。

無料でキャリア相談する