女性経理の平均年収は?女性が経理で働くメリットとは?

近年、女性の労働人口は着実に増加しており、人手不足の中で貴重な戦力として注目されています。
一方で、賃金や昇進昇格の面では、男性と比較して不利だと感じている人も少なくありません。
この記事では、経理として働く女性の平均年収について解説し、年収を上げるための具体的な方法もご紹介します。
女性経理が年収の限界を感じやすい理由とは
経理に限らず、年収面で限界を感じる女性の方は多いでしょう。
女性が年収に悩みやすい理由を、代表的な3つの視点から紹介します。
非正規雇用の比率が高い
ライフステージに合わせて柔軟な働き方を選択する必要がでてきた際に、正規雇用の継続が難しくなり、やむを得ず派遣社員やパートなど非正規雇用を選ぶ方がいます。
総務省統計局による2025年5月の「労働力調査」では、女性の約半数(51.9%)が非正規雇用で働いており、男性(21.7%)と比較して大きな差があります。
雇用形態 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
正規 | 2,389万人(78.3%) | 1,334万人(48.1%) |
非正規 | 662万人(21.7%) | 1,439万人(51.9%) |
※引用:労働力調査結果 2025年(令和7年5月分)|総務省
非正規雇用は、一般的に昇給や昇進の機会が限られてます。
そのため、非正規比率が高い女性は、年収アップが難しくなる傾向があります。
女性管理職の割合が少ない
厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、従業員が10人以上いる会社における課長以上の管理職のうち、女性は12.7%しかいません。
政府はこの状況を改善するため、2021年の女性活躍推進法改正において「2030年までに女性管理職比率30%」という目標を掲げて、着実に女性管理職は増えています。
今後も段階的に女性管理職比率は増えていくことが予想できます。
しかし、依然として多くの企業では女性管理職の前例が少なく、現時点では女性が管理職を目指す難易度は男性よりも高い状況が続いています。
こうした機会の差が、年収の壁となる一因と考えられます。
産休・育休でキャリアを諦める方が多い
出産や育児をきっかけに、キャリアの継続をあきらめる女性がいることも、年収の限界を感じる背景になっています。
厚生労働省の「21世紀成年者縦断調査」では、出産後の就業継続意欲についてアンケート調査を行っています。
令和6年の調査では、「出産した後も働き続けたい」と回答した人が55.1%となり、過去12回の調査の中で最も高い数値でした。
それでもなお、約半数にとどまっています。
また、産後パパ育休(出生時育児休業)が始まり、政府主導で男性の育児参加を促す取り組みが進められています。
それに伴い「令和5年度雇用均等基本調査」によると、育児休業を取得した男性は30.1%まで増加しています。
しかし、女性は84.1%が取得している状況を考えると、まだまだ育児の中心を担っているのは女性であることが伺えます。
こうした状況によって、出産がキャリアの分岐点となり、結果的に年収アップのチャンスを逃す女性が多いと考えられます。
女性経理の平均年収は?
ここでは、女性経理の平均年収や男女間の年収差について、データをもとに詳しく見ていきましょう。
経理の男女別平均年収
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、経理職に該当する「会計事務従事者」のうち、女性の平均年収は454.2万円です。
性別 | 決まって 支給する 現金給与額 |
年間賞与 その他 特別給与額 |
年収 |
---|---|---|---|
男性 | 40.8万円 | 130.2万円 | 619.8万円 |
女性 | 30.7万円 | 86.2万円 | 454.2万円 |
男女計 | 34.0万円 | 100.8万円 | 509.3万円 |
※決まって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額で年収を算出
上記の表からわかるように、女性経理の平均年収は男性経理より約165万円低い水準にとどまっています。
女性経理の年収は女性全体よりは高め
男性経理と比較すると年収に大きな差がある一方で、全国の女性全体と比べると、経理職の年収はやや高めです。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、女性の平均年収は419.4万円です。
厚生労働省の統計で示された女性経理の平均年収454.2万円と比較すると、約35万円高い水準にあります。
このように、経理は他の職種と比較して専門性が求められるため、スキルや経験に応じて安定した年収を得やすい職種です。
そのため、現在の職場で評価されにくいと感じていても、適切な環境に身を置くことで年収アップの可能性は十分にあるでしょう。
女性経理が年収・キャリアアップする方法
どのように年収を上げていけばよいのでしょうか。
この章では、女性経理が年収アップするための方法を3つご紹介します。
資格を取得してスキルを可視化する
年収アップやキャリアアップを目指すうえで、まず思い浮かぶ方法は資格取得によるスキルアップではないでしょうか。
経理は定型業務が多いため、日々の業務だけでは評価や昇給につながりにくいと感じる方もいます。
そのため日商簿記や税理士科目など、客観的にスキルを証明できる資格を取得して、実力を可視化することが重要です。
国家資格などの難関資格であれば、資格そのものが評価され、年収・キャリアアップにつながることがあります。
他資格の場合は、資格取得に向けた努力や学習した知識を実務に活かすことで、社内評価の向上や年収アップにつながるでしょう。
あわせて読みたい
管理職(マネジメント経験)を目指す
資格取得や専門スキルの向上は、経理としての実力を高めるための第一歩ですが、さらに年収を上げたい場合は、管理職への挑戦が次のステップとなります。
管理職にも、初級・中級・上級といったステップを設定している企業があります。
また、マネジメント職への第一歩として、新入社員や後輩の教育係を任されたり、プロジェクト単位でリーダーを任されたりするような機会もあります。
ライフイベントで働き方を変える必要がでてくる前に、積極的にマネジメント経験を積んで、管理職に挑戦する準備をしておくと良いでしょう。
そのためには、部門をまとめる立場として、部下の指導やチーム全体の進行管理に関わるだけでなく、経理以外の部門とも連携し、会社全体の動きを意識した視野を持つことが求められます。
上述した通り、女性管理職の割合は依然として12.7%にとどまり、男性と比べて大きな差があります。
とはいえ、平成25年度の9.1%と比べると、着実に女性管理職は増加しています。
この状況を追い風と考えて、積極的に管理職にチャレンジしていくことが、年収アップだけでなくキャリアの幅を広げる大きな一歩となります。
女性が活躍できる職場へ転職する
現在の職場でスキルや経験が正当に評価されていないと感じる場合、年収アップやキャリアアップの実現は難しくなります。
そのようなときは、「女性の活躍を積極的に支援している企業」への転職を検討するのも有効な手段です。
具体的には、以下のポイントに注目することで、働きやすさとキャリアの両立を実現しやすくなるでしょう。
- ・産休・育休の制度が整備されており、実際の取得実績がある
- ・時短勤務やテレワークなど、柔軟な働き方が選択できる
- ・管理職や役員に占める女性の割合が一定水準ある
- ・離職率や平均勤続年数において、女性の定着率が高い
また、こうした取り組みに注力している企業の中には、厚生労働省の「えるぼし認定」や「くるみん認定」を取得しているケースもあります。
制度の有無だけでなく、実際に女性が活躍しているかどうかという観点で職場を見極めることが、将来的な年収アップにつながる重要なポイントです。
参考:女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)
年収アップを実現した女性経理の転職事例
転職によって働く環境を変えることで、年収アップを実現したケースは少なくありません。
この章では、管理部門・士業特化型転職エージェント「MS-Japan」を活用して年収アップに成功した女性経理の転職事例をご紹介します。
上場企業への転職で年収140万円アップ

Aさん(30代/女性)
上場子会社 経理


上場企業 経理
(年収140万円アップ)
約10年間にわたり経理業務に従事し、日常業務から月次・年次決算、子会社の連結パッケージ作成まで幅広い経験を積んできたAさん。
さらなるスキルアップを目指し、上場企業への転職を決意されました。
転職活動では、これまでのキャリアを棚卸し、自身の強みや実績を整理しました。
特に、業務改善に取り組んだ経験については、キャリアアドバイザーと一緒に面接対策を行い、どのように貢献できるかを具体的に伝えられるよう準備を進めました。
その結果、上場企業から無事に内定を獲得し、年収も大幅にアップしました。
Aさんは「自分の経験や意欲をしっかり評価してくれる企業に出会えた」と話しています。
キャリアと子育てを両立できる職場への転職事例

Kさん(30代/女性)
上場グループ企業 経理


非上場企業 経理
(年収30万円アップ&
リモートワーク)
Kさんは、上場グループ企業で経理として約10年間勤務し、産休・育休を経てフルタイムで職場復帰されました。
しかし、徐々に業務量が増加し、上長の理解も得られなかったことから、育児との両立に難しさを感じ、転職を決意されました。
転職活動を始めたばかりの段階では、自分に合った働き方がわからず、悩んでいました。
その中で、キャリアアドバイザーとの面談を通して、リモートワークの頻度や子供の送迎ができる勤務時間など、希望条件を明確化することで、応募できる求人を増やすことができました。
最終的には希望条件に合った企業に転職が決まり、キャリアを諦めることなく、年収も約30万円アップしました。

キャリアアドバイザー鈴木 祐佳
ほかにも、MS-Japanでは年収アップや働き方の改善を実現したいと考える多くの方から、男女を問わず転職のご相談をいただいています。
「今の職場で評価されない」「もっと柔軟に働きたい」「専門性を活かしてステップアップしたい」といったお悩みに対して、企業の内情に精通した専任アドバイザーが、一人ひとりに合ったキャリアの選択肢をご提案しています。
【女性活躍中】経理のおすすめ求人情報
ここでは、MS-Japanで扱っている女性経理が活躍中のおすすめ求人情報をご紹介します。
経理メンバー|上場グループ
仕事内容 |
・リモートワーク可能 ・フレックスタイム制導入 ・アパレル、コスメ等に関われる |
必要な経験・能力 |
・経理業務経験 ・簿記3級以上の知見 ・Excelでの数値管理経験 |
想定年収 |
400万円 ~ 600万円 |
経理財務(管理職)|老舗インフラ企業
仕事内容 |
・時間単位での有給取得可能 ・国内トップシェアの老舗企業 ・マネージャーポジション |
必要な経験・能力 |
・事業会社における年次決算の経験 ・プレイングマネージャーとして手を動かせる方 |
想定年収 |
700万円 ~ 900万円 |
経理財務スタッフ(管理職候補)
おすすめPOINT |
・実働7.5時間で17:30退勤可能 ・フレックスタイム制導入 ・上場経理業務にチャレンジしたい方は歓迎 |
必要な経験・能力 |
・経理業務経験 ・日商簿記2級または同等の経験 |
想定年収 |
450万円 ~ 650万円 |
まとめ
女性経理が年収に悩みやすい背景には、非正規雇用の比率の高さや管理職への登用の壁、ライフイベントによるキャリアの中断など、複数の要因が関係しています。
しかし、専門性の高い経理職だからこそ、スキルを磨き、女性が活躍しやすい職場を選ぶことで、年収アップは十分に実現可能です。
一方で、「女性が活躍できる職場かどうか」は求人票だけでは判断しづらく、「そもそも自分に合った働き方が分からない」といった不安を抱える方も多いでしょう。
そんなときは、経理の転職に精通したプロに相談するのが近道です。
MS-Japanでは、管理部門・士業に特化したエージェントとして35年以上の実績があり、企業の内情や実際の働き方、女性活躍の実績なども含めてご紹介しています。
年収アップやキャリアの可能性を広げたい方は、ぜひ一度ご登録ください。
- #経理年収
- #女性年収


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手小売企業へ入社。店舗で販売をメインに経験し、兼務で労働組合にて若年層の人材育成に従事。
MS-Japan入社後は、キャリアアドバイザーとして転職活動のご支援を行っております。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 社会保険労務士事務所 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
あなたへのおすすめ求人
同じカテゴリの最新記事

会計事務所に就職・転職するには?事務所選びや年収アップのポイントなど

公認内部監査人(CIA)とは?試験難易度や資格取得のメリット

会計事務所転職の失敗事例と対策。後悔しない転職をしよう!

税理士補助とは? 仕事内容や年収、求人情報、志望動機のポイントも解説

会計事務所が求める人材を事務所規模ごとに解説

令和7年度弁理士試験|最新合格率や試験日程合格後の流れを解説!

管理部門の転職はなぜ難しい?成功のカギと未経験からの突破法を徹底解説

【Big4コンサルへの転職】各社の特徴やキャリアパス、求人例など

経営企画の仕事内容は? 事業企画との違いや求められるスキル、キャリアなど
サイトメニュー

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。
新着記事
求人を職種から探す
求人を地域から探す
セミナー・個別相談会

業界最大級の求人数・転職支援実績!管理部門・士業の転職に精通した専門アドバイザーがキャリア相談~入社までサポートいたします。