経理は転職しやすい?経理の転職市場や主な転職先、転職成功のポイントを解説



経理は基本的な業務の流れが共通しているため、経験者が即戦力として評価されやすい職種です。
本記事では、経理が転職しやすいと言われる理由を深掘りし、主な転職先や転職成功のポイントを解説します。
大企業の経理と中小企業の経理の違いなどもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
経理は転職しやすい職種
経理は転職市場において、とくに転職しやすい職種として知られています。実際に、経理経験を必須条件としている求人も多く、完全に売り手市場です。
理由として以下の点が挙げられます。
経理部門は企業に必須
個人事業主・小規模企業の場合は経営者自身が経理を担うこともありますが、企業経営において経理業務は不可欠です。
事業規模によって業務量も増えるため、ある程度の事業規模になると、経理担当者の配置は必須だと言えるでしょう。
同じ管理部門でも、法務や内部監査などは全ての企業に必須の部門ではないため、求人数が少ない傾向です。
基本的な業務の流れが共通している
基本的な業務の流れが共通していることも、経理が転職しやすい理由です。
経理部門が担う伝票の起票・整理、仕訳入力、現金・預金管理、経費の処理、月次決算、年次決算などの業務は、どの業種・業態の企業でも発生する業務であり、内容も似通っています。
そのため、他の職種と比較して、転職後に新たに覚える業務が少なく、即戦力として期待されることが多いです。
異なる業界に転職した場合でも、基礎的な経理スキルをもっていれば、企業固有のルールや新しい知識を習得するスピードも速くなります。
求められる知識・スキルはどの業界でも同じ
経理に求められる知識やスキルは、業界によって大きく異なることはありません。
基本的な会計原則や税務知識、財務分析、そして会計ソフトの使用スキルなど、ほぼすべての業界で共通しています。
例えば、製造業の経理からIT企業の経理への転職でも、基本的な会計処理や税務知識はそのまま活用できます。
企業によっては業界特有の会計処理や税務対策が必要となるケースもありますが、これも経理の基礎がしっかりしていれば、新しい知識をスムーズに習得することが可能です。
資格で評価基準がわかりやすい
経理の転職市場では経験者が高く評価されますが、保有している経理関連の資格も評価対象です。
経理関連資格として最も認知度の高い日商簿記1〜3級や公認会計士、税理士などの難関国家資格など、保有資格によってもっている知識・スキルの度合いを一目で把握できます。
また、建設業経理士検定や農業簿記検定などの業界に特化した経理関連資格もあるため、目指す業界に合わせて資格を取得することで、自身の市場価値を上げることができるでしょう。
実績を数値でアピールできる
経理は、成果を数値化しにくい管理部門の中で、過去の業務実績を具体的な数値で示しやすい職種だと言えるでしょう。
具体例としては、「コスト削減の取り組みを通じて年間〇万円の経費削減を達成」「月次決算のスピードを〇日短縮し、経営陣へのレポート提出を迅速化」「資金繰り改善により、キャッシュフローを〇%向上」などがあります。
数値を根拠に実績をアピールすることで、スキルレベルを可視化し、説得力のある自己アピールをすることができるでしょう。
企業側にとっても評価がしやすく、即戦力として採用する際にも参考にしやすい情報です。
経理の最新転職市場
現在、経理の転職市場は、求職者に対して多くの求人がある「売り手市場」だと言えるでしょう。
2021年頃は、新型コロナウイルス流行により求人数の落ち込みがみられました。しかし、翌年以降右肩上がりの傾向が続いており、2024年の経理・財務職の求人倍率は、1倍を超える高い水準を維持する見込みです。
業種別にみると、経理・財務の求人は製造業が最多で、ついでIT・通信業界、サービス業が続きます。どの業種でも、経理未経験者よりも経験者のニーズが高い傾向です。
2023年5月にコロナウイルスが5類感染症に移行した後、オフィス出社へ戻る企業が増加しました。
しかし2023年に募集された経理・財務求人のうち、引き続きリモートワークが可能な企業も多く見受けられます。
今後もリモートと出社のハイブリッド勤務を実施する企業が多くみられるでしょう。
コロナ禍や働き方改革の影響で、フレックス制度を導入する企業も増加しており、転職希望者にとって働き方の選択肢が広がっています。
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経理の転職を成功させるポイント
経理の転職を成功させるポイントとして、以下の5つのポイントを意識しましょう。
現職と類似性・親和性のある企業を選ぶ
経理は、その専門性から業界や業態を問わず比較的転職しやすい職種です。
しかし、よりスムーズかつ確実に転職を成功させたい場合は、現在勤めている企業の業界に近い企業に焦点を絞るとよいでしょう。また、企業規模や企業フェーズが近しい企業を選ぶこともおすすめです。
例えば、現職がスタートアップである場合、同等の成長段階にある企業に対し、「同じ規模やフェーズで成功体験をもつ人材ならば、我々の課題も理解してくれるだろう」といった安心感を与えられるでしょう。規模が似ている企業であれば、業務フローや組織構造、報告体制などの類似点が多いと考えられます。
担当業務の範囲を確認する
一般的に、企業の規模によって経理部門の業務範囲や個人が担当する業務範囲が異なります。
大企業は人員が豊富なため、経理部門でも業務ごとに分業していることが多く、特定の業務に特化したスペシャリストを求める傾向があります。
一方、少数精鋭の中小企業では、経理担当者でありながら、総務や労務などの幅広い業務を求められることもあるでしょう。一通りの経理業務だけでなく、他の管理部門も兼務できるゼネラリストが求められる傾向です。
そのため、自分が前職でどのような経験を積んできたかを踏まえ、企業側のニーズにマッチした求人に応募しましょう。
伝票の起票・整理や現預金の管理など、日次作業のスペシャリストを求める企業に対して、「経理だけでなく、総務の事務経験もあります」とアピールしても効果は小さいと考えられます。
応募先企業に合わせた経理関連資格を取得する
経理の転職市場では、経験者が優遇されるため、資格は必須ではありません。
しかし、経験年数が浅い場合は日商簿記2級を取得することで、体系的に経理知識を学習したことをアピールできます。
また、応募先企業に合わせた経理関連資格を取得するとよいでしょう。
外資系企業でのキャリアを考えている場合は、TOEICやUSCPA(米国公認会計士)がおすすめです。とくにUSCPAは、海外での仕事のチャンスも広がります。
さらに、業界特化型の資格としては、金融機関の経理に特化した銀行業務検定試験や、建設業の経理に特化した建設業経理士検定などがあります。資格を取得する際は、自分のキャリア目標と、「苦労して取得した資格を十分に活用できるか」といったコストパフォーマンスを考慮しましょう。
ITスキルやコミュニケーション力、英語力など経理以外の強みを用意する
ITスキルやコミュニケーション力など、経理以外のアピールポイントを用意するのも重要です。
経理に求められるITスキルとしてよく挙げられるのは、Excel関連のスキルです。ピボットテーブルやマクロ、VLOOKUPなどの機能に精通していると、転職先でも重宝されるでしょう。DX化が加速するなか、ITスキルが強みであれば評価されるでしょう。
また、コミュニケーション力も重要です。経理部門では他部署と連携して業務を進めることが多いため、財務報告やコスト管理に関する情報を他部署にわかりやすく伝えるなど、明確なコミュニケーションが求められる場面がよくあります。
英語力については、グローバル展開されている企業であれば、高く評価されるでしょう。TOEICのスコアなど、英語力を可視化してアピールすることをおすすめします。
上記に加えて、経理業務の効率化や改善プロジェクトをリードした経験があれば、それも積極的にアピールするとよいでしょう。
経理部門に特化した転職エージェントを活用する
転職エージェントを利用すると、プロのキャリアアドバイザーと相談しながら、自分に合った転職先探しができます。
経理は求人数が多いため、独力で自分にあった求人情報を見つけ出すのは大変です。
転職エージェントを利用すると 、希望条件に合う求人情報を紹介してくれるだけでなく、求人情報だけではわからない組織文化や就労実態(残業状況)も教えてくれます。
弊社MS-Japanが運営する「MS Agent」は、経理をはじめとする管理部門と士業に強みをもつ転職エージェントとして30年以上の実績を積み重ねています。
転職成功例も多いため、本気で転職を成功させたい際は、ぜひ登録の上ご相談ください。求人紹介や応募書類の添削、面接対策など、全ての転職サポートを無料で利用できます。
経理担当者の転職理由とは
転職のきっかけは人によりさまざまです。
そこで今回は、経理担当者によくある転職理由をまとめてみました。
今後のキャリア像がイメージできない
現職で自身のロールモデルとなる上司や先輩がいない場合、「キャリアプランがイメージしにくい」と不安に思う人も多いでしょう。
また、経理部門が少数精鋭で管理職の数が限られている場合、「キャリアアップが見込めない」と考え、退職を決意するケースも多く見受けられます。
今後のキャリアについて不安要素があれば、キャリアアップが見込める企業に転職することも有効な手法です。
待遇が良くならない
待遇や給与は、仕事に対するモチベーションに大きな影響を与えます。企業に貢献しても待遇が良くならなければ、モチベーションが低下することは当然でしょう。
企業によっては、利益を作る営業部門が優遇され、経理を含む管理部門が評価されにくい社内文化であることもあります。
自分の能力を正当に評価してくれる新天地を探すのは自然な流れだと言えるでしょう。
人間関係の問題
働く上で人間関係は重要な要素です。経理担当者は、部門内の上司や同僚、部下だけでなく、他部門の従業員とも関わりを持ちます。
他部門との連携が上手くいかなければ業務が滞ることもあるでしょう。
また、業務の外出の少ない経理は、リモートワークが導入されていない場合、部門内の人と毎日顔を合わせることになります。
そのため、人間関係が仕事の生産性やメンタルヘルスに大きく関わると言えるでしょう。
経理経験が活かせる5つの転職先
経理が理想的な転職を成功させるには、自分の将来像をイメージしながら、転職先に求める希望条件をしっかりと固めることが必要です。
経理経験を活かして、転職によりキャリアアップを目指すのであれば、以下の転職先が考えられます。
公認会計士・税理士を目指して会計事務所に転職
公認会計士と税理士は経理・会計分野では最難関の国家資格です。独占業務を持つ公認会計士と税理士を取得できれば、仕事の幅が一気に広がるため、経理として働きながら試験勉強している人も多く見受けられます。
資格取得を目指す場合、会計事務所や監査法人などに転職することで、実務を学びながら試験勉強に励むことができます。
IFRS検定を取得し、英文経理として転職
国際会計基準の知識を証明するIFRS検定を取得し、英文経理として転職するのも1つの方法です。外資系企業や海外展開をしている日本企業など、英文経理の転職先は多く、ニーズが高い傾向にあります。
また、転職により年収アップも狙えるでしょう。
CFO(最高財務責任者)として転職
経理のスペシャリストとして実績と専門能力を高めていき、企業の管理職レベルにまで昇進できれば、他企業のCFO(最高財務責任者)として転職するチャンスもあるでしょう。
資金計画や資金運用、銀行対応など、財務責任者として評価される経験を積み重ねることが重要です。
コンサルタントとして転職
経理としての実績に加えて、MBA(経営学修士)や中小企業診断士などの資格を取得すれば、コンサルタントファームへの転職が見えてきます。
経理コンサルタントや財務コンサルタントとして活躍できれば、年収アップも見込めるでしょう。
また、コンサルタントとして実績を積めば、独立・開業も可能です。
IR職として転職
IRとは、株主・投資家に向けて、企業の財務状況などの情報を開示する業務で、広報部門や経理・財務部門が担当します。
経理の延長線上にある仕事の1つですが、近年では個人投資家向けのIRが盛んに行われ、IRの専門家へのニーズが高まっているのです。
経理としての経験に加えて、コミュニケーション力や語学力などが求められます。
大企業の経理と中小企業の経理の違いは?
一般的に、大企業は中小企業よりも平均年収が高いですが、この点は経理部門も同様です。
とくに総合商社やマスコミ、保険、医薬品、自動車、電気通信、化学、メガバンク、ITなどの業界では、中小企業よりも高い給与水準が見込まれます。
また、福利厚生の手厚さでも大企業にメリットがあると言えるでしょう。
大企業の経理の特徴は、業務の分業化です。
経理部門の人員が豊富な大企業では、業務ごとにチームが編成され、分業化が徹底されています。
そのため、担当業務のスペシャリストとして、専門性を高めることが求められます。
また、上場企業の場合は連結決算や有価証券の作成、監査法人対応など、高度な経理業務が発生することも特徴的です。
中小企業の経理部門は少数精鋭であることが多く、企業規模によっては1人体制であるケースもあります。
そのため、幅広い経理業務を担当することが多く、幅広いスキルを習得できる機会が多いと言えるでしょう。
大手企業のように高度な経理業務は発生しませんが、経理業務だけでなく、総務や労務などの他管理部門の業務を兼務する可能性があります。
中小企業の経理に転職するメリットについて詳しくは、以下の記事を参照してください。
まとめ
経理は企業に必須の部門であり、基本的な業務の流れが共通しています。
求められる知識・スキルも共通する部分が多く、異なる業界でも経験者は即戦力として採用されるでしょう。
今回ご紹介した通り、さまざまな要素を考慮すると、経理は転職しやすい職種といえるでしょう。
経理の転職を成功させるためには、現職と類似性・親和性のある企業を選んだり、経理関連資格を取得したりといった工夫が必要です。
ITスキルやコミュニケーション力など、経理以外の部分でのアピールポイントを見つけられると、他の求職者との差別化ができます。
自分の力だけで情報を集めるのが難しい場合は、転職エージェントを活用するのがおすすめです。
弊社MS-Japanの「MS Agent」は、管理部門や士業に特化した転職エージェントで、転職市場に精通したキャリアアドバイザーがカウンセリングを実施します。
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経理の転職を考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、化粧品会社へ入社し美容部員として店舗販売業務に従事。
その後キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社し、
主に経理財務や会計事務所などの会計転職希望の方を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 税理士科目合格 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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