IRへの転職で役立つスキルとは?業務内容や転職のコツも紹介



IRと聞くと、株主や投資家に向けた広報活動というイメージを持つ人が多いでしょう。
しかし、実際には経理・財務や企画、セールスなどの幅広い分野に関わるため、オールラウンドなスキルが求められます。
広報に関する専門性だけでなく、豊富な知識と実践経験が求められるIR担当者に転職するためには、計画的なスキル習得が欠かせません。
本記事では、IRの基礎知識から必要なスキルや学び方、難易度について詳しく解説します。
IRとは?
IR(Investor Relations)とは、企業が株主や投資家に対して経営や財務状況を共有し、将来性をアピールすることで、資金調達や信頼関係の構築を図る活動を指します。
株主や投資家は、IRが提供する情報をもとに投資判断を行うため、IRは「投資家向け広報」とも呼ばれます。
企業にとってIRは、株主や投資家と良好な関係を築くための重要な手段です。優れたIRは、円滑な資金調達や経営基盤の強化につながります。
さらに、IRは単に情報を伝えるだけでなく、投資家からのフィードバックを受けて経営改善の一助とする役割も担っているのです。
このように、IRには投資家とのWin-Winな関係性を保ちながら、企業の成長に貢献するバランサーとしての高度な役割が求められます。
IRの業務内容とは
IRの業務は、株主や投資家に対する情報提供だけではありません。
企業と株主・投資家との関係を維持し、新規株主の獲得や経営層への情報提供など、多面的な業務を担っています。
ここでは、IRの具体的な業務を3つに分けて解説します。
新規の株主獲得
IRの重要な業務の一つに、新しい株主・投資家を獲得するための活動があります。
一般投資家向けの説明会や自社ウェブサイト、IR専用サイトで企業の将来性を投資家に向けて発信します。
説明会は、企業の財務情報や経営戦略をまとめて伝え、自社の魅力をアピールする絶好の場です。
近年では、SNSやオンラインセミナーの活用が増え、対面による説明会に参加できない投資家に対しても、広く情報を届けることが可能になりました。
SNSによるタイムリーな情報発信やオンラインでの説明会を通じて、より多くの株主・投資家に効果的にアプローチすることが求められます。
株式市場や投資家への情報提供
IRは、新規の株主・投資家だけでなく、既存の株主・投資家に対しても、自社の業績や財務状況、経営方針を定期的に共有します。
具体的には、決算報告会や株主総会、会社説明会など、株主・投資家が最新情報を把握できる場を提供します。配布資料や報告書、レポートの作成もIRの重要な仕事の一つです。
こうした報告活動は、既存の株主・投資家と信頼関係を継続するための基盤となります。
IR担当者は企業の「顔」として、丁寧かつ責任を持って新規・既存の株主・投資家と向き合う姿勢が求められます。
経営層への情報提供
IRは、株主や投資家だけでなく、所属する企業の経営層に対しても市場動向や競合分析を含む包括的な情報を提供します。
株主・投資家向けに作成した報告書やレポートをもとに、経営戦略の成果を評価し、株式市場での位置づけを把握することで、強みと課題を浮き彫りにします。
さらに、株主総会などで得たフィードバックを経営層に伝え、経営戦略の改善に役立てることもIRの重要な業務です。
こうした情報提供活動により、企業の成長を支えるための意思決定を後押しする役割も担っています。
IRへの転職で役立つスキルとは?
IRの業務は幅広く、専門性も求められるため、転職の難易度は比較的高めです。
しかし、関連するスキルを学び、経験を積むことで、IRへ転職するチャンスを掴みやすくなります。
まずはIRに必要な知識を身につけ、実務に活かせる経験を重ねることが重要です。
以下に、IRへの転職で役立つ主要なスキルと資格を紹介します。
IRプランナー(CIRP)
IRプランナー(CIRP)は、日本IRプランナーズ協会が運営する日本初のIR資格です。資格を取得することで、IRの業務に必要な知識とスキルを証明できます。
日本IRプランナーズ協会による認定講座を受講し、検定試験に合格した後、日本IRプランナーズ協会に会員登録することで資格取得となります。
CIRPは、未経験者と3年以内の経験者を対象とした基礎資格です。
試験内容は、資本市場・企業分析・情報開示とIR活動・総合問題の4項目に区分され、IR業務をするうえで最低限知っておくべき知識が身につきます。
IRへの転職において、IRプランナー(CIRP)は必須ではないものの、「IR業務とはなにか」の本質を理解するために役立つ資格です。
ゼロからIRへの転職に挑戦しようと考えている方におすすめだと言えるでしょう。
IRプランナー(CIRP‐S)
IRプランナー(CIRP‐S)は、IRプランナー(CIRP)の上級資格です。
受験資格はありませんが、3年以上のIR・株式関連の総務実務経験者を対象とした専門性の高い内容が出題されます。
試験内容は、CIRPの試験科目が4項目であるのに対し、CIRP-Sは7項目です。
- ・買収リスクと敵対的買収防衛
- ・企業分析と銘柄選択
- ・企業価値と株式価値の計算
- ・資本市場の国際化と企業ディスクロージャー
- ・情報開示制度とインサイダー取引規制
- ・コンプライアンス
- ・コーポレートガバナンス
TOEIC
2025年4月以降、東証プライム市場上場企業は有価証券報告書や投資家向けの説明資料などの英文開示が義務となったことで、高い英語力を持つIR人材のニーズが高まっています。
TOEICは、英語を母国語としない人を対象とした検定試験で、ビジネス英語の実力を証明できます。企業によっては、「TOEIC○点以上」の採用条件を設けているケースもあるでしょう。
MBA
MBA(Master of Business Administration)は、経営学修士を指します。
資格ではなく、経営学を専門的に学べる大学院に2年間通って修士課程を修了することで取得できる学位です。
IR業務では、経営・マーケティング・財務分析・データ分析など多角的なスキルを活用して、株主・投資家たちからの信頼を得なければなりません。
IRに関する知識は実務を通して学ぶケースも多いですが、経営に関する知識の証明ができるMBAは、転職活動で有利に働くでしょう。
IRに転職できる可能性が高い人材の特徴
IRに転職できる可能性が高い人材の特徴として、まず「IR実務経験者」が挙げられます。
中途採用の場合は、どの企業も即戦力として活躍できる人材を求めているため、IR未経験者は転職難易度が高いことを理解しておきましょう。
また、IR実務経験の他には、広報・財務・経理などの経験者も評価される可能性があります。
さらに、英語をはじめとした語学力を持つ人もIRに転職できる可能性が高いと言えるでしょう。
IRとして外国人投資家と対等にやり取りができるレベルの英語力・ほかの語学力が求められます。
IRへ転職するためのコツとは
ここでは、未経験からIRへの転職を成功させるためのコツを解説します。
IRに関連する経験を積む
未経験からIRへ転職するためには、IRに関する知識や経験を積み重ねることが最重要です。
現在の勤務先にIR部門がある場合は、まず異動願いを出すことがおすすめです。自社についての情報提供を行うIRは、企業や事業に対する理解も求められます。そのため、社内異動であれば、企業や事業の知識習得を省くことができるでしょう。
IRへの社内異動が難しい場合は、経理・財務やマーケティング、セールスなど、IRに関連するスキルが身につく部門で経験を積みましょう。
英語力の向上に努める
「IRへの転職で役立つスキルとは?」でも触れた通り、英文開示の義務化により、上場企業において、英語力の評価が高まっています。しかし、実務経験が豊富でも、英語でのコミュニケーションに苦手意識を持つIR担当者も多いのが現状です。
英語力の向上に努めることで、他の応募者と差別化できるでしょう。
まとめ
IRへの転職を成功させるためには、実務経験とスキルの両面で確かな準備が欠かせません。投資家対応の要としてIRに求められるスキルは幅広く、広報だけでなく財務・経理などの専門知識や外国人投資家と対等にやり取りできる高度な英語力も求められます。
また、IRプランナーやMBA、TOEICなどの資格や検定は、IRに役立つ知識とスキルの証明となり、転職市場で評価されるでしょう。
IRは、求められる専門性の高さから、転職難易度が高いと言われています。一般的な転職サイトでは、適切な求人を見つけることが難しいケースも少なくありません。そのため、IRへの転職を目指す場合、転職エージェントを活用することがおすすめです。転職エージェントには、企業が求める条件と応募者が求める条件を双方満たした場合にのみ紹介される「非公開求人」があります。
非公開求人は、求人情報を公開する範囲を制限できるため、応募が殺到しやすい人気企業や、IRのように募集背景から経営状況を推察できてしまう重要なポジションの採用活動で利用されています。
弊社MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」では、幅広いIR求人を取り扱っています。転職支援実績も豊富で、IRのキャリアに詳しいキャリアアドバイザーが求人紹介や応募書類対策、面接対策など、転職活動をトータルサポートいたします。「今すぐ転職を考えている訳ではない」、「IRのキャリアについてとりあえず相談したい」などのご利用も可能です。ぜひお気軽にご登録ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、大手出版系企業を経て現職へ入社。
主に大手・新興上場企業を対象とする法人営業職を4年、キャリアアドバイザーとして10年以上に及ぶ。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 役員・その他 ・ IPO ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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