経理で働くなら大手よりも中小の方が得?中小企業の経理に転職するメリットとは
経理で働くなら大手よりも中小の方が得?中小企業の経理に転職するメリットとは
一般的に就職先の企業は規模が大きいほど望ましいと考えている方は多いのではないでしょうか。
転職を希望される方にもやはり大企業を志向される方が多くいらっしゃいます。
しかしながら、中小企業にも大手にはないメリットがあり、経理の求人においてもそういった企業が多数存在します。
本記事では、そのような中小企業への転職事情を解説していきます。
中小企業の経理の特徴 大企業との違い
一口に中小企業といっても経営規模には大きな開きがありますが、一般的に中小企業の経理担当は大企業と比較すると人員が少ない傾向にあります。
大企業ほどには資力が豊かではないため正社員としてたくさん雇用するのが難しく、繁忙期にパートタイムや派遣で増員したり、業務自体を外注するケースがございます。
人員が少なければ当然一人当たりの経理業務の範囲は広くなります。
現金出納管理や伝票管理といった日々の業務から、経費精算や請求書発行などの月次業務、年次決算や年末調整などの年次業務まで、大方の会計・経理業務はひと通り任されます。
中小企業の経理と大企業の経理の主な違いとしては、業務範囲と待遇の差があります。
業務の範囲の違い
中小企業の経理の大きな特徴として業務の幅が広範にわたることが挙げられます。
それに対して大企業の経理業務は細分化されていることが多く、多数いる経理スタッフがそれぞれ専門で担当する分業制となっています。
経営規模が巨大なため、経理業務は複雑で高度になり、専門性も深くなります。
給与・福利厚生の違い
給与や福利厚生の面でも違いがあります。
どの役職についているかや企業毎によっても異なりますが、一般的には大企業の方が中小企業よりも給与が高い傾向にあります。
住宅手当や育児休暇、ワークライフバランスへの対応など福利厚生が手厚いケースは大企業の方が多い傾向にあります。
中小企業の経理に転職するメリット
しかし、大企業が圧倒的に望ましいかというと、必ずしもそうとは言えません。
中小企業の経理に転職した方がメリットがある場合もあります。
経理以外の幅広い業務が経験できる
同じ経理部門であっても業務の細分化している大企業とは違い、少数の人員で会社全体の経理業務をこなすのが中小企業です。
そのため中小企業の経理は多岐にわたり、ときには経理以外の業務、たとえば総務、人事、生産管理といった部門も任されることがあります。
幅広い業務を経験できるため、会社経営の全体を見渡すことができるようになるのでやりがいを感じられるでしょう。
どんな業務もこなせるということは、どんな会社にも転職しやすいとも言えます。
日本の企業の99%以上が中小企業であり、従業者数は約70%。
求人の大半は中小企業によるものなのです。
前述のとおり、大企業の経理は分業制で専門性の高い仕事ですが、一方で担当業務以外は早期に携わることが出来ないということも多くあります。
大企業でキャリアを積んだからといって、業務範囲の広い中小企業の経理をこなすスキルがあるとは限らないのです。
その点、守備範囲の広い中小企業の経理でキャリアを積んでいれば、今後のキャリアアップを考える場合も、有利になるでしょう。
出世が早い
中小企業の方が大企業よりも早く出世できる可能性があります。
大企業ではたくさんの経理が同じ部署で働いており、組織で動きます。組織に必要なのは個人の突出したスキルよりも、全体のチームワークやバランスです。
能力があるからといってあまり若いうちから出世させてしまうと、他の従業員の嫉妬や反感を招きかねず、出世は年功序列になりがちです。
実力主義を標榜する企業であっても、時間をかけて順々に昇進していくのが穏当でしょう。
一方で、中小企業では雇用している従業員が少ない企業も多くあるので、ライバルが少ないと言えます。
決算業務などの大きな仕事も早いうちから経験させていただける可能性も高く、社内の業務改善といったプロジェクトなどにも深く関わることができます。
「早く出世したい」「早く実績をつくりたい」という人は中小企業に向いていると言えるでしょう。
中小企業と大企業の経理、年収の差は?
一般的に年収は企業規模に比例することが多いのですが、その傾向は経理にも当てはまります。
企業規模ごとの平均年収の目安は、おおよそ以下のとおりです。
- ・大企業/外資系企業:約600万円
- ・中小企業:約400万円
- ・フリーランス:約300万円
フリーランス(独立)は別にしても、大企業と中小企業では年収に大きな開きがあります。
これは企業の経済力に関わる部分もありますが、業務内容の違いが主な要因と言えるでしょう。
大企業の経理は日々の会計業務以外にも、経営に直結する業務を担当する場合があります。
たとえば決算報告会や株主総会の準備から運営までをこなしたり、会社の予算や資金調達を計画したりするなど、いわば経営戦略にあたる部分まで担当するため、収入が高くなる傾向にあります。
さらに、大企業の経理業務には、中小企業では求められないハイレベルな専門知識とスキルが必要です。
経理が扱う金額が大きいことと、業務に対する責任が重くなることも、大企業での収入が高くなる一因になっています。
一方で前述のとおり大企業の経理業務は分業制であることが多いため、上記のような専門的な業務に関われるという保証はありません。
むしろ経営戦略に関われるのは一握りですし、せっかく大企業に転職ができたのに全くスキルアップができないという方も実際にいらっしゃいます。
収入についても関われる業務によって変動はありますので、担当業務によっては上記の平均年収を大幅に下回る可能性もございます。
中小企業においては経理業務を幅広く担当できることが多いので、より会社全体のお金の流れや一連の経理業務を経験していきたいと考えている方にとってはスキルアップできる可能性が高い環境と言えます。
しかし収入や待遇などの優先順位が高いという場合は、大企業への転職を検討した方が実現できる可能性は高いと言えるでしょう。
それ以外のスキルアップなどを優先していきたいと考えている場合は、中小企業の方が適している場合もありますので、ご転職活動の際はご自身の大事にされたいことやその条件等を実現できる可能性、次の環境でどんなスキルを積めるのかを十分吟味した上でご判断されることをおすすめします。
中小企業への転職事例
弊社MS-Japanは、経理をはじめとする管理部門と士業に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。
ここでは、「MS Agent」を利用して中小企業の経理部門に転職した方の事例をご紹介します。
転職事例①【M.Hさん(40代前半)・男性】
大学卒業後に新卒採用された大手文具メーカーで営業部門に。しかしすぐに自分はデスクワークの方が向いていることに気づき、3年後に簿記1級を取得したことを機に転職しました。
食品流通会社の支部で経理や商品管理などをひと通り経験し、5年後に本社勤務。働いた分だけ実力を買われて昇進していくことにやりがいを感じていましたが、一方で残業時間も増えていきました。
結婚を機にワークライフバランスについて考えるようになり、妻の妊娠で転職を決意。自宅から車で30分の距離にある食品加工メーカーに応募して採用されました。
前職の経験から食品業界に精通していたことに加え、経理だけではなく商品管理の経験も社内コミュニケーションに生かされるとの評価を受け、早くもマネージャー職のポストを期待されています。
転職事例②【O.Jさん(30代前半)・女性】
経理専門学校を卒業後、信用金庫に就職。もともと勉強が好きだったこともあり、簿記やFPを取得し、趣味の英語でもTOEIC800点を超えるレベルでした。
出産で一時休職、すぐに職場復帰したい気持ちが高まりましたが、職場には保育サービスがなく復帰は諦めかけていました。
そんなときに、海外にも支部を持つ金融会社のグループ企業で、育児の福利厚生が整い、英語のできる経理の求人が目に留まりました。
英文経理の経験はありませんでしたが、面接での高い英会話能力と学びに対する積極性を買われて採用。BATICの認定試験という新たな目標ができ、育児と仕事に充実した生活を送っています。
中小企業から大企業へキャリアアップするケースもある
幅広く高度な業務を若いうちから経験できる中小企業出身者であれば、大企業へのキャリアアップも可能です。
大企業には大企業なりの専門的な業務もありますが、中小企業でバリバリと経験を積んできた経理マンであれば、ほどなくして覚えられることばかりでしょう。
むしろ中小企業出身の経理の方が、分業で与えられた業務しか知らない大企業の経理職よりもはるかに勝るスキルを身につけているケースも少なくありません。
中小企業のキャリアだからといって諦める必要はなく、大企業への転職も狙ってみてはいかがでしょうか。
中小企業から大手に転職するためのコツは?
中小企業から大手に転職するためには、いくつかのコツを意識する必要があります。ここでは、ぜひ意識しておきたいポイントを、三つに分けて解説します。
高水準の経験・スキルを身に付けておく
まずは高水準のスキルを身に付けておくことです。
とくに大企業はグローバルにビジネスを展開しているため、特定の分野に関するスキルに加えて、ビジネスレベルの英語力が求められます。
関連業務のスキルであれば、実務で3年以上を経験していることが望ましいでしょう。
TOEICの基準についてはさまざまですが、最低でも800点以上が必要であり、900点以上であればより選択肢が広がります。
中小企業ならではの経験をアピールする
中小企業ならではの経験をアピールするのも重要です。
規模が小さな企業であれば、20代などの比較的若いうちから、マネジメントに関する経験を積めるケースも珍しくありません。
大手企業とは異なり、細分化された業務ではなく全体を担当することも多いため、こうした経験も武器になります。即戦力として自分を売り込めるよう、経験を書き出しておくのがおすすめです。
転職エージェントをうまく活用する
中小企業から大手に転職するためには、転職エージェントもうまく活用しましょう。
経験やスキルをアピールできるのであれば、大企業の求人を紹介してもらえる確率も高まります。
また必要に応じて、複数のエージェントを使いこなせば、転職の効率がより高まります。
ただしダブルブッキングなど、担当エージェントからの信頼を失うような行為には、十分注意しましょう。
中小から大手企業への転職事例
ここでは「MS Agent」を利用して中小企業から大手企業の経理部門に転職した方の事例をご紹介します。
中小企業の経理部部長→大手上場企業の経理へ転職
30代 男性
年収:460万円→460万円
Iさんは、専門学校卒業後、広告業の企業にて、経理を中心に人事総務など幅広く管理部門のご経験を持ち、そのキャリアを深めていらっしゃいました。
しかし、会社の経営状況が悪く今後も長期的な就業が難しいとお考えになり、会計の専門性を高めると同時に転職活動を開始いたしました。
弊社から紹介した、大手上場企業は複数の子会社を持っている大規模な企業のため、希望されていた安定しており長期的な就業ができる企業という点で合致して入社いたしました。
経理財務求人をご確認したい方はこちら
経理の求人情報
上場企業の経理マネージャーからIPO準備企業の経理部長候補の求人などの高年収が見込める求人から20代・30代向けのスタッフ層求人、
未経験OK求人など幅広くご用意しております。
サイト上に公開されている求人はごく一部の求人です。会員登録することでご確認可能です。
財務の求人情報
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弊社のみが扱っている求人も多いため、ぜひご確認ください。
管理会計の求人情報
より経営に近いポジションなため世の中的には求人数は少ないですが、弊社は管理部門特化型エージェントなので、
管理会計の求人も多く保有しております。ごく一部ではありますが、ご確認ください。
またより多くの管理会計の求人をご確認いただきた場合は、会員登録していただければ確認できます。
まとめ
中小企業の経理は、分業、専門型の大企業とは違って業務が多岐にわたります。
場合によっては総務など経理以外の業務につくこともあり、いろいろなことを経験してみたい人には中小企業の方がやりがいを感じられるかもしれません。
経理部門の従業員数もかなり少ないため、大企業よりも早く出世できる可能性があります。
また給与や福利厚生は大企業の方が待遇はいい傾向にありますが、給与よりも仕事に対するやりがいを優先させる人は決して珍しくありません。
その後のキャリアアップを考えるときには、中小企業から大企業への転職も十分可能です。中小企業を含め選択肢を多く持って、キャリアを考えていくとよいでしょう。
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この記事を監修した人
その中で、実際に転職をされていく方などの生の声や気持ちの変化・実情などを知りたいと考え、MS-Japanに入社。
その後はキャリアアドバイザーとして、主に20代~30代の経理財務・会計事務所スタッフを中心に担当する。
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