2023年04月28日

経理担当者に英語力が求められる理由とは?英文経理のキャリアを解説

管理部門・士業の転職

2010年6月に日本で初めてIFRS適用した連結財務諸表を含む有価証券報告書が提出されて以降、海外展開を図る企業の増加や上場企業でのIFRS適用があり、経理の仕事も英語と無縁ではなくなってきています。

特に近年では2021年4月以降の事業年度からは、公認会計士の会計監査を受ける会社や上場企業や大企業はIFRSに基づいた収益認識に関する会計基準の「新収益認識基準」を適用した会計処理が必須となりました。

そこで今回の記事は、英語力が経理の転職でどのように活かされるか、そのポイントや資格について解説します。


管理部門・士業の転職

英文経理とは

英文経理とは、文字通り英語で経理を行うことですが、ただ英語力があればいいというものではありません。
単純な英語力に加えて、英語による経理という専門知識が必要になります。

英文経理には日本の会計基準に則って処理する経理と、米国式の経理の2種類があります。
日本式のものを「英文経理」、米国式を「英文会計」と用語を分けていうこともあります。
日本式の英文経理は、日本の会社が海外進出したり、外資系企業と取引したりする際に必要なスキルです。
一方の米国式の英文会計は、外資系企業が日本に進出している子会社に所属して、本国のアメリカ向けに会計処理を行うというやり方です。

どちらか一方に特化したスキルがあればいいというものではなく、国内企業に所属していても外資系の取引先との関係から米国式の経理の知識が求められることもあるため、米国公認会計士(USCPA)の資格を持っている人もかなりいるようです。
米国式の会計以外にも、国際会計基準(IFRS)という世界共通の会計基準もあり、今後広がっていくことが考えられます。
IFRSは英文経理の業務に携わるなかで学ぶ機会が増えてくるでしょう


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経理が英語力を身につけるメリット

経理のキャリアアップには英語力が有効だとされています。 具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

職域が広がり年収アップにつながる

英語力を身につけると、日本企業が海外進出するタイミングで海外現地法人に派遣されたり、外資系の取引先との調整役を任されたりと、仕事の幅を広げることができます。
経理が英語力を身につけると、英文経理だけではなく、通訳、電話・メール対応、来客対応、英文での資料作成などもできるようになります。

経理の実務能力と高い英語力を兼ね備えた人材は、まだまだ希少価値が高い存在です。
そのため、景況感が不安定な市場でも、求人数が多く、一般の経理職よりも募集年収は高めです。

外資系企業に転職できる

日本に進出する外資系企業の求人においては、基本的に英語力があることが求められます。
特に本国とのやり取りも発生する管理職は、英語力が必須となります。
外資系企業は経験・スキルを重視した採用をする傾向があり、年齢や性別、転職回数が選考や入社後の昇進に影響しない傾向にあります。

また、総じて日系企業よりも年収水準が高い点も魅力です。
日系企業では得られないチャンスがあるのが、外資系企業の魅力です。


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経理担当は英語が必須になる?

現在、経理で英語が必須なのは、「海外進出をする」もしくは「外資系企業と取引がある」場合です。
もちろん必須ではない企業もありますが、英語力があるとより評価されやすくなることは間違いありません。

英語力を活かした経理のキャリアとしては、大きく分けて「現在の職場で昇進する」「グローバル企業・外資系企業などに転職する」の二つが想定されます。
それぞれどのようなキャリアパスになるのか、詳しく確認しておきましょう。

現在の職場で昇進する

現在の職場で昇進する場合、英語力がそのまま評価につながります。
英文経理や英文会計のニーズは高く、職域が広がる可能性は十分に期待できるでしょう。
英文経理であれば、海外の決算書を正確に読み取る能力が必要です。

ただし企業体制によっては、昇進が難しいケースもあります。
特にワンマン経営のようなところでは、成績ではなく「好き嫌い」で昇進が決まるケースも珍しくないでしょう。
新しい可能性を考えている場合は、転職を検討してみるのもおすすめです。

グローバル企業・外資系の企業などに転職する

グローバル企業や外資系の企業へ転職する場合は、英語スキルや国際会計基準への理解力が必要です。
企業によっては、履歴書を英語で指定しているところもあります。
日本語の履歴書と同様、過不足なくシンプルにまとめられたものが好まれるようです。

さらに一般的な企業だけでなく、「グローバルな会計事務所」「グローバルなコンサルティング会社」「国際金融機関」など、さまざまなキャリアパスが考えられます。
英語力は、経理のキャリアに大きな影響を与えるといっても過言ではないでしょう。


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経理が英語力を示せる資格とは?

経理が英語力を身につけるためには資格取得が早道です。
経理職に有利な資格には、USCPA、BATIC、IFRS検定があります。

USCPA(米国公認会計士)

USCPAに合格すると、米国の会計に精通した人材と評価を得ることができます。
試験はすべて英語で行われ、合格率を考慮すると日本の公認会計士ほどの難易度ではないものの、しっかりとした経理・会計の知識と実務経験、そして英語力が求められます。

【関連記事】
USCPAは独学で取得できるのか?難易度やその後のキャリアについて

BATIC(Bookkeeping and Accounting Test for International Communication)

東京商工会議所が実施している国際会計検定です。IFRSとビジネス英語のスキルを同時に測ります。
合格・不合格ではなく、TOEFLなどのような点数制度です。

企業のグローバル化が進んでいるなかで国際競争力を強化するため、政府はIFRSの適用拡大を進めています。
そうした時代の変化もあり、BATICは非常に注目度の高い資格です。

ただし、2022年度の実施を持って終了しているため、これから取得することはできません。
すでに取得している人はアピールしましょう。

【関連記事】
BATICとは!?転職市場ではどのように評価されるの?

IFRS(国際会計基準)検定

IFRSは国際会計基準審議会(IASB)が策定する国際基準に基づいた会計知識を身につけるための認定試験です。
国際資格ではあるものの、日本語での受験も可能であるため、「国際基準の経理知識を身につけたいけどUSCPAを受けられるほどの英語力は自信がない」という人には最適です。

【関連記事】
IFRS(国際財務報告基準)とは!?経理職のキャリアアップにつながるのか!?

国際英語能力検定

経理業務に特化した資格・認定試験に限らず、外資系企業とのコミュニケーションのために英語力を上げたいという場合は、TOEFLやBULATSなど国際基準の英語能力試験も有効でしょう。

ただしTOEICはアジア圏(特に日本と韓国)の受験者が多く、欧米圏ではあまり浸透していません。
国内企業では英語能力を査定する基準として採用されていますが、外資系企業に転職を考えている場合は、国際的に広く認知されている検定試験を受けるようにしましょう。


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英語力を活かした転職のポイント

経理職が英語力を活かして転職する際には、次のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。

経験者は優遇される

英文経理の実務経験者は即戦力となるため、未経験者よりも優遇されることは間違いありません。
冒頭で触れたように、英文経理には日本式と米国式の二通りがあります。
実務経験者は現職(前職)でどのような英文経理に携わってきたのかを明確に説明できるように整理しておきましょう。

未経験者でもチャンスはある

「では未経験者の採用は難しいのか」というとそのようなことはなく、日本語による経理の実務経験と、一定レベルの英語力さえあれば採用のチャンスは十分あります。
目安としては、簿記2級程度の会計知識TOEIC730点以上の英語力があれば十分評価されるスキルだといえます。

外資系企業の採用時期

外資系企業は12月を決算月とすることが一般的で、次年度予算は秋ごろに組まれます。
正社員採用は決算が終わった後の年末年始、または夏頃に行われるところが多い傾向にあります。

ただし、一時的な人手不足を補う目的の派遣社員の場合は、繁忙期の即戦力として期待されるため、決算直前の秋ごろに募集されることが多いようです。 採用時期に合わせた転職活動を行うようにしましょう。

英文履歴書の準備をする

外資系に転職を希望する場合は「レジュメ」と呼ばれる英文の履歴書を提出する必要があります。
欧米の履歴書は、日本でいう履歴書と職務経歴書が一緒になったような様式です。
日本の企業に提出する履歴書とは感覚が違うので、事前にしっかりと内容を確認して、準備しておく必要があります。


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英語力を活かせる経理の求人例

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まとめ

英文経理は、単純な英語力だけでなく、英語による経理という専門知識が必要になります。
英文経理や英文会計に関するスキルを身につけられれば、「年収アップ」「外資系企業への転職」など、さまざまなメリットを期待できるでしょう。

外資系など一部の企業を除いて、経理に英語力は必須ではありません。
しかし国際会計の浸透や、急速に広がるグローバル化の影響で、英語力が必要になる可能性もあります。
現時点で高い英語力を持っていれば、さまざまなキャリアパスが描けるでしょう。

経理が英語を身につけるためには、資格を取得するのがおすすめです。
代表的なものとしては、「USCPA(米国公認会計士)」「IFRS(国際会計基準)検定」「国際英語能力検定」があります。

経理職が英語力を活かして転職する場合、実務経験があれば「即戦力」として優遇される可能性があります。
未経験者であっても、基本的な会計知識と高いビジネス英語力があれば、チャンスはあります。
外資系企業を希望している場合は採用時期に注意しつつ、計画的な転職を進めていきましょう。

管理部門・士業の転職

この記事を監修したキャリアアドバイザー

木下 祥子

大学卒業後、新卒で国内外の通信サービス事業の会社に入社し店舗運営・人材育成に従事。
MS-Japanに入社後は、キャリアアドバイザーとして企業の管理部門、会計事務所などの士業界への転職支援を担当

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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