ビットコインにかかる税金は? 仮想通貨の税務は税理士の新常識【コラム】
海外では常識?ビットコインに代表される仮想通貨とは
仮想通貨は株式や為替を超えるハイリターンの投資として注目されていますが、税理士のなかでも扱ったことがない方も多いと思います。
仮想通貨は円やドルなどの法定通貨に対し、国家による価値の保証を持たない通貨です。仮想通貨といえばビットコインを思い浮かべる方も多いと思いますが、その他に、イーサリアム、ビットコインキャッシュ、リップル、ライトコイン、イーサリアム・クラシック、ネムなどがあります。アメリカの投資家マイケル・ノボグラーツ氏は仮想通貨の時価総額が今後5年間で5兆ドル(約560兆円)を超えると述べており、さらなる成長が見込まれています。
仮想通貨は利用者に対する価値の保証はありませんが、ハイリターンを期待する投資目的での利用が中心です。仮想通貨の多くは通貨発行の上限が決められており、需要が高まるほど高騰するので、需要が低い時期に投資すれば値上がり益を得られ、逆に需要が減少すれば価値が下落する可能性があります。
海外では現金やカードに替わる決済方法としても普及しています。日本でも仮想通貨を使える店舗はありますが、海外からの観光客の利用が中心となっているようです。
仮想通貨にかかる税金は?
仮想通貨の損益は以下の場合に課税対象となります。
1. 売買時の消費税
これまで仮想通貨は消費税の課税対象でしたが、平成29年4月施行の改正資金決済法により、仮想通貨は通貨と同じ支払手段と定められ、消費税法においても有価証券に類するものとされ、平成29年7月1日以降は非課税となりました。
平成29年6月30日までに購入した仮想通貨は 消費税の課税仕入れに該当しますが、その仮想通貨を平成29年7月1日以後に譲渡した場合は非課税売上となります。個別対応方式で仕入税額控除額を計算する場合は、課税資産の譲渡などにのみ要する課税仕入れに該当し、購入時に支払った消費税は消費税の申告の際に差し引くことができ、譲渡時の消費税は納めなくてもよいことになります。
そのため、平成29年6月30日時点で税抜100万円以上の仮想通貨の保有者を対象として、平成29年6月中の平均保有数量が同6月30日の保有数量より少ない場合は、平均保有量より多い部分の消費税については仕入税額控除できない、という経過措置が設けられています。
<平均保有数の計算例>
税抜100万円以上の仮想通貨を保有しているものと仮定して、6/1〜6/20まで1000の仮想通貨を保有、6/21~6/30まで1600を保有していた場合
(1000×20日間+ 1600×10日間)÷30日=1200 →平均保有数量
※この場合、1600-1200=400が仕入税額控除できなくなります。
2. 所得税
営利目的で継続的に行われる仮想通貨の取引は、事業所得または雑所得などに該当します。また、投資目的で売却した場合は譲渡所得とされ、いずれも所得税の課税対象となります。
仮想通貨を資産や役務提供の対価とする取引は物々交換と考えられ、個人事業者としては事業所得に含まれます。一方、支払い手段として取得した仮想通貨は棚卸資産に該当しないという、相反する判断がありえます。どのように損益を認識し、税務上どう扱うかは明確になっておらず、個別の事実関係に応じた検討が必要になります。こうした点については税務当局の判断が待たれています。
3. 法人税
仮想通貨の売買などで生じた損益は課税所得に含まれ、法人税の課税対象となります。ただし、仮想通貨は棚卸資産として取り扱う場合があり、その資産価値は棚卸資産に関する会計基準に従い、平均原価法によって評価されます。また、仮想通貨を取引や配当の支払手段として使用した場合は、物々交換として会計すると同時に取引時の市場価格と簿価の差額によって損益認識する必要が生じると考えられます。これも税務当局の判断を待つ部分です。
仮想通貨は日本で普及するか?
仮想通貨の取引はいまのところは投資が主流ですが、2017年7月に大手家電量販店の全店にビットコイン決済が導入され、日本国内でもクレジットカード、電子マネーに続く決済方法として普及していく可能性があります。小売店や飲食店をクライアントにもつ税理士にとっては、現実的な課題となりつつあります。しかし、前項で触れたとおり、不透明な部分もあり、税務署によって異なる判断が出る可能性もあります。もしもの時には、管轄の税務署に確認することをおすすめいたします。
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