2025年07月29日

税理士試験に落ちた!その後のキャリアの選択肢は?

税理士試験の結果発表を前に不安を感じている方、あるいは不合格となった方の中には、今後の進路に悩む方も少なくありません。
長期間にわたって準備してきた試験で思うような結果が出なかった場合、精神的なダメージは大きく、次の行動に踏み出しづらくなることもあります。

本記事では、税理士試験後の選択肢を整理し、それぞれの特徴や注意点を解説します。
キャリアを見直す際の参考にしてください。

税理士試験に落ちるのは普通のこと。冷静な判断を!

税理士試験に不合格となり、強い落胆や将来への不安を感じるのは自然なことです。
しかし、後述のデータが示すように、不合格は決して珍しい経験ではありません。

大切なのは「不合格という結果」に囚われるのではなく、「その経験を踏まえて次にどう行動するか」を考えることです。
一度立ち止まって今後の方針を冷静に見直すことが、ご自身のキャリアを築くための重要な第一歩となります。

科目合格制のため、全体合格までに時間がかかるのは一般的

税理士試験は「5科目合格」が最終的な目標であり、1年で5科目を突破するのは極めて稀です。
多くの受験者が数年単位で受験を続けており、1科目ずつ合格を積み上げていくスタイルが一般的です。

特に簿記論・財務諸表論・法人税法・消費税法など主要科目の難易度は高く、合格には相応の準備時間と継続的な学習が求められます。
途中で不合格となっても、それは決して挫折ではなく、合格に至る過程の一部にすぎません。
必要以上に自分を責めるのではなく、冷静に現状を捉えることが大切です。

税理士試験の合格率の実情

税理士試験は、毎年多くの受験者が挑戦する国家資格試験ですが、その合格率は決して高くありません。
以下は、直近5年間の税理士試験における受験者数・合格者数・合格率の推移です。

年度 受験者数 5科目
到達者数
一部科目
合格者数
合格者数
合計
合格率
令和6年度 34,757人 578人 5,184人 5,762人 16.6%
令和5年度 32,893人 600人 6,525人 7,125人 21.7%
令和4年度 28,853人 620人 5,006人 5,626人 19.5%
令和3年度 27,299人 585人 4,554人 5,139人 18.8%
令和2年度 26,673人 648人 4,754人 5,402人 20.3%

※「合格者数合計」は、5科目到達者数と一部科目合格者数を合算したものです。
※合格率は「合格者数合計÷受験者数」で算出しています。

このように、受験者数に対する合格者数の割合は例年20%前後で推移しており、多くの受験者が不合格や部分合格を経験しています。

特に、5科目すべてに合格する「5科目到達者数」は年間600人前後にとどまっており、その内一発合格はごくわずかであるのが実情です。
そのため、試験に落ちたことは特別なことではありません。むしろ、不合格を前提とした中長期的な戦略を立てることが現実的であり、次の行動をどう選ぶかが今後のキャリアに大きく影響します。

<参考>
国税庁「令和6年度(第74回)税理士試験結果」
国税庁「令和5年度(第73回)税理士試験結果」
国税庁「令和4年度(第72回)税理士試験結果」
国税庁「令和3年度(第71回)税理士試験結果」
国税庁「令和2年度(第70回)税理士試験結果」

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税理士試験に落ちた場合の3つの選択肢

試験結果を踏まえ、今後の進路を考える際には、大きく分けて3つの選択肢があります。
それぞれの特徴やメリット・注意点を理解し、自分に合った道を見極めることが重要です。
以下で詳しくご紹介します。

税理士試験に専念して再受験を目指す

一つ目の選択肢は、働かずに受験勉強に専念する方法です。特に勉強時間を十分に確保できる環境にある方や、直前期の集中学習が効果的な方に適しています。

最短で5科目合格を目指すためには、計算問題・理論暗記・過去問演習などにまとまった時間をかけられる体制が望ましく、学習の質と量を確保できることが大きなメリットです。
簿記論や法人税法、消費税法といった難易度の高い科目の対策にも集中できます。

一方で、求人募集においては、年齢に応じた実務経験が求められます。
長期間就業しないことで、実務から離れてしまうと仮に試験に合格できても就職できないという状況になります。
試験だけに専念する場合は、期間を限定して取り組むことをおすすめします。

また、収入面の不安やモチベーション低下が生じるリスクもあるため、精神面・経済面のサポート体制が整っているかどうかも重要な判断材料となります。

働きながら再受験を目指す

生活基盤を維持しつつ税理士試験の合格を目指したい方にとっては、働きながら受験勉強を続ける選択肢が現実的です。
近年は「受験に理解のある会計事務所」や「勉強と両立しやすい環境を整えた企業」も増えており、働きながら合格を目指す受験者をサポートする体制が整いつつあります。
そのため、受験に理解のある職場へ転職することは非常に有効な選択肢です。

このスタイルのメリットは、収入を確保しながら税務や会計の実務経験も積める点です。
税理士登録の際に必要な実務要件を同時に満たせるため、将来を見据えた戦略として有効です。

ただし、平日夜や週末の限られた時間で効率よく勉強する必要があるため、時間管理集中力の維持がカギとなります。

実務経験を積みながら税理士試験の勉強時間も確保できる職場に転職した事例

Eさん(30代男性)
資格:税理士試験2科目合格(簿記論・財務諸表論)
転職前:中堅税理士法人
転職後:個人会計事務所

Eさんは簿記論と財務諸表論の2科目に合格後、中堅税理士法人に勤務していましたが、担当件数が少なく実務経験の質に物足りなさを感じていました。
一方で、継続的な受験勉強も並行していたため、「勉強時間を確保できて、実務経験をより積める環境」への転職を希望されました。

最終的には収入は変わらず、残業が少なく、試験勉強との両立がしやすい個人会計事務所への内定を獲得することができました。
多忙な業務の傍ら、選考対策に十分な時間を確保し、準備を徹底できたことが転職成功の大きな要因となりました。

その他の転職成功事例はこちら

別のキャリアを目指す

税理士試験から一度離れ、別のキャリアを検討するのも選択肢の一つです。
これまでの勉強で身につけた会計・税法の知識は、会計事務所一般企業の経理・財務部門税務コンサルティング会社など幅広い分野で評価されます。
特に法人税法や相続税法、消費税法といった税法科目の学習経験は、実務でも即戦力となるケースが多く、税理士試験の一部合格実績が採用の判断材料としてプラスに働くこともあります。

また、税理士法人や中小会計事務所では、科目合格者を対象とした求人が多く出ており、働きながら再チャレンジする道を選ぶことも可能です。
試験に固執しすぎず、「資格取得を目指す理由」や「今後の人生設計」を一度見直すことで、より納得感のあるキャリアを築くことができるでしょう。

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不安を感じたときこそ、キャリアを見直す好機

税理士試験に不合格となり、「このまま受験を続けてよいのだろうか」「将来が見えない」と不安を感じるのは、ごく自然なことです。
しかし、そうしたタイミングこそ、今後のキャリアを見直す絶好の機会でもあります。

まずは、今回の不合格の原因を自分なりに振り返ってみましょう。学習時間が足りなかったのか、演習不足だったのか、モチベーションの維持が難しかったのか。原因を明確にすることで、次に進むべき方向性が見えてきます。
判断に迷ったときには、一人で抱え込まずに専門家に相談することをおすすめします。

管理部門・士業特化型転職エージェントの「MS-Japan」では、税理士試験の受験経験がある方に向けて以下のようなキャリア支援を行っています。

・再受験を前提とした働き方ができる求人のご紹介(残業少なめ、勉強配慮のある職場)
・会計・税務の知識を正当に評価してくれる求人の紹介
・一般には出回らない非公開求人のご紹介
・会計業界に精通したキャリアアドバイザーによるキャリアの棚卸しや将来設計の整理に役立つ個別アドバイス

税理士試験に取り組んできた経験そのものが、ビジネスパーソンとしての価値を高めています。
不安な気持ちを前向きな行動に変えるために、まずは一度キャリアのプロに相談してみてはいかがでしょうか。

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税理士試験経験者向けの求人情報

ここでは、「MS-Japan」で取扱っている求人のうち、税理士試験に向けて勉強した経験を評価されるものをピックアップしました。

事業承継のコンサルティングに強い事務所/税務スタッフ※時差出勤可/ワークライフバランス◎

仕事内容
<法人税関連>
・月次巡回サービス
・法人企業の各種申告書作成
・所得税・贈与税・相続税等の税務申告作成 など
<事業承継コンサルティング>
・事業承継・相続に関する課題ヒアリング
・事業承継スキーム構築・提案(組織再編・M&A)
・株価の評価
・土地・不動産の評価、企業価値評価(バリュエーション)
必要な経験・能力
以下いずれかに該当する方
・税理士を目指し勉強中の方(実務は問いません)
・会計事務所にて税務申告のご経験をお持ちの方
・税理士、科目合格者(実務は問いません)
想定年収
400万円 ~ 1,200万円

コーポレートアドバイザリー(財務DD)/IPO準備/無借金経営/業績好調のM&Aコンサルファーム

仕事内容
・案件エグゼキューション
・企業評価/企業概要書の作成
・スキーム案作成 M&Aを実行するための最適取引手法の提案・構築
・ディールにおける論点整理
・デューディリジェンスにおけるコンサルタントサポート
・外部専門家チームとの連携
・クロージング対応サポート
必要な経験・能力
以下いずれかに該当する方
・公認会計士や税理士試験の受験経験
・公認会計士・税理士・USCPA等の有資格者大歓迎
・会計士事務所や税理士事務所での勤務経験
想定年収
600万円 ~ 1,000万円

財務経理職【スタッフ~管理職候補】◆国内1位、世界2位のシェアを誇るグローバル企業

仕事内容
・会計伝票作成とシステムへの入力
・月次、年次決算業務
・連結決算業務
・税務申告(法人税、消費税など)
・経理、原価計算マニュアルの整備
・業務効率化
・子会社決算支援、監査(国内、海外)
必要な経験・能力
<必須>
・経理、決算の取りまとめ経験
・基礎的な会計基準の理解
・基礎的な法人税・消費税の知識
・英文決算書が読め、英文メールでのコミュニケーションが可能
・会計・経理システムの利用経験
<歓迎>
・税理士、公認会計士、米国公認会計士、簿記1級の資格保有者(試験勉強をされていた方も歓迎)
想定年収
450万円 ~ 700万円
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まとめ

税理士試験において不合格を経験することは、決して珍しいことではありません。大切なのは、その経験を無駄にせず、今後の行動につなげていくことです。

本記事でご紹介したとおり、税理士試験後の進路には、再受験に向けた準備を続ける道、働きながら合格を目指す道、これまでの知識を活かして新たなキャリアに進む道など、複数の選択肢があります。

管理部門・士業領域に特化した転職エージェント「MS-Japan」では、税理士試験経験者に向けた求人のご紹介や、今後のキャリアの整理をサポートしています。
情報収集の一環として、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

佐藤 颯馬

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。
法律事務所・会計事務所・監査法人・FAS系コンサルティングファーム等の士業領域において事務所側担当として採用支援に従事。その後、事務所側担当兼キャリアアドバイザーとして一気通貫で担当。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ コンサルティング ・ 金融 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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