法務部への転職はエリートにしか出来ないのか?企業法務の転職事情
法務部を設置できる規模の企業は限られていて、スタッフも専門性の高い業務に従事します。
そのため、法務部について「選りすぐりのエリートが集まる花形部署」という印象を持つ人は多いようです。
特に大手企業の法務部は狭き門であり、就業が難しいと思われがちです。
実際のところ、すべての企業でそうとは限らず、これまでの実務経験を評価されて転職する例も存在します。
この記事では、そんな法務部への転職事情について解説します。
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目次
- まずは法務求人をご確認したい方はこち
- エリート以外は大変な仕事?法務部の仕事内容とは
- 資格なしでも転職出来る?法務部に転職できる人材とは
- 法務部の年収はエリート人材に見合った年収!
- 法務部の将来性は?法務担当のキャリアとは
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エリート以外は大変な仕事?法務部の仕事内容とは
法務部の職務は、大きく以下の3つに分かれます。
- ・戦略法務(企業活動における利益を最大限に高める法務)
- ・予防法務(将来的に想定されるトラブルを未然に防ぐための法務)
- ・臨床法務(実際に起きたトラブルに対処する法務)
戦略法務には、法に触れない範囲で、自社の利益を最大限に高めるための業務が該当します。
M&Aや海外進出など、自社の活動にからむ法律を踏まえ、ビジネスの観点から最善の提案を行うことが求められます。
予防法務は、法務部の数ある職務の中でも特に重要なもので、消費者やライバル企業との衝突を防ぐ意味合いがあります。
具体的には、契約内容の精査、従業員へのコンプライアンス研修、情報漏洩対策などが該当します。
臨床法務は、予防法務によって抑えられなかった法的トラブルに対処する業務のことです。
顧客からのクレームやCM等による炎上対応、従業員の不祥事などへの対応を行うだけでなく、
次回も同じような問題が発生しないようにすることも重要です。
これらの職務を遂行するにあたり、特別な資格や学歴が必要というわけではありません。
職場において「エリート」という単語が何を意味するのかにもよりますが、法務職は基本的に能力主義の職種と考えてよいでしょう。
そのため、すべての企業の法務部で、以下のような条件が必須というわけではありません。
- ・弁護士、司法書士、行政書士など国家資格を取得していること
- ・高学歴でなければならない
- ・法学部を卒業している必要がある
法務人材には、法律の条文を理解する能力だけでなく、契約書等の構成を順序立てて追える論理的思考能力、 他部署のメンバーに関係法令を分かりやすく解説できるコミュニケーション能力などが求められます。
学歴や資格が問われる求人もありますが、法務として働く上で必要な能力のある人材なら、法務職として活躍できることでしょう。
資格なしでも転職出来る?法務部に転職できる人材とは
法務職として働く際は、実務能力の有無が重要となります。
資格・学歴の面で、一般的なエリートのイメージには該当しない人材であっても、採用される可能性は十分あります。
法務部が求めている人材の特徴
法務部で必要とされる人材は、いわゆる「関係法令の条文を隅々まで暗記している」ような秀才型の人材ではありません。 もちろん、そういった人材も評価される可能性はありますが、重要な点は「法律を自社のビジネスに最大限活かす」 ことができる能力があるかどうかです。
具体的には、以下のような能力を持つ人材を、法務部は求める傾向にあります。
- ・法律を正しく理解した上で、状況に当てはめることができる分析能力
- ・論理的破たんがない文章を作成できる構成能力
- ・「やってはいけないこと」をシビアに判断できる倫理観
- ・他部署のスタッフにコンプライアンスを分かりやすく説明できるコミュニケーション能力
また、管理職クラスになると、次のような能力も問われることになります。
- ・課題全体を見通して最適解を導き出せるバランス感覚
- ・顧問弁護士との調整能力
- ・対外的な交渉能力
- ・リーダーシップ
「法律を守ること」だけが法務に求められているわけではない
法務職の特徴は、単純に法律を厳守するための方法を考えるだけでは仕事にならないことです。
例えば、法律事務所では「法律でやってはいけないこと」をチェックするのが仕事ですが、
企業法務には原則にのっとった対応ではとても対処しきれない案件が多数存在します。
絶対にNGとなる部分と、ここまではOKという部分を線引きして、自社の利益を最大化することが、法務担当者には求められています。
ある意味では、非常にクリエイティブな対応を必要とするため、法律を理解して柔軟に解釈するセンスも問われます。
【参考URL】
・
企業法務が人材不足の今、求められるスキルや資質とは?
法務部の年収はエリート人材に見合った年収!
法務職として働ける人材が、必ずしも世間的なエリートの条件を満たす必要はありません。
しかし、実際に法務部で勤務した場合、年収はエリート人材に引けを取らない金額になるでしょう。
法務部は比較的年収が高め
勤務する企業によって事情は異なるため、一概には言えませんが、
法務部はバックオフィス部門の中では比較的年収が高い傾向が見られます。
比較的年収が高めの企業であれば、スタッフクラスでも550万円ほどの年収になることもあります。
経験年数によって年収にも違いが生じ、法務未経験者は年収300~400万円台というケースも少なくありませんが、 法務経験5年以上であれば、550万円あるいはそれ以上の年収になることが期待できます。
キャリアアップに応じて年収は上昇
法務職として中堅クラスになると、主任などの役職を任されるようになります。
昇進すれば、その分年収も増加していくため、基本的には長く勤めるほど年収は増えるものと考えてよいでしょう。
役職手当の他、家族ができれば扶養手当が支給されることもありますし、海外への赴任などが発生すれば赴任手当も期待できます。
その他、知財部門に配置された場合に年収が上がるケースもあります。
部課長クラスを拝命する段階になれば、最終的に800~1,000万円まで年収がアップすることも十分考えられます。
他の職種と比較した際の法務の年収
法務職は、人事や経理、総務といった職種と比較すると、年収は高めの設定となっている企業が多く見られます。
財務・会計や経営企画、マーケティングの分野に従事している人材に比べると、多少年収が落ちるケースもありますが、
バックオフィス部門全体としては高めの年収と言ってよいでしょう。
法務部の将来性は?法務担当のキャリアとは
法務部は、バックオフィス部門の中で特に専門職としてのイメージが強いですが、
具体的にどのようなキャリアを描けるのかを想像できない人も多いかもしれません。
以下、事業会社の法務部におけるキャリアパス・ビジネスパーソンとしての将来性についてご紹介します。
スペシャリストを目指すキャリアパス
企業規模が大きく、法務部の人員も多い環境で働く場合は、スペシャリストを目指すキャリアパスが検討できます。
どの分野を究めるのかは、配属されてから決定することになりますが、概ね以下のようなジャンルに集約されるでしょう。
- ・英文契約も含め、契約業務を中心にキャリアを積む
- ・社内ルールに精通し、経営に関連する法務を中心にキャリアを積む
- ・弁理士資格取得を視野に入れつつ、知財法面のキャリアを積む
- ・海外に事業を展開する企業で、国際法務のキャリアを積む
専門的なキャリアを積んでいれば、役職に就いていなかったとしても、社内で正当な評価を得やすいはずです。
一芸に秀でたスペシャリストを目指すのであれば、企業が絶対に手放さないであろう人材像を見極めた上で、
スキルを高める努力をしましょう。
ゼネラリストを目指すキャリアパス
中堅クラスの企業であれば、法務部が設置されていても、人員がそれほど多くないことも珍しくありません。
企業によっては、総務が法務を兼任するケースも見られますから、
そういった小規模な法務部ではゼネラリストを目指す選択肢があります。
法務のゼネラリストには、複数の分野を横断的に学んで対応することが求められます。
たくさんの知識と経験を積むことで、将来的には管理職として登用されることも十分考えられます。
経営陣の一員になることを目指すキャリアパス
法務担当者が任される職域は、担当者によって違うことが多いものの、どの企業にも取りまとめ役(管理職や幹部)が存在します。
部長クラス以上への昇進に関しては、実務経験が評価されるケースに加えて、マネジメント能力が求められます。
経営陣に直接提案を行うことも多いため、経営者が何を望んでいて、そのために何ができるのかを把握する察知力も問われます。 他部署との連携も含め、高度なコミュニケーション能力を要する点にも注意が必要です。
基本的には、実務経験を積んで経営陣からの信頼を得ることが、経営陣の一員になるための第一歩です。
原則として、転職を考えずに同じ職場で働くことになりますが、部課長候補を募集している企業に転職するのも一手です。
まとめ
法務職は、入社段階からエリートとしての資質を問われる訳ではありません。
しかし、法律の知識に加えて、論理的思考能力や現状分析能力を求められるため、
ビジネスパーソンとしてはエリートクラスに属する能力が求められることは確かです。
企業によっては、採用にあたり学歴や資格を応募条件とするところもありますが、基本的には実務経験が重視されます。
法律について詳しいだけでなく、法律を自社にとって都合よく活用するための方法を編み出せるセンスが、法務職には問われます。
役職に就けば、一つひとつの問題を俯瞰して、最適解を導き出すことが求められます。
また、部下のマネジメントや経営陣に対する提案力を磨くことも重要です。
キャリアアップの方向性としては、スペシャリストを目指すかゼネラリストを目指すかで、
職場選びの方向性が変わってくる点に注意が必要です。
もちろん、同じ会社に操を立てて、経営陣の仲間入りをする選択肢もあります。
数あるバックオフィス部門の中でも、特に専門的かつ複雑なスキルを要する分、年収も総じて高めです。
法務職として出世街道を歩むには、分かりやすいステータスよりも、実務を的確にこなしてきた実績がパスポートになるでしょう。
この記事を監修したキャリアアドバイザー
大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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