2023年11月10日

内部監査に求められるスキルとは?スキルアップ方法や向いている人、転職事例など

管理部門・士業の転職

企業を取り巻く環境は日々変化し、企業が想定すべきリスクの種類も増加しています。特に近年では消費者や投資家といった企業に関わるステークホルダーの見識や意識が高まっており、より健全な経営や環境負荷や人的資本への配慮も求められています。
そのような事情から、自社の内部監査を強化しようと考えている経営者は少なくありません。

内部監査は、仕事内容の性質上、経営管理、事業運営、組織マネジメント、業務プロセスなどへの幅広い知見が必要なため若手社員ではなくベテラン社員が担う傾向があります。 また、内部監査としてキャリアを積みたい場合は、求められる知見の広さから、できるだけ若い時期から内部監査職を見据えたキャリアプランが必要になります。

この記事では、内部監査の分野でスキルアップを目指したい方に向けて、内部監査で求められるスキルスキルアップの方法向いている人の特徴転職成功事例などをご紹介します。

内部監査の役割・仕事内容とは?

企業によって、内部監査に役割や仕事内容が異なるため、一口に説明することはできませんが、多くの企業の共通事項をまとめると、以下のように整理できます。

内部監査の役割

内部監査は、内部監査人が「業務時の不正防止」・「業務効率化」・「経営目標の達成」などの目的のため、財政会計や業務に関する調査・助言を行います。

仕事内容は、内部統制内部監査の2つに分類できます。
内部統制は、各種規程やマニュアルの整備を行うとともに、評価の範囲を決めて運用状況を評価し、内部統制報告書を作成します。
内部監査では、社内の業務ルールが明文化されているか・ルール通りに運用できているかを評価したり、規程等の不足・不備の改善に向けた提案を行ったりします。

なお、外部監査は内部監査と異なり、顧客の要求が守られているかどうかを証明する役割を担います。
監査を担当するのも、公認会計士など外部のプロフェッショナルが中心となるため、基本的にはまったく別ものと考えてよいでしょう。

仕事内容と流れ

内部監査の仕事は、概ね次のような流れで進んでいきます。

仕事内容 詳細
1.情報収集 ・社内のリスクや内部統制における懸念点を調査する
・前回の内部監査結果、経営会議等で明らかになったリスク指標などの情報を収集する
・本調査の1~2ヶ月前に「予備調査」を行うこともある
2.内部監査実施計画の作成 ・内部監査の対象範囲を決定し、内部監査実施計画書を作成する
※基本方針・重点目標・対象範囲・スケジュールなどを決める
3.内部監査の実施 ・内部監査実施計画書に則って、ルール通りに業務が行われているか、不正の有無を確認する
・予備調査を行っている場合は、その段階で監査する項目を絞り込んでおく
4.内部監査報告書の作成 ・監査結果をもとに総合的な評価・分析し、内部監査報告書を作成する
・報告書には、内部監査の目的・範囲・内部監査人の意見・改善計画などを記載する
5.報告 ・取締役会・監査委員会などで、内部調査結果と内部監査人の意見を最高経営責任者に報告する
6.指摘事項に対するチェック・フォロー ・対象部門が指摘事項の改善活動を進めているか、継続的にチェックする
・問題解決に向けてフォローする
・解決されていない場合は監査役・監査委員会に報告をする

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内部監査に必要なスキルとは?

内部監査人に求められるスキルは、大きく分けて下記の4つに分類できます。

内部統制に関する知識

内部監査を行うためには、日本の内部統制報告制度の仕組みを深いレベルで理解する必要があります。
財務報告書の信頼性確保を目的として、アメリカのSOX法をもとに作成した「j-sox法」に関する知識も必須と言えるでしょう。

監査に関する知識

内部監査人は、監査の目的や役割を正しく理解し、内部監査の一連の流れを習得していることが求められます。
また、内部監査の対象範囲は社内すべての部門であることから、監査対象部門の業務理解も重要です。
ある意味ではゼネラリスト的な要素が求められるため、複数の職種・現場を経験していると、実務面で役に立つでしょう。

組織をマクロ・ミクロで見る能力

自社の運営状況に問題がないかどうか判断するには、企業全体を見るだけでも、一部の部門を見るだけでも不十分です。 部門の業務フローが元凶である場合もあれば、企業全体の制度に問題がある場合もあります。
よって、内部監査では、全体を見通すマクロな視点と、違和感を覚えた部分は丁寧に調査するミクロな視点が必要です。

コミュニケーション能力

内部監査では、様々な部門の従業員とコミュニケーションをとる必要があるため、内部監査人が他部署から「煙たがられない」存在になることが重要です。 何気ない会話の中から、問題点の糸口をつかむことも重要であり、傾聴力も要求されます。
内部監査の結果、改善が必要な場合は、対象部門に報告して改善を求めることも必要です。そこで、対象部門の担当者が「あなたがそう言うなら」と、考えてもらえるような関係性を築くことが理想的だと言えるでしょう。

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内部監査に向いている人は?

内部監査は、自分が主体的に取り組んで成果を出すセクションではなく、第三者的に結果を報告し改善へと導く立場です。
そのため、次のような性格の人が向いているとされます。

客観的視点で判断することを心がけている人

内部監査では、現状が基準からどこまで離れているのか把握した上で、経営陣や問題のある部門に報告する必要があります。 そのような業務をこなす上で、様々な情報を集め、所定の基準をもとに物事を客観視できる人は、内部監査の仕事に取り組みやすいでしょう。

判断が独善的で根拠に乏しい場合、指摘・注意された相手が反発するのは当然のことです。
反対に、数字など客観的な情報を根拠に的確な判断ができる人は、内部監査に向いています。

コンプライアンス意識が高い人

正しいことが何かを知っていて、それを実現するために何をすべきなのかを理解しているは、内部監査人の適性があります。
内部監査では、内部監査人自身が「自社の規則や各種法令を遵守している」と示すことで、監査対象部門や経営者から信頼を得やすくなるうでしょう。

経営に関心がある人

将来的に経営陣として働きたい・自分の会社を立ち上げたいなど、経営に携わるキャリアプランを目指している人も、内部監査の仕事が向いているでしょう。 内部監査の経験を積むことで、特定の部署で長く働き続けるよりも、企業全体を様々な角度から企業経営に触れることができます。
経営陣と近い距離で仕事ができれば、自分の仕事観に良い意味で変化を与えられるでしょう。個人・部門単位ではなく、組織として成果を出すことを学びたいのであれば、内部監査の仕事は経験する価値があります。

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内部監査でスキルを磨く方法は?

内部監査でスキルを磨く方法は?

内部監査人として通用するスキルを磨くためには、どのような方法があるのでしょうか。
主な選択肢としては、以下の2つの方法が考えられます。

資格を取得してより専門的な知識を身につける

内部監査のスキルを証明する有名な資格としては、以下の2つの資格があげられます。

  • 公認内部監査人(CIA)
  • 内部監査士(QIA)

公認内部監査人(CIA)は、190カ国で18の言語で試験が行われている資格です。内部監査関連の資格の中では唯一の国際資格で、外資系や海外事業を展開している企業などでも高い評価を得られるでしょう。
試験内容は3つのパートに分かれており、最初の受験登録から4年以内に、3パートすべてに合格する必要があります。

試験突破ではなく、講習を受けて資格を取得したい場合は、内部監査士(QIA)もおすすめです。
こちらは、所定の課程を修めた後で修了論文を提出して、審査に通ることで資格取得となります。

スキルアップできる企業へ転職する

実務面で実力を高めたい場合は、内部監査を経験できる別業種の企業などへ転職する方法も良いでしょう。 企業のリスク・課題は、業界・企業規模・企業フェーズによって異なるため、様々な企業を経験することで内部監査人として市場価値が高まります。

しかし、転職を希望していても、「内部監査人を求人が少ないのではないか」と考えている方も多いでしょう。 事実、内部監査の実施が義務化されているのは、上場企業など一部の企業に限られるため、経理や人事などの管理部門と比較すると、求人数が少ない傾向にあります。

「自分に合う求人が見つからない」と考えている人は、転職エージェントの利用がおすすめです。
昨今、内部監査などの企業にとって重要なポジションは、転職エージェントの非公開求人で募集されているケースが増えています。転職エージェントに希望の条件を伝えることで、キャリアアドバイザーが自分に合った求人を見極めて紹介してくれるでしょう。

内部監査でのスキルアップを転職で叶えた事例

弊社MS-Japanが提供する「MS Agent」は、管理部門と士業に特化した転職エージェントです。
ここでは、「MS Agent」を利用して、内部監査でのスキルアップを転職で叶えた事例をご紹介します。

上場企業の内部監査未経験→内部監査ポジションで4社から内定!!

Aさんは、上場会社・上場子会社・IPO準備企業にて経理経験を積んだ後、上場子会社で内部監査業務に5年程従事していました。 その後、より内部監査としての経験値を高めるため、上場会社の内部監査ポジションを目指して転職活動を開始しました。

Aさんは、上場企業での内部監査経験がなく、前職での在籍期間が1年ほどと短いことで転職活動に不安を感じていました。しかし、現状以上の年収を希望せず、「上場会社で内部監査の経験を積みたい」という目的を明確にして転職活動に臨んだことで、最終的に4社から内定を獲得することができました。

Aさんの事例を詳しく読む

未就業/未経験から内部監査への就職に成功!

Tさんは、法科大学院修了後、弁護士資格取得に向けて司法試験を受験しましたが、合格には至らず、一般事業会社への入社を決意し、転職活動を開始しました。
未就業・未経験での挑戦という不安も多い中での転職活動でしたが、不動産関連事業を手掛ける企業の内部監査の選考を受け、一次面接・最終面接で内部監査室長や役員の方にお会いいただき、丁寧なフォローアップ体制があることが理解できたことで、入社を決意しました。

法科大学院修了後は法務へのキャリアパスが一般的ですが、職種にこだわらず、法科大学院で培った法的知識活かせる内部監査へ未経験で挑戦できるという希少性が入社の決め手となったようです。

Tさんの事例を詳しく読む

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まとめ

企業全体をマクロ・ミクロの両面から捉える内部監査の仕事は、誰にでも任されるものではありません。 複数の部署・職種の経験だけでなく、内部統制・監査に関する知識や、現場の従業員などからリスク・課題をヒアリングするコミュニケーションスキルも求められます。

常日頃から、客観的な視点で物事を判断し、経営を意識して正しいことを推し進める意識を持っている人は、内部監査人に向いているでしょう。
適性があれば、未経験でも内部監査に転職できる可能性は十分あります。内部監査への転職を希望される方は、一度転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

鈴木 雅也

大学卒業後、飲料メーカー営業、学習塾の教室運営を経て19年MS-Japanに入社。キャリアアドバイザーとして企業管理部門、会計事務所などの士業界の幅広い年齢層の転職支援を担当。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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