2023年09月08日

弁護士と弁理士の違いは?難しいのはどっち?ダブルライセンスのメリットは?

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弁護士と弁理士は、法律を扱う国家資格で、字面もよく似ています。
実際に両方の資格を登録している人もいますが、それぞれ業務内容や役割は違います。

今回は、弁護士と弁理士の業務の違いやそれぞれの資格取得について解説します。


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弁護士とは

弁護士は、訴訟事件を中心とした法律事務を行います。
訴訟事件には、離婚や相続、交通事故、お金の問題、特許権の侵害など知的財産権の問題などを扱う民事事件と、殺人・傷害や詐欺などの刑事事件とがあります。
そのほかに、個人や企業を相手とした訴訟に至る前の交渉なども弁護士の業務です。

弁護士の登録者数は、2018年時点で約4万人です。
弁護士の多くは弁護士事務所を経営、あるいは弁護士事務所に勤務していますが、近年では、企業や官公庁に勤務する「インハウスローヤー」が急速に増えています。
法律が専門分野である弁護士は、法学部の出身者が多いですが、法学部以外の出身者も全体の1~2割ほどを占めています。

弁護士資格を取得するためには、司法試験に合格しなければなりません。
司法試験を受験するためには、法科大学院の修了または予備試験の合格が必要です。


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弁理士とは

弁理士は、発明、考案、デザイン(意匠)、商品やサービスの名前・マーク(商標)などに関する権利について、特許庁に特許権・実用新案権・意匠権・商標権として登録するための手続の代行、またそれらの知的財産権に関する審判請求や異議申立て等の手続の代行が主な仕事です。

弁理士登録者は約1万人であり、弁護士の約4分の1程度です。
多くが特許事務所や特許法人で働いていますが、近年、弁護士と同じく企業内弁理士も増えてきています。
弁理士が取り扱う案件は、理系分野の専門知識が必要になることが多く、弁理士のうち8割強が理工系学部出身者です。
文系出身者は、商標や意匠の分野を担当する人が多いです。

弁理士資格を取得するためには、次の3つのいずれかに該当し、実務修習を修了する必要があります。
①弁理士試験に合格する
②弁護士の資格者
③特許庁の審判官又は審査官として7年以上の審判又は審査の事務に従事した者


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弁護士と弁理士の違い

弁護士と弁理士は、混同されやすい職種ではありますが、明確に異なります。弁護士と弁理士の違いを、以下にまとめています。

・専門分野:弁護士は幅広い法律分野を扱いますが、弁理士は特許や知的財産法に特化しています。

・扱う案件:弁護士は刑事事件、民事訴訟、法律相談などを扱います。一方で弁理士は特許、実用新案、意匠、商標などの申請、登録、維持、侵害訴訟などを扱います。

・法廷での役割:弁護士は法廷でクライアントの代理人として出廷できますが、弁理士は特許侵害訴訟など特定の分野でのみこれを行います。

・職場:弁護士は法律事務所や企業の法務部門で働くことが多くなっていますが、弁理士は特許事務所や企業の知的財産部門で働くことが多いです。

以上の違いから、弁護士と弁理士はそれぞれ異なる専門性と役割を持つ法律専門職であるといえます。


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弁護士と弁理士、なぜ字面が似ているのか?

弁理士でない者が、特許庁における手続代理などを行うと「非弁行為」として刑罰の対象になります。
弁護士でない者が法律事務を行う「非弁行為」と全く同じでややこしいですが、とくにそれらについて別の言葉を用いる必要もないのでしょう。

そもそも「弁護する」という日本語はありますが「弁理する」という日本語はないように思います。
「弁理士」の語源については、必ずしも明らかではありません。

弁理士は、発明内容を分析・構成して特許明細書などで理由付けを行う際に、「理」系分野である自然法則を「理」解して、それらを極めて高度な論「理」的思考能力によって構成する力が求められることから、このような名前が付けられたのではないかと言われています。
まさに『理(ことわり)を弁える士業』です。

逆に弁護士業務では、必ずしも論理や自然法則だけではなく、人情や感情、社会情勢、時代背景といったウエットな要素も多く占めることから、『人や組織を「護」ることを「弁」える士業』と考えると、少ししっくりするかもしれません。


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弁護士・弁理士になるためには?

弁護士あるいは弁理士になるためには、それぞれ資格を取得しなくてはなりません。
弁護士資格および弁理士資格を取得するための進路を見てみましょう。

弁護士になるための進路

弁護士になるためには、司法試験に合格しなければなりません。
司法試験は、資格試験の中で「最難関」と言われています。
司法試験を受けるためには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格するかのどちらかが必要です。
司法試験の合格後は、1年間の司法修習を受けた後に、弁護士資格が得られます。

<法科大学院を修了する>

法科大学院は、法曹として求められる深い学識および卓越した能力を培うことを目的として2004年に創設され、2018年時点で、全国に43校があります。
少人数で密度が濃い授業を基本としています。
授業の内容は、憲法や民法・刑法などの法理論のほか、法律相談や事件の解決などを事例に即して学ぶなど、実務を強く意識したものとなっているのが特徴です。
法科大学院には、法学未習者のための3年コースと、法学既習者のための2年コースとがあります。

・法学未習者コース(3年)
法学未習者コースでは、法学部で法律を学んでいないことを前提に、憲法、行政法、刑事法、民事法、および商法の法律基本科目をしっかりと学ぶことからスタートします。

・法学既習者コース(2年)
法学既習者コースは、法律基本科目をすでに学んでいる人が進みます。入学するには、法科大学院が実施する法律基本科目試験に合格しなくてはなりません。
法科大学院を修了すると、翌年の司法試験を受験することができます。

<予備試験に合格する>

司法試験予備試験は、法科大学院を修了した人と同等の学識・能力および実務の基礎的素養があるかどうかを判定するための試験です。

・1次試験:短答式試験(5月に実施)
法律基本科目と一般教養科目についてマークシート方式で解答する。

・2次試験:論文式試験(7月に実施)
法律基本科目と一般教養科目、および法律実務基礎科目について、論文方式で解答する。

・3次試験:口述試験(10月に実施)
法律実務基礎科目について、口頭で解答する。

3次試験まであり、それぞれを合格した人が次の試験を受験することができます。
予備試験の合格率は毎年4%程度で、司法試験よりも狭き門となっています。

弁理士になるための進路

弁理士になるためには、次の3つのいずれかを満たすことが必要です。

1.弁理士試験に合格する
2.司法試験に合格する
3.特許庁で審判・審査に7年以上従事する

したがって、司法試験に合格すれば、弁護士と弁理士の両方の資格を得ることができます。
以下では、弁理士試験の概要について見てみましょう。

<弁理士試験について>

弁理士試験の受験資格はありません。したがって、学歴や年齢、国籍に関わらず、誰でも受験することができます。

・1次試験:短答式試験(5月に実施)
弁理士活動を行うにあたって必要な基礎的知識および法条の解釈・理解を問う。

・2次試験:論文式試験(10月中旬~下旬に実施)
弁理士活動を行うにあたって必要とされる法条の解釈および理解力・判断力・論理的展開力・文章表現力などの総合思考力を問う。

・3次試験:口述試験(10月下旬~11月上旬に実施)
総合的思考力にもとづく口述による説明力を問う。

3次試験まであり、それぞれを合格した人が次の試験を受験することができます。合格者は、最年少が20歳、最年長は63歳。職業は、会社員52.7%、特許事務所31.5%で、理工系学部の出身者が82.3%です。

ちなみに弁護士資格をもっていれば、無試験で弁理士登録できます。
しかしそのためには、日本弁理士会の研修を受けなければなりません。もし先に司法試験に合格した場合、弁理士試験を受験する意味はほとんどありませんが、「知的財産法を専門としたい」などの理由で受ける人がごくまれにいるようです。


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弁護士・弁理士はどちらが難しい?

弁護士・弁理士は どちらが難しい?

合格率を比較

まずは合格率を比較します。直近5年間の合格率の推移は、以下の通りです。

合格率
(司法試験)
合格率
(弁理士試験)
2017年 25.9% 6.5%
2018年 29.1% 7.2%
2019年 33.6% 8.1%
2020年 39.2% 9.7%
2021年 41.5% 6.1%

合格率だけを見れば弁理士試験のほうが難しいように見えますが、司法試験を受けるためには「法科大学院を修了する」もしくは「司法試験予備試験に合格する」といった条件を満たさなければなりません。

一方弁理士試験は、大学院の修了や難しい予備試験の突破といった条件がありません。
本番のための練習として、いわゆる「記念受験」をするような層もいるため、合格率が低くなっていると考えられます。
総合的に判断するのであれば、司法試験のほうが弁理士試験よりも合格の難易度は高めです。

受験方式を比較

司法試験は、連続する4日間で試験が行われます。短答式と論文式の2種類があり、この成績で合否が決定するといった仕組みです。

一方弁理士試験は、「短答式筆記試験」「論文式筆記試験(必須・選択科目)」「口述試験」と進んでいき、1つの試験にパスすると次の試験に進めるという構造です。
約半年かけて進めていきますので、試験にとらわれる時間は長いですが、比較的ゆったりとしたスケジュールで進められます。

出題範囲を比較

先述のように、司法試験は短答式と論文式の2つに分かれています。短答式の筆記試験の出題範囲は、憲法、民法、刑法です。
論文式は、公法系科目、民事系科目、刑事系科目、選択科目が出題されます。

一方の弁理士試験は、基本的に工業所有権に関する法令が出題範囲となります。
弁護士のように幅広い法律の知識を必要とするわけではないため、試験の対策も比較的やりやすいでしょう。


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ダブルライセンスのメリットとは

ダブルライセンスの場合、「弁護士がプラスアルファとして弁理士としての専門性をもっている」といったスタイルが基本になります。
ダブルライセンスのメリットは、「両方の仕事をこなせる」「知的財産関係に強い弁護士として活躍できる」の2点です。

両方の仕事をこなせる

弁護士と弁理士の両方の資格を持つことで、その人は法律問題全般、特に特許法や商標法に関する問題を取り扱えるようになります。
専門的な知的財産法のアドバイスだけでなく、それに続く法廷での代理など、より包括的なサービスをクライアントに提供できるようになるでしょう。

両方の仕事をこなせることは、多様なキャリアパスを可能にします。
将来的には自分自身の法律事務所を開設するなど、豊富なキャリアオプションを持てるようになるでしょう。

知的財産関係に強い弁護士として活躍できる

弁理士は特許法や商標法など、知的財産法に関する専門的な知識と経験を持つことが要求されます。
このような知識は、特許侵害訴訟などの複雑な訴訟を扱う弁護士にとって非常に有用です。
知的財産法に関する深い理解をもつことで、クライアントに対してより高度なアドバイスを提供できるようになります。

弁護士として高い専門性をもっていることによって、市場価値が向上する点も見逃せません。
雇用の機会や報酬にもよい影響を与えるでしょう。


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まとめ

弁護士と弁理士は、似たような資格として勘違いをされることもありますが、専門分野や法廷での役割などさまざまな違いがあります。
司法試験に合格し、研修後に弁理士登録を済ませれば、ダブルライセンスで働くことも可能です。

弁護士と弁理士のダブルライセンスを持つ場合、基本的には知的財産法を専門とした弁護士として活動することになります。
多様なキャリアパスを描けるようになるなど、多くのメリットがあるため、ダブルライセンスを検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

河本 俊範

大学卒業後、食品メーカー営業を経て2005年MS-Japan入社。企業側営業担当を1年半経験し、以降はカウンセラー業務を担当。若手中堅スタッフの方から、40~50代のマネージャー・シニア層の方まで、年齢層問わず年間500名以上をカウンセリングさせていただいています。
企業管理部門全般~会計事務所など士業界、会計士・税理士・弁護士資格者まで弊社の特化領域全般を担当しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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