経歴詐称はみんなやってる??経歴詐称がバレた人の末路とは…
近年は、特に30代後半~40代前半を対象にした求人が目立って増えており、少しでも即戦力が欲しいという企業側の強いニーズが表れているようです。転職市場は活況の一途をたどっていますが、一方で、今年は特に経歴詐称をする方が目立っています。これまで、キャリアアドバイザーとして3千名以上の方々の転職相談を承ってきましたが、今年は例年以上に経歴詐称が頻発している印象です。
今回は、経歴詐称について少しお話したいと思います。経歴詐称は、どのように行われているのでしょうか?
実際にあった経歴詐称
最も多いパターンの経歴詐称は、前々職より前の経歴の在籍期間を変更してあることです。この在籍期間詐称により、経験社数が極端に減ったり、長年同じ会社に勤続したことになっていたりします。
インターネットで検索すれば、詐称の仕方も詳しく書いてあったりして、大変やるせない気持ちになります。
経歴詐称が発覚すると、殆どの方は「経歴詐称だと自覚していなかった」と口にします。というのも、ハローワークや派遣会社のコーディネーター等、中途採用に関わる人物が「書かなくてもいいですよ」「消しちゃいましょう」と アドバイスをすることがあるからです。経歴詐称については、ご本人が考えて試みる場合と、誰かのアドバイスで元々の職務経歴書・履歴書を改定されるケースが半々くらいのようです。「書かなくていい」と言われて、書類選考に通るなら、嘘をつくことだと分かっていても心が動きますよね。
「やる気があるのに書類選考で落とされるなんて、あまりに悲しいです。そのための、職歴詐称です。ちょっとだけ嘘をつきましょう。」これは、インターネットで経歴詐称を勧めているページの一文です。ちょっと嘘をつく、その代償は大きいのに、絶対にバレないなんて誰が保証してくれるのでしょう。
経歴詐称が発覚するのはどんなとき?
経歴詐称が発覚するケースは様々なのですが、エージェントが気づく場合、提出された職務経歴書を基にお話を伺ったら噛み合わない部分が出てきて発覚、というパターンが多いです。特に管理部門は専門職なので、経験年数や経験業種、在籍していた企業の会社概要で、スキル感に合わない話が出てきて経歴詐称が発覚するパターンもあります。
また、管理部門や会計業界、金融機関などの場合、選考が進んだらリファレンスチェックをされる場合も多いです。外資系企業では以前より当たり前のように行なわれているリファレンスチェックですが、近年日系企業でも行なわれる機会が増えてきており、発覚する可能性は他職種に比べて極めて高いと考えた方がよさそうです。
また、入社時の社会保険や雇用保険の履歴によって経歴詐称が判明する場合もあるので、きちんとチェックする企業であればほぼ間違えなくバレると考えたほうが良いでしょう。
経歴詐称がバレたらどうなる?
結論から申し上げると、犯罪にはなりませんがせっかくの内定が取り消されたり、入社後でも解雇の事由には十分なり得ます。経歴詐称がバレた場合はせっかく入社した会社を退職させられる可能性も高く、なにより雇用主との信頼関係が大きく損なわれてしまいます。
経歴詐称行為をしての入社で、解雇処分より厳しく「犯罪行為」として立件されてしまう可能性はゼロではありませんが、多くの場合は罰則規定がない労働契約法違反になるため、刑事罰を問われる事まではありません。但し、解雇要件を決めるのは「企業の人事や上層部」次第ですので、軽微な要件だとしても、経歴詐称入社というだけの理由で解雇になる可能性は十分あります。実際に、入社後に発覚した多くのケースで退職に至っています。
なお、大学卒を高卒と偽った「逆詐称」でも、解雇は有効という判例が出ています。
エージェントの立場から見る経歴詐称
人材紹介エージェントとして採用支援の立場から肌身で感じてきましたが、経歴詐称が発覚すると、一気に信用を失うだけでなく、その後の社会人人生にも悪い影響を与えてしまいます。入社後であれば解雇になりますし、転職活動中でも書類を訂正したところで経歴詐称をした事実は消えないので、敬遠され紹介求人は激減します。結果的に中長期に亘って、ご志向やご経験に即した求人とのマッチングがしにくくなってしまいます。
個人的な意見ですが、経歴詐称をする方は、本当は傷つきやすくて優しい性格で転職活動に困っている方が多い印象です。これまでに多くの経歴詐称を見てきましたが、悪意の強い詐称は数えるほどしかありません。「知らなかった」「書類選考が通らないのが辛かった」「人に言われたから」等、経歴を変えてしまった経緯を伺うと、毎回とても胸が痛くなります。
経歴詐称はあまりにもリスクが高く、まったくお勧めできない行為です。
これを読んだあなた、ご自身の応募書類に経歴詐称はありませんか?
もし思い当るところがあるようであれば、大事になる前に見直していただけることを願うばかりです。
(文/チーフキャリアアドバイザー 小林典子)
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