税理士の広告規制とは?禁止される広告とNG広告表記一覧

更新日:2023/09/07
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税理士の広告規制とは?禁止される広告とNG広告表記一覧

管理部門・士業の転職

税理士の広告規制とは?禁止される広告とNG広告表記一覧

「もっと仕事を増やしたい」という悩みを持つ経営者は少なくありません。税理士の皆さまはクライアントの経営相談に乗る機会が多いかと思いますが、実は、クライアントに助言している税理士自身が、同じ悩みを抱えている場合があります。
専任の営業職を置いている税理士法人や税理士事務所は少なく、税理士が営業を兼務している場合がほとんどです。

実際に税理士のなかで「営業力に自信がある」という方がどれくらいいるのでしょうか。
そこで、営業に自信がない税理士が仕事を増やすためにはどうしたらよいかを考えていきたいと思います。

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営業力をカバーするには「差別化」が重要

税務業務は、それ自体での差別化は難しいため、サービス内容や価格設定で差別化しなければなりません。
また得意分野で差別化するのもひとつの方法ですが、もっとも効果的なのは「ニーズに応える」ことです。

社会情勢やビジネストレンドによって、経営環境は変化し、それにあわせて、税理士へのニーズが変わってくるのは当然です。たとえば、人口減少や高齢化によって事業承継や営業譲渡が増えれば、その分野に精通した税理士が求められます。経済のトレンドにアンテナを張り、差別化すべき方向性を見きわめて備えることが重要です。

さらに、関連する業種と提携してサービス内容を充実させたり、ワンストップのサービスモデルを構築したりすることも差別化には有効です。たとえば、空き家の相続問題に対処するための、不動産や民泊の会社との提携などが考えられます。アライアンスは業務内容の差別化だけでなく、提携先を経由して仕事が紹介される機会にもつながります。


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税理士の広告規制

差別化できる訴求ポイントがあったとしても、それを対外的にアピールできなければ「ない」ものと同じです。
差別化やアライアンスを活かして仕事を増やすには情報発信が必要です。税理士事務所でも広告のほかにホームページ、SNSなどを活用して情報発信している方がいらっしゃいます。

平成13年の税理士法改正により、税理士の業務広告は原則自由となっていますが、日本税理士会連合会では「業務広告に関する細則(準則)」を設けて広告内容を規制するほか、広告対象者への社会的儀礼の範囲を超えた利益供与、すなわち高額な金品などの提供なども禁止しています。ホームページやSNS、印刷物などすべての媒体が対象です。

このような規制がない場合、誇大広告や虚偽の情報提供、過度な価格競争を引き起こす恐れがあり、税理士業界全体が混乱し、同時に社会的信用も落ちてしまう恐れがあります。
また、顧客が適切な税理士を選択できず不利益を被る恐れもあります。

このような混乱を避けるために、差別化を図りながらも適切な情報発信を行うことで、顧客の信頼を獲得でき、業務の拡大につながります。広告規制の順守は、健全な競争を促進するためにも重要であり、税理士業界全体の発展と品位の維持に役立ちます。


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税理士の「禁止される広告」とは

税理士の「禁止される広告」とは、誤解を招くような広告表現を制限するための規制です。過当競争を避けて税理士業界全体の品位を保ち、健全な発展と社会からの信頼性を維持できるようにするのが目的です。
ここではそれぞれ禁止される広告と表示できない広告事項をご紹介します。

禁止される広告

禁止される広告には、以下のようなものがあります。

  • (1)事実に合致していない広告
  • (2)誤導または誤認のおそれのある広告
  • (3)誇大または過度な期待を抱かせる広告
  • (4)特定の会員または会員の事務所と比較した広告
  • (5)法令または日本税理士会連合会もしくは本会の会則および規則に違反する広告
  • (6)税理士の品位または信用を損なうおそれのある広告

健全な競争と顧客の信頼を築くためには、適切で誠実な広告活動が重要です。税理士は広告を通じて自らの強みや信頼性を的確に伝えることで、適切な顧客獲得と業務の拡大を図ることが求められます。

表示してはいけない広告事項

表示できない広告事項として、以下のものが挙げられます。

  • (1)税務行政庁在職時の具体的役職名
  • (2)委嘱者の氏名または名称
  • (3)現在取扱いまたは委嘱されている事案
  • (4)過去に取扱いまたは委嘱された事案

これらの表示できない広告事項は、税理士業界の信頼性とプライバシー保護のために定められています。
税理士の広告は、適切な情報提供と信頼を構築することを目的としており、公正で透明性を持つ広告活動が必要です。


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NG広告表現一覧

NG広告表現一覧

税理士がやってはいけないNG広告表現には、以下のようなものがあります。

1. 誇大広告や誤認リスクのある広告

「税金を〇パーセントカットできる」「贈与税をゼロにします」など、事実と異なる内容を含んだ広告や顧客を誤解させる表現は避けなければいけません。

2. 特定の税理士事務所との比較

「〇〇税理士法人より安い料金」「△△事務所より優秀なスタッフ陣」など、他の事務所との比較を行い、他を貶めるような広告は業界全体のイメージを損なう恐れがあります。

3. 有価物等の供与

「ご契約時に商品券が当たる」「○○万円キャッシュバック」など、金品やサービスの提供、贈答など、対価を提示する広告は業務の公正性を損ないかねません。

4.特定の国税庁や税務署の役職名記載

「元〇〇税務署長」など、公的機関の役職名を使用した広告は、倫理的に問題があり、法令に違反する場合があります。

これらの広告表現は、税理士業界の品位や信頼性を損なうおそれがあります。
税理士は公正かつ適切な情報提供に努め、倫理的な広告活動を心掛けることが重要です。


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どこまでが広告宣伝費に該当する?

広告宣伝費は、企業や事業者が商品やサービスを広く知らせ、顧客を引きつけるために費やす重要な経費です。しかし、具体的に何が広告宣伝費に該当するのか、疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

そこで広告宣伝費に該当するものと広告宣伝費に該当しないものの、明確なガイドラインをご紹介します。

広告宣伝費に該当するもの

広告宣伝費には、商品やサービスを広く知らせ、顧客の興味を引くためのさまざまな支出が含まれます。広告宣伝費として認められているのは、以下のような支出です。

  • 1. チラシ作成代、パンフレット作成代、ホームページ作成代、ポスター作成代など、広告媒体の制作費用
  • 2. テレビ広告代、ラジオ広告代、新聞広告代、雑誌広告代など、各種メディアへの広告掲載費用
  • 3. 会社案内の費用や試供品・見本品の費用など、企業のイメージ向上や商品PRに関連する費用
  • 4. 社名入りのカレンダー・ボールペン・タオル・うちわなどの費用で、これらのアイテムが宣伝目的で作成された場合

これらの支出は広告活動に充てた経費として適切に計上しなくてはならず、税務上の扱いにも注意が必要です。

広告宣伝費に該当しないもの

広告宣伝費として認められない主な支出は以下の通りです。

  • 1. 得意先や取引先へのお土産
    取引先への贈り物やお中元など、一般的なお付き合いのための費用は広告宣伝費には含まれません。
  • 2. 事業に関係する人との会食や旅行
    取引先や事業パートナーとの接待や会食、旅行などは広告宣伝費とは別の勘定科目に計上されます。交際費に計上するのが一般的です。
  • 3. 会社で開催される運動会、レクリエーションなどの会場費
    社内イベントの会場費などは、広告宣伝費として扱われません。社員間のコミュニケーション促進や健康増進などの目的で行う場合は、福利厚生費として扱うのが一般的です。

広告宣伝費と混同されやすい販売促進費や交際費についても明確に区別する必要があります。
販売促進費は、特定の人に対して直接的な費用であり、キャンペーン費用や商品サンプルの配布、展示会の費用などが含まれます。一方で、交際費は特定の事業に関係のある相手との接待や贈答などの費用であり、社交的なイベントや会食などが該当します。


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とにかくわかりやすく! 差別化戦略と広報力で仕事を増やす

税理士としての誠実な仕事提供は大前提ですが、それだけでは誰かの目に留まることは難しい場合もあります。
情報発信が必要不可欠ですが、ホームページやSNSを使い慣れていない方にはハードルが高いかもしれません。そのような場合は、紙の資料から始めてみるのはいかがでしょうか?

異業種交流会などで税理士さんにお会いしても、他の業種の方々がごく普通に用意されている事業案内などを持参していないことがよくあります。
もちろん「税理士」の名刺を出せば職種はすぐに理解されますが、個人や事務所がどのような特徴や強みを持っているかは伝わりません。税理士としての社会的認知だけに甘んじず、自身の認知度向上に努めることが重要です。

差別化とは、他の選択肢から選ばれる理由をつくり出す戦略です。
差別化できる訴求ポイントを多くの方に発信できるように、広報力を鍛えていくことが重要です。巧妙な広報戦略は、優秀な営業担当者を雇うことと同等の成果をもたらすかもしれません。
ただし、税理士の宣伝活動には明確な広告規制があります。情報発信の方法を選ぶ際には、法律や規制に違反しないよう十分注意しながら、顧客にとってわかりやすく効果的な訴求を行うことが大事です。

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この記事を監修した人

大学卒業後、飲料メーカー営業、学習塾の教室運営を経て19年MS-Japanに入社。キャリアアドバイザーとして企業管理部門、会計事務所などの士業界の幅広い年齢層の転職支援を担当。
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