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税理士

税理士は食えない職業なのか!?

2018/07/12

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税理士試験は、難関に数えられる国家試験のひとつです。しかし、難関であるにもかかわらず、せっかく税理士になっても「食えない」人が続々と増えているといいます。その背景にはどのような事情があるのでしょうか。

税理士業界は「過当競争」の状態にある

税理士試験は、他の国家資格試験に比べて、「フルタイムで働く社会人でも取り組みやすい」といわれています。なぜなら、税理士試験には「科目合格」という概念があるからです。税理士試験は、全11科目のうち、5科目について合格基準点をクリアすれば最終合格となります。

「簿記論」「財務諸表論」の2科目は必修で、「所得税法」「法人税法」のいずれか1科目が選択必修、残り2科目は「相続税法」「消費税法」「酒税法」「国税徴収法」「住民税」「事業税」「固定資産税」のいずれかを自由に選択できます。

そして、一度合格基準点を取った科目については、その合格資格が生涯有効となるのです。つまり、一度の受験機会で総合的に合格ラインを超えなければならず、不合格になったら全てやり直しとなる司法試験や公認会計士試験などと違い、1年に1科目ずつの合格を目指す、着実な長期的戦略も有効なのです。

ただ、難関資格でありながらも、税理士試験の特徴である「科目合格制」が、社会人にとって参入しやすい試験となっているのです。さらに、税務署に一定期間以上勤続した職員にも、税理士資格が付与されるので、税理士が続々と増えていく仕組みになっています。

税理士人口は、2016年現在で約77,000人となっており、これは、それぞれ約4万人いる弁護士や行政書士、社会保険労務士など、隣接士業と比べても人数が突出しています。

さらに、会計ソフトの発達によって、素人でも高度な会計処理を実現できるようになったことから、税理士に対して会計処理を依頼する需要そのものが減少傾向にあります。これらの事情が相まって、結果として「税理士の供給過剰=食えない職業」になりつつあるという問題を引き起こしています。

税理士の供給過剰を加速させている、他資格者

また、公認会計士試験の難度が引き上がっていることから、それに伴い、一部の受験者が税理士試験に流れていることも事実です。さらに、税理士業務に参入する公認会計士も増えてきています。なぜなら、公認会計士も有資格者が余剰傾向にあるからです。

公認会計士の資格を得ても、監査法人に就職して安定的な給与を得られるのは一握りであり、“食えない会計士”になる恐れのある会計士は、自身で会計事務所を立ち上げたり、一般企業の経理部への就職を志願したりします。
その過程において、税務に関する案件で食いつなぐ公認会計士もいます。なぜなら、公認会計士になれば無条件で税理士資格も付与されているからです。
無条件で税理士資格が付与されるのは弁護士も同様ですが、弁護士のスキルと税理士のスキルは懸け離れているため、実際に税務案件を行う弁護士はそう多くありません。

しかし、公認会計士は高度な簿記のスキルや財務諸表論の知識を身につけていますし、試験では選択科目ではあるものの「租税法」も問われるため、適確に税理士業務をこなす公認会計士は珍しくないのです。
会計士業界も、現役の公認会計士に向けて継続的に税務研修を行うなど、クオリティの維持に余念がありません。

こうした公認会計士の存在が、税理士業界の過当競争性をさらに高めているのかもしれません。
税理士の人口が世間の需要に合わなければ、必然的に税理士1人あたりの収入は下がってしまいます。このままでは「食えない税理士」が増えることも避けられないでしょう。

税理士業界に、明るい将来はないのか?

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仕事にあぶれた税理士は、職務経験を積むことができず、さらに仕事が依頼されにくい状態になり、食えない税理士になってしまうという負のスパイラルに陥りがちです。
つまり、コンピュータ会計ソフトの発達前で、税理士に希少価値のあった時代に、職務経験と人脈を築き上げることができたベテラン税理士が、多くの依頼を寡占しているのが実情です。その傾向が、若手税理士を更に食えない税理士へと苦しめることになってしまいます。

一方で、皮肉にも政府の「増税政策」が、税理士の新たな需要を掘り起こす可能性があります。
記憶に新しいのは、2015年に始まった相続税の増税です。相続税の課税対象となる遺産の基準額が引き下げられた結果、今までは相続税に無縁だった家庭に重たい相続税が課されるようになりました。
その結果、税理士に初めて税務相談を行う個人のクライアントが、一気に増える結果となったのです。

日本の国家財政が厳しくなるにつれ、これから増税の声も多く聞かれるようになるかもしれません。ただ、増税が必ずしも、税理士の仕事を増やすとは限りません。税理士が独占してきた仕事を「AI(人工知能)」が奪い、“食えない税理士”が増えていく危機意識はしっかり持つべきです。

食えない税理士になることを防げために、またこれから生き残れる税理士になるためには、「AIが苦手な税務」を進められる税理士になることです。AIが苦手とする主なタスクは、「創造性」と「コミュニケーション」です。中でも、税務に関して、他ジャンルの多様な知見も踏まえた革新的なコンサルティングを行える税理士は、しばらくの間、引く手あまたになるはずです。

まとめ

「納税は国民の義務なのだから、税理士が食いぶちに困ることはない」といわれる牧歌的な時代もありました。しかし、税理士が過剰供給となり、しかもその職域に踏み込む他資格者も増えて、“食えない職業”になりつつあるのが現状です。税務に関する定型的な処理は、AIが行うことが確実視されています。その職務環境は相当厳しくなりました。
それでも、時代の変化に対応し、単なるお金の計算作業や税務当局の言い分の代弁に終始せず、クライアントに人一倍感謝される仕事ぶりを発揮できる税理士は、きっと生き残れるはずです。

<参考>
ダイヤモンドオンライン-供給過多で過当競争 税理士・戦国時代の幕開け
弁護士白書2016年版-隣接士業の人口の推移

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