二回試験(司法修習生考試)は怖い?合格率や勉強法を解説
司法試験合格者は、一年間の法律実務を学んだあとに「二回試験」に合格する必要があり、この試験もまた大きなハードルなのです。
二回試験は勉強すべき量の多さと試験日程のハードさから、「恐怖の二回試験」と呼ばれることもあります。
司法試験に合格したからといって、二回試験がある以上、安心はできません。
今回はこの二回試験について詳しく解説しましょう。
二回試験とは
二回試験とは、毎年11月の中旬~下旬に実施される司法修習の卒業試験のことです。司法試験合格者は、合格後に司法研修所にて司法修習生として約一年間の法律実務を学ぶ必要があります。二回試験はその間に学んだことをきちんと理解し、身に付けているのかを問う試験です。検事、裁判官、弁護士のいずれを目指すにしても、二回試験は必ず突破する必要があります。
二回試験は正式名称を「司法修習生考試」といい、試験科目は刑事裁判、刑事弁護、民事裁判、民事弁護、検察の5科目です。試験の難易度はかなり高く、司法試験を突破していても、念入りに準備をしないと合格できません。
もし不合格になれば、翌年の11月まで待って再び受験する必要があります。
具体的な試験の内容としては、科目ごとに約100ページの事件記録簿が配布され、それを読みながら事実認定や書面作成といった起案作成に関する設問に答えていくという形式です。
試験は一日1科目で5日間にわたって行われるのですが、1科目あたりの試験時間は午前10時20分~午後5時50分までの7時間半にも上ります。それを5日間も続けるわけですから、かなりのハードスケジュールです。
試験期間中は体調管理もしっかりと行う必要があるでしょう。
二回試験の直前2カ月くらいの間に行われる集合修習の場では、試験5科目について専門教官による個別を含む指導が行われます。実際にあった事件記録を元に作成された修習用のテキストを使って、起案作成の訓練を行うのです。ここで起案作成作業の基本・応用をどれだけ身に付けられるかが、二回試験の成績を大きく左右するといえます。
二回試験が怖い理由
一般的に司法修習生は、最終試験といえる二回試験を受験する前に、検事、裁判官、弁護士のいずれかになることを決め、就職先の内定をもらいます。つまり、任検・任官、あるいは企業や法律事務所への就職が決まった状態で、二回試験に挑戦するわけです。
もし二回試験に不合格となってしまうと、検事や裁判官を目指していた方は、確実に内定取り消しとなってしまいます。弁護士を目指していた場合も多くのケースでは内定が取り消されますが、企業・法律事務所によっては翌年の二回試験まで事務員として雇用してくることもあるようです。
日本を代表する五大法律事務所では、体調不良などやむを得ない事情であったとしても、二回試験に不合格の場合は内定が即取り消されるといわれています。
もし内定取り消しとなれば、考えていたキャリアが一気に崩れてしまい、一から考え直すことになるでしょう。司法修習生としては、就職に向けて是が非でも合格する必要があるわけです。
二回試験の合格率
法務省によると、平成29年度の二回試験は、司法修習生として採用した人の数が1,516人で、そのうち不合格者数は16人ですので、合格率は99%に達しています。受験した人のほぼ全員が合格しているわけです。二回試験の合格率はおおむね98%を超えており、結果からみると、合格確実の試験ともいえます。
しかしこの合格率は、受験者(応試者)全員が「内定を取り消されたくない」との思いから必死に勉強をしたからこその数値です。受ければ必ず合格すると甘くみて努力を怠ると、確実に不合格となってしまいます。
効果的な勉強法
「白表紙」とも呼ばれる司法修習で使用するテキスト一式の内容を押さえておくことが基本といわれています。白表紙には司法修習で学ぶことのすべてが凝縮されているため、これらを熟読し、理解しておくことが、二回試験合格には不可欠です。
また、司法修習期間中に起案作成や過去問を数多くこなすことも重要です。インプットに加えてアウトプットも重要となるため、過去問を検討する場合は、読み込むだけでなく実際に答案を書いてみましょう。
なお勉強をする際は、数人で集まってゼミ形式で行うことをお勧めします。過去問に取り組む場合も、作成した答案を複数人でお互いに検討し合うことで、「不合格にならないための答案作成」のイメージを持ちやすくなるでしょう。
まとめ
法曹を目指す上でのハードルというと、司法試験をイメージしがちです。しかし実際には、司法修習の卒業試験である「二回試験」も大きな難関といえます。合格率こそ高いですが、もし不合格になれば内定が取り消され、人生設計を一から考え直すことにもなりかねません。
司法修習生の方は、試験対策をしっかりと行い、確実に合格できるように勉強を続ける必要があります。また、これから司法試験合格を目指す方は、合格後にも大きな試練が待っていることを自覚しておきましょう。
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