2023年11月09日

専門性を磨く!「資産税」に特化した税理士におすすめの資格を解説

管理部門・士業の転職

資産税の分野は、日本の少子高齢化が急速に進んだことにより、案件数が増加傾向です。
それに伴い、資産税に特化した税理士として、更なるスキルアップを目指す人も増えています。

この記事では、主に資産税に特化した税理士として、専門性を磨く上でおすすめの資格について解説します。

資産税に強い税理士の市場価値は上昇中!

資産税に強い税理士の市場価値は、近年上昇傾向にあり、今後も続くものと推察されます。
なぜ、資産税に強い税理士の市場価値が高まっているのでしょうか。以下で背景について解説します。

資格登録者の減少

税理士試験は、かねてから難関試験といわれており、生涯をかける覚悟で受験する人も少なくありません。
しかし、合格までに長い時間がかかることから、数ある国家試験の中でも「コスパが悪い試験」といわれることがあります。

この点を懸念して、税理士試験の受験者数は減少傾向で、試験の合格者数も減少傾向です。
令和5年度から、受験者減少の対策として、受験資格が緩和されたことで、増加に転じてはいますが、ピーク時と比較すると6割程度にとどまっています。
将来的に、頼れる税理士の数が少なくなるものと予想されるため、顧客の側も早い段階から資産税について相談できる税理士を探そうとしているのです。

税理士が生き残るために専門性を磨く方向にシフトしている

近年、質問に対して様々なデータを根拠に素早く回答するChatGPTや、会計業務の自動化が可能となるRPAなど、新しい技術によって税理士が担ってきた業務を代替されると噂されています。

その一方で、税理士は対人間でしか成立しない業務も担当しており、顧客の悩みを聞いて解決に導くというコンサルティング業務に関しては、引き続き高いニーズがあるものと考えられます。
特に、法人だけでなく個人の相談者も多い資産税の分野は、少子高齢化傾向が落ち着くまで、ニーズが途切れることはないでしょう。

日本は高齢化が続いている

内閣府の「令和2年版高齢社会白書」によると、65歳以上の人口は、令和7(2025)年に3,677万人・令和24(2042)年に3,935万人にまで増加し、その後は減少に転じると推計されています。
少なくとも2042年までは高齢化傾向が止まらないと考えると、日本で暮らす多くの人にとって、資産税は非常に重要なトピックとなります。

しかし、例えば実家の処分を検討して自治体に相談しても、自力で十分な解決が見込めないケースも十分考えられます。
そんなとき、資産税に関する豊富な事例を持つ税理士がいれば、思わず頼りたくなるのが人情でしょう。


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おすすめの資格①行政書士

税理士が資産税に特化してキャリアアップを測るために、最も税理士業務との相性が良い資格の一つが、行政書士です。
以下、行政書士の資格について、簡単にご紹介します。

行政書士資格とは

行政書士は、主に権利義務に関する書類作成ができる専門家です。業務範囲の幅広さから「街の法律家」と呼ばれることもあります。
資産税に関連する分野としては、遺産分割協議書の作成や、遺産分割協議書を作成するための相続人調査・相続財産調査など、相続手続きの各種サポートをすることができます。

行政書士の登録方法

税理士の有資格者は、試験を受けることなく、行政書士の資格を持つことが可能です。
ただし、実際に行政書士として活動するためには、日本行政書士会連合会の行政書士名簿に登録する必要があります。
登録時は、同時に都道府県の行政書士会にも入会することになり、必要書類は下記のとおりです。

  • ・履歴書
  • ・誓約書
  • ・本籍地の記載された住民票の写し
  • ・身分証明書
  • ・顔写真
  • ・その他、状況に応じて必要な書類

登録申請後に審査を受け、問題がなければ登録が完了します。
なお、金額詳細は都道府県により異なりますが、行政書士会に登録費用を支払う点にも注意しましょう。


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おすすめの資格②司法書士

相続業務に携わる士業としては、司法書士も人気の資格の一つです。
次に、司法書士の資格について、簡単にご紹介します。

司法書士資格とは

司法書士とは、名義変更などの法的手続きを専門的に行える国家資格です。登記関連の業務はほぼ独占していると言えるでしょう。
遺産分割時に、裁判所に対して調停・審判の申立書を作成することもでき、家族信託などの生前対策も可能です。

司法書士を取得する方法

司法書士資格を取得するには、司法書士試験に合格する方法と、法務大臣の認定を受ける方法があります。
司法書士試験は難関試験の一つであるため、合格までには一定の時間を要するものと考えてよいでしょう。
法務大臣の認定を受けて司法書士になる方法は、以下の条件を満たして、口述試験等により法務大臣の認定を受ける必要があります。

  • ・裁判所事務官・裁判所書記官・法務事務官・検察事務官として10年以上従事
  • ・簡易裁判所判事・副検事として5年以上従事

司法書士試験の合格率

令和2年度~4年度の司法書士試験の合格率は、以下の通りです。

合格率 受験者数 合格者数
令和2年度 約5% 11,494人 595人
令和3年度 約5% 11,925人 613人
令和4年度 約5% 12,727人 660人

直近のデータでは、合格率は例年5%台です。筆記試験には合格点(足切り)が課されます。
その年の問題の内容によっても、合格できるかどうかは左右されますが、概ね100人が受けて5人が受かる計算になります。


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おすすめの資格③不動産鑑定士

資産税に関する大きな問題の一つに、不動産の処分や相続があげられます。
そのようなニーズを拾い上げられる士業の一つが不動産鑑定士で、持ち家信仰が強い日本では、税理士との相性もよい資格といえます。

不動産鑑定士とはと

不動産鑑定士は、不動産価値の評価に関わる資格で、相続財産の資産価値を法律にのっとって正しく評価するスキルの証明となります。
不動産の適正な価値を算出するプロフェッショナルであり、相続等も含め、不動産の取引においては不可欠な資格といえるでしょう。

不動産鑑定士を取得する方法

不動産鑑定士の資格を取得するためには、不動産鑑定士試験に合格する必要があります。
学歴・年齢などの受験資格はありませんが、短答式(5肢択一式)・論文式(記述式)の2段階試験で、難関試験に数えられます。

不動産鑑定士の合格率

ここ数年の不動産鑑定士試験において、短答式試験の合格率は30%台、論文式試験の合格率は15%前後です。
短答式試験でおよそ7割が落とされ、残り3割のうち80%以上がふるいにかけられる計算となるため、実質的な合格率は5%程度と考えてよいでしょう。


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おすすめの資格④相続士

国家資格だけでなく、民間資格の中にも、資産税の分野と親和性が高いものがあります。
ここでは、日本相続士協会による民間資格である相続士についてご紹介します。

相続士とは

相続士とは、相続を的確に実施するため、相続全般のアドバイスを行う専門家です。相続のプロフェッショナルとして、税理士などの専門家とネットワークを組み、総合的に支援する役割を担います。
相続士資格と相続士上級資格があり、税理士資格保有者は、相続士上級資格がおすすめです。
税理士が相続士を取得した場合、税務に関連する分野のアドバイスに加えて、他のプロフェッショナルと連携した質の高いサービス提供ができるでしょう。

相続士の資格を取得する方法・合格基準

相続士の資格を取得するには、相続士普通資格認定試験に合格するがあります。
パソコンによるCBT試験で、申込みの3日後から3ヶ月以内で自分の都合がいい日に受験することが可能です。
試験は、50点満点で30点以上を取れば合格となり、およそ6割得点すればOKです。


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おすすめの資格⑤相続鑑定士

不動産相続のジャンルで、ビジネスに有利な民間資格としては、全国相続鑑定協会による相続鑑定士があげられます。
以下、資格の概要や取得方法などをご紹介します。

相続鑑定士とは

相続鑑定士は、相続の基本知識をもとに、主に不動産分野でのアドバイスや相続診断ができる資格です。
不動産事業者・宅建士との相性が良い資格の一つとされますが、相続分野の専門性を高めたい税理士にもおすすめできる資格です。

相続鑑定士を取得する方法・合格基準

相続鑑定士になるためには、テキスト・Web動画を参考に勉強して、試験に合格する必要があります。
解答時間は1時間、問題数は48問で、100点満点中70点で合格です。


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おすすめの資格⑥相続知識検定

ビジネスよりも幅広い視点で、相続の知識を問われる検定試験として、相続知識検定が知られています。

相続知識検定とはと

相続知識検定は、相続関連の法令や税制・各種制度などを横断的に捉え、相続に関する多面的な知識をはかるための検定です。
スキルレベルは、一般人向けの「初級講座」と、相続を扱うプロ向けの「相続知識検定マスター」に大きく分かれ、相続知識検定マスターの上には上級レベル「相続知識検定上級マスター」もあります。

相続知識検定を取得する方法

プロの受験を想定している「相続知識検定マスター」では、法務・税務を中心とした40問を出題されます。
マークシートで回答を行い、40問中30問以上(75%以上)の正解が合格基準です。


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おすすめの資格⑦相続手続カウンセラー

相続に関する専門知識だけではなく、現場で求められる具体的な「手続き」について学べる資格としては、相続手続カウンセラーの資格があげられます。
以下、資格の概要・取得方法について解説します。

相続手続カウンセラーとは

相続手続カウンセラーは、実務の現場で活かせる相続手続きのスペシャリストの証明となる資格です。
相続に関連する依頼を受けている税理士が、相続手続カウンセラーの資格を取得することにより、各種業務を円滑に進めやすくなるでしょう。

相続手続カウンセラーを取得する方法

資格取得に関しては、受講料と公式テキスト・DVDが必要です。
○×問題50問のレポートに回答し、原則8割正解で合格となります。


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まとめ

税理士として、資産税の分野の専門性を磨こうと考えた場合、資格取得が近道です。
国家資格は難関資格である分だけ、合格した後にビジネスへの応用を考えやすいですが、民間資格も応用次第で新たなビジネスチャンスの発掘につながります。

少子高齢化で資産税に特化した税理士の需要が高まりますが、AI技術が進化する中で、税理士の業務が代替されるリスクを抱えています。
AIや競合の税理士と差別化を図るためには、AIには代替できない業務スキルを身に着けることが最優先です。
相続問題など、今後もしばらくはホットな分野で顧客を獲得したい場合は、関連資格の取得を検討しましょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

竹内 進太朗

大学卒業後、新卒でMS-Japanに入社。法律事務所や会計事務所、監査法人、社労士事務所、FAS系コンサルティングファームなどの士業領域の採用支援、及びその領域でのご転職を検討されている方の転職支援を行っています。

会計事務所・監査法人 ・ 法律・特許事務所 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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