2023年09月01日

税理士の年収は高い?開業税理士・勤務税理士で違いも比較!

管理部門・士業の転職

税理士の年収は高い?開業税理士・勤務税理士で違いも比較!

国家資格を取得していることもあって、一般的に士業の年収は高めだと思われているでしょう。税理士も例外ではなく、2,000万円以上の年収を実現させているケースも見られます。

一方で、大企業や会計事務所で働いている勤務税理士の場合、開業税理士よりも年収が低いことは珍しくありません。
しかし、毎月の給与として安定した金額を得られるメリットもあるため、勤務税理士から収入額に満足しているという本音を聞くこともあります。

この記事では、そんな税理士の年収について、開業税理士・勤務税理士それぞれの違いと、現実的な年収についてお伝えします。


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税理士の年収は開業の有無で大きく変わる

税理士として年収を上げたい場合、給与額が勤めている会社の経営陣に左右される勤務税理士では、なかなか難しいのが現実です。

つまり、年収増を狙うなら、開業はほぼ必須条件と考えて良いでしょう。
ただ、税理士の独占業務である「税務代理・税務書類の作成・税務相談」の三本柱だけで十分な収益を上げていける時代は終わり、現代ではコンサルティング・アドバイザリー業務などでよりクライアントの会計に携わることが、年収を増やす条件になります。
不動産取引や相続税など、より特化した知識を持っておくことも重要です。

例えば、中小企業の税務申告や記帳代行だけは、どうしても単価が低くなります。 より多くのクライアントを得なければ一向に収入は増えず、薄利多売の状況が続き、稼げる収益に限界が来るでしょう。

もちろん、高年収という条件がどのあたりを指すのかによっても、目標は変わります。 勤務税理士であっても、大手税理士法人上級クラスである年収1,000万円を超える可能性は十分にあるでしょう。
青天井の世界を目指すのか、ある程度の収入を安定して得たいと思うかによって、選択肢が変わると言えます。
いずれにせよ、年収は高ければ高いほど良いと考えているなら、開業税理士は避けて通れない選択肢になるはずです。


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開業税理士の年収

開業税理士の年収のデータは、当然ながら一般人に公開されるケースは少なく、開業税理士・日本税理士会連合会などが収集したデータを確認する必要があります。

古いデータとしては、2004年時点での日本税理士会連合会の「開業税理士の年収」に関するアンケートがありました。その中で年収500万円未満と回答した税理士は26%にのぼります。
一方で、年収2,000万円以上と回答した税理士は合計して40.5%となるため、稼げている税理士が相応の割合で存在していたことが分かります。

しかし、比較的最近のデータを見ると、思うように稼げていない税理士が増加傾向にあると言わざるを得ない結果が出ています。

2015年に日本税理士会連合会が発表した「第6回税理士実態調査報告書」を見ると、開業税理士で年収300万円以下の割合は31.4%・年収500万円以下の割合は16.7%でした。およそ半数近くの開業税理士が、年収500万円を超えられていない状況です。
また、金額の上限にも変化が生まれており、年収2,000万円を超える開業税理士の割合は約5%にとどまっています。

このデータだけを見ると、残念ながら開業税理士として稼ぐことは決して簡単ではないことが分かります。
しかし、稼げている人が一定数存在していることも事実であり、今なお独立は税理士として魅力的な選択肢と言えるでしょう。


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勤務税理士の年収

次に、勤務税理士の年収については、「どこで働くか」によってやや年収が変わります。
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」における企業規模別の平均年収を見てみましょう。
(以下の表は千の位を切り捨てて算出しています。)

企業規模 10~99人 100~999人 1,000人以上
きまって支給する現金給与額(1ヶ月分) 41万円 53万円 54万円
年間賞与その他特別給与額 198万円 138万円 213万円
年収額 690万円 774万円 861万円

規模が小さめの企業では給与額が低めですが、年収ベースで見ると、企業規模による差はそれほど大きくないことが分かります。
ただし、Big4税理士法人や有名コンサルティングファームで働いている場合と、地方の税理士事務所で働いている場合とでは、金額に大きな差が生まれると推察されます。

仮に、Big4税理士法人でパートナーとして働けるようになった場合でも、年収は1,500万円以上からのスタートになることが予想されるため、開業税理士と比較して年収増へのステップアップは遅くなるおそれがあります。
しかし、巨大な組織の看板を借りて仕事ができることで、顧客離れに悩むリスクも少ないため、安定した立場で高収入を目指したい人には勤務税理士の方が有利と言えるかもしれません。


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税理士は年収が低いのか?他の国家資格との比較

働き方によって税理士の年収が変わることはほぼ間違いないですが、それでは「他の国家資格」と比較した場合はどうなのでしょうか。

実際のところ、平均年収としては医師・弁護士といった超難関資格には及ばないものの、国家資格の中では上位に位置する資格と言えます。

賃金構造基本統計調査で2006~2022年までの年収推移を追ってみると、例えば医師の年収は1,200万円前後に集中していて、弁護士は800万円以下~1,400万円以上とバラつきが見られます。
いずれも1,000万円前後であるため、勤務税理士・会計士の年収平均が700万円前後であることを考えると、相対的に見て低いように感じる人もいるかもしれません。

しかし、独立して成功している税理士と、比較的企業規模の小さい会社で働いている税理士の年収が違うように、働いている環境によっても年収が異なりなります。
さらに、不動産鑑定士や社会保険労務士・歯科医師などと比較すると、税理士・公認会計士の方が、年収が高いというデータもあります。
よって、税理士の年収は他の国家資格と比較しても高い部類に入るものと言えそうです。


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税理士が年収を上げるためには

ここまでお伝えしてきた通り、税理士として働く中で年収を上げていくためには、働き方・働く場所を選ぶ必要があります。

数多くのクライアントを抱えたり、独自の商品プランを設計したり、税理士の枠を超えた提案ができるようになれば、その分年収も増えることが期待できます。
ただ、そういった働き方をするためには、やはり独立できるかどうかが成功の分かれ目となります。 実入りが大きい働き方を選べる実力があると思うなら、独立に向け行動を起こすのが年収増への近道です。

勤務税理士として年収をあげる場合は、Big4あるいは中堅どころの大手税理士事務所を目指したいところです。
町事務所のような数名規模の会計事務所は、抱えるクライアントの数も少ないことから年収水準も低い傾向にあるため、仕事は多いのに年収は少ないといった状況に見舞われるリスクも少なくありません。
それなりの金額で安定した収入を得たいと考えているなら、税理士事務所・会計事務所にこだわらず、大手企業の社内税理士として働くのも魅力的な選択肢です。

どのような選択肢を選ぶにせよ、自分が無理なくキャリアアップできる環境で働くことが、成功への王道と言えるでしょう。


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開業税理士の報酬は?本当に稼げる?

税理士とクライアントとの顧問契約は、一般的に以下のどちらかのパターンです。

  • (A)月額顧問料 + 決算処理代行料 + 各種オプション処理
  • (B)決算処理代行料 + 各種オプション処理

(A)は毎月の会計処理と、年に1回の決算処理を請け負うパターンで、(B)はスポット的に決算時期にすべての会計処理をまとめて行うパターンです。決算に関わる業務を一括で請け負う分、(B)のパターンの方が決算処理代行料は高めに設定されます。

決算処理には試算表や納付書の作成が含まれ、仕訳入力や年末調整などはオプション扱いです。また毎月の顧問料の中には、事業主からの相談やコンサルティングなども含まれます。(月に相談できる回数によって顧問料や契約プランが変わるケースもあります)。

旧税理士報酬規程が廃止された現在では税理士が自由に顧問料を決めることができますが、月額顧問料の相場は1ヶ月に3万円前後、決算処理代行料は20万円前後が目安になるでしょう。ただしこの金額はクライアント企業の規模によっても異なり、通常は規模が大きくなるほど料金設定も高めになります。

年収が高い税理士と低い税理士の違い

開業税理士の年収は、顧問契約するクライアントの数と、クライアント1件あたりの契約料によって決まります。
クライアントの年間売上に比例して顧問料が高く設定されているケースが一般的ですので、大規模なクライアントを多く持っている方が、報酬額も高くなります。

年収が高い税理士は、規模の大きいクライアントを持っていることが多く、クライアントからの信頼を得られれば、顧問以外のスポット業務を依頼されるケースも多いでしょう。M&Aや組織再編等の高度な税務・会計知識が必要となる業務であれば、それだけ報酬を高く設定することも可能です。

一方で年収が低い税理士は、税金計算などのコストを抑えた依頼が主要な業務です。クライアントから相談を受けるような機会がなければ、業務の幅を広げることはできません。

つまり、開業税理士の収入は、会計処理以外の業務を増やせるかどうかによって左右されるのです。基本的な会計業務で顧問契約を結び、クライアントの信頼を得て付随する業務を増やすこと、そして同様のクライアントを増やすことが、収入アップのポイントだと言えるでしょう。


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税理士が独立するために身に着けておくスキルは?

税理士が独立開業するためには、税理士事務所で勤務するよりも多くのスキルが求められます。一般的には、以下で解説するようなスキルが必要だと言われます。

身に着けておくべきスキル

現代のビジネスでは、他者とは異なる個性が求められています。税理士も独立して成功するためには、基本的な税務スキルはもちろんのこと、専門分野に特化したスキルを身につける必要があります。
その中でも、今後ニーズが広がる分野をターゲットにすることが重要です。例えばグローバル化が進む企業のために、国際税務のスキルを高めておけば、新規クライアントを開拓することにもつながるでしょう。

また、企業の事業承継問題もこれから増加すると予測されています。そのため、組織再編やM&Aのスキルを身につけておけば、税理士が活躍する場はさらに広がるでしょう。
個人レベルでも、相続税対策や資産運用の相談が増えると考えられるので、資産税に関するスキルを高めておくと、クライアント獲得のチャンスが広がるかもしれません。

もう1つ、独立する上では営業スキルも外せません。ただし、物を売る仕事ではないため、クライアントに最適な税務サービスを提案したり、適切なアドバイスで経営サポートしたりするスキルが重要になるでしょう。

独立準備に最適な勤務先は?

一定の準備期間を設けて着実に独立開業を目指すなら、目標に合わせて勤務先を選び、実務経験を積みながらキャリアアップを図るという方法もあります。

前述したように、今後ニーズ拡大が予想されるグローバルビジネスや、組織再編、M&Aなどの業務でキャリアを積むのであれば、Big4税理士法人が最適な職場です。専門性が高い仕事を経験でき、後々のキャリアにもプラスに作用するでしょう。

中堅以上の税理士法人では、通常の法人顧問業務に加えて、資産税や組織再編などの経験を積むことができるでしょう。部門ごとに異なる業務を担当したり、法人によっては事業部をまたいで案件ベースでアサインしてもらえるケースもあるため、理想のキャリアを積むための法人選びが重要です。

さらに専門分化したスキルを身につけるなら、専門特化型税理士法人も選択肢に入るでしょう。特定の業務だけでなく、特定の業界に絞ったクライアントを相手に、専門的なスキルを磨くことができます。


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税理士の独立準備で押さえるべき4つのポイント

税理士が独立開業することは、自分の力で事務所を経営することであり、失敗すれば大きな損失を負うリスクがあります。そこで独立にあたっては、慎重に準備を進めなければなりません。その場合に押さえるべきポイントを、ここで紹介しておきます。

事業規模の想定

ます最初に、資金力とクライアントの見込み数などを基準にして、事務所の規模を検討しましょう。スタッフを雇うかでも、開業の条件が異なります。
目先の状況にとらわれず、長期的な計画に沿って事業規模を想定することが重要です。

立地選定と物件探し

開業する立地は、クライアントを中心に考える必要があります。事務所内で業務を行うのか、クライアント先を訪問する業務を中心にするのか、業務形態によっても立地条件は変わります。ほかにも競合相手の存在や、利便性も考えなければなりません。
事務所の物件探しは資金との兼ね合いになりますが、早めに不動産業者に相談して、なるべく多くの中から最適な物件を探すとよいでしょう。

初期費用の見積もり

開業時にはまだ収入の見通しも立っていません。そのため手持ちの資金が十分ではない場合、融資によって資金調達する必要があります。その場合、自己資金と融資とのバランスも考えましょう。融資だけに頼ると、早い段階で経営が行き詰まる可能性があります。
初期費用は事務所やパソコンなどの備品、専用ソフトなど必要なものすべてを含めると、小規模でも最低200万円程度にはなるでしょう。見落としがちな部分ですが、開業前後の広告宣伝費も重要です。

依頼を受ける分野の選定

開業する時には、将来の明確なビジョンを描いておく必要があります。それにより、依頼を受ける業務の内容が変わるからです。
大まかに分けると、税務全般を担当する事務所にするか、得意分野に専門特化した事務所にするか、2つの選択肢が考えられます。クライアントの見込み状況や、競合相手の数などを考慮して選ぶことになるでしょう。


こうしたポイント以外にも、スタッフの採用や集客方法の検討など、開業前に準備することは山積しています。自分だけでは不安になることもあるでしょう。
そのような時には、税理士会などのコミュニティで、先輩たちに相談するという方法もあります。若手税理士の勉強会などにも、積極的に参加することが大切です。


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まとめ

どの業界でも共通することですが、開業税理士と勤務税理士にも、それぞれにメリットやデメリットはあるものです。
勤務税理士には収入が一定水準で抑えられるという面がありますが、安定的に収入を得られるという利点もあります。対する開業税理士は、クライアントの獲得が収入に直結するため、顧客を増やせれば収入アップにつながる反面、収入が不安定になるリスクもあります。

しかし、どちらの働き方を選ぶにしても、自身のスキルを高めることにより収入アップを図ることは可能です。近年税理士が担当する業務の幅が広がっていることから、専門分野に特化したスキルを身につけておくと、高収入の業務を依頼される可能性が高まります。
収入アップに成功するためには、税理士としての能力やスキルを積極的に伸ばすことが重要だと言えるでしょう。

この記事を監修したキャリアアドバイザー

林 良樹

大学卒業後、カーディーラ・小売業を経験し、2008年からMS-Japanでリクルーティングアドバイザーとキャリアアドバイザーを兼務しております。

会計事務所・監査法人 ・ コンサルティング ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ USCPA ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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