人事総務検定とは?試験概要や取得メリット、特別認定講習について詳しく解説



人事・総務には、経理でいう「日商簿記」のように、多くの方が取得する代表的な資格はありません。
そのため、未経験から人事・総務へのキャリアチェンジを目指す方や人事・総務としてスキルアップを目指す方は、何の資格を取得すれば良いか迷うことも多いでしょう。
この記事では、人事・総務関連の資格の1つである「人事総務検定」に焦点を当て、試験概要や取得メリットなどについて詳細を解説します。
人事総務検定とは
人事総務検定とは、一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会が主催し、LECが指定講習実施団体として実施する、人事・総務分野の知識及び実務能力を問う検定試験です。
人事・総務担当者としての能力を測るため、級ごとに役職別のレベルが設定されています。
級 | 役職レベル | 内容 |
---|---|---|
3級 | 担当者レベル | 人事総務の業務未経験者から経験者まで、幅広い知識の習得・基本事項の確認を目指すのが目的 |
2級 | 主任レベル | 応用編にあたるレベルで、実務対応能力・労務管理・就業規則等に関する深い知識が問われる |
1級 | 課長レベル | 2級取得者よりハイレベルな知識が問われる上級資格 一般社団法人 人事総務スキルアップ検定協会に登録することで、指導的業務に従事することも可能 |
人事総務検定の試験概要
人事総務検定は、1~3級で試験時間や受験料などが異なります。
以下でそれぞれの試験概要をまとめました。
項目 | 3級 | 2級 | 1級 |
---|---|---|---|
受験資格 | なし | 3級合格者 | 2級合格者 |
特別認定 講習 |
対象 | 対象 | 対象外 |
試験時間 | 60分 | 120分 | 180分 |
受験料 (税込) |
5,090円 | 7,640円 | 11,000円 |
合格基準点 | 非公表 | 100点満点中70点 | |
申込期間 | 本試験前日まで | ||
試験日 | 例年3月・10月 |
人事総務検定の出題範囲
人事総務検定の出題範囲は、受験する級によって変わってきます。
3級から2級になると出題範囲のボリュームが増え、1級はさらに専門的な知識が要求されるものと考えてよいでしょう。
以下、各級の出題範囲をまとめました。
人事総務検定3級の出題範囲
- ・人事総務の主な仕事内容
- ・労働保険/社会保険の仕組み、新規適用手続き
- ・従業員の採用、退職に関する手続き
- ・給与計算基礎、個人情報保護、マイナンバーの取り扱いに関する基礎知識
人事総務検定2級の出題範囲
労務管理に関する法律知識及び人事書式、労使協定、就業規則の作成①
- ・採用、入社、試用期間
- ・人事異動、休職、復職、退職
- ・労働時間、休日、休暇
労務管理に関する法律知識及び人事書式、労使協定、就業規則の作成②
- ・給与、賞与、退職金
- ・服務規律、懲戒処分
- ・非正規雇用従業員
- ・職場の安全衛生、メンタルヘルス、ストレスチェック等
- ・就業規則等
従業員に関する労働保険・社会保険手続き(給付編)
- ・労災保険の手続き
- ・傷病に関する健康保険の手続き
- ・雇用継続給付及び育児休業給付
- ・従業員の死亡・出産に関する手続き
労働保険・社会保険の定例業務(手続編)
- ・社会保険料の算定処理
- ・労働保険の基礎
人事総務検定1級の出題範囲
人事総務の重要な手続き
- ・労働保険料及び年度更新
- ・給与計算の実務及び年末調整
- ・雇用保険の届出及び雇用継続給付等
- ・主要な助成金の基本的事項
- ・その他、労働基準及び総務全般における広範囲な手続き
人事総務の予防的・戦略的知識
- ・労務管理全般の知識と施策
- ・人事評価
- ・臨検及び行政対応
- ・就業規則に関する高度な知識、その他社内規則に関する知識
- ・労働法の解釈とトラブル処理及び労働判例の解釈
- ・契約及び契約管理関連の知識
- ・役員・株主総会・取締役会に関する知識
- ・その他、予防的・戦略的な人事総務全般の知識
また、人事総務検定2級と3級は、試験を受験するだけでなく、特別認定講習の受講によって資格取得が可能です。
特別認定講習を受講し、確認テストに合格することで、3級・2級を取得できます。
通学クラスでは、確認テストのみですが、通信クラスでは確認テストに加えてレポートの提出が必要です。
人事総務検定は役に立つ?取得メリットとは
人事総務検定に合格することで、一般社団法人 人事総務スキルアップ検定協会(以下協会)の会員登録ができるようになります。
登録料として11,000円(税込)を支払う必要があり、登録は2年間有効です。
協会に会員登録することのメリットは以下の2つがあります。
各級に応じた称号を得ることができる
協会に会員登録すると、合格した級に応じて「会員証」を発行してもらえます。
3級は「人事総務リーダー」、2級は「人事総務エキスパート」1級は「人事総務マスター」と名乗ることができ、人事総務の知識・スキルを可視化してアピールすることが可能です。
また、1級合格者である「人事総務マスター」は、協会から仕事の依頼が来たり、講師登用の機会が広がったりする可能性があるでしょう。
研修やイベントでスキルアップをはかることができる
協会の会員は、メルマガや講演会動画の視聴など、会員向けの情報提供サービスを受けられます。
また、会員限定の無料研修やイベントに参加することもできます。有料研修・イベントは会員割引価格での受講が可能です。
人事総務検定はどんな人におすすめ?
人事総務検定は、人事総務の実務・法律知識を効率的に学ぶのに役立ちます。
下記のような方は、人事総務検定がキャリア構築に役立つ可能性が高いでしょう。
人事・総務への転職を目指している人
人事総務検定で身に着けたことを活かせるフィールドは、やはり人事・総務です。
これから人事・総務への転職を目指している人は、人事総務検定を取得することで、実務に先んじて学べるだけでなく、キャリアチェンジへの熱意や意欲の高さをアピールすることができます。
スキルアップしたい人事・総務担当者
現在、人事・総務として働いている人の場合、人事総務検定を取得することで、スキルアップに役立ちます。
特に規模の小さい企業では、人事・総務部門の人員が少なく、入社時の研修などが不十分で、実務を通して学ぶケースが多いでしょう。
そのため、人事総務検定で体系的に学ぶことで、実務に役立つ人事・総務に関する知識を網羅できるでしょう。
社会保険労務士試験受験者
2級の特別認定講習カリキュラム紹介でも少し触れましたが、社会保険労務士の試験を受験する予定がある方は、人事総務検定を受験しておくとよいでしょう。
人事総務検定は、社会保険労務士試験と出題範囲が重複する分野が多いため、本試験対策として取得を目指す人も多い傾向です。
人事総務検定以外のおすすめ資格
人事・総務担当者としてスキルアップをしたい方、または人事・総務への転職を目指す方に、人事総務検定以外のおすすめ資格を4つご紹介します。
社会保険労務士
社会保険労務士は、労働・社会保険や年金の手続き、労務管理に関する専門家としての能力を証明する国家資格で、独占業務も持っています。
人事・総務職で働く中で、特に実務面で労務のウエイトが多い人にとっては、様々な場面で活用できる資格の一つです。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、労働者の職業選択、職業生活設計、職業能力の開発・向上に関するアドバイスを行う専門家で、こちらも国家資格に分類されます。
資格取得によって、人事職として多くの従業員から悩んでいることをヒアリングし、原因を押さえたアドバイスが可能になるでしょう。
ビジネス・キャリア検定
ビジネス・キャリア検定は、事務職として働く人向けの民間資格で、人事等を含む8分野・41試験で構成されています。
主に人事担当者が受験することを想定した「人事・人材開発・労務管理」では、自分の実務経験や能力に応じて3級・2級・1級のいずれかの試験を受けて合格できれば、級に応じて自分のビジネススキルを客観的にアピールすることができます。
マイナンバー実務検定
マイナンバー実務検定とは、マイナンバー制度・マイナンバー法について正しく理解し、法的知識や実務上の対応方法に精通した人材であることを証明するための検定です。
難易度によって1~3級に区分されており、取得することで従業員の個人情報・企業の法令順守を適切に行う知識が身に付くため、得た知識を社内制度やルールの策定・運用時などに応用できます。
その他、人事・労務職が取得すべき資格について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ
人事総務検定は、人事・総務分野で働いている方が、自分の能力を対外的にアピールする上で役立つ資格の一つです。
資格取得後は、合格した級に応じて称号を得ることができ、研修・イベントによるスキルアップも期待できます。
すでに人事・総務担当者として実務経験を積んでいる方だけでなく、これから転職を目指す方、社会保険労務士試験の受験を予定している方にもおすすめの資格です。
人事総務検定を活かして、未経験から人事・総務への転職や、人事・総務担当者として更なるキャリアアップのための転職などを検討されている方は、弊社MS-Japanが運営する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」にご相談ください。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、製薬会社へ勤務。主に病院、クリニックのお医者様へ新薬の情報提供に従事。MS-Japanに転職後は、キャリアアドバイザーとして転職活動を支援。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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