衛生管理者は、転職で有利なのか?取得するメリットなど
衛生管理者は、転職で有利なのか?取得するメリットなど
常時50人以上の労働者を使用する事業場では、その事業主が労働者の健康や安全のために、必ず衛生管理者を選任しなければならないと労働安全衛生法によって定められています。
衛生管理者として選任される者は、国家資格の衛生管理者や医師などの資格のうちいずれかを取得している必要があります。
事業者は、衛生管理者を選任すべき理由が生じた日より14日以内に選任するとともに、所轄の労働基準監督署にその旨を報告することが義務付けられています。
選任義務があるのに衛生管理者を置かなかった場合、50万円以下の罰金に処するという罰則規定も設けられています。
人事総務部の方は、衛生管理者に抜擢されることが多いようですが、衛生管理者の資格を取得している人は、転職市場で有利になるのでしょうか?
・衛生管理者の資格を取得しているだけでも転職で相応の評価は得られることが期待できる
・衛生管理者の資格とは、独立を目指すための資格ではなく、会社組織の一員として働いていくためのもの
・衛生管理者は、人事総務の部署以外の人も任命される場合がある
衛生管理者資格の概要
まずは、衛生管理者の資格と担当業務について見てみましょう。
衛生管理者は第一種、第二種に分かれています。第一種免許は全業種で対応可能ですが、第二種免許には、対応できない業種があります。
衛生管理者の免許を取得するには、公益財団法人安全衛生技術試験協会の行う国家試験に合格する必要があります。
代表的な受験資格を挙げるとすれば、大学・短大・専門学校以上を卒業していれば1年以上、高校を卒業していれば3年以上の労働衛生の実務経験が必要となり、10年以上の実務経験があれば学歴が問われることもありません。
尚、実務経験を証明するために、事業証明書の提出が必要となります。
衛生管理者の試験科目は、第一種・第二種ともに労働基準法をはじめとする関係法令・労働衛生・労働生理の3科目より出題されます。
それぞれの範囲が40%以上、3科目合計で60%以上の得点をとることが合格基準の目安とされています。
どちらの試験も合格率が概ね40%~60%台で推移していることを考えれば、独学でも十分に合格を狙えるでしょう。
衛生管理者はどんな業務をするのか
事業場で衛生管理者として選任された場合、そこで働く人々の健康や安全が維持・向上されることを目的とする業務を担当します。
健康に異常が疑われる人がいれば医療を受けるよう案内したり、健康診断を受けていない人がいれば受診したりするよう勧奨します。
また、作業条件や施設現況などをチェックして、従業員が作業する環境に衛生上の問題がないかどうか調査するのも衛生管理者の仕事です。
少なくとも週1回は事業場を巡回しながら人と事業場に目を配らなければならず、衛生や安全にリスクが見られれば、その改善に取り組んでいきます。
健康意識の高まりを受けて、事業場でも健康管理の意識を高めるよう、禁煙キャンペーンや運動会などのイベントが催されたりもしていますが、それらを企画するのも衛生管理者に期待される役割といえます。
衛生管理者資格は転職市場で評価される?
一定規模の事業者であれば衛生管理者を設置しなければならないと法律で義務付けられている以上、衛生管理者の資格を取得しているだけでも相応の評価は得られることが期待できます。
特に、全業種で衛生管理者になることのできる第一種を取得していれば、幅広い業界から興味が寄せられることが期待できます。
中でも、人事総務職への転職を考えている方は取得することで任せられる業務の幅も広がるでしょう。
衛生管理者と併せて取得するのにおススメな資格としては、社会保険労務士が挙げられます。
その理由は、第一種衛生管理者資格の知識を活かせるためですが、他に学ばなくてはならない科目が多いため、簡単に取得できる資格ではありません。
比較的簡単に取得できる資格のうち、衛生管理者と併せて取得しておくと良いものとしては、「安全管理者」「防火管理者」「危険物取扱者」が挙げられます。
衛生管理者資格を、転職活動時にアピールするには
衛生管理者は、一定規模を超える事業者であれば必ず組織内に配置しなければならないため、規模が大きい企業であるほど、転職活動時のニーズも高くなると考えられます。
そのため、衛生管理者の資格を武器に転職活動を進めていくのであれば、応募先企業の規模も考慮しながら見極めることも一つの手です。その際に取得しておくべきは、業種に捉われない第一種衛生管理者の資格です。
実際の求人案件を眺めてみても、第一種衛生管理者を求めている事業者は多くあります。
衛生管理者の資格をアピールしていくためには、次の2点に留意しておくといいでしょう。
- ・衛生管理者の資格とは、独立を目指すための資格ではなく、会社組織の一員として働いていくためのものであること
- ・衛生管理者は、人事総務の部署以外の人も任命される場合がある
これらを念頭に置いておけば、衛生管理者資格が人材価値へのプラスアルファとして、バランス良く評価されやすくなります。
より働きやすい環境づくりへの取り組みを社会が求めている今日、事業者はそれに応じていかなければなりません。
コンプライアンスも含めて考えれば、一定規模を超える事業者が衛生管理者の採用に積極的となるのは自然な流れといえるでしょう。
衛生管理者は人事総務担当者以外の人が選任される場合もあります。
そのため、人事総務といった特定部署でのキャリアアップを図っていくための資格ではない点も、転職活動を進めていきやすい要因となっていくでしょう。
管理部門で働く方は、衛生管理者の資格取得を検討されてみても良いかもしれません。
これまでご紹介してきた内容を参考にしながら、この機会に衛生管理者の取得や、資格を活かした転職にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。
衛生管理者は難易度がとても高い資格ではありませんし、キャリアの構成要素となってくれる国家資格としておすすめの資格です。
<参考>
・厚生労働省-職場のあんぜんサイト
・【人事の転職】未経験者・経験者別のポイントや求人情報、平均年収、志望動機など
・【人事の転職情報】まとめページ
・【人事の資格一覧】総務・労務などキャリアプラン別のおすすめ資格も紹介
・労務管理士資格に意味はない?資格を転職で役立てる方法を解説!
・2019年以降の人事・総務の転職市場はどうなるのか?2018年のデータから読み解く
・衛生管理者とは?第一種・第二種の難易度&合格率や勉強方法などを解説
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