2024年11月28日

衛生管理者とは?第一種・第二種の資格概要や難易度、合格率、勉強方法などを解説!

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すべての企業には、従業員が健康で安全に働ける職場環境を整備する責任があります。
そのために必要な資格の一つが「衛生管理者」です。
衛生管理者は、労働安全衛生法で定められた国家資格で、一定規模以上の企業では選任が義務付けられています。

今回の記事では、「衛生管理者」の概要や難易度、合格率や勉強方法などを解説します。

衛生管理者とは?役割を紹介

衛生管理者とは、労働環境の改善や労働者を守るための国家資格で、1947年に制定された日本独自の資格です。
衛生管理者は、業務を起因とする体調不良や職業性疾病、死亡事故などの防止を目的として、作業環境の管理や作業管理、健康管理などの役割を担います。

公益財団法人安全衛生技術試験協会によって全国7ブロックの安全衛生技術センターで毎月1~3回ほど試験が実施されています。
衛生管理者は、第一種衛生管理者第二種衛生管理者の2種類と衛生工学衛生管理者に分かれ、資格の有効期限がなく、一度取得すれば生涯更新不要です。

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第一種・第二種、衛生工学衛生管理者の違いとは

衛生管理者は、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者に分かれ、衛生工学衛生管理者と合わせて3種類の衛生管理資格があります。

衛生工学衛生管理者第一種衛生管理者は、有害業務を含む全ての業種で衛生管理者として対応可能です。
衛生管理者資格で定義される「有害業務」とは、以下の通りです。

  • ・農林畜水産業
  • ・鉱業
  • ・土木事業
  • ・電気
  • ・ガス
  • ・水道
  • ・自動車整備
  • ・機械修理
  • ・医療
  • ・清掃業

これらの事業は業務に危険を伴う部分があるため、衛生工学衛生管理者か第一種衛生管理者を衛生管理者として選任する義務があります。
また、常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または労働基準法施行規則第18条第1、3、4、5、9号に掲げる有害業務に常時30人以上の労働者を従事させる事業場では、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者とすることが義務付けられています。

一方、第二種衛生管理者が衛生管理者として働ける企業は、有害業務と関係の少ない事業のみです。
主に金融や保険、情報通信、小売など、デスクワークが多い企業が挙げられます。

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衛生管理者の仕事内容

衛生管理者は、少なくとも週に1回以上の頻度で作業場などを巡視し、設備や作業方法、衛生状態の確認を行い、必要に応じて下記の技術的事項の管理を行います。

  • ・労働者の危険または健康障害を防止するための措置
  • ・労働者の安全または衛生のための教育の実施
  • ・健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置
  • ・労働災害防止の原因の調査および再発防止対策

具体的には、健康面に不安がありそうな従業員に対し、休憩を促す声かけや、職場の照明の明るさや温度・湿度の確認、避難経路や避難階段の確認など、多岐に渡ります。

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衛生管理者の選任義務とは

冒頭でもお伝えした通り、企業には衛生管理者の選任義務があり、常時50人以上の従業員が働く事業場には、専属の衛生管理者を必ず1人選任する必要があります。
また、201人以上なら2人、501人以上なら3人と事業場の規模が拡大するほど、衛生管理者の必要人数が増えます。
必要人数の衛生管理者を選任しなかった場合、罰則を課せられるため、衛生管理者は企業にとって欠かせない存在です。

衛生管理者が必要な事業場の解釈は、「同一の場所にあるものは原則として1つの事業場とし、場所的に分散しているものは原則として別個の事業場」であるとされています。
つまり、本社、支店、店舗など、地理的に離れた組織がそれぞれ事業場となり、常時50人以上の従業員がいる組織には、衛生管理者の選任義務が発生します。

衛生管理者は、原則的に事業場を兼任することはできません。
ただし、1つの事業場で労働衛生コンサルタントを含む2人以上の衛生管理者を選任している場合、1人のみ事業場の兼任が可能です。

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事業場の規模別衛生管理者の必要人数

ここでは、事業場の規模別に、衛生管理者の必要人数について解説します。

事業場の規模
(常時使用する労働者数)
衛生管理者の必要人数
50人以上200人以下 1人
200人以上500人以下 2人
500人以上1,000人以下 3人
1,000人以上2,000人以下 4人
2,000人以上3,000人以下 5人
3,000人を超える場合 6人

参照:厚生労働省HP|職場のあんぜんサイト

衛生管理者の選任は、衛生管理者を選定する必要になった日から14日以内に、所轄の労働基準監督署長に提出する必要があります。

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衛生管理者の資格概要

第一種衛生管理者・第二種衛生管理者の試験科目や出題数、配点は以下の通りです。

試験科目 第一種 第二種
労働衛生 有害業務に係るもの 10問(80点) -
有害業務に係るもの
以外のもの
7問(70点) 10問(100点)
関係法令 有害業務に係るもの 10問(80点) -
有害業務に係るもの
以外のもの
7問(70点) 10問(100点)
労働生理 10問(80点) 10問(100点)

試験時間と受験料、試験会場は第一種・第二種共通です。

試験時間 3時間
受験料 8,800円(非課税)
試験会場 安全衛生技術センター
(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州)

参照:公益財団法人安全衛生技術試験協会「受験資格 衛生管理者(第一種及び第二種)」

衛生工学衛生管理者の取得方法は、第一種衛生管理者・第二種衛生管理者と異なり、指定の講習を受講し、終了試験に合格する必要があります。
講習の受講資格は、第一種衛生管理者試験合格や学歴などで、所有資格別に講習科目、講習期間、受講料が異なります。

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第一種衛生管理者試験の難易度と合格率

受験者数 合格者数 合格率
2023年 67,572人 31,108人 46.0%
2022年 68,066人 31,207人 45.8%
2021年 68,210人 29,113人 42.7%
2020年 43,157人 18,916人 43.8%
2019年 68,498人 32,016人 46.8%
2018年 67,080人 29,631人 44.2%
2017年 65,821人 29,636人 45.0%
2016年 61,500人 28,003人 45.5%
2015年 55,129人 30,587人 55.5%
2014年 53,112人 29,922人 56.3%

第一種の合格難易度は、平均45%です。
2015年までは55%程の合格率でしたが、2016年以降は40%台となり、難易度は上がっていると言えるでしょう。

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第二種衛生管理者試験の難易度と合格率

受験者数 合格者数 合格率
2023年 37,061人 18,374人 49.6%
2022年 35,199人 18,089人 51.4%
2021年 36,057人 17,922人 49.7%
2020年 22,220人 11,729人 52.8%
2019年 33,559人 18,511人 55.2%
2018年 32,985人 17,271人 52.4%
2017年 31,537人 17,302人 54.9%
2016年 29,186人 16,189人 55.5%
2015年 25,716人 16,983人 66.0%
2014年 25,069人 17,365人 69.3%

第二種衛生管理者試験の合格率は、2014年に約70%まで達していましたが、2023年は49.6%に減少し、第一種と同様に年々合格率は低下していると言えるでしょう。

2021年には49.7%と50%を下回りますが、合格率で計算すれば10人に4人〜5人が合格しています。
他の国家試験と比較しても難易度は低めですので、諦めずに勉強を続ければ合格できるでしょう。

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衛生管理者の受験資格は学歴と実務経験

衛生管理者の受験資格は学歴と実務経験

衛生管理者の試験には、学歴や実務経験など16種類の受験資格が定められており、誰でも受験できるわけではありません。
試験の申し込み時には、卒業証明書の写しや事業者証明書など、受験資格を証明する書類の提出が必要です。

必要な実務経験年数は学歴によって異なります。
大学(短期大学を含む)や高等専門学校を卒業した場合は1年以上、高等学校や中等教育学校を卒業した場合、または高等学校卒業程度認定試験に合格した場合は3年以上の実務経験が必要です。
なお、労働衛生の実務経験が10年以上ある場合は、学歴を問わず受験が可能です。

試験の申し込みには、実務経験を証明するための事業者証明書が求められます。
この証明書は、社長、工場長、支店長などの代表者や、人事部長、総務部長など業務履歴を管理する部門長が作成する必要があり、受験者自身が作成することはできません。

受験資格の詳細については、安全衛生技術試験協会が公開している受験資格のページをご確認ください。

参考:公益財団法人安全衛生技術試験協会「受験資格 衛生管理者(第一種第二種)」

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衛生管理者試験の勉強時間・勉強方法

衛生管理者の試験対策は独学でも可能です。
講習会なども開催されていますが、参加ができない場合は、参考書を購入するなどして学習を進めると良いでしょう。

衛生管理者に合格するための勉強期間はおよそ3カ月〜6カ月、勉強時間は業務経験者の場合は50時間、知識がない場合は100時間以上が目安とされています。

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衛生管理者は転職でも有利

衛生管理者の専任義務は、業種を問わずすべての企業で適用されます。
また、衛生管理者は原則として他の企業や事業場を掛け持ちできません。
そのため、衛生管理者は様々な企業からニーズが高く、資格取得しておけば転職で有利に働くと期待できるでしょう。

衛生管理に至る業務は、総務部労務部で対応している場合がほとんどです。
これらの管理部門への転職を目指す場合、幅広い選択肢が得られる可能性があります。

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まとめ

一定規模以上の事業場では必ず衛生管理者を置く必要があるため、業種を問わず市場価値の高い資格です。
求人数が安定しているほか、取得することでキャリアの選択肢が広がるため、人事や総務、労務への転職でも活かすことができます。

弊社MS-Japanが運営する管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」では、衛生管理者資格を活かせる求人も扱っています。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

柴 優太朗

大学卒業後、現職(MS-Japan)へ入社。
入社後は、RA(リクルーティングアドバイザー)として100社以上を担当し、業界問わずスタッフクラス~管理職クラスまで幅広い中途採用支援に従事。
異動の機会をいただき、2021年4月からCA(キャリアアドバイザー)として、管理部門及び士業領域幅広い方の転職支援に従事しています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 役員・その他 ・ 社会保険労務士事務所 ・ 公認会計士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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