2024年07月24日

法務としてのキャリア形成とは?法務以外の必要な知識・スキルは?

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法務としてキャリアを築いていくには、法律知識だけがあればいいというわけではありません。法務の仕事は幅が広く、様々な能力が求められます。

この記事では、企業に求められる法務担当者になるための「キャリア形成のポイント」について解説します。
これから法務のキャリアを築きたい方や、キャリアアップを目指す法務担当者の方に向けて、今後身に着けるべきスキル・知識や積むべき経験などを具体的にご紹介します。

法務のキャリア形成に必要な知識・スキルとは

まずは、法務のキャリア形成に必要な知識やスキルを詳しく見ていきましょう。
ビジネスの現場では売買契約や業務請負契約、賃貸借契約、委任契約、雇用契約など、さまざまな契約を結びます。契約締結に伴う契約書の作成やリーガルチェックが、法務の主な職務です。

各種法律的に問題がないか、自社に不利な内容になっていないか、しっかりと確認するためには、法律の中でも特に民法会社法労働法を正しく理解することが重要です。
「ビジネス実務法務検定」「ビジネスコンプライアンス検定」などの法務関連資格の取得も評価されるでしょう。
また、同業他社における過去のトラブル事例や判例なども把握し、リスクを回避する視点も求められます。

コンプライアンスも法務の大きなミッションです。社内でルールを定め、運用していかなければいけません。各種法律はもちろん社会倫理や道徳に対しても理解を深め、意識を高く持つ必要があります。

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キャリア形成に必要な法務以外の知識・スキルとは

次に、法務のキャリア形成に必要な法務以外の知識・スキルを解説します。

文章力

法務業務は、契約書や就業規則などの文書を作成する機会が多い傾向です。
一語の違いでも、解釈が全く異なる文章となる可能性があるため、正確にわかりやすく伝える文章力が求められます。

コミュニケーション能力

法務では、従業員に向けたコンプライアンス研修や、社外の人との交渉など、様々な立ち位置の人とコミュニケーションをとる必要があります。
法律関連や契約関連は専門用語が多く、他部門の従業員にとっては難解であることが多いでしょう。そのため、法務担当者は専門用語をかみ砕いて分かりやすく説明して、相手に履行を促すコミュニケーション能力が求められます。

事業・業界理解

法務担当者には、自社ビジネスへの理解が必要不可欠です。自社の事業内容所属業界の市場理解などが求められます。
契約書の作成や交渉などの業務でも、事業・業界に対する理解度が問われます。
例えば、不動産業界なら宅地建物取引士など、業界特有の資格取得をして業界理解を深めることもおすすめです。
また、新規事業立ち上げ時には、法務担当者としての意見を求められることがあります。その際も事業・業界理解がないと、適切に対応することができません。

企業に優位な契約交渉や、新たな事業展開のサポートができる法務人材は、企業内でとても貴重で価値のある存在だと評価されるでしょう。

英語力

近年のグローバル化により、海外に取引先や営業拠点を持つ企業が増えています。そのため、英語力のある法務担当者のニーズが高まっています。

読み書きや電話でのやりとりなど、ビジネスレベルの英語力を求められる場合、法務業務での英語使用経験を参考にされるケースが多い傾向です。TOEICスコアでは、850~900点以上が目安とされています。
会話の使用機会が少なく、読み書き程度のレベルを求められている場合は、TOEICスコア600~700点以上を目安としている企業が多いため、まずはこのラインを目指しましょう。

ITと個人情報に関する知識

近年、SNSでの不適切な投稿個人情報の流失が大きな社会問題となっています。そのため、法務担当者はトラブルを事前に防ぎ、問題が発生した場合でもいち早く対処するために、ITに関する知識やスキル、個人情報保護に対する理解も求められます。

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法務のキャリアプラン

法務のキャリアプランとして、どのような選択肢があるのかを見てみましょう。

マネジメント

法務が目指す代表的なキャリアプランは、マネジメントポジションに就くことです。部下のマネジメントプロジェクト全体の進捗管理を行います。
また、経営陣から法務面からの意見を求められるなど、法務業務としてもより裁量が大きくなるでしょう。

マネジメントポジションに就くためには、企業にとって「かけがえのない人材」になることがポイントです。企業によってマネジメントポジションに求めるニーズは異なります。
「かけがえのない人材」として評価されるためには、そのニーズを掴み、企業の期待に応えることが重要です。
また、マネジメントポジションとして部下の統率や教育をする場合、業務遂行能力や専門知識だけでなく、全体を俯瞰して見る力やリーダーシップ、コミュニケーション能力も求められます。

スペシャリスト

法務の道を究めてスペシャリストになることも、法務のキャリアプランのひとつです。法務知識と業界理解が深く、特定の分野に特化した人材がスペシャリストとして活躍できます。

特化する業務には「契約法務」「知財法務」「組織法務」の3つがあります。
「契約法務」では、契約書の作成審査、さらに契約によって生じた紛争の処理も行います。契約書の合法性を判断し、自社に最大限の利益をもたらす契約を結ぶ必要があるため、経営視点も必要です。また、英文契約の理解や交渉力も求められます。

「知財法務」は、特許や商標、著作権などの知的財産に関する法的業務を行います。許諾などに関する交渉や訴訟も担うため、弁護士資格が求められる場合もあるでしょう。
海外展開を行っている企業では、語学力や海外の特許に関する知識も必要です。

「組織法務」は株主総会取締役会の運営などの法的業務を担います。法で定められた手続きを的確に遂行するだけでなく、企業独自の慣習などに対する理解も必要です。
また、高いコーポレートガバナンス意識も求められます。

ゼネラリスト

ゼネラリストとは、法務を軸にしつつ、経営企画や総務、人事など管理部門の幅広い経験を積み、より経営に近いポジションで活躍する人材です。
スペシャリストのようにひとつの分野に特化するのではなく、幅広い分野にオールマイティーに精通している必要があります。

法務部門が設立したばかりのベンチャー企業などで必要とされる場合が多く、経営者目線で意見を求められる機会もあるでしょう。
自身の仕事が企業成長や事業推進に結びついている実感が湧きやすく、やりがいを感じることができるポジションです。

ただし、ゼネラリストとして働く場合、総務や人事などを兼務し、業務内容が多岐にわたるため、法律以外にも様々な知識を身につける必要があります。

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法務のキャリアステップ

法務の具体的なキャリアステップを5つご紹介します。

法務部の管理職

法務として安定したキャリアステップを踏みたい場合、マネジメントポジションである法務部の管理職を目指すのが王道です。
管理職には法律の専門知識はもちろん、部署のメンバーを統括するリーダーシップや、経営視点も求められます。経営陣に対し、経営戦略やコンプライアンスなどに対して法律的な観点からアドバイスを行うこともあるでしょう。

管理職へステップアップする時期は、勤続10年以上が目安ですが、企業によって差があります。
管理職のポストが少なく、昇進が見込めない場合は、転職することもひとつの選択肢です。
また、管理職からのさらなるステップアップとして、CLO(最高法務責任者)GC(法務担当役員)を目指すこともできます。

大手企業

同じ企業で働き続けて昇進するのではなく、大手企業に転職して規模の大きな仕事に携わるキャリアステップもあります。
大手企業では、業務内容が多岐にわたり、法務部の人員も豊富であるため、分業化されていることが一般的です。そのため、担当業務について深い専門性が求められ、スペシャリストとしてキャリアステップであると言えるでしょう。

大手企業の法務では、担当業務のスペシャリストとして活躍することが求められますが、業務の幅が狭く、単調であると感じる人も多いようです。
しかし、スケールの大きいプロジェクトに携われるため、やりがいを感じることもできるでしょう。
待遇面は、安定して高収入が見込めるだけでなく、福利厚生も手厚い傾向にあります。

外資系企業

国際的なビジネスに携わりたい方は、外資系企業の法務部に転職する選択肢もあります。
外資系企業では日本の法律の知識だけでなく、取引のある国の法律知識や、国外企業とやり取りするための語学力も必要です。高いスキルが求められますが、世界を相手にした仕事に携われるため、大きなやりがいを感じられるでしょう。

また、外資系企業は日系企業より給与が高い傾向にあるため収入アップも見込めます。
さらに、国際法務の経験は大きな武器になるため、再び転職することになっても、他の応募者と差別化できるでしょう。

法律事務所

法務部で経験を積んだ後、さらなるキャリアアップとして、弁護士資格を取得する人もいます。
弁護士資格と法務部での経験があれば、訴訟対応や契約書の作成などを扱う企業法務系法律事務所に転職可能です。

また、近年需要が高まっているインハウスローヤーとして働くこともできるでしょう。さらに、法律事務所で専門性を高め、独立して企業の顧問弁護士となる道も開けます。

コンサルティング会社

ひとつの企業だけではなく、さまざまな企業の法務に携わり専門性を高めたい場合は、企業法務のコンサルティング会社に就職する方法があります。
法務コンサルティングの業務は、契約書の作成や株主総会の招集・運営、リスク調査や取締役会等への参加など、様々な企業で幅広く携わることができます。

また、企業経営について相談に乗ることもあるでしょう。
企業からの信頼を得られれば、独立してキャリアアップすることも可能です。

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現職でキャリアが築けない場合は転職を

「いつまで経ってもルーチン業務ばかりで、本質的な法務実務に携われない。」
「自分が成長している実感が持てない。」
「年収が上がらず、待遇が良くならない。」
など、現職でキャリアが築けていないと感じたら、転職を検討しても良いでしょう。

特に先輩や上司も同じような状況であれば、その企業の人事制度に問題があり、ご自身も同じような道を辿ると考えられます。
そのため、働くフィールドを変えることで、大きくキャリアアップできる可能性が開けるでしょう。

転職を検討している場合、弊社MS-Japanが提供する管理部門・士業特化型転職エージェント「MS Agent」にご相談ください。
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面接時に評価されるスキルとは

新卒の就職活動では、やる気や仕事への姿勢などが評価されます。しかし、即戦力としての転職活動では、スキルや実績が主な評価指標です。
特に年齢が高くなればなるほど、その傾向が強くなり、やる気やポテンシャルだけで内定に至ることは難しいでしょう。

法律に関する知識をアピールする場合、弁護士資格を持っていると大きなアドバンテージとなります。加えて、英語力としてTOEICスコアもアピールできるポイントです。
ただし、法務の仕事は知識だけではできません。企業が重視するのは実績です。今まで法務担当者として、企業に貢献した実績と、それによって身についたスキルをアピールしましょう。

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自分のスキルをアピールする時の注意点

自分のスキルをアピールする時の注意点高度な法律知識やスキル、実績があったとしても、採用担当者へ伝えることができなければ意味がありません。
これまで携わってきた業務や、法務業務への取り組み方、業務を通じて得たスキル、企業への貢献度合いなどを棚卸しし、アピールすべき強みを洗い出しましょう。

しかし、応募先企業が求めていないスキルをアピールしても、高い評価を得ることはできません。応募先企業や採用担当者がどのようなスキルを求めているかを把握し、それに合わせて応募書類や面接でアピールする内容を考えましょう。

たとえば、海外に事業展開をしている企業では、国際法務のスキルや実績が評価されます。
上場を控えている会社であれば、上場基準での体制整備経験やそこに至るまでに関する知識が求められる可能性があるでしょう。応募先企業の事業内容や募集要項に合わせた戦略を立てることが重要です。

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未経験者でも法務になれるのか?

上述した通り、単純に法律の知識があるだけで法務に適性があるというわけではありません。
中途採用では、実務経験が問われることが多いですが、若ければポテンシャルを見込まれて採用されることもあります。

弁護士資格の保有者や法科大学院修了者法学部卒業者などは、法務のキャリアをスタートできる可能性は十分あるでしょう。
また、英語や社会人経験などのプラスでアピールポイントがある場合も可能性があります。

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まとめ

法務は、ただ単純に法律知識があれば務まるというものではなく、高度なビジネスセンスやコミュニケーション能力が求められます。

法律知識だけではなく、ビジネス理解・会社理解を深めていくこと、またそのような知識を活かして社内・社外の人と交渉していくこともできる法務は、非常にやりがいのある仕事です。
また、法務として基盤となるような経験を積むことができれば、様々なキャリアの方向性を選択できます。自分の仕事の幅を広げ、納得のいくキャリアアップを目指しましょう。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

高根沢 美帆

大学卒業後、新卒でITベンダーに入社し、営業としてエネルギー業界のお客様を担当。その後、損害保険会社で法務業務に従事。
キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社後は、法務、弁護士、法科大学院修了生などリーガル領域を中心に担当。

人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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