弁護士の年収が意外と低いって本当?年収アップを実現するコツも紹介
弁護士の年収が意外と低いって本当?年収アップを実現するコツも紹介



弁護士は、社会的な地位や専門性をもつことから、高収入を期待されることの多い職業です。
しかし、実際の年収はどのようなものなのでしょうか。また、さらなる収入アップを目指すための方法は存在するのでしょうか。
この記事では、弁護士としての年収の実情を明らかにし、高収入を得るための具体的な方法について解説します。
とくに転職を通じての収入アップの可能性に焦点を当てて、弁護士としてのキャリアをより充実させる方法を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
弁護士の年収が「意外と低い」といわれる理由は?
弁護士業界の給料が「ひょっとしたら意外と低いのではないか?」 と思われるようになった背景には、弁護士業界の中で格差が生まれてしまったことに一因があります。
高年収を実現した弁護士もいれば、そうでない弁護士もいて、その分給料に差が生じています。
以下、給与の低い弁護士が増えている理由についてご紹介します。
弁護士数が増え続けている
司法制度改革が行われ、2006年度から新しい司法試験制度が導入されたことにより、弁護士の数は大幅に増えました。
2007年度に新しく弁護士登録した人数は2,000人を超えており、その後も概ね1,500~2,000人の間で推移しています。
1980年代の弁護士登録者数は500人程度ですから、その頃に比べると3~4倍に増加しています。
しかも、弁護士白書2022年版によると、登録取消を行う弁護士は弁護士数全体の2%未満という状況が続いています。
状況をまとめると、弁護士業界では弁護士が増え続けているものの、業界を離れる弁護士は少ない傾向にあるといえます。
単純に同業者(ライバル)が多くなるだけでなく、日本の人口も減少傾向にあるため、 限られたパイを奪い合う状況が生じているものと推察されます。
事件数が増えていない
弁護士が増えている状況に加えて、弁護士が活躍する場面が少なくなってきていることも、弁護士の給料に差が生じている大きな理由の1つです。
弁護士数が増加するにつれて、民事訴訟事件も増え続けているかと言えば、現実としては横ばい状態が続いています。
なぜ民事訴訟事件数が増えないのかについては、いろいろな説があるものの、情報不足や経済的な事情などから裁判を敬遠する人は一定数存在しています。
もちろん、過払い金返還訴訟のような例外はありますが、一般人にとって訴訟のハードルは依然高いものとなっています。
弁護士の需要自体はあっても、事件・訴訟にまでは発展しにくいことが、結果的に弁護士の給料・年収に影響を及ぼしているものと考えられます。
営業力や提案力・実績に乏しい弁護士にとっては、厳しい現実といえるでしょう。
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弁護士の平均年収は実際どのくらい?
弁護士の給料や平均年収については、厚生労働省や日本弁護士連合会などの統計によって、具体的な数値が公表されています。
令和4年分民間給与実態統計調査結果(国税庁)によると、 1年を通じて勤務した給与所得者の一人当たりの平均給与は、458万円となっています。
これに対して、厚生労働省の「令和4年度賃金構造基本統計調査」では、 弁護士が含まれる区分「法務従事者」の年収は約953万円となっています。
弁護士の平均年収は、弁護士白書からも紐解くことができます。
2021年版では、営業収入および給与収入の平均値は2,558万円、所得の平均値は約1,119万円となっています。
また、営業収入および給与収入の中央値としては、弁護士白書2021年版の中で1,437万円という数値が示されています。
ちなみに、所得の中央値は700万円です。
賃金構造基本統計調査の令和3年版には、男女別の年収も記載されています。
データによれば、男性弁護士の平均年収が970万800円、女性弁護士の平均年収が879万1,000円です。
このように、読み解く統計によって差異はあるものの、 基本的に弁護士の給料は給与所得者の平均年収よりも高いため、 まだまだ高給取りの部類に含まれるものと考えてよいでしょう。
法律事務所で働く弁護士の平均年収は?
法律事務所の規模は様々で、大手・準大手や中堅、ブティックファームなどによって事情は異なりますが、この章では大きく2つ、大手法律事務所と中小法律事務所に分けて、それぞれのケースについてご紹介します。
大手法律事務所
四大法律事務所のような、大手法律事務所における弁護士の役職は、大まかにジュニアアソシエイト→シニアアソシエイト→パートナー(※パートナーの中でもさらに細かな段階設定がある場合もあり)の順に上がっていきます。
具体的な年収としては、それぞれ以下の通りです。
弁護士の役職 | 年収 |
---|---|
パートナー | 数千万円~数億円 |
シニアアソシエイト | 1,600~3,000万円 |
ジュニアアソシエイト | 1,100~1,500万円 |
1年目の段階から年収1,000万円以上が目指せるのは、大手法律事務所ならではのアドバンテージです。
ただ、その分だけ仕事の量・質ともに高水準となるため、決して油断はできません。
中小法律事務所
中小法律事務所で勤務した場合、事務所がどういった賃金制度を設けているのかによって、年収も変わってきます。
中堅クラスなら、700万円から800万円程度の年収も見込めますが、小さな事務所だと弁護士でも300万円クラスの年収からスタートする可能性があります。
どちらかというと、やはり地方よりも東京などの都心部で働く弁護士の方が、年収も高くなる傾向にあります。
これまで培ってきたキャリアを活かし、専門分野に特化した事務所を選んで、給料を増やすという選択肢も選べます。
事業会社で働く弁護士(インハウスローヤー)の平均年収は?
企業法務(インハウスローヤー)は、法律事務所で勤めたり開業したりする場合に比べて、一般的には年収が低いといわれています。
しかし、ワークライフバランスや福利厚生面の充実という観点から見ると、プライベートな時間が確保しやすいなどのメリットもあります。
働いている企業の給与体系にもよりますが、日本組織内弁護士協会が2023年3月に実施した「企業内弁護士によるアンケート調査集計結果」を見る限り、インハウスローヤーの半数以上が500万円以上1,250万円未満の年収をもらっているようです。
250万円以上500万円未満の年収となっている弁護士は、わずか2.9%と少数派であり、ほとんどの弁護士は一般的な給与所得者に比べれば高い給料をもらっているものと考えてよいでしょう。
弁護士の年収における3つの特徴
弁護士は、実力や当人の希望次第で、働き方や勤務先を自由に選べます。
以下、弁護士の給与の特徴をご紹介します。
年齢の上昇に従って年収が増える傾向にある
弁護士の年収は、年齢とともに増える傾向があり、60代以降になっても高年収が得られる職種の一つです。
これは、弁護士を頼るクライアントが、その弁護士の経験・実績を重視していることに理由があるものと推察されます。
弁護士になりたての若年者は、どうしても経験・実績に乏しく、就職先もある程度限定されてしまいます。
そのため、キャリアをスタートさせた段階では、どうしても高年収を実現できる例は少なくなります。
努力次第で生涯年収は青天井
若年者の年収が決して高くない傾向にあるとはいえ、年齢の上昇に従って年収が増えること自体は、弁護士のアドバンテージといえます。
なぜなら、一般企業で定年まで勤め上げる状況を想定した場合、50代になってから役職定年がスタートして給料が減少し、そこから定年・再雇用という流れでさらに給料は少なくなり、年齢とともに給料は下がってしまうのが普通だからです。
大手弁護士事務所でパートナーを目指すにせよ、独立して自力で案件を獲得するにせよ、弁護士は努力次第で生涯年収が増えていく職種です。
弁護士は、年を重ねるごとに経験・実績が重宝されるため、給料も青天井といえるでしょう。
収入格差はある
稼げる弁護士がいる一方で、世の中のニーズをつかめなかったり、世間から十分な評価を得られなかったりする弁護士も少なからず存在しています。
弁護士数が増えたのに案件が変わらないということは、需要量よりも供給量が増えていることを意味しますから、弁護士の給料にも収入格差が生まれてしまうのは避けられません。
弁護士は、業歴が古いほどしっかりとした顧客基盤を築きやすく、弁護士になったばかりで独立してもなかなか集客が難しいのが現実です。
かといって、地方の法律事務所や小規模な事務所で働くだけでは、なかなか年収・給料も伸びません。
とはいえ、弁護士の活躍のフィールドは伝統的な訴訟等の交渉業務から、企業法務まで幅広く、インハウス弁護士という選択肢も一般的になってきていますので、年収をアップさせるためには、弁護士としての専門性以外にも、自らの能力・適性を正確に把握しておく必要があります。
弁護士として年収を上げるには?
独立をすれば自分の力で高年収を目指せる弁護士ですが、勤務弁護士として給料をもらう立場で年収アップを狙う場合、独立時のように多くの選択肢があるわけではありません。
組織の中で認められるよう、組織に「欲しがられる」能力を鍛えることが、弁護士として高年収を実現するためのポイントとなるでしょう。
ここでは、「専門性を身につける」「より条件の良い勤務先へ転職する」の2点を解説します。
専門性を身につける
まずは、専門性を身につけることです。
弁護士として特定の法律分野や業界の専門性を深くすることで、その分野のエキスパートとしての地位を築けます。
たとえば知的財産権、M&A、国際取引など、特定の領域での専門的な知識やスキルは高く評価され、それに伴い報酬も上がる傾向です。
一般的な法律分野よりも、競合が少ないニッチな分野を選択しつつその分野でのパイオニアとなることで、独自の価値を提供する方法もあります。
より条件の良い勤務先へ転職する
年収を上げる手っ取り早い方法は、より条件の良い勤務先へ転職することです。
一般的に、大手の法律事務所や外資系の法律事務所は、高額な報酬を提供しているケースが多く見られます。
大規模な案件を取り扱う機会が増え、それに伴い年収も上昇する傾向があります。
転職を通して年収を上げるには、先ほど紹介した専門性の獲得や、入念な企業研究が重要です。
転職を考える際には、弁護士の転職に強い転職エージェントを利用することで、自身のスキルや経験を最大限に活かせる勤務先を見つけやすくなります。
転職で年収が上がった弁護士の事例をご紹介!
ここでは、3つの転職成功事例を紹介します。
40代弁護士の転職成功事例
Aさんは、一部上場メーカーに勤務しており、転職前の年収は1,000万円でした。
転職後も同じくメーカーですが、年収1,200万円にアップしています。
Aさんは上場企業の法務部長として経験を積んでいましたが、会社の業績が芳しくなく、多くの同僚が退職している状態でした。
Aさん自身も現状に不安を感じており、親しかった同期が退職したことをきっかけに転職活動を開始しています。
Aさんがとくに注力したのは、「自己分析」「企業研究」の2つです。
各企業の研究では、面接前にコンサルタントから情報を集め、面接での質問を予想して準備を行いました。
さらに前職での経験を活かし、同じ業界(メーカー)の求人を選んでいるのも重要なポイントです。
前職で英語を使用していたこともあり、海外展開を強化している企業の求人を選びました。
Aさんは、前職での経験と姿勢が評価され、年収200万円アップの1,200万円での採用内定を得ています。
30代弁護士の転職成功事例
Bさんは、建築不動産企業(大手)に勤務しており、転職前の年収は650万円でした。
転職後は建築不動産企業(非上場中堅)で、年収800万円を達成しています。
Bさんは、法律事務所での経験をもち、東証一部上場の大手建築不動産企業で活躍していました。
家庭の事情でBさんが一人で家計を支える必要が生じ、それがきっかけで転職を決意しています。
Bさんは、自身の希望に合う求人が見つかるまで転職活動を続け、同業界の求人を中心に検討しました。
最終的には、規模が一段小さい同業界の企業に、ポジションをアップして転職しています。
ポジションアップに伴って年収も上昇しました。
金融機関から外資系法律事務所への転職成功事例
Cさんは大手金融機関に勤務しており、年収は800万円でした。
その後、外資系法律事務所に転職し、年収1000万円となっています。
Cさんは司法修習中に弁護士事務所ではなくインハウスを選択し、当事者としての経験を積むことを重視していました。
次第に「法律事務所でより専門性を深めて活躍したい」というキャリアプランをもつようになり、インハウスローヤーとして金融機関での経験を活かし、グローバルに活躍することを目指すようになったそうです。
Cさんは金融機関の経験を最大限に活かし、外資系法律事務所を希望していました。
転職活動では外資系法律事務所をターゲットに絞り込み、各ファームの企業分析に注力していたそうです。
結果として、当初の希望通り、外資系法律事務所から内定を受け取りました。
明確なキャリアプランとターゲットの絞り込み、そして専門性の追求が転職成功の鍵であることがわかります。
年収だけじゃない!弁護士の魅力とは
さまざまな人と関わることができる
弁護士は、日常的にクライアント、裁判官、検察官、他の弁護士など、さまざまな背景をもつ人々と接触します。
人間関係のスキルを磨きつつ、多様な視点や考え方を学べるのは、まさに弁護士ならではの魅力でしょう。
弁護士は、多岐にわたる分野での問題を取り扱います。
これによりさまざまな業界の専門家や関係者との交流が生まれるのも重要なポイントです。
たとえば、企業の問題を取り扱う際には、経営者や会計士、税理士との連携が必要となるケースがあります。
パズルを解くような面白さがある
クライアントから持ち込まれる問題や事件は、多くの場合、複雑で多面的です。
解決するためには、事実関係を整理し、関連する法律や判例を適用する必要があります。
こうしたプロセスは、パズルのピースを正しい位置に配置するような作業と似ています。
さらに弁護士は、裁判や交渉の際に、相手方の動きや意図を予測し、最も有利な結果を得るための戦略を立てる必要があり、戦略的な思考を多く必要とされる部分に、魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。
働き方が比較的自由に選べる
弁護士は、資格をもっていれば自らの事務所を開設し、独立して業務を行えます。
企業に勤めるのとは異なり、自分のペースやスタイルで仕事をすることが可能です。
また、独立開業することで、自分の得意分野や興味をもつ分野に特化した業務を選択できます。
たとえば現代のテクノロジーの進化により、弁護士もリモートワークを選択することが増えてきました。
自宅や好きな場所での業務が可能となり、働き方の選択肢が広がっています。
固定の勤務時間が設定されていないため、自分のライフスタイルや家庭の状況に合わせて働く時間を調整しやすいのも魅力的です。
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まとめ
いくつかの転職事例からもわかるように、弁護士でも転職を通して年収アップが期待できます。
明確なキャリアプランを用意しつつ、現職で専門性を獲得することで、転職活動もスムーズに進めやすくなるでしょう。
転職では、自己分析や企業研究など、やるべきことが多くあります。
自分の力だけでは難しいと感じたら、転職エージェントのサポートを得るのがおすすめです。
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この記事を監修した人

企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。
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